監視・影響調査専門調査会(第21回)議事要旨

  • 日時: 平成19年7月25日(水) 15:00~17:30
  • 場所: 永田町合同庁舎第一共用会議室

(開催要領)

  1. 出席委員:
    • 鹿嶋会長
    • 勝又委員
    • 神田委員
    • 袖井委員
    • 橘木委員
    • 畠中委員
    • 山口委員
    • 山谷委員
  2. 議題
    • (1) 開会
    • (2) 平成18年(度)男女共同参画社会の形成の促進に関する施策についての苦情内容等及び男女共同参画に関する人権侵害事案の被害者の救済制度等の把握について
    • (3) 「高齢者の自立した生活に対する支援」に関する有識者ヒアリング
      • 生活・健康面での自立支援について 福島県立医科大学教授 安村 誠司教授
      • 経済面での自立支援について お茶の水女子大学大学院教授 永瀬 伸子教授
    • (4) 「高齢者の自立した生活に対する支援」の関係府省庁へのヒアリングについて
    • (5) 閉会
  3. 議事要旨

※当日は有識者の都合により、当初の議事進行予定を変更して冒頭に安村教授からのヒアリングを行った。

■ 安村誠司教授「高齢者の自立した生活に対する支援~生活・健康面での自立支援について」

【発表内容】
・平均余命、受療率、自立期間、要介護者の発生状況、高齢者の参加・役割等のデータを男女別に概観した上で、要介護になるメカニズムと介護予防の考え方、並びに若年期からの生活習慣病対策と介護予防施策との関係等について解説。

【意見交換】

  • 高齢期の健康問題を見る場合、年齢は75歳で区切ることは適当か。
    →女性は現在75歳からの健康状態が問題視されるが、75歳と言っても健康度は年々改善している。今後は80歳からが問題視されるようになるかもしれない。
  • 「ぽっくり死」を希望する高齢者が多いが、どのように考えればよいか。
    →個人的な考えだが、伝えたいことを伝える期間が設けられないまま逝くという点で決して幸せとは言えない。ぽっくり死で残された家族の悲嘆は大きい。日本人は老後への不安が大きく、要介護状態になると現役世代に負担をかけるというマイナス感情を持つ高齢者が多い。要介護状態になっても安心して過ごせることが必要。
  • 介護予防施策は効果的か。
    →介護予防は65歳からスタートして成功するものではなく、若年期からの生活習慣病対策との連携が必要。
  • 高齢者の社会参画の状況には都市と農村で違いがあるのか。
    →データで示しているのは地縁血縁人間関係も残っている農村地域で、そのような地域では男性も地域とのつながりが比較的ある。都会の場合、男性は自分でよほど頑張らないと地域に入りにくい。
  • 一般高齢者全員を対象とした介護予防一般高齢者施策の評価はどのように行うのか。
    →要介護認定者数の増減が評価指標になっている。減っていけば、効果があったとみる。ただ高齢者人口自体が増えているので、本来は調整して考える必要がある。

■ 平成18年(度)男女共同参画社会の形成の促進に関する施策についての苦情内容等及び男女共同参画に関する人権侵害事案の被害者の救済制度等の把握について
・事務局より報告の後、意見交換を行った。

【意見交換】

  • 同性間暴力、息子が親に暴力をふるう場合などは、DVの窓口としては対象外なのか。 →DVセンターは配偶者間暴力に対する対策を行っており、御指摘のケースは一般的な暴力対策として扱われることになる。
  • 行政相談窓口は、単なる振り分け機関となってはいけない。最初に応対する窓口担当者がある程度のカウンセリングを行わないと相談機能がうまく果たせない。
    →毎年、行政相談委員、人権擁護委員及び都道府県政令指定都市の苦情処理担当者を対象として苦情処理研修を開催し、男女共同参画の苦情処理に対する理解の深化を図っている。

■永瀬伸子教授「高齢者の自立した生活に対する支援について~経済面での自立支援について」

【発表内容】
・高齢期の経済状況について、家族形態との関係と年金を中心に解説。現在の高齢者の生活水準は悪くないが、生涯独身の女性の年金水準の低さ・共働き世帯の不公平感等の問題が残ること、また少子高齢化・非正規雇用・生涯未婚者の増大等を見据えた今後の問題点について指摘。

【意見交換】

  • 非正規労働者の年金についてどのように考えるか。
    →当然被用者年金への加入をすすめるべき。
    →とはいえ、現在の制度のもとでパートの妻については、報酬比例年金に入っても、遺族年金法制の改正がない限り、給付上のメリットは少なく、本人から支持を得にくい。妻の報酬比例年金加入実績が夫死亡後の年金給付実績に反映されるよう、遺族年金算定式の改正が必要。この変更は今後の労働力見通しや年金受給見通しとも整合的。
    →20代男性の非正規労働者は年金加入率が極めて低いが、女性は少し高い。これは女性の方が本格的に働いているものの非正規社員の身分の者が多いためと思われる。また男性の方が労働時間からみると雇用保険に加入していていいと思われる人が加入していない。これは複数職をもっているための可能性がある(現行規定では1事業所あたりの労働時間が問題となっており本人の週の労働時間から被用者保険加入が決まっているわけではない)。
    →非正規労働者の多くが老後については漠然とした不安を抱いている。非正規労働者にも配慮した年金や雇用保険等の社会保障制度の構築が必要。
  • 個人単位の年金権という考え方についてどのように考えるか。
    →これまで日本のサラリーマンの年金制度は世帯を単位として設計されてきたが、個人に年金権を付与する形に移行する取組は、子育てや介護などの事情を、社会連帯として年金権上考慮するのであれば基本的には良いと思う。たとえば子育てにおける家族の役割は重要で、女性の7割が子どもを持って離職している現状もあることから、子どもがいる人には社会的考慮をすることは当然の前提として必要である。

■関係府省庁ヒアリングについて
・事務局より説明の上、意見交換を行った。

【意見交換】

  • 施策の評価に関して、予期せぬ影響や波及的影響など施策の影響(インパクト)についても確認すべき。

(以上)