監視・影響調査専門調査会(第13回)議事要旨

  • 日時: 平成18年9月13日(水) 13:00~15:30
  • 場所: 女性と仕事の未来館 第2セミナー室

(開催要領)

  1. 出席委員:
    • 鹿嶋会長
    • 勝又委員
    • 神田委員
    • 袖井委員
    • 林委員
    • 山口委員
    • 横田委員
  2. 議題
    • (1) 女性の能力開発に関する有識者ヒアリング及び質疑応答
      • 「看護職者における女性の能力開発」
      • 「HP社における人事評価制度ーHPパフォーマンス・マネジメントー」
    • (2) 多様な選択を可能にする能力開発・生涯学習施策に関する各府省書面調査結果について

【看護職者における女性の能力開発について】

(筑後氏よりヒアリング)

  • 看護職の就労状況を年齢別にみると20~30代が中心で、その後は辞めていくため、M字型にもなっていない状況である。
  • 女性が職業を長く続ける必要はないのだというような性別役割意識も看護師の専門職としての確立を阻んでいる一つの問題ではないかと考えている。
  • 看護職の基礎教育機関が充実し、大学が増え、学問的にも確立してきた。これにより、専門職としての意識が浸透してきていると言える。大学が全国にでき、基礎教育機関と職能団体が連携を持ったことも、大きな要因ではないか。
  • 卒業後のプログラムも充実し、臨床の看護師を3段階のランク付けをするようになり、看護師にとってキャリアアップの可視化が図られた。また、すべての看護師に研修の機会が与えられており、多くのプログラムからコースを選択して自分で勉強していくことができるようになっている。
  • 職能団体で認めた「専門看護師」「認定看護師」という資格があるが、最近では、この資格を持つ看護師数で病院の看護の質を評価されるようになってきたため、病院をあげて研修を応援する雰囲気がある。
  • 学習を支える制度として、長期研修のために病院を休職しても、基本給の6~7割を保証する制度や奨学金制度をつくっているところもある。
  • 就労環境も工夫されているところも見られる。産休・育休・介護休暇などの取得予定の看護師は1カ月前から看護部付にしてダブルキャストにすることで、看護の質を維持したり、夜勤を三交替から二交替にすることで、月8回の夜勤を4回に減らし、子育て中でも夜勤ができるようにしたりしている。
  • 男性看護師の活躍により、看護職が女性職から専門職になれるのではないか。
  • 今後の課題としては、24時間保育体制への働きかけなどがある。

(意見交換)

  • 大学と職能団体等が連携して再教育をするというのは大変有効なのではないか。

【HP社における人事評価制度-HPパフォーマンス・マネジメント-について】

(山田氏及び一守氏よりヒアリング)

  • HP社では、人事評価制度について、①会社のビジョンと個人の目標を連動させ、②マネージャーがコーチングをしながら業務を遂行していき、③評価し、④その考課によって報酬を決定するという一連のサイクルを持っている。
  • ①ではチャレンジブルな目標を設定するとともに、気づきの機会を与えている。個人目標にキャリア開発の視点が組み込まれており、社員自身が責任を持つと同時に、マネージャーがサポートする。2~3の重点項目を選んで能力開発プランを立てるが、これはOff-JTだけでなく、仕事の機会を与えることなども組み合わせて考えることとしている。
  • ②ではモニタリングとフィードバックを行うが、社員がより優れた結果を出すために、マネージャーの責任として期待値を明確にし、能力向上の機会を与えることとしている。
  • ③では基本的には半期ごと、公式には1年ごとに評価するが、その際、社員自身が自己評価を行ってマネージャーと話し合い、それを今後どう社員の成長にいかしていくかという視点を大切にしている。
  • ④で人事評価を報酬に反映させていく際は、A評価なら5段階進むというような自動的なものではなく、A評価なら2~5%の間で評価をつけるというような、ある程度マネージャーの裁量が可能な仕組みにしている。
  • パフォーマンスに対する報酬としては、毎月の月給等(base pay)の他、業績に連動した賞与(variable pay)、マネージャーが部下のちょっとした成功や達成によりウェブ上でポイントを付与し現金に引き換えられる制度、株式を使った報償、福利厚生制度がある。
  • 今後の課題としては、人事考課の結果について、システム上の通知だけでなく、顔を合わせての面接・フォローの実施を徹底すること、人事処遇制度に対しての社員の理解を進めていくことがある。

(意見交換)

  • 人事評価の制度は、多様な人材の活用に際してどのような利点があるか。
    →人事評価制度は、多様な人材が各部門に配属された際の能力発揮という部分で関係してくると思う。また、HP社では、経験者採用の場合には公募することとなっているが、そのときに職位レベルと職務内容を非常に明確にするので、最も適した人材を市場や社内から採用できるような仕組みにしている。
  • 能力向上の機会はどのように提供しているのか。
    →Off-JTのようなトレーニングと、プロジェクトへの参加などOJTを通じた能力開発があるが、むしろOJTの方が重要ではないかと思う。
  • 働く環境の選択の柔軟性とはどのようなものか。
    →例えば短時間勤務では、1日の働く時間を既定のメニューから選ぶのではなく、1日4時間以上であればよいというような形で選択肢を広げているが、今後は、仕事の進め方や密度を自分でコントロールするようなより自律性を持った環境をつくっていきたいと考えている。
  • 社員の将来性に関する評価はあるのか。
    →パフォーマンス・マネジメントのほかに、本人の持つポテンシャルを見て評価するタレント・マネジメントという評価があり、二つの軸で評価している。

【書面調査結果について】

(久津摩調査官から資料に沿って書面調査結果及び各府省ヒアリング項目案について説明)

(質疑応答)

  • 施策の数が多いので、今後の報告書の作成に向けて特徴的な点を挙げていく必要がある。
    →施策全体としては、上、横、再チャレンジの分野のうち、「再チャレンジ」の施策が多くなっている、農林分野では上へのチャレンジが多い、評価方法では、利用者数のカウントやアンケート結果の評価、アウトカム的な数値目標による評価等が行われているなどの特徴が見られた。
  • 企業が能力不足で個人を採用しない場合はその不足した能力を明示し、個人が不足した能力を訓練して修得したら企業が採用しなければならないというシステムを確立すべきではないかという議論があったが、そういったこともヒアリングで聞きたい。
    →ヒアリングの際に聞いてほしい。所管省には伝えておく。
  • 報告書の構成はヒアリング後に検討すべきか。
    →ヒアリング項目の内容を報告書の柱にすることも考えられる。

(以上)