監視・影響調査専門調査会(第33回)議事録

  • 日時: 平成21年2月23日(月) 13:00~15:45
  • 場所: 金融庁13階共用会議室
  1. 出席委員:
    • 監視・影響調査専門調査会:
    • 鹿嶋委員
    • 大沢委員
    • 岡本委員
    • 勝又委員
    • 神田委員
    • 黒﨑委員
    • 潮谷委員
    • 袖井委員
    • 橘木委員
    • 畠中委員
    • 生活困難を抱える男女に関する検討会:
    • 小杉委員
    • 桜井委員
    • 湯澤委員
    • ※生活困難を抱える男女に関する検討会と合同開催
  2. 議題
    • (1) 生活困難を抱える男女に関するヒアリング結果の実施状況及びとりまとめ案について
    • (2) 新たな経済社会の潮流における生活困難を抱える男女について
    • (3) とりまとめに向けた論点整理 骨子(案)について
    • (4) 地方分権改革推進委員会「第2次勧告」(平成20年12月8日)について
  3. 議事録
鹿嶋会長
まだ何人かそろっていないのですが、ただいまから男女共同参画会議監視・影響調査専門調査会の第33回会合を開催させていただきます。
 今回は、第7回生活困難を抱える男女に関する検討会と合同開催となっております。両委員会の皆様におかれましては、お忙しい中、御参加いただきましてありがとうございました。
 会議に先立ちまして、監視・影響調査専門調査会の委員の交代がございましたので、紹介をいたします。
 新たに当専門調査会にお迎えする方でございますが、全国労働組合連合会副会長で、NHK労連議長の岡本直美委員です。岡本委員は、男女共同参画会議の議員として当委員会を担当されることになりました。一言、御挨拶をお願いします。
岡本委員
岡本です。どうぞよろしくお願いいたします。
鹿嶋会長
続きまして、日本BPW連合会の前会長の黒﨑伸子委員です。黒﨑委員は、小児外科医をしておられます。一言、御挨拶をお願いいたします。
黒﨑委員
黒﨑と申します。先週、会長の任務が終わりまして、あと1年間、前会長で役員をすることになっています。本業の医者にも身を入れようと思っています。よろしくお願いいたします。
鹿嶋会長
続きまして、前熊本県知事で、熊本県立大学客員教授の潮谷義子委員です。一言お願いします。
潮谷委員
潮谷でございます。たくさんのことを学ばせていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
鹿嶋会長
もうお一人、弁護士の住田裕子委員が基本問題専門調査会から当委員会に替わっていただきましたが、本日は所用で御欠席でございます。なお、植本眞砂子委員、山口みつ子委員は御退任になり、佐藤博樹委員は基本問題専門調査会と仕事と生活の調和専門調査会の御担当になりました。
 それでは、本日の審議を進めさせていただきます。
 本日は、まず議題2の「生活困難を抱える男女に関するヒアリング調査の実施状況ととりまとめ案」、議題3の「生活困難を抱える男女の論点整理 骨子(案)」について意見を交換したいと思います。この議題が終わりましたら、第7回生活困難を抱える男女に関する検討会との合同会議は終了しまして、専門調査会の方は引き続き議題3の「地方分権改革推進委員会『第2次勧告』」について意見交換を行いたいと思います。専門調査会の委員におかれましては、40分ほど時間をいただきたいと思っております。では、まず事務局から「生活困難を抱える男女に関するヒアリングの実施状況ととりまとめ案」について説明をお願いいたします。
山岡分析官
それでは、御説明をさせていただきます。
 資料1-1を御覧ください。「ヒアリング調査について」としてとりまとめておりますが、昨年の11月から生活困難を抱える男女に関する検討会におきまして議論をしながら、ヒアリング調査を進めてまいりました。こちらは、生活困難に直面している男女(主に女性)が抱える困難の実態や背景、支援ニーズ、施策の課題について把握するという目的で、さまざまな支援を行なっていらっしゃる機関・団体を対象に行なったものでございます。この中では、なかなか統計的なデータでは把握できない実態を定性的に把握するということで、個別ケースの聞き取りも含めて状況把握を行いました。
 合計26団体を対象に調査を実施し、つい先週、全てが終了したという状況でございます。
 支援機関・団体の具体的な種類といたしましては、分野ごとに機関の種類並びに所在地、それから公的機関と民間の機関、あるいは自助グループ的な団体というものも織り交ぜるような形で、検討会の中で協議をしながら団体を選定いたしました。婦人保護・女性相談、ひとり親、労働問題、裏にいきまして若者・子ども、外国人、その他。その他の中に福祉事務所ですとか、生活保護法上に位置づけられるさまざまな施設、障害者の問題、多重債務といったようなところも含めて調査をしてございます。
 本日は、こちらの調査結果をとりまとめた案を御用意しております。資料1-2について御報告させていただきたいと思います。資料1-2は非常に大部なものになってございまして、分野ごとの状況につきましては、本日御説明するお時間はございませんので、後ほど御覧いただき、また次回の御議論に生かしていただくという形にさせていただきたいと思いますが、32ぺージから全体26団体をヒアリングした結果、見えてきたことを横断的にまとめておりますものを御説明したいと思います。
 32ぺージの「まとめ」でございます。まず、大前提として、今回、26の機関・団体からヒアリングをしましたが、それは生活困難を抱える人々の状況の一部にすぎないというところを留意しながら御覧いただければと思います。
 (1)「生活困難をめぐる状況~困難の複合化・連鎖・固定化」という状況があったことを指摘しております。例えば、DV被害女性は、DV被害による身体的・精神的被害に加えて、DV加害者である夫等の追跡を恐れて希望する仕事にも就けない。その結果、経済困窮に至って、またそれが子どもの養育困難に陥るといったようなことがある。また、ニートも、いじめなどの生活経験をもつことが多いのですが、その結果、自尊感情が低下して社会からひきこもり、また、教育・学習、就労機会というものでつまづいていく。キャリアも積み重ねられないので困難な状況を固定化してしまう。また、世代間の連鎖も見られている。家庭がDVや児童虐待等で安定しない状況にあると、子どもの教育・学習の機会が奪われて貧困が世代間で連鎖する。こういったようなことがあらゆる分野で見られました。こういうことで言いますと、非常に生活困難な状況というのは、一時点の問題だけではなくて、いろいろな問題が連鎖して複合化して影響力を増して、また、それが固定化してしまう。そういった状況があることに留意が必要であるということを最初にまとめてございます。
 次に、(2)といたしまして「生活困難の背景として共通してみられたこと」というのを、女性、男性、それから男女共通という切り口で整理をいたしました。
 まず、アの「女性に関する問題」でございますが、1点目は、妊娠・出産・育児等のライフイベントの影響があったということです。やはり女性は子どもを産むということでございますので、そこで妊娠・出産・育児という場合に、支援環境が整っていないというもとで就業中断が生じて、その結果、離婚という場合に再就職しようとしても、ブランクの長さ、就労経験が積み重ねられていないといったようなこと。また、育児との両立を図らなければいけないということから、選べる職域も、働ける時間も限られますし、販売職といったようなものに限られてしまうといったようなところで、相対的に低収入で不安定な雇用に就きやすい状況がある。また、高校のときに妊娠して、そこで中退してしまうと、その女性の教育と就労の機会を同時に奪ってしまう。そういう中で、女性がライフコースを通じて能力開発や就労経験を積み上げにくく、世帯の扶養や支援がない場合に厳しい状況に陥りやすい状況があるということが言えます。
 それから、2点目「女性に不利な雇用構造」。女性の就業に関わる行動の選択が狭まっており、他方、職場のワークライフバランスもまだ不十分であるという中で、女性の雇用が非正規雇用に集中しがちである。その結果、積極的に育児との両立も図れるという面もあるのですが、身分が不安定で低収入、景気後退期に雇用の調整弁として扱われやすいといったような問題があるということでございます。
 それから、3点目といたしまして「女性に対する暴力の被害等」。こちらは、本当にあらゆる分野でこの問題が指摘をされました。夫・パートナーからの暴力、それから性犯罪といったようなことも含めてですが、それが被害女性の自尊心を著しく傷つけ、身体的・精神的な不調をもたらしている。その回復に一定の期間を要し、就業や社会参加を困難にしているという状況がございます。34ぺージにまいりまして、その中でも、被害者が外国人、あるいは障害者といったような場合には、暴力に加えて言語、国籍、日常生活能力等でのハンディを抱える中で、問題解決がより難しくなりやすい。また逆に、例えば障害をもっているがゆえに暴力被害を受けやすいといったような状況もみられたということがございます。また、これは検討会の中でも非常に議論になったのですが、性産業の存在が女性の尊厳を傷つけて、また、その社会復帰を困難にしているということがあるという状況が見られております。
 次に4点目でございますが、これは全体に通底する問題でございますが、背景に固定的性別役割分担意識の影響がある。そうした意識を背景にしまして、なかなか家庭・地域・職場で男女共同参画が進んでいないという中で、先ほど申し上げたような、女性のさまざまな不利な、特に雇用の場における不利な構造なども出てきているという状況です。そうした中で、女性が夫に生計を依存しがちで、離婚等に際して自立困難に陥ったり、また、こうした意識の影響は、ニートの問題が、女性の場合は家事手伝いの形で潜在化してしまうといったようなことにも影響が見られたり、また、国際結婚においても、育児や介護の女性への負担の偏りなど、そうした意識の影響というのが背景にあって、またさまざまな問題が生じている、このような状況が見られました。
 次に、イ「男性に関する問題」でございますが、男性側といたしましては、男性の孤立の問題、それから日常生活自立の困難。特に父子家庭で、恐らくいろいろな悩みごとを抱えているのだろうけれども、相談相手がいない、あるいは相談しにくいといったような中で孤立化してしまっている、そのようなことも見受けられました。
 また、2点目といたしまして男性役割のプレッシャー。こちらは、まずはニートでも、特に男性の方が自立に対する意識が本人もその親も強いという中で、その狭間で悩んでいる。支援機関につながる割合も男性の方が非常に多いという状況があります。危機感があるというのはある意味いいことですが、その一方で、現実とのギャップで悩んでいる状況があります。また、父子家庭が育児との両立のために仕事量を調整しようとしても、職場での理解が得にくいとか、悩みを周囲に相談しにくい。そういう中で、男性は働くべきもの、弱音を吐いてはならないといったような男性役割のプレッシャーがより厳しい状況に追い込んでしまっているという懸念があるということを指摘してございます。
 次に、ウといたしまして「男女共通に存在する問題」。こちらは、雇用構造をめぐる問題として、昨今の雇用情勢の悪化というもの、その中で非正規雇用者の身分が不安定で、セーフティネットが不十分であるということが、女性のみならず男性にも大きな影響を及ぼしているということがいろいろな団体等で指摘をされております。
 2点目といたしまして、成育家庭をめぐる問題。特に婦人保護施設、母子生活支援施設等の施設入所者の状況を見ますと、やはり成育家庭でまず経済的に困窮であったり、更には、家庭での親子関係で虐待があったり、あるいは朝御飯を食べないとか、そういったようなことも含めて、貧困が次世代の貧困を生む。そういう貧困の連鎖が見られるということでございます。そうした結果、教育・学習も不足し、自尊感情の形成の不足という中で、就業や社会参加に当たって不利な状況が生み出されているということです。
 次に、低学歴。学歴の問題ですが、こちらも施設入所者ですとか、生活保護受給世帯の中には、中卒や高校中退など相対的に低学歴の人が比較的多いということで、その不利がいろいろな影響を及ぼしているということでございます。
 生活上の障害と書いたのですが、ちょっと聞き慣れない言葉ですが、いわゆる障害者手帳を持っている人、あるいは持っていないけれども、知的な遅れや精神的な疾患があってボーダーと呼ばれるような方々、そういう方々が就業の困難をはじめとして、さまざまな困難を抱える場合があるということで、その場合に、手帳を持っていない人は公的支援の対象になりにくいということで、より難しい状況に陥ってしまう場合があるということです。
 自尊感情の侵害による社会不適応。これは、いじめ・不登校、DV被害、こういったような方々が、そうした経験で自尊感情を著しく侵害されるという中で、社会生活適応の困難を抱えてしまうという問題でございます。
 外国籍の方、こちらは言語のハンディが一番大きくて、また、文化的な相違といったような中で、いろいろな教育、手続き、雇用契約といったような点でいろいろ不利な状況を被っている。また、在留外国人の子どもの問題も次世代につながる重要な問題であるということで指摘がされました。
 そうしたような背景がいろいろな団体での御指摘から見えてきたのですが、併せて、いろいろな支援に当たっての課題に関しても御指摘をいただいていまして、それを横断的にとりまとめております。
 まず、ア「雇用の場の改善」。こちらは、非正規雇用者の雇用や処遇の問題がやはり大きく改善をすべき問題ということでさまざまな指摘をされまして、短時間正社員制度、ワークシェアリングなどの新たな雇用形態の普及を求める意見。あるいは、非正規雇用者の雇用が途切れた際の所得補償の仕組みが不十分といったような問題意識も示されています。
 次に、イといたしまして「教育領域と職業領域等の連携に基づく若年期の自立支援の充実」。ニート等への支援といったような場合には、自尊感情が侵害されてしまっているという中で、まずは職場体験などのさまざまな体験を通じて、自己肯定感を回復していくという支援が必要であるということで、職業領域と教育領域の連携の重要性ということ。それから、定時制高校ですとか、全日制も含めてですけれども、仕事をしながら学校に通う高校生に対するさまざまな相談や両立支援、あるいは10代で妊娠・出産する女性に対する支援の重要性ということも指摘されました。
 ウといたしまして、「低学歴、若年の母に対する再就業等支援の充実」。生活困難な状況にある低学歴、若年の女性が十分に学んでこられなかった部分の学び直し、資格取得の機会というものを更に充実していくことが必要という御意見です。
 次にエといたしまして、「暴力被害当事者等への専門的支援体制の充実」。やはりDV等の問題が生活困難な状況を深刻化させていますので、そこの部分については、まずは自尊感情を回復していく、精神的な回復を支援していくというエンパワメントが必要とされるということでございました。専門的なカウンセリング体制の強化ですとか、あとは、性暴力被害女性への専門的支援の仕組みといったようなこと。また、在留外国人女性のDV被害に対する支援体制の強化、こうしたようなことに関する御指摘がございました。
 オといたしまして、「相談機関の専門性の確立」。先ほどのエと被りますが、その基盤として、さまざまな相談機関における相談者、支援者等が嘱託や非常勤等の非正規雇用で身分が安定しない。こうした問題について改善が本来必要ではないかといったような御意見でございます。
 37ぺージにまいりまして、カ「困難を抱える親子を支える支援のあり方をめぐる課題」。こちらは、DV被害者などが施設を退所した後に母子での自立を地域で図っていける。そのためのステップハウス、母子統合のための支援、相談できる居場所づくりといったような仕組みが必要ではないか。また、障害があっても子どもを育てたいという人に対しての子どものケアを含めた支援。あるいは、父子家庭の孤立や支援の少なさを何とかできないか。このような御意見がございます。
 キといたしまして、「国際相談体制の整備」。こちらは、日本に来て結婚する外国人女性ということもありますが、外国人男性と結婚する日本人女性というケースも含めて国際結婚が増えてきておりますので、国際離婚の手続きですとか、生活相談、そうしたようなものへの対応体制が必要ではないか。現状では自治体によって支援が異なる状況にあるので、その統一が必要であろうという御意見でございます。
 クといたしまして、「在留外国人とその子どもに対する教育や情報提供機会の充実」ということで、日本語教育の理解が進むような機会の充実でございます。
 次に、ケ「困窮世帯の子どもの教育機会の確保」。生活保護世帯やその他生活困難を抱える世帯の子どもの教育機会が保障されるように、進学・学習に関する支援ですとか、就学資金の貸付等の充実を求める意見がございました。
 次の、サ、シは非常に大きな枠組みに関わるものですが、支援チャネルの多様化が必要である。生活困難な方の自立といった場合に、それは就労で経済的に自立するというだけではなくて、社会参加、社会関係づくりなども含めて捉えていく必要があるという中で、職場体験等のさまざまな場づくりをしていく。そのためには、いろいろな支援の対象となる人が活動するチャネルを広げていくことが必要であるという御意見でございます。
 最後に、シといたしまして、「制度の狭間への対応や個人のニーズに応じた一貫した支援の必要性」。 先ほど手帳がない障害をもっていらっしゃる方の問題を申し上げましたが、そのような制度の狭間に応じる支援ニーズが多くなっているという中で、そのようなニーズへの対応の必要性。また、いろいろな制度が要支援者の状況や時期に応じて細分化し、縦割りになっているという中で、個人を一貫してフォローする仕組みが本来必要であるという御意見でございます。これに関しては、既存の制度間の連携ですとか、制度の見直しといったようなことも必要ですが、制度をまたつくるとニーズを限定してしまうという側面があるといったような御意見もありまして、さまざまなNPOや企業等との連携による共助の仕組みの構築が必要といったような御意見がございました。
 以上、ヒアリングで聞いてきたものをとりまとめた結果でございます。
鹿嶋会長
ありがとうございました。検討会の委員の皆様はヒアリングに御同行いただきまして、本当にありがとうございました。ヒアリングを進めていただいた検討会の袖井座長から御感想などがございましたらお願いします。
袖井委員
私も幾つか行かせていただきましたが、本当にびっくりするような状況で、今、山岡さんの御報告にもありましたように、やはり貧困の連鎖、暴力の連鎖ですね。子どものころ貧困だった人が、やはり今もなお貧困であるということとか、それから、子どものころ児童虐待を受けて、そして今また夫から暴力を受けているという、その連鎖をどう断ち切るかというのはすごく難しい課題だなと思いました。
 私が一番感じたのは、内閣府男女共同参画局でこういういわゆる底辺女性と言ったらいいのかわかりませんが、どこまでできるのかなということをつくづく感じたんです。これまで女性センターとか、あるいは婦人・少年室、雇用均等室ですが、どうもそういう人たちを見捨てるという言い方はいけないかもしれませんが、そこをちゃんと救い上げていなかったなという気がするので、第3次の計画にはぜひこういう人たちの問題を取り上げる必要があるというふうに思いました。
 それからもう1つは、いろいろなところへ行ってお話を聞いた場合、本当にメンタルな問題を抱えていらっしゃる方、あるいは心の壊れている方がものすごく多いんですよね。こういう方たちをどうやって支援するか。 一番必要なのは、やはり相談員の質の問題とか、カウンセリング能力ですけれども、先ほどの説明にもあったように、非常勤とか嘱託であるということとか、それから、最近は指定管理者制度が増えてきて、そういうものすごい問題を抱えたような人がいる施設でさえも指定管理者なんですよね。限定された期間しかそれに従事できない。本当にそれでいいのかなということをつくづく感じました。
 それから、私どもが行った面接先には入らなかったのですが、そこもぜひ1つ項目として取り上げたいのは性の問題ですね。性産業とか、いろいろな性の問題ですが、よくマスコミで問題になるのは、知的障害者の施設で入所者の女性が職員から性的暴力を受けるというような問題もありまして、本当に難しい問題だらけで、内閣府男女共同参画局はどうやってこれに対処していくのかと思います。男女共同参画局らしい、いわゆる男女共同参画の視点でこういう問題にアプローチしていくというのはすごく難しいけれども、チャレンジングな問題だというような感想を抱きました。
 以上でございます。
鹿嶋会長
ありがとうございました。ヒアリングのとりまとめの結果について、皆さんから御意見がほかにもいろいろあろうかと思うのですが、これからもう1点の論点整理の骨子(案)、これとかなりダブる点がございます。御意見は後で一括して伺いたいと思いますので、質問がありましたらどなたか。
坂橘木委員
非常に簡単な質問ですが、私の知識のなさを露呈しているかもしれませんが、35ぺージの「成育家庭をめぐる問題」の「成育家庭」というのはどういう意味ですか。
山岡分析官
生まれ育った家庭という意味で書いているのですが、もし表現ぶりが不適切でしたら検討したいと思います。
坂橘木委員
別に不適切じゃなく、私の知識のなさを露呈したのですが、定着した言葉なのですか。
湯澤委員
家族社会学では。
坂橘木委員
もう定着しているんですか。
湯澤委員
そうだと思います。
坂橘木委員
知識がないものですから、済みません。わかりました。
鹿嶋会長
ほかに質問ありますか。先に進んでよろしいですか。
 それでは、論点のまとめの方をお願いします。
山岡分析官
では、引き続きまして、資料2を御覧ください。こちらで「とりまとめに向けた論点整理の骨子(案)」ということで御用意しております。こちらを本日御議論いただきまして、次回の3月9日にまた全体的に本文という形で御議論いただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
 骨子(案)でございますが、1ぺージ目に目次を載せております。4部構成で考えていまして、「はじめに~なぜこの問題を取り上げるのか」。次に、「経済社会の新たな潮流」ということで大きな動向を見まして、3として「生活困難の実態」、こちらでさまざまなデータですとか、先ほどのヒアリングの結果も踏まえた実態と支援ニーズの整理をしまして、最後に4ということで課題を提示する。その後は参考資料ということで、資料1.データ編、資料2.ヒアリング結果のとりまとめ。先ほどのような形のとりまとめを添付するという予定でございます。
 では、中身の御説明にまいります。2ぺージ目をおめくりいただきまして、まず「はじめに~なぜこの問題を取り上げるのか」。 こちらは大きく2つの切り口を出していまして、1つは女性の貧困の問題。それから、もう1つが生活困難の多様化・一般化と、そこに潜んでくる男女の問題。こうした大きく2つの柱で問題提起をしています。女性の貧困でございますが、さまざまに世の中が変わってきた中で、女性の貧困の問題は以前から単身女性、母子世帯といったような問題として存在しておりましたが、夫の扶養がある標準世帯モデルの陰に隠れて着目されにくかった。しかし、近年は家族、雇用の変化のもとで女性自身が生計を維持する必要性が増してきているという中で、経済的な困難に直面する女性が増加している。背景には、女性の出産退職7割、非正規雇用に非常に多く就労するといったような、まだまだ男女共同参画社会が道半ばであるといったような問題があるということで、そういう状況であるにもかかわらず、男性の雇用も不安定になってきているという昨今の情勢のもとでは、子どもの教育や養育の環境にも大きな影響を及ぼす、次世代に連鎖する由々しき問題であるといったようなことを書いております。
 2点目の柱の多様化・一般化に関しましては、男性でも不安定雇用が増える。また、若年層での無業や不安定雇用の増大。こういった問題に関しては、男女間での問題の様相が異なるといったようなことについてあまり焦点が当てられてこなかった。また、国際結婚や外国人労働者の急増という中で、外国人女性とその子どもの社会適応の困難といったような問題も生じている。そうした女性、それから多様化といったような切り口で見ていくという中で、本調査の狙いについては、そのような生活困難な実態と背景にある男女共同参画をめぐる問題を明らかにして、施策についての効果的なあり方を検討するとして整理しております。
 次に、2として「経済社会の新たな潮流」について、3つに分けて整理しております。まず、(1)家族の変化。単身世帯・ひとり親世帯が急増して、生計の担い手も女性が増えてきているといったようなこと。それから、(2)雇用・就業をめぐる変化。ここは、一番大きいのは非正規雇用者が増加しているということでございます。女性は、雇用者の半数が非正規雇用。 男性も2割に届く水準になってきているということ。3ぺージ目にまいりまして、非正規雇用をめぐる諸問題といたしましては、もちろん自発的に非正規雇用を選択するという方もいらっしゃいますけれども、低賃金、不安定雇用、被用者保険制度の適用外となる場合がある。長期化、能力開発の機会の持ちにくさ、家族形成の困難といったような問題があるということでございます。最近では、雇い止めの問題も深刻化しているといったようなことにも触れてはどうかと思っております。
 次に(3)グローバル化。1990年のさまざまな法改正後に外国人が急増して、来日目的が多様化、定住化、居住地域の広域化が進んできました。また、国際結婚も80年代半ばから急増していまして、これは約8割が妻が外国人であるという中で、外国人の親を持つ子どもも非常に増加してきているという状況があるということを整理しています。こういったような大きな変化のもとで、さまざまな既存の家族や企業といったセーフティネットから漏れてしまう、既存の制度枠組みでは対応が不十分な生活困難層が生じているのではないかといったような問題提起をしてはどうかと思っています。
 次に、3にまいりまして、具体的な生活困難の実態でございますが、最初に(1)で「生活困難とは」といたしまして、生活困難の定義を今回、専門調査会で最初この検討をしましたときに御議論いただきましたことを踏まえて整理しました。経済的な自立の困難に直面している状態を中心に捉えますけれども、それから派生して、あるいは、それ以外の何らかの不利な状況があるという中で、社会的に孤立したり、必要なサービスを享受できないといったような社会的な自立とでも言われるような困難も含めて捉えるということで考えております。
 (2)で、生活困難をめぐる全体的な動向。ここでは相対的貧困率と生活保護の受給状況を見ております。相対的貧困率は、我が国ではOECD諸国の中でも比較的高い水準で、高齢者世帯の相対的貧困率は以前から高いけれども、近年は勤労世帯、それから子ども世代で相対的貧困率が上昇しています。また、生活保護の保護率等も近年上昇傾向にあって、また、50代の男性で受給する人々が増加しているということがあります。また、こうした状況を男女別に見ますと、貧困率は女性の方が高く、特に厳しいのが離別の母子世帯であるということ。4ぺージにまいりまして、生活保護の方で見ましても、保護率は母子世帯で高く、その結果、20~40代では生活保護の受給者数は男性のそれを大きく上回るという状況がございます。また、その次はアベ先生の分析などから情報をいただいたものですが、経済的な困難と、さまざまな孤立等の社会的排除とは密接な関係があるという状況も含めて提示しています。
 次に、(3)が分野別にみた生活困難をめぐる実態と支援ニーズですが、こちらは、さまざまなデータ、ヒアリング結果をもとにとりまとめて、その詳細を参考資料に掲載するという形で示したいと思っています。まず、ひとり親、子ども、若者、高齢者、外国人女性とその子どもといったような、困難を抱えているグループごとに見ています。
 ひとり親世帯に関しましては、非常に就労率は高いけれども、非正規雇用で経済的に厳しい。特に厳しいのが離婚の母子世帯で、そうした結果、長時間労働、二重就労、病気や障害といった中で、子どもへの対応の余裕がないといったような問題が出てきている。父子世帯にも低収入者が一定程度あって、支援対象となりにくく、孤立の懸念があるといったようなことがございます。
 次に子どもですが、子どもの相対的貧困率が近年上昇しているといったような問題があって、特に母子世帯の子どもの相対的貧困率が高い。単純な比較はできませんけれども、我が国では、子どものいる世帯においては再分配後の方がむしろ相対的貧困率が高いという傾向も見られる。これは阿部先生からいただいたデータですが、そういう状況もございます。ひとり親世帯、低所得世帯で相対的に子どもの教育費支出が少ないとか、児童虐待が行なわれた家庭で経済的困難を抱える家庭が多いといったような指摘もありまして、貧困の連鎖の問題がある。
 次に若者ですが、若者も男女で見た場合に、フリーターや無業は女性、低学歴者でなりやすく、また、中退者の自立困難といったような問題もある。ニートに関しては、女性ニートが潜在化してしまう。 家事手伝い等の形で潜在化しやすいといったような問題がある。ニートについては、その背景に不登校、いじめといったような経験があるという中で、雇用問題としてだけではなかなか扱い得ない。社会不適応、精神的な問題がある。また、病気やけがのために仕事を探せない中年無業者などの増加が見られるということもございます。
 次に高齢者でございますが、高齢者は相対的貧困率が高く、生活保護でも最もボリュームが大きい。特に厳しいのが未婚男女と離別女性。これは、去年の監視・影響調査の報告の中でも出てきた問題でございます。やはり高齢期の状況は若年期からの雇用・就業状態の影響が大きいという中で、女性の就業中断・非正規雇用が多かったという状況が影響しています。また、男性のひとり暮らしの孤立ですとか、高齢女性の消費者被害が多いといったような、男女それぞれの状況の違いも見られている。
 次に、国際結婚、在留外国人女性とその子どもということでは、文化・価値観の違い等で外国人の妻が抱える困難が大きいという中で、一時保護の理由も、外国人女性の場合もDVが多いということがございます。こうした困難を抱えていらっしゃる方への母語での支援といったような問題と、在留資格の問題から生活再建の支援が限られてしまうといったような課題もございます。また、こうした外国人女性の職域が不安定な状況のもとに限られてしまって、また、性産業の危険性がある。また、子どもの不就学、学校における日本語理解をめぐる問題、こうした問題もあるということが指摘されています。
 次からは問題領域ごとに整理をしていますが、女性と労働をめぐる問題。こちらは先ほど来も何度か出てきましたが、女性の非正規雇用が非常に多いという中で、不景気時に仕事を失いやすく、生活困窮に陥るリスクが高い。また、セクハラとか妊娠による派遣契約の解除、こうしたような問題もございます。
 次に、DV等の女性に対する暴力被害。これはヒアリングの中でも何度も言われていましたが、暴力の被害を受けていらっしゃる方は、小さいころから繰り返し暴力を受けているという中で、非常に心身へのダメージがあって、その回復が困難であるといったような問題でございます。
 次に、生活上の障害を抱える人々ということで、これも先ほどヒアリングでも指摘されましたが、知的な遅れ、精神的な疾患ということを抱える人々だけれども、手帳を持っていない場合の制度上の狭間に陥る問題でございます。
 また、その他として本当にいろいろな問題がありますが、例えば多重債務に陥る女性、こちらも背景にDVで夫やパートナーから脅されてといったような問題を抱えていらっしゃる女性がいらっしゃるといったようなこともヒアリングで指摘がありました。また、厚生労働省の調査ではホームレス女性はホームレスの中の約3%といったような状況。それから、公的年金の受給権なしというような人々は平成16年で 2.5%であるといった状況もございます。
 そうした実態を踏まえまして、課題を4.にまとめました。先ほどのヒアリングのとりまとめを踏まえてまとめていますのでかなりかぶっておりますが、特に違うところを中心に御説明しますと、まず(1)は、困難の複合化・連鎖・固定化の状況を断ち切るためには、多方面の連携に基づく取組み、それから、ライフステージを通じて可能な限り早期からの支援が必要である。これは、これまで専門調査会等でも御議論いただきました御意見を踏まえて書いていこうと思っております。
 次に、6ぺージにまいりまして、生活困難を生み出す要因。こちらは、ア.女性が生活困難に陥る背景、イ.男性特有の状況といったような形で、ヒアリングと同様に背景の分析をしているということでございます。6ぺージの下までは同様です。
 7ぺージにまいりまして、ウの男女共通にみられる状況。先ほども御説明した中で、雇用構造と成育家庭、低学歴、生活上の障害、外国籍、自尊感情の侵害による社会不適応。それから、⑦として地域ネットワークの弱体化、こうしたような問題もやはり指摘すべきではないかと思いまして、ここに挙げております。
 そうしたような分析を踏まえて、(3)では、どういう対応が必要であるかというところで、まず基本的な視点といたしまして、ここで男女共同参画ならではの視点というものを打ち出したいと思っています。1点目が貧困の中にある男女問題への着目ということで、女性により大きな貧困リスクがみられているということ。それから、問題のあらわれ方やその背景に男女間での違いがあるという中で、いろいろな問題の背景にある男女共同参画をめぐる問題に対して敏感になり、その状況を男女別の観点で捉えて効果的な対策を検討していくことが重要ではないか。これは監視・影響調査が常々書いてきたことでございますが、そうしたことをまず第1に掲げる。
 第2といたしまして、女性の生活困難の防止に不可欠な男女共同参画施策の推進。やはり今までの分析の中でも、固定的性別役割分担意識が背景にあって、また女性が就業中断をしてといったようなことなど。それから、DVの問題などがいろいろな困難の誘因になってまた自立を阻害してきているという状況がございますので、そうした意識の解消、それから家庭や地域における男女共同参画の推進、雇用機会の均等、また暴力対策ということへの一層の強化が必要ではないかということで挙げております。
 次に、3点目といたしまして、女性のライフコースを通じたエンバワメントと総合的な支援。これも常々、専門調査会等で御議論いただきましたが、やはり女性は出産・育児・介護等のライフイベントというのがございますので、そうしたものを踏まえながら、そのライフステージに着目した支援が必要じゃないかということ。それからまた、総合的な支援が必要である。DV被害女性に対する多面的な支援であったり、障害をもちながら子どもを育てたい母子に対する支援といったような、個人と家族を中心にした総合的な支援が必要であるということを整理しました。
 次に、8ぺージから、今後検討すべき課題ということで数点挙げております。ここは、現状ではヒアリングから出てきた御意見を主に中心に整理しておりますが、併せて、今までの専門調査会の御議論も踏まえつつやっておりますけれども、本日、また次回でぜひ御議論いただいて、更に肉づけしながら整理していきたいと思っています。
 1点目が雇用の場の改革ということで、やはり非正規雇用の問題ですとか、男女の雇用機会均等、ワーク・ライフ・バランス、女性と労働といったようなさまざまな問題がありますので、そうした問題への対策の充実を挙げています。
 次に、教育領域と職業領域との連携。これは先ほどのヒアリングでも指摘したものですが、そうした連携のもとでの自立支援ということ。この中の4点目が、検討会でもしばしば御議論いただきましたが、中退者への支援が必要なのではないかということです。
 次に3点目、女性の就業継続や再就業を支援するための環境整備。この中では、もちろん再就業支援といったようなことも含めてですが、最後の丸で書いております多様なライフスタイルに中立的な税制・社会保障制度への見直し、こうしたことも併せて必要であろうかということです。
 次に、暴力被害当事者等への支援体制の充実。これも先ほどのヒアリングで書いておりましたものです。
 次の困難を抱える親子が地域で支えられる仕組みづくり。こちらもヒアリングで出てきた意見ですが、施設退所後の母子が段階的に地域で自立を図っていける。また、障害があっても子どもを育てたいという人に対する、子どものケアも含めた支援、父子家庭への支援ということでございます。
 次に、国際化に対応した支援体制の強化といたしまして、外国人の交流や相談等の支援の仕組みづくり、国際結婚に関する相談支援、日本語教育といったようなこと。それから、外国人の子どもの就学機会の保障、日本語教育の充実。
 次に、次世代への貧困の連鎖を断ち切るための取組みの必要性。こちらも、困窮世帯の子どもに対する教育機会の拡大ということ。それから、子どもの貧困防止という観点からも、女性を中心に就労と結婚・出産・育児の二者択一構造を解消するということが必要じゃないかということで書いています。
 また、その後の2つの課題は、いろいろな制度に横断的に関わってくる課題ですのでレベル感が違うのですが、自立概念の捉え直しと支援チャネルの多様化。それから、制度の狭間への対応や個人のニーズに応じた一貫した支援の必要性。こうしたような問題についても書き込んではどうかと思っております。後段の一貫した支援の必要性という意味では、さまざまな支援が個人を中心に組み合わされて、総合的に提供されるという意味で、昨今ではイギリス等での社会的包摂政策といったようなものも日本の中でも研究が進みつつありますが、そうしたような観点でも政策を考えていく必要があるのではないかという問題提起をしてはどうかということで書いております。
 長くなりましだか、以上でございます。
鹿嶋会長
ありがとうございました。今日初めて参加なさる方もいるので改めて強調しておきたいのは、生活困難についてのさまざまな報告書というのはいろいろなところから報告が出ているわけですけれども、私たち男女共同参画局が出す報告書として、先ほど袖井委員からも指摘がありましたように、男女共同参画の視点といいますか、それを色濃く反映させたような報告書にまとめたいということはこれまで議論してきたわけです。
 それで、とりまとめに向けた論点整理ですけれども、それは事務局の方も大分工夫してくださって、男女共同参画の視点からというのにこだわりながら報告書を出していただいているというふうに私は見ていましたが、そのあたりについては皆さんの方から御意見をいただきたい。それから、先ほど袖井委員から更に重い指摘、男女共同参画で果たしてこういうことの解決に向けて何かできるのかというふうな趣旨だったと思うのですけれども、そういう趣旨のことは、先ほどの袖井委員の指摘ですと、第3次基本計画の中でも少し具体的に取り上げていく必要があるということ。
 更には、地方の行政、それから女性センターでも、今までのやり方でよかったのかどうかといったような問い直しも必要だということだと思うのですが、そういうことも含めて議論していただきたいということ。
 それから、ヒアリング結果のとりまとめと、そのとりまとめに向けた論点整理はかなり似ているんですね。それで、こういうまとめ方でいいのかどうかということ。
 それから、私がざっと見てちょっと感じたのは、資料1-2、ヒアリング結果の34ぺージ、論点整理の方もそうですが、男性に関する問題が少ないんですね。孤立と日常生活、プレッシャー、この2つだけでいいのかどうかといったようなこともぜひ議論していただきたい。男性役割のプレッシャーは更に細分化できるような気もするのですけれども、そこも含めてどうかということ。
 それからもう1つ、資料1-2の最後のところで、課題のまとめですけれども、これはアからシまであって11項目が並んでいるので、ちょっと雑然としていないかということで、もうちょっと共通項で括り出してこのあたりはまとめられないかと思って今聞いていたのですけれども、あとは皆さんの方から御意見を伺いたいと重います。どなたでも結構ですが、質問も含めてどうぞ。
坂橘木委員
では、男性から。先ほど一番最後にホームレスは女性が3%で、97%は男性というのがまさに男性問題だと思うんですよね。ここには何も書いていないけれども、男女共同参画だと男女平等に扱うというのが基本であれば、なぜ男性がホームレスになるのかというようなことをもう少し調べないと公平性を欠くかなという感じがします。私の記憶によると、男性がホームレスにいく最大2つの理由があって、1つはお酒。とにかく男はお酒に走ってダメになる。2番目が離婚。この2つが男性ホームレスが多い理由だと思うんですよね。これをどうやって阻止するか。離婚まではなかなか、ここでどうやったら離婚しなくて済むかなんていうようなことは言えないと思いますが、お酒だけは何とか提言できるような気がしますので、男性に関して言えば、ホームレスをどうするかということをもう少し真剣に研究していただきたいというのが私の希望です。
鹿嶋会長
わかりました。男性に関する問題で1つ項目が増えそうですね。
小杉委員
男性に関して言えば、これは男性役割のプレッシャーだと思いますけれども、非正規労働者は結婚できないという問題がありますね。やはり男性役割として稼がなければならないからと。それは、たぶんこの中から分けて書いてもいいことではないか。それはもう事実としてデータもありますし。
鹿嶋会長
男性へのジェンダーバイアスですよね。だから、それは経済問題としてやはり特出しして書いた方がいいかもしれないね。
 ほかにどうでしょうか。まとめ方、用語、それから、こういう視点が抜けているんじゃないかといったようなことは。
大沢委員
とても興味深いヒアリングで、これをどんなふうに解釈するかということの視点ですが、従来、日本の福祉というのは企業と家族によって担われてきたというふうに思います。ここで標準モデルというふうに書かれていますけれども、やはり企業が正社員の雇用を保証してきたことと、家族が育児や介護の福祉を担ってきたということの中でやってきた問題が、90年代のグローバル化の中で、福祉を担ってはいるけれども、そこの保護される部分というのが非常に少なくなって、中核の自分たちが雇用を保証していく部分というのを少なくしようという雇用戦略があったと思います。そこに、従来ならば、そういう非正規というのは配偶者がいる女性であるというふうに考えられてきたところに、若者も入ってきて、ここが男女ともに結婚していない男女の非正規問題というのが非常に大きくなってきたということを報告書の中で少し指摘したらどうかと思うんです。小杉さんの指摘も踏まえてですが。それが1つ。企業社会が変わってきたことによって、保護されない部分が非常に増えてしまって、中でも女性がより多くの被害を受けるようになってしまったということが1つあるのだと思います。
 もう1つが家族の多様化ということで、標準世帯から外れる家族、ひとり暮らし、あるいは家族に頼れない人が増えてきてしまった。にもかかわらず、家族が相変わらず福祉を担うという、そういうモデルの中で社会政策がつくられてきた。それに対して、男女共同参画社会を形成するためには、家族の多様化、雇用の多様化に対して、新しい社会制度づくりをする必要があるというような視点でまとめたらどうかということが第1点目のコメントです。
 もう1つは、生活困難者という人だけが本当に生活困難を抱えているわけではない。実は、親に養われているけれども自立ができないという人たちがいて、そういう家族によって支えられていて、 高齢の親から所得移転を受けて生活している人たちが増えてきている。これが20年、30年たつと生活困難者として重要な層になってくる。ですから、潜在的な生活困難者というのはむしろもっと多いのであって、そういう人に対して対応していけるような社会づくりとしてのセーフティネット、つまり今一番重要になっているのは、派遣村の人たちに見られるように、雇用保険からも排除され、生活保護というのは仕事のスキルを持っている人がなかなか受けられないような仕組みになっている。今の生活困難者の多くは、働ける能力があるにもかかわらず生活が困難になっているという人のセーフティネットというのをどういうふうにつくっていくのかということ。これは緊急にやらなければならないというのは報告書でぜひ取り上げたらいいのではないかというふうに思います。
 3点目が、自尊心の回復がいろいろと出てきて、男女局だけでやれるのかということでしたが、先週、韓国に行ってきたのですけれども、NPOの役割が非常に強くなってきていて、NPOもただ非正規の人をかわいそうな存在として見るわけではなくて、そういう人たちが実は人権の権利を持っているのだと。だから、その人たちが立ち上がることによって社会がよくなるという、自尊心を回復するコンサルティングだけじゃなくて、共に闘うことによって、その人たちが権利を獲得して、その人たちの自尊心が回復するという、そういうプロセスをとっているんですね。そういう意味で、やはりNPO、市民団体の役割というもの、あるいは労働組合の役割というのも非常に大きくなっている。そういうようなところから、非常にいい素材がここに提供されていると思うので、時代の流れの変化の中での男女共同参画形成のための政策というような形でまとめられたら非常にいいものになるのではないかと思いました。
鹿嶋会長
なかなか難しいテーマで、事務局に全部それを押しつけるというのは困難ですので、もしできましたら、大沢委員の方で、特に3つ出たうちの1と2、これから中高年シングル、 パラサイトが増えてくる可能性は大ありですよね。そこをどうすればいいか。そのセーフティネットをどうするかということですが、案がありましたらちょっといただいた方がいいかもしれないですね。それについては、先ほど事務局からも出たように、前回、高齢シングルの中でも調査で行なったんですよね。中高年のシングルを抱えた親家庭の調査をやっているのですけれども、大変難しい問題で、なかなか出口の見えない問題ですので、どういうアイデアでもいいので、それを事務局にメモでお願いできればと思うんですけれども。
大沢委員
わかりました。
鹿嶋会長
潮谷先生、どうぞ。
潮谷委員
2点あります。1つは、26の支援機関と団体をヒアリングされたということにとても敬意をあらわしたいと思いますし、私も、その結果から、えっと驚くようなことを発見させていただきました。特に国際的な視野の中で、日本にいる国際結婚等々による女性の問題とか、あるいは性産業の問題とか、こういったことを私の中では、あるというふうには思っていたのですが、男女共同参画という視点の中で整理するという方向性というのはなかったので、とてもいい結果が出ているというふうに思います。
 それから、今、大沢委員がおっしゃいましたこととやや重なる部分がありますが、ニート女性たちの顕在化と家事労働ということが不可分の状況の中にあるということ。これは、やはり潜在的生活困窮者に将来的に変わっていくという可能性と男女共同参画という点で、とてもいい、私たちに示唆に富む形を示していっているんじゃないかと思いましたので、そういう方向性をぜひ表現していただきたい。
 それからもう1つ、資料2の方の7ぺージのところで、私は何となくスッキリしないでいるところでありますけれども、「対応の基本的視点」というところで、「女性のライフコースを通じたエンバワメントと総合的な支援」という中の○の3つ目ですが、「10代の母の場合など、母となった際も女性自身の福祉とライフステージに着目した支援が重要」と。これは、10代の母の場合というふうに区切られた背景がちょっと私には読み取れないという感じがして、実はWELL-BEINGというのはそれぞれのところで必要ではないかというふうに思ったのですが、ここを少し説明していただければと思います。
 以上です。
山岡分析官
ここはちょっと説明不足で済みません。かつて、たしか専門調査会であったと思うのですけれども、何度か10代の母の問題についての御議論がありまして、10代で妊娠・出産した場合、その時点からお母さんとしてしか扱われなくて、よりよき母になるような支援はされるんだけれども、その女性自身が今後どうやって自分が学んだり自立していくかということに対する支援が余り十分じゃない。10代というのは、本来、児童福祉法の対象年齢であるにもかかわらず、母となった時点で母としての支援しかないというのが問題じゃないかと。そういうような御議論がこれまでありまして、それで、あえて具体的に書いたところがあるという背景がございます。
潮谷委員
やはりここは丁寧に書き込みをしないと、女性自身の福祉という観点から10代をどう捉えていくのかという、むしろ逆の立場の中での10代の捉え方が必要ではないかというふうに思います。以上です。
鹿嶋会長
ありがとうございました。では、黒﨑委員。
黒﨑委員
2点あるのですが、1つは、先ほど大沢委員の方から出た福祉の問題ですけれども、特に最近の高齢者の医療制度とか介護制度が変わったことで、私、医者の立場で、やはり親が介護が必要になった場合、それをきっかけに女性が仕事を辞めざるを得ない。私は長崎から来ましたので、兄弟が多いと、一番年下の男の人が辞めるということで、結局、親が死んでしまうとその人は戻れないという悪循環が起こっていて、そういう問題がかなりあって、ずっとライフイベントで妊娠・出産・育児とあって、最後の7ぺージのときだけ介護というものが出てくるので、それは男性についても、今後、子どもの数が減ると、男性も将来そうなっていく可能性があるかなと思っているので、やはり社会福祉を地域、制度でやっていかないと、家族に頼っている今の日本の高齢者介護の制度ではかなり問題があるかなと思っています。
 それから、私は中高年シングルの潜在性の一人なんですが、それとはまた別で、先ほどの10代の女性の問題ですけれども、長崎県は非常に恥ずかしい最悪の県で、18歳以下はコンドームが買えないというところで、基本的には、性教育、妊娠・出産をどうやって女性・男性が選択するかということ自体がもっともっとないといけないというのと、それから、知的障害者とか、低学歴とか、少し遅れた女性が仕事に就けないから、親としては結婚させればいいかなで終わってしまっているところがあって、そこが結局、DVにつながっていると思うんです。特に男の子も、自衛隊でいじめられて、結局、ニートになって20年間家にいて困っているお母さんがよく医療機関に相談に来るんですけど、やはり教育の中で経済的自立と自分の人生をどう選択するかということを、男女かかわらず、先ほどの男性のプレッシャーもそうですけれども、そこら辺をもう少しちゃんと位置づけない限り、大人になってからのことだけをやっていると、同じことが繰り返されるかなと私は思っていて、相談機関をつくるのはいいのですが、私は医療機関にそういう相談がたくさんくるので、そういうところからも拾い上げるような、先ほどの男性のアル中もそうですし、うつ病もそうですし、そういうことを拾い上げるような相談員があちこちに出向くような制度がないといけないかなと私はいつも思っています。
 以上です。
鹿嶋会長
10代に着目しているのは7ぺージのライフコースのところだけですが、ほかに何かもう少し書き込んだ方がいいとか、こういう10代の若い人の生活困難も含めて、ニートなどもそういうことなんですけれども。
黒﨑委員
やはり教育界を巻き込むのは非常に難しい状況ですが、そこをやっていかないと、学校機関だけではなく、社会としての教育で、親御さんというか、地域社会がもっとまとまって子どもたちを育てていくようなことがないと、今までの日本とは違ってきているということを認識する必要があるかなと。それは女性だけではなくて、男性もだと思っています。
鹿嶋会長
今の意見に関連して、どなたか意見ありますか。いいですか。
小杉委員
ここの8ぺージに職業領域と教育領域、これは大変大事なポイントだと思うのですけれども、私は、これは早期介入という方向までもっと幅を広げなければいけないんじゃないかと思うんです。これは高校・大学とか、そういうところできちんと学ぶということしか書かれていませんけれども、成育家庭の話がございましたが、家庭自体にかなり課題があって、高校になるまでにかなり大きなものを持ってきているんですね。そういう意味では、もう少し遡って早期介入の仕組みを考えていくということが必要じゃないかというふうに思います。
鹿嶋会長
早期介入というのは、どの程度まで理解すればいいですか。例えば親への教育、妊娠・出産前からの教育がありますよね。親になるにはどうするかといった、そういうレベルの。
小杉委員
親になるための教育というのもありますが、例えば労働市場が非常に悪いために、高校生の女性が比較的非正社員を選びがちなんですが、と同時に、そこでは母親の働き方のモデルなどを見ていると、このモデルでいいんだというふうに思ってしまいますね。生き方のモデルというのをどこでどう示すかというときに、高校生になってからでは遅いと思うんですよね。彼女らの成育家庭に見えるモデルというのは、DVの家庭であったり、いろいろな家庭があって、その中で自尊心が持てないという状態に育つという、その家庭に新たなモデルを提示しなければいけないんですよね。違う生き方がある、あなたには可能性があるんだということをどう伝えるか。そうすると、たぶん私は小・中学校だと思いますが、そのレベルでより幅広い視野から自分の将来が考えていけるような、いい先輩に会わせるような仕組みというのが大事じゃないかというふうに思います。それを一言で言えば、キャリア教育という言い方になってしまいますけれども、そこまで含めたキャリア教育が重要じゃないかと思います。
鹿嶋会長
入れる場所はここでいいですか。
小杉委員
自立支援ということでしょうね。
桜井委員
その際ですが、ロールモデルを提示するということと、それから、特に女の子たちに、結婚して誰かと一緒に住むということ以外に、自分で働いて暮らしを立てていくという生き方があるんだということを示していくということもすごく大事だというふうに思っていまして、特に母子家庭で育ったお家ですとか、夜間高校などで中退をしてしまった女の子たちの話を聞くと、みんなそうだと言うとあれですけれども、連鎖になっていて、お母さんも、おばさんも、お姉さんも、みんな結婚するということでしかその成育家庭を出て行かれないということしかなかったんですね。ですから、それこそ男女共同参画の視点と言ったらあれですけれども、黒﨑先生のように、女性も自分自身でキャリアをつけて世の中生きていくことができるだという価値観というか、考え方というか、そこのところに触れる機会がなくて育ってきた子がすごく多いというふうに思っていますので、ロールモデルだけではなくて、そこのところがちゃんと出ていくような何かがカリキュラムの中に1つ入るといいなというふうに思うんです。そのことは、今の文部省の学校教育の中だと、カリキュラムというのは国語、算数、理科、社会じゃないですけれども、そういうもの以外に入る余地がなかなかないので、結局そこのところで幾ら提案しても、今の懸念は、文部省の学校教育の中では、どういうふうにそこに入り込んだらいいのかというのがすごく難しいというのが1つです。
 それから、やはり同じく8ぺージの「教育領域と職業領域との」というところは、これは若年期の自立支援というふうに言っていますが、20代、30代の母子家庭のお母さんたちも、雇用の場の改革のところで言った方がいいのかもしれませんが、職業訓練の場に参加していく、入っていくチャンスが全然ないんです。つまり、それこそ年収 200万円ぐらいのところでやっていますから、 職業訓練を受けている時間がない、余裕がないわけですね。ですから、そこのところに、今、母子家庭で若干ついておりますが、訓練がちゃんと受けられるような訓練手当のもっと充実とか、そこのところをしっかり図ってもらわないと、結局、キャリアというか、スキルを身につけたり、労働市場に出て行くだけの何かを身につけることがいつまでたってもできない。
 ちょっと長くなって申しわけないですけれども、ここ3年ぐらい、全国の女性センター37の施設で母子家庭とかDVの被害を受けた経済的困難な状況にある女性のための就業支援事業ということで、パソコン講座などもやりました。そして今、 2,400人ぐらいの人たちが、これは無料ですから受けられたのですけれども、受けていただきました。最初は、母子家庭ですからウィークデーの昼間で時間を設定していたのですが、そうではなくて、離婚などでようやく落ち着いて、これから仕事に就きたいという人が来るかなと思ったら、今、仕事をしているんだけれども、パソコン一つできなくて収入がすごく低い。もう少ししっかりした仕事に就きたいために、そういう就業支援訓練を受けたいという人の方が多かったわけです。ですから、ウィークデーの昼間の講座よりも、夜ですとか、土日の講座を新たにつくって、そちらの方がニーズが高くなってきたという状況がありました。それは、チャンスがあれば自分たちも訓練を受けて、それこそ収入向上プロジェクトじゃないけれども、収入向上を図っていきたいという人たちがいる。しかし、そこに全くチャンスがない。 経済的に貧困であるので、そんな余裕がないということが大変よくわかりました。そこのところも、安心して訓練が受けられるということをどこかに盛り込んでいただけるといいかなと。それは若年だけではなくて、30代でも40代でもそうだろうと思います。そのことが1つあります。
鹿嶋会長
では、岡本委員。
岡本委員
若干関連ということで私も発言させていただきます。教育訓練の問題はものすごく大事なことだと思うんです。ちょっと前に聞いた話ですが、例えば看護師になりたいという母子家庭の方が、生活保護を受けながら、2年間きちんと講座を受けるということはできない。つまり、あなたは働けるでしょうということになると、結局は准看護師とか、そうではない、もう少し短い時間帯で勉強ができる講座しか受けられない。十分に教育訓練が受けられない、というようなことがあると思います。これは非常に大きな課題だというふうに思います。
 それから、教育領域のところで、経済的・社会的自立というところに入るのだろうというふうに思うのですが、8ぺージの教育領域のところで高校・大学の教育で、昨年、内閣府の国民生活審議会で「生活安心プロジェクト」というのがありまして、私もそこで委員をやっていたのですけれども、同じような議論もしてきたわけですが、今、高校などで労働法について全く学ばない。労働三法ありますよとか、労基法がありますよという程度で終わってしまっているんです。その問題が、結局、派遣切りも含めて、実は自分がもう少しわかっていれば対応ができたことさえも、できないで、一方的に言われて、仕方ないなということで仕事を辞めざるを得ないというようなことがたくさん起こっています。やはりそういったことをきちんと理解をしていかないと、今のこの問題は実はなかなか解決もしていかないんじゃないかということを感じています。これがこの部分に入っているのかなというふうには感じましたけれども、加筆していただければなお、いいかと思います。
 それから、女性の貧困問題が昨今の経済状況の中でちょっと埋没してしまっているような感じがします。これは、私どもマスコミの責任でもあるのですけれども、若年層の派遣切りの方たちの話題ばかりが出てしまっている。テレビ局の担当者からも、女性の問題って今ないんですかなんていうふうに聞かれてしまって、とんでもないという話をしたことがつい最近ありました。例えば派遣村についても、ほとんど出てくる方は男性なわけですね。実際、男性が非常に多くて、これは聞いた話ですけれども、女性があそこに行きたいと思っても、テントで寝たりしなければいけないということや、または厚労省が用意した講堂も全員で雑魚寝をするわけですね。そうすると、例えば自然災害の場合は家族が一緒にいらっしゃる。または、近所の方たちが一緒にいるという地域の中での体育館暮らしですけれども、今回のような場合はそうではないので、やはり女性が行こうと思ってもなかなか行くことができなかった。そこで躊躇してしまったという話が実際にありました。そういった意味では、男女によって違う支援の仕方、問題はどこにあるのかということも含めて、やはりきちんと書いていくことが大事じゃないかということをそういった話からも痛感いたしましたので、そういったことにも特に触れていただけるといいのかなというふうに思います。
 以上です。
鹿嶋会長
災害時の男女の支援の違いというのは前から指摘されているのですが、ああいう派遣村も一種の災害ですから、やはり違う支援の仕方があっていいのかもしれませんね。神田先生、どうぞ。
神田委員
まず、9ぺージのところで自立概念の捉え直しというのは大変いい考え方だというふうに私は思っております。これを捉えるときに、ずっと言われてきた経済的自立・生活的自立、それで、社会的自立と言われてきたものの中身が、これを見るとまだちょっとあいまいなんです。私自身は、社会的自立というのが独立して社会参画になっているんだと。つまり、社会をつくるという自立。だから、社会に単に参加することから社会をつくる人になるというように、そこが大きく膨らんで、一人の生き方の中で社会参画というのが位置づいたと捉えているのです。だから、もし自立概念を使っていくとすれば、そこら辺を明確にするといいかなと思います。そして、これが十分に説得的にできれば、そういう形で教育のなかにとりいれていけると思っています。
 これまでの社会状況の中では、自立が孤立になってきてしまったところもあるんです。それで、やはり非常に重要なのは、関係の観点をとり入れることです。私は関係性としての自立などという言い方をするのですが、お互いに自立を支え合ったり、進め合う関係、そういう関係の重要性をこの中で入れていく必要があると思います。それがないと、例えば自尊感情なども、関係のないところでは自分勝手の自尊になってしまうので、そういう観点を全体にどういうふうに入れるかというのが1つ重要だと思っております。
 それからもう1つは、7ぺージの(3)に「対応の基本的視点」とありまして、貧困の中にある男女問題への着目とあって、丸の2つ目に「貧困の背景にある男女共同参画をめぐる問題に対して敏感になり、男女別の観点で」とあるのですけれども、ここで言う「背景にある男女共同参画をめぐる問題」というのは何を言っているのかです。ここで言う男女共同参画をめぐる問題、貧困の背景にあるもの、そして、その前にある、「男女別の観点で」とありますけれども、この男女別の観点と男女共同参画をめぐる問題とはどういうふうに関係しているのか。丁寧に説明していく必要があると思っております。
山岡分析官
ありがとうございます。7ぺージの「男女共同参画をめぐる問題」というのは、やはり一番大きいのは固定的性別役割分担意識がまずあるということ。それに基づいて、いろいろな家庭、地域、職場での女性のいろいろな活動の選択が狭められてしまっているという問題。それを意識して書いていたのですが、そのあたりをもう少し具体的に書き込むようにいたします。
神田委員
そうですね。具体的に書き込んでいただいた方がよろしいんじゃないでしょうか。
鹿嶋会長
敏感になるというのを、「ジェンダー・センシティブ」という表現はいいでしょうか。
神田委員
だから、言うべきことをはっきりして、それを言うようにしていかないとどういう言葉が適当かという問題が起こるといけませんので、そこは注意してと思います。
鹿嶋会長
「男女別の観点」という表現はいいのか。もちろんこれもあるんだろうけど、男女別にしない観点もありますね。このあたりの使い分けはどうしましょうか。ここはちょっと検討しましょう。
山岡分析官
はい。
鹿嶋会長
それから、今おっしゃった孤立・関連性の問題で、男性については孤立の問題は指摘してあるんですけど、貧困家庭の女性たちなどは、いわゆる周囲との関係性、人と人との関係性は指摘していないのですが、湯澤委員、どうですか。やはりああいう中で悩んでいる人たちには孤立化の傾向があって、関係性が築けないとか、多くの問題があるんですか。もしそうであれば、きちんと指摘しておいた方がいいと思うんです。
湯澤委員
話が少し膨らんでしまうかもしれませんが、関係性が地域の中でないということの背景のひとつとして、「時間の貧困」ということがかなり大きくあるので、つながりたくても、つながる時間がないわけですよね。それはよく言われたりしているわけですが、とりわけ母子家庭の方などの場合は、ダブルワークが多のことは調査の中でも出てきておりますけれども、日曜日に、例えば自助グループで活動したくても、そこまでやったら子どもとの時間がより一層奪われてしまうとか、パートで祭日も出なければいけない場合に、断ったら職を失うとか、そういう意味で時間の貧困という中でつながりが途絶えているというのが1つあるかと思います。生活保護受給母子世帯の場合には、すごく監視社会になっているので、あの家に誰が出入りをしているとか、そういうことを地域社会が見張っているような状態で、かなり通告があったりしているので、そういう中で地域でのつながりをつくりにくい状況になっているといったようなこともあるかと思います。
鹿嶋会長
御本人の精神的な萎縮というのはないんですか。
湯澤委員
それはもちろんあります。それは、離婚とうつ病の関係とか、離別と精神的な疾患のクロスというのが統計的にも出ていますので大きくあると思います。
神田委員
今いわれた時間の貧困の問題も非常に重要なので、関係の貧困をもたらしている要因として時間の貧困があるというように連鎖がはっきりすると、政策の意義、意味が明確になると思います。例えばワーク・ライフ・バランスなどはその1つの解決策としてあると思います。そういう具体的な解決策に結びつくような貧困との関わりが説明できるといいと思います。
鹿嶋会長
そうですね。今回の報告書自体が、そういうさまざまなものの連鎖というのが背景にあるということも我々は指摘していますので、そういう中に時間の貧困なども入れていくということで再調整しましょう。では、袖井委員。
袖井委員
簡単なことですが、最後の「今後検討すべき課題」のところで、いきなり雇用と出てきてしまうんですけれども、いろいろヒアリングしていると、まず雇用にいかないという話がたくさんありますね。だから、やはり最初に心のケアとか、立ち直りみたいなものをまず持っていった方がいい。つまり、就職をしようという気持ちに向かう前の問題が非常に大きいですよね。婦人保護施設にしても、離婚の方にしても。今、うつの方も多いし、それからニートの場合もそういうお話でしたね。まず就職指導よりも、話を聞いてあげて心の切替えをしないといけないということがあったので、いきなり雇用というふうに入ってしまうのは少し無理かなと。だから、この最後のところは、並び順なども考え直した方がいいかなということを考えております。
鹿嶋会長
あるいは、もう一回括れるのだったら、3つぐらいに括ってもう少し入れていくとかということもあるかもしれないですね。
潮谷委員
ただいまのことに関連してですけれども、最初の段階の中で、本当に連鎖している、複合化している、そういう要因の指摘があるのですが、実は今後検討すべき課題とか、あるいは重要な視点という中には、多問題家族について支援の方法といいましょうか、やはりワンストップで支援できるような将来的な施策、こういったものが構築されていくということはとても大事ですし、私、それは内閣府ならではの役割が果たせる部分ではないかというふうに思うんです。男女共同参画が本当に総理直轄の組織であるということを考えれば、何かそういう多問題家族、あるいは、さまざまに連鎖し複合化している、それを何かの要因で相談に来るけれども、実はそれはいろいろな要因が重なっているわけですので、 まず分野別で対応するという形ではなくて、できればワンストップで、そして、そこから専門的に広げていくような、そういう将来展望が書き込まれるととても力強いなという感じを持ちます。以上です。
鹿嶋会長
そうすると、桜井さん、女性センターも関連してくると思うのですが、それも含めて。
桜井委員
ワンストップでできればとてもいいと思うのですが、私たちのところは最近はこういう言い方をしているのですが、つなぎ目のない、 切れ目のない支援ということで、そのコーディネートを恐らく内閣府の男女共同参画局でしていただけるといいのかなというふうに思います。若者塾ですとか、今、若者サポートステーションなども、女性はなかなか行きにくい。女の子のニートたちは先ほどの家事手伝いというところで入ってしまっているとか、そういうふうなところに焦点を当てて支援をしていくという仕組みの再構築でしょうか、そこを提案できるといいのかなというふうに思います。
 そのときに、大沢委員からも御指摘がありましたけれども、NPOの役割というのは非常に大きいだろうと思います。それから、女性センター、男女共同参画センターも、そういう意味では、ある種コーディネーターの働きができるというふうに思っていますが、しかし、そこのところでは、そこで支援に当たる人たちの身分が不安定だとか、専門性が蓄積されていかないとか、そういった支援者への不十分な施策というのが影を落としているかなというふうに思います。ですから、支援者が支援者として十分な働きができるような仕組みづくりということもまた1つ大事かなというふうに思っています。
 以上です。
湯澤委員
時間がない中で申しわけありません。全般的なところで2点ございますが、この領域横断的にヒアリングをしていただいて、すごく現実が見えてきた部分があって本当によかったと思います。そのことと関連してですが、これは提案の中に入れられるものではないかもしれないのですが、 ジェンダー統計の必要性ということは言われてきていて、そのジェンダー統計と社会階層を把握できる統計のクロスというか、そこが乏しいがゆえに、洗い出そうとしても、生活困難層の方の実態がなかなか把握できないというところがあります。例えば生活保護世帯でいきますと、7月に被保護者全国一斉調査があるわけですが、 その中に学歴をとる統計を1つだけ入れていただくということをしてもらえれば、今、全国的にどういう階層の方々が保護に至っているのかといったことが把握できるということがありますし、全国母子世帯等調査もそういう項目を入れれば、より一層わかると思います。
 あと、例えば児童養護施設入所児童等調査というのもあるのですが、かつてはお子さんの御家族の経済的なものを把握する調査項目があったのですが、今はないわけです。そういうものを少し政府統計の中に入れていっていただくことで見えるものにしていくということができるといいなというのが全般的なところでの感想です。
 それから、調査のまとめの方の提言の中ですが、離婚をどう描くかということです。確かに、例えば。
鹿嶋会長
ヒアリングの方ですか。
湯澤委員
いいえ。まとめです。6ぺージのあたりで、「固定的な性別役割分担意識の中で夫婦の営まれる形態があり、そして、離婚に際して女性の自立が困難に陥りやすくなる」という部分。それは本当に事実なんですけれども、離婚前から困難なんだというところの階層の方々もおられるということがあるので、例えば、日本で離婚というと精神的な考え方が変わってきたから離婚に至るというような、あるいは自己決定が進んできたとか、そういう一面もありながらも、やはり社会・経済的な要因に影響されて家族が分解していくということがあって、その中でも、離婚前から多重債務を抱えて、そして離婚した後も、とにかくいろいろな困難を抱えた状態で踏み出さなければならない階層の方々が生活困難層の中に多いというふうに思います。そのあたりで、経済的不利と離婚とその後の自立といったところの関係性、そのあたりがもう少し伝わるような部分があってもよいのかなということが1点です。
 それから、同じ6ぺージの上から3行目で、「教育機会や就業機会の制限」、これも本当にそのとおりなんですが、教育機会の制限が就業機会の制限や雇用の場での不利益に連鎖していてくといったような、その関係性が見えるような表現が盛り込まれるとよいのかなと思ったことが2点目です。
 それから3点目で、これはこの中に入れてほしいということではないのですが、先ほどの時間の貧困のこととも関連して、例えば母子世帯の方々ですごく貧困率が高いわけですが、ほかの国の政策と比べて日本で違う点というのは、やはりケアする権利というものが認められていない。政策の考え方にないというか、子どもがケアを受ける権利とケアする権利から考えたときに、子どもをケアする権利ということはあるわけですけれども、ここにもあるように、日本では85%ぐらい働いておられますが、全く子どもをケアする権利や時間を保証していこうというような発想がない中で、とにかく働かざるを得ないような状況に置かれているということがあります。その辺が少しでも入れられたらまた違う観点が出てくるかなというふうに思ったところです。
 以上です。
鹿嶋会長
ジェンダー統計の件ですけれども、ほかに何かこういう点はおかしいとか、ありますか。
勝又委員
ジェンダー統計ということで、先ほどおっしゃったことについてですけれども、研究者としては非常によくわかります。ただ、それは何に使うんだと。やはりいろいろなことですぐに反駁がくると思います。今、統計法が改定されようとしておりますけれども、その中でもいろいろな議論はあります。私の意見としてはエビデンスベイストポリシーいわゆる事実に基づく政策立案の重要性を政府は打ち出しているわけですから、ジェンダー統計は実際に政策や状況がどうであるかということを確かめた上で整備されるべきであり、政策立案には重要なことであるというような理由を加えないと弱いと思います。研究者が仮にそういうことがわかれば、非常におもしろいんだがということだけの理由ではなかなかそれを行うことが政策には結びつかないと思います。
 それが1つと、先ほどからお話にある中で、この中にもたくさん出てくるのですが、やはり相談ということと支援というようなお話があるのですが、今、訓練については結構トレーニングということで給付化されているわけですよね。雇用保険では、能力開発についていろいろ問題があって、実際に出しているお金はどのぐらい効果があるかという問題があります。ですから、先ほどからお話を伺っているときに、実際、では母子家庭が受けた訓練がどこまで就業に結びつくんだということもやはりフォローしていかないと、それは結びつかないことであるし、それから社会保障の体系の中では、相談やカウンセリングというのはすごく給付化しにくいんですね。唯一できているのは、先ほど黒﨑委員がおっしゃっていた医療の分野ですけれども、医療の分野でも、例えば精神疾患とか、そういうものについては一部しか診療報酬化されないというようなことがありますので、相談というものをどういうふうに位置づけて、全ていろいろ重複している問題それぞれのところで、何とかセンター、何とか支援グループで相談をバラバラにやればいいのかというようなこと。それも、相談というものが給付の中で非常に重要な時代になってきているようなことを打ち出していったらいかがかなというふうに思います。
鹿嶋会長
湯澤委員、コメントありますか。
湯澤委員
いいえ。
桜井委員
イギリスの若者支援、ニート支援の場合には、一人の人が一人のクライアントというか、ニートの人に付き合って、その人が就業するまで、あるいは就業してからも何年か、その後も付き合うということで、一人の相談員が何人か持つというのをやっていますよね。 ああいうようなやり方も1つは考えられるのかなというふうに思いますが、それは自治体ベースになると思うのですけれども、今のやり方では、それこそつなぎ目のないというわけにいかなくて、 1つずつが縦割りの政策の中で、それこそ相談が重複したり、そういうことが起こっている。まさにおっしゃるとおりだと思うんです。そこのところもやはり何か考えていかなければいけない問題だろうというふうに思っています。
鹿嶋会長
畠中委員は何か御意見ございますか。
畠中委員
非正規労働の問題などは、今は国が何とかしろという議論ですけれども、国は、こういうきめ細かな対応というのは不得手なんですよね。全国民を対象に公平にやらなければいけないということで、個々の状況に応じて適切な対応をとるというのは極めて不得手なんですね。では、誰がするか。地方公共団体か、さっき議論に出たNPOか、ということになってくるのですけれども、地域の問題も家庭の問題もあると思うのです。
 しかし、国がすべきだということになると、これは大変な人とお金がかかるんですよね。年金記録の問題も、経費として何千億とかかっています。そういうことも考えると、単なる報告書ならいいのですけれども、何とか施策の問題として提言するということになると、その辺もちょっと考えなければいけない。男女共同参画局でこれを全部やれと言われても、局長も困ると思うんですけれども。
小杉委員
非正規と国という関係で私もちょっとコメントさせていただきたいのですが、雇用保険から非正規で就業している人が多く落ちているというところが問題で、これは国というよりは保険制度の中でできることがかなりあるだろうと。派遣村で実際に行なわれたことの中に、保証を国がすることによって派遣の本人が労働金庫からお金を借りられるという仕組みによって、住居も同時に得ること、それから求職活動の間の生活費を得ることができるという仕組みが、緊急的にですが、ここでとられたんですよね。つまり、今まで欠けていた雇用保険と生活保護の間のドロップしてしまう層に対して、一時的に緊急の形ででもそういう形で生活をまず面倒を見て、仕事探しの間の生活の保証をするということが実際にできたわけですよね。これは、雇用保険の仕組みの中に吸い込んでいくことは十分可能じゃないか。全くの給付ではなくて、信用がないから借りられないのだから、その信用を保証するというような仕組みがあるので、これは考え方で、国ができることはまだまだあるんじゃないかというふうに思います。
板東局長
最初の袖井先生の御指摘をはじめ、何人かの委員の先生の御指摘とも関連する事柄でございますけれども、今日初めて御参加の委員の方々もいらっしゃいますので、このテーマをなぜ取り上げて、どういう着地点を考えているのかというあたりについてちょっとお話し申し上げたいと思います。
 この専門調査会というのは、やはり男女共同参画の視点に立って、政府の制度や施策などについても、横串でといいますか、そういった視点で横断的に見て評価をし、そして、そこから新たな、先ほどからお話のようにエビデンスを導き出したり、それから政府の施策として制度としてまだ不十分だというところについて提言していくということだと思いますけれども、そういう観点から言いますと、生活困難を抱えている方々について、具体的に分析をしたり、そういう施策を総合的に見たりというのは、今まで政府としてはなかったんじゃないか。特に、先ほどからジェンダー統計の御指摘がありましたように、男女に分けていろいろ見ていくというきめ細かな分析というのは今までほとんどなかったのではないか。それから、政策の評価自体についてもそうではないかというふうに思っております。生活困難といってもいろいろな側面を持っている、そして重層化・多層化してきていて、先ほどから御指摘のように連鎖をしてきている。こういった問題について、分析から始まって、政策的な評価のところも含めて、いろいろやっていかなければいけないというふうに思っているわけでございますけれども、今回の論点整理というのは、入口のところで、ヒアリングを中心として、まず問題状況、課題状況というのを浮かび上がらせていこうというものです。なかなか数値だけでエビデンスは出てこないという分野でございますので、そういった定性的な事例などに基づくようなものも含めて、課題を浮かび上がらせていくというのが第一段階。そういう意味の論点整理ということだと思います。
 予定としては、3月の終わりぐらいに男女共同参画会議の本体の会議を開きたいと思っておりますので、そこに論点整理を一度御報告させていただいて、御議論いただければというふうに思っております。
 その後でございますけれども、先ほどから御指摘のように、では、どういう施策をとるべきか、あるいは、いろいろな支援なりを誰がすべきなのか。全体としてどういうシステムに組み上げていったらいいのか。そういうことについて、これから本格的に議論をしていかなければいけないというふうに思っておりまして、そのためには、今までの議論の中では、各省が何をやっているのか。そして、それが実際に機能しているのかという話については、現場の方からの御意見は聞いておりますけれども、まだほとんど整理をしておりませんので、それについて論点整理の後にさせていただく。各省からヒアリング資料なども提供していただきながら、その分析をしていって、最終的には、先ほどのお話のように、男女局で全部やるという話ではなくて、むしろそういう視点を通していくというのが、まず第一義的に男女共同参画会議として必要な事柄だと思っておりますし、我々としても、各省にそういう視点で政策を見てもらう、評価をしてもらうということは非常に重要だと思っておりますので、まずそれをやり、これは夏になると思いますけれども、全体としての、これからこういう方向性で、こういうことを考えていくべきだというまとめをさせていただきたいと思っております。
 その中で、すぐに施策に結びつけられるものもあるかと思いますし、更に検討が必要だとか。あるいは、ほかの検討の中でそういう視点を入れていってほしいというものがあるかと思いますので、それは分けながら整理をしなければいけないと思っております。
 それから、先ほど袖井先生からも御指摘のように、男女共同参画基本計画は次に第3次のものをつくっていかなければいけない。その作業もこれから春以降スタートすると思いますので、その中で、やはりこの視点というのは今までの計画の中では十分ではなかったんじゃないかというふうに思っておりますので、この問題について何らかの形で、計画の中にもその成果を盛り込んでいきたいというふうに思っております。そういった形で、多面的に取組みを推進していきたいというふうに思っておりますし、それから、民間の方々も含め、呼びかける、こういう問題を認識していただくということの材料にもなるのではないかというふうに思っておりますので、多面的にこの成果を使っていきたいというふうに思っているところでございます。
鹿嶋会長
個人的な感想を申し上げれば、貧困というテーマで検討会を始めたのですが、出てきた結果が余りにも重過ぎるということで、だからこそ袖井先生からも、本当に男女共同参画局でこんなことができるのか、解決に導けるのかといったような意見が出るのだろうと思っています。とにかく、貧困という根っこは、我々の生活のほとんどあらゆる分野に根をはやしてしまっているという中で、ではどうするかとなると、参画会議の方に上げて、あとは施策として落としてもらう。我々の役目はそのあたりかなというふうにも思っております。あとは、今、局長がおっしゃったようなことだと思っています。
 ほかに御意見をどうぞ。これが最後になりますが。
小杉委員
忘れたことだけ1つ。忘れたのは、非正社員のセーフティネットがこれだけないという背景には、実は男女共同参画の問題が大きくて、まさに女性が非正社員であることを自ら選択するような背景がこれまであったからだと。こういう変化の中で改めて男女共同参画社会をつくっていくためには、非正社員にセーフティネットを張るというのは当然のことではないかという、そこの引っ掛けをしたかっただけです。済みません。
鹿嶋会長
ありがとうございます。
 それでは、生活困難を抱える男女に関する検討会の合同審議はここまでとさせていただきます。本件につきましては、次回3月9日の専門調査会で論点整理のとりまとめを行いたいと思います。
 事務局から連絡事項がありましたらどうぞ。
山岡分析官
検討会の先生方におかれましては、本日はどうもありがとうございました。
 次回の専門調査会は、3月9日、13時から、検討会と合同の形で内閣府本府庁舎の3階特別会議室を予定しております。
 また、本日の会議資料の取り扱いは非公表でございますので、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
鹿嶋会長
それでは、生活困難を抱える男女に関する検討会の委員の皆様、お疲れさまでした。どうもありがとうございます。
 先ほど皆さんが検討なさったことは、検討会の皆さんもそうですが、桜井さんもそうですが、何か御意見がありましたら、メモで結構ですから事務局の方によろしくお願いします。大沢先生もどうぞよろしくお願いします。
 (検討会委員退席)
鹿嶋会長
続きまして、地方分権改革推進委員会の「第2次勧告」について意見交換を行いたいと思います。
 これは、会長である私の方の個人的な問題意識からの発案でございますが、御承知のように、昨年12月20日に地方分権改革推進委員会がまとめました「第2次勧告」で、都道府県労働局をブロック機構に集約して地方厚生局と統合することが提言されました。これに伴い、都道府県労働局に今、雇用均等室が置かれているわけですけれども、その機能が維持されないのではないかというふうな懸念が起きているわけでございます。地方の厚生局は、現在、全国に7つございます。そのほかに、沖縄に沖縄麻薬取締支所というのがございますが、ブロックは7ブロック。例えば九州ですと、福岡にございまして、ブロック化されますと、例えば黒﨑委員のおられる長崎から福岡まで、例えばセクハラの相談に来るとか、そういうような問題になると思いますので、私は、そういう状況になれば、男女共同参画社会の形成という点で懸念される事態ではないかというふうに思っております。男女共同参画社会の形成の推進体制にも関わる問題だと思っております。この件について今日は御意見をお伺いしたく、厚生労働省の雇用均等・児童家庭局雇用均等政策課の安藤課長にお越しいただきましたので、御説明をお願いしたいと思います。その上で皆さんと意見交換をしたいと思います。よろしくお願いします。
安藤課長
(厚生労働省雇用均等・児童家庭局雇用均等政策課) 雇用均等政策課長の安藤と申します。よろしくお願いいたします。
 本日は、お手元の資料3-1から3-3までということで御用意をいただいております。これに沿って、ただいま御提言のありました「第2次勧告」についての御説明きを差し上げたいと思います。この「第2次勧告」でございますが、12月8日に公表されたものでございます。今回の地方分権改革推進委員会「第2次勧告」というものの1つの大きなテーマが、国の出先機関の見直しということでございました。資料3-1は、その関連部分をまとめたものでございます。今回の勧告を出すに当たりまして、まず1つは、1枚目の左側の方でございますが、事務・権限を見直しまして、国の出先機関でどのような仕事をしているのかというのを検討して、国の仕事と地方の仕事に分けるということを委員会でなさいました。その次の段階として、組織の見直しをする。こういう仕組みになっておりました。
 その結果、どういうふうになりましたかと申しますと、1枚めくっていただきまして、別添1のところが、事務権限を見直した機関別の概要でございます。都道府県労働局というのが左側の真ん中あたりにございますが、ここでは、例えば地方の役割拡大、地方との連携強化というふうに書いてございますが、ほかの機関のところで少し見られるような、地方移譲というような言葉はございませんで、端的に言えば、それぞれ国の仕事をしているところであるというふうに整理をしたものだというふうに捉えております。
 そうした上で、組織をどうするかというのが端的に書いてございますのがその次のぺージでございます。縦のぺージになっておりますが、そこの真ん中のところに、都道府県労働局を廃止してブロック機関に集約し、地方厚生局と統合するというふうに書いてございます。それで、ブロック機関の下に監督署、ハローワークというものを置くという構造にするということになっております。この勧告の中に、具体的な幾つにするということは書いてございませんでしたけれども、地方厚生局と統合するというところから考えますと、地方厚生局は﨑ほどお話がありましたように、7局1支局ということになりますので、いずれにしましても、今、労働局は都道府県1つずつ47ございますので、数としてはかなり減るということになるわけでございます。
 今後の予定につきまして、その次のぺージに出ております。推進スケジュールということで、今回、20年の12月初旬というところに「第2次勧告」が出されまして、これから「第3次勧告」というのが出される予定になっておりますが、これは主として税財政構造の話をお書きになられるということで、国の出先機関については、この「第2次勧告」が中心になるものと思われます。今年度中、21年の3月までに、この勧告をもとに、これから先の工程表となる計画を政府としてつくる。それから、来年度のできるだけ早い段階で関連法案を国会に提出するという予定であるというふうに聞いているところでございます。
 今回、「第2次勧告」が出まして、都道府県労働局のブロック化ということが打ち出されまして、私どもの行政に関わって何が一番困るかと申しますと、先ほどお話がございましたとおり、雇用均等行政が非常に影響を受けるのではないかというところでございます。現在、都道府県労働局の標準的な組織体制という紙がございます。横書きになっております紙でございます。この労働局というのは、2000年ごろの第1次地方分権改革のときにできたものでございまして、それ以前は国の労働省の直接の出先機関としての労働基準局、それから婦人・少年室、それから地方事務官として県の組織に入っておりました職業安定関係の部局というのが3つバラバラに存在していたわけでございます。これが第1次地方分権改革のときに、地方事務官制度というのがなくなりまして、安定関係が国による一元化ということで国の方に戻ってきた。そのときに、総合的な労働行政を推し進めるためにというので、都道府県単位で1つずつ労働局というのをつくって、この労働基準、職業安定、雇用均等という3つの行政が1つになったわけでございます。実際、このときにブロック化された国の出先機関もございましたが、労働局につきましては、監督署、安定所をたくさん抱えているという組織の形態もございまして、ブロック化はされずに都道府県単位で残ったものでございます。
 この図のところで黄色いマーカーを引いてございます。これは、第一線機関と考えられるところに引いてみたということでございまして、労働局がやっている仕事は大きく分けて3つございます。1つが、最低労働基準を確保するための行政でありまして、これは監督署が第一線機関となって労働基準部で扱っております。もう1つは、いわゆる受給のマッチングをやるハローワークが第一線機関となってやる仕事。そして、雇用均等に関しましては、これそのものが第一線機関としての役割を担っているということでございます。もちろん、監督署と安定所だけが第一線機関かというと、そうではなくて、労働基準または職業安定に係る仕事の中でも、2枚目のところにございますように、実は署所に下ろしていない仕事というのはたくさんございまして、例えば違法派遣事業者に対する指導でありますとか、助成金の適正な支給がされているかというような審査でありますとか、 あと、個別労働紛争の調整、これはADRとしてかなり定着してきたものでございます。あるいは最低賃金の決定といったようなものにつきましては、これは都道府県単位でやっております。そのほかにも、例えば労使団体というのは都道府県単位にございますので、こういったところと調整をする。あるいは、都道府県という地方自治体と調整をして、その管轄内の雇用対策を立案するというようなことも役割として担っているところでございます。これらも含めまして、ブロック化してしまった場合に一体どうなるのだろうかというのが私どもとしても非常に懸念がされるところでございます。
 こうした中で、今、雇用均等行政はどのような仕事をしているかということでございますが、「雇用均等室とは」というので一枚紙を付けてございます。主に所掌している法律といたしましては、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、それからパートタイム労働法というものがございまして、この施行を行なうということでございます。相談から解決までの流れということで絵が書いてありますが、これらの3つの法律にほぼ共通する施行の仕組みというのがございまして、1つは行政指導を行なうということでございます。これは、御相談がきて、匿名でやっていただきたいというような場合に、事業所に行って、それで指導してくるということもありますし、計画的に事業所を訪問して違反指導をするということもございます。それともう1つは紛争解決の援助ということで、御相談がきたときに、1つは、局が中に入りまして、その紛争を助言指導・勧告という形で紛争をおさめるお手伝いをする。それともう1つは、紛争調整委員会による調という仕組みがございます。こういった形で法律に基づいて紛争を解決したり、あるいは法違反の是正を図るというのが均等室の主な業務でございます。
 男女雇用機会均等法に関しまして、最近の施行状況をまとめましたのがそこから先のグラフでございます。均等室への相談という棒グラフがございますが、これは最近増えておりまして、特に18年度に法改正がございました。大体、法改正がありますと施行の直前に非常に相談件数が伸びる傾向がございますが、今回は伸びっ放しであるというのが言ってみれば1つ大きな特徴かと思います。労働者からの相談が伸びておりますが、一方で事業主の相談も結構ある。3分の1程度は事業主の相談でありまして、実際のところ、法改正ということになりますと、実に自社の制度についてどういうふうに見直したらいいのか、どう対応したらいいのかという事業主からの御相談というのは多々ございます。特に、育児・介護休業のような制度的な見直しとなりますと、就業規則をお持ちになられまして、チェックをしてくれというふうにおっしゃるような事業主さんもおられるくらいでございます。
 次に、相談の内容の内訳ですけれども、セクシュアルハラスメントが半数以上を占めております。そのほかに目立ちますのが、やはり母性健康管理の関係。それから婚姻、妊娠・出産等理由の不利益取扱いということで、やはり続けられるかどうかという切羽詰まったところで御相談に見えられる方々が多いということでございます。
 それから、次のぺージでございますが、これは労働局長による助言指導・勧告という形で紛争解決に介入する援助のやり方の申立ての件数でございます。これは、19年度から改正されました均等法が施行されましたおかげで、セクシュアルハラスメントと母性健康管理がこの制度の対象になったということと、それから、妊娠等に係る不利益取扱いの範囲が広がったということで飛躍的に増加をしております。19年度は 546件ということで、 20年度は更に増えているというふうな感触を私どもは持っております。
 この紛争解決の援助内容の内訳が次に出ておりますけれども、やはりセクシュアルハラスメントと妊娠・出産等を理由とした不利益取扱い、これが非常に多いということです。
 更に、調停につきましても、これは恥ずかしながら、これまで4~5件という形で回っておりましたものが、今回、改正法になりましてから60件近く出ておりまして、これもまた、今年度に入りまして増加をしているということでございます。
 こういうふうに法律の施行に関わっている中では、制度として施行の仕組みがかなり定着してきたというような感じを受けておりますけれども、今回のブロック化ということになりますと、非常に利便性が阻害される。労使ともに室に足を運ぶということが非常にできにくくなるというのが1つの大きな問題点でございます。それともう1つは、では、それを監督署や公共職業安定所にやってもらえばいいのではないかという議論もあるかと思うのですが、これは、やはり監督署が司法警察権利をもって、言ってみればシロクロつけるための行政でございます。これは、差別を判定するというのは相対性をもった判断が必要である。独特のノウハウもございますし、制度だけではなくて、雇用管理の運用に踏み込んでこれを指導していく。このノウハウというのは、労働基準関係とはもう1つ違う部分がございます。そういうスタンスの違うものを1つの行政機関にやらせるというのは非常に難しいところがございますし、あと、ハローワークにやってもらうというのも、ハローワークというのは、残念ながらマッチングがお仕事でございまして、サーベルに近い規制行政を持ち込みますと、求人を集めるというのが非常に難しくなります。こういったところで、ある程度の役割分担をしつつ、総合的に労働行政を回していくというのがこれまで労働局がなしてきた役割だったと思っておりますので、これを1つにするというのはなかなか難しいだろうというふうにも思われます。
 そうしたことで、資料3-3になりますが、先般、労働政策審議会の私どもの行政を扱っていただきます雇用均等分科会でも御議論いただきまして、見解というのを出していただきました。この中で、やはり公・労・使それこそ三者が強くおっしゃられましたのが、労使双方にとって迅速・簡便・低廉な手段である労使紛争解決機能が損なわれるというのは非常によろしくないということ。それから、雇用均等行政と労働基準職業安定行政は異なる性格のものであって、これを一緒にすることが効率的・効果的とは思えないということでございます。こういうことに対して、やはり何らかの答えを見い出した形でないと、なかなかブロック化を進めていくのは難しいのではないかという御見解でございます。
 その後ろに付いておりますのは、こうした話は私どもの各分科会から出されまして、本審に当たります労働政策審議会でも2月5日に意見というものを出しております。1つは、ハローワークの縮小について今回勧告されておりますので、これは国としての全国ネットワークによる、しかも、雇用保険と表裏一体になって進められる職業紹介というもののあり方を考えたときに、ハローワークの縮小、地方移管というのは適切ではないという御意見。それから、都道府県労働局のブロック機関化についてでございます。これは私が先ほど申し上げたような話でございまして、いずれにしましても、国の仕事として整理されたものについて、どのような機関でこの機能を担うのが一番効果的・効率的なものなのかということを考えたときに、ブロック化というのは非常に問題があるのではないかというふうに考えざるを得ないところでございます。
 以上、御説明でございます。
鹿嶋会長
今、均等室は都道府県の県庁所在地にあるわけですけれども、それでも、私、均等室との付き合いが結構長かったのですが、県庁所在地から遠いところに住む人は使い勝手が悪い。今度ブロック化すると、更に県境をまたいでということになります。それから、やはり行政指導をするにしても、県境をまたいでとなるとやりにくいだろうし、ましてハローワークがそういうことをやるとなると、どうするのでしょうか。餅は餅屋で、男女共同参画の視点を持ってやれるのは都道府県均等室だろうと思っております。そういうこともあって、私どものこの専門調査会として見解なり要望書を出したいというふうに思っております。それが私が皆さんに意見をお諮りする趣旨でございますが、今日は安藤課長も来ていますので、何か御意見とか質問等があればお伺いしたいと思います。どうぞ。
畠中委員
意見は後で申し上げます。 質問ですが、雇用機会均等室のお仕事について、厚労省が分権改革委員会に御説明された経緯があるのかどうか。それと、分権改革委員会で雇用均等室のお仕事について議論があったのかどうかをお聞きしたい。
安藤課長
事務権限の見直しに当たりましては、一定のヒアリングがあったと聞いております。ただ、均等室について詳細に意見を述べさせていただいたということはございませんが、資料ベースでは、このような仕事であるということはお出ししました。ただ、その後の組織の見直しの段階では一切ヒアリングはしていただいておりません。
鹿嶋会長
ほかにどなたか御質問ありますか。あるいは御意見でも。
潮谷委員
たまたま熊本県で全国の知事会をいたしましたときに、やはり分権委からの提案の中で、私たちも地方にあるそれぞれの国の機関ということについては集約をしていくべきではないかという、そういう論議がございました。ただ、そのときに私自身は、実はハローワークのことだけではなくて、集約されていって、その機能がどのような道筋の中で従来と変わらないように展開できるのか、そのあたりのことがとにかく見え難いところがありますので、総論としては方向性に反対するものではないけれど、もう少しきめ細やかさというものが必要ではないかと、そんな話をさせていただいたところでした。
 それで、ハローワークのことに関してですけれども、実は第1次の中で、地方にいらっしゃる方々が国に吸い上げられていきましたね。あのときに、私たち行政の中では、本当にその後のフォローアップというのがスムーズでなかったんです。ですから、組織上の見直しと機能性をどうしていくのかという、ここがもう少し詰めていかれないといけないんじゃないか。本当に住民サービスということを考えたときに、この領域が住民サービスに更によくなるという、そういう機能的なものが見せられて初めて納得できるというふうに思いますので、その点についての論議はどんなふうになっておりますでしょうか。
安藤課長
これまでの議論の範囲内で申し上げますと、おっしゃったように、なかなか細かい議論が、 特に組織の見直しの段階では全くされていないのではないか。少なくとも、私どもは一切調整を受けたことがございませんので、先ほど申し上げましたように、例えばハローワークというのは単に紹介をするだけではなくて、その裏に雇用保険の仕組みというものがある。雇用保険の仕組みというものは、例えば自治体に下ろしてしまった場合に、自治体単位の雇用保険というのがあり得るのかというようなことについて、では、組織的にどのように答えを出すのでしょうというようなことも含めて、セットで答えをいただかないと、組織の見直しでハローワークを地方に移管するというような人的な削減の計画を見るとそのようになっているわけですけれども、それは難しいのではないかと思います。ここから先について、ではどうなるのかということにつきましては、私どももまだ具体的に3月末までの政府としての計画をつくる段階での調整というのも始まっておりませんので、正直申し上げまして、わからない状況でございます。
潮谷委員
それから、経験上ですが、私は知事になる前に労働調停員をほんの少しでしたけれどもやっておりまして、そこに相談においでになる方たちが本当に切羽詰まっておいでになっているんですけれども、経済的な保証とか、そういったものが自己負担の関わりでなされているということを考えると、一括されてしまって遠いところの中ででき上がるとなると、 私はやはり労働調停のことも含めて、いかがなものかなという感じがします。以上です。
鹿嶋会長
ありがとうございました。ほかに御意見があれば。
黒﨑委員
既に私たちというか、日本BPW連合会は年末から要望書を提出しておりますが、特に私は、先ほど例示されました長崎県で労働局に聞きましたら、離島を抱えているとか、県北と県南、島原は全く状況が違う段階で、そこまでも行けていない人がまだまだ隠れている段階で、今なぜこうなるのかというのが1つの議論です。
 それから、国はワーク・ライフ・バランス憲章などを出しておきながら、先ほど例示にもありましたけれども、男性が育児休業をとろうとしてもとれなかった事例がある段階で、法律をちゃんと施行できるようにするというのが国の役割でありながら、県の感覚でやっていると、県の担当者というのは余りにも近過ぎて、逆に指導もしにくいようなところもあります。そういう面では、将来的にはブロック化もあり得ると思うのですが、今は逆に、徹底して法律が均一に全国で実施できるような時期だと私は思っていますので、これは全く賛成できないと思います。
坂橘木委員
私は今日初めてこの話を聞いたので、全く無知の印象で言いますと、もし長崎でできなくて、 みんなが福岡まで行かなくてはいけないという問題が大きいのであれば、逆に労働基準監督署と公共職業安定所は地域にたくさんありますから、そちらに行ったら地域としてはもっと密着した作業ができるのではないかという意見が出てくるんじゃないかと思うんです。したがって、客観的に見て、労働基準監督署と公共職業安定所でそういう仕事がなぜできないかということをもっと明確に言わないと、地域が遠くなるから無理だという論理は余り通らないように私はこの話を初めて聞いて印象を持ちましたけれども。
黒﨑委員
よくある反論なんですが、先ほど言った法律と、その前の会議でも一緒ですけれども、男女共同参画という理念自体がまだ定着していないと私は思っていますので、そういう意味で、雇用均等室の指導というのは非常にジェンダーのバランスに優れた方がされておりますので、それを全く違うことをやっていた方に一任するというのはまだできない段階だと私は思っていますし、まだまだ駆込み寺的なところが足りなくて、今やっと増えてきているので、私はバランスのとれた方がいるところもあるのでしょうけれども、とても任せられない。本来、そこの機能としてやっているところじゃないところに任せるというのは、やはりそれは後回しになっていって、行く人が少なくなっていって窓口を狭くすると思っています。
鹿嶋会長
私も、いろいろ均等室と付き合ってきたいきさつから言えば、今、黒﨑委員がおっしゃったような、均等室のスタッフが全員、共同参画の視点を持っているかどうかというと、これはまた議論があるかもしれませんが、少なくとも他部局よりはそういう意識を持ってやっているセクションでありまして、それがなくなるということは、特に地方での女性の均等行政の一歩後退だろうと私は思っています。だから、これはやはり全部ブロック化の大枠の流れの中で均等室までなくすということ、都道府県から奪ってしまうということは、やはり男女共同参画社会の形成という我が国の最重要課題にとって大きなマイナスだろうというふうに思っています。
畠中委員
私は、意見を言うべきだと思っています。というのは、こういう分権の話は、まず、事務とか権限がどうあるべきかという議論があって、次に器の問題があるわけですよね。どうも聞いていると、雇用均等室については器の話が先行して、事務権限がどうあるべきかというのは余り議論されていないということですので、そこはきちんと意見を言うということが大事ではないかと思います。
 ただ、男女共同参画会議というのは権威の高い会議ですので、これは老婆心ですけれど、男女共同参画会議が地方分権に反対しているというふうに受けとめられないように事務局の方でも気をつけられたらいいと思います。
 それからもう1点、この話は厚労省の組織の問題ですから、厚労省とも十分協議されて、厚労省も努力される必要があるんじゃないかと思います。
鹿嶋会長
ありがとうございました。岡本委員、どうぞ。
岡本委員
私も均等分科会のメンバーとして既に意見を付議しているところですので、意見はここに書いてあるとおりですけれども、やはり均等分科会で意見書を出すと、先生がおっしゃったように、それは当たり前だよねというふうになりがちだと思うんです。ですから、男女共同参画という視点からも、この委員会で何らかの意見表明というものを出していただけたら大変うれしいと思いますし、長年、均等法とか、育・介休法とか、パート法ということの審議の議論に携わってきました立場からみれば、何がセクハラなのか、何がパートの差別なのかとか、不利益取扱いになるのかならないのか、実は判断が非常に難しくて、ガイドラインもいろいろ書いてありますけれども、かなり長い間、 労使へのヒアリングをしながら、そして判断をしていくということの行政なんだというふうに思いますので、そういった意味では、今の段階ですぐに労基署とか、ハローワークというところの担当の方たちがそれに対応できるというふうには私も到底まだ今の時点では思えませんので、そういったこともきちんと、先ほどおっしゃいましたけれども、なぜいけないのかということについても書かれるということも必要だろうというふうに思います。本来であれば、より一層充実してほしいぐらいのところです。
鹿嶋会長
ほかに御意見はよろしいでしょうか。
勝又委員
資料3-3のところで先ほど御案内があった、真ん中辺ですけれども、「記」の下の方で「労使双方にとって迅速簡便かつ低廉な手段として長年かけて定着してきた」と。この「低廉な」というのが私にはよくわからなくて、どういう根拠で「低廉な」ということをおっしゃっているのでしょうか。政策審議会の中でそういう資料が出されているのでしょうか。例えば、これに比べてこういうふうにする、今までよりも労使双方にとって低廉なということは、費用がかからないということですから、そういう根拠があってお話されていることかなというふうに伺えるのですけれども、そういう資料というのはこの審議会の方に出ているのでしょうか。
安藤課長
具体的な資料というのはありませんけれども、「低廉な」というのは、要は、こちらはただでやるわけです。当事者に来ていただいて、その間に立って、労働局から助言指導・勧告をする。あるいは、調停委員を中に入れて、事務局としてその案件について調査をし、判断をし、調停案というものをまとめる。このプロセスについては、労使から一切お金をもらうわけではございませんので、そういう意味では、裁判でありますとか、弁護士さんに御相談をされるとか、そういった私的な手段でなさった場合と比べても低廉であるというのはかなり共通した認識だと思います。
勝又委員
今、この議論の中で行政コストということを考えた場合に、ただで相談業務をやったとしても、調停をやったとしても、地方における厚労省の組織にかかっているお金というものは無関係で、ただ単に裁判所でやれば例えばこれだけ弁護費用がかかるというような話で「低廉」というようなお話をされているということでよろしいのでしょうか。
安藤課長
はい、そのとおりです。労使というか、個人に対するサービスとしての価値をここで述べているということでありまして、これが行政コストとしてどのぐらいかというのはまた別の視点かと思っております。
鹿嶋会長
これはよその分科会の話ですから。我々はこういう表現は使わないと思いますので。
 ありがとうございました。それでは、今の議論を踏まえて、当専門調査会としての意見をまとめて対外的に公表したいと思うのですが、意見のポイントは、都道府県労働局のブロック機関化によって、都道府県単位で雇用均等室の機能が維持されないということになれば、労働者、事業主双方にとって身近な相談窓口や迅速な労使紛争解決の手段が失われて、労働者の権利の救済に大きな影響を及ぼし、男女共同参画の観点からも問題ではないかという視点で、これは橘木委員もおっしゃっていたような、監督署、安定所になぜ任せられないんだというふうなこと、そういうのも念頭に置きながら文書をまとめる必要があると思います。
 それから、今後予定されている国の出先機関の見直しに当たっては、現在、都道府県単位で雇用均等室が担っている機能が維持されて、その行政効果が十分に発揮されるよう慎重に検討していくことが必要だと考えるということで、それらをポイントとして意見書をまとめたいというふうに思っておりますが、よろしいでしょうか。
 それでは、公表案については、時間が限られていますので、事前に各委員にお知らせして御意見をいただきたいというふうに思っております。 それで、最終的な意見の内容とか、公表の仕方については、私、会長の方に一任ということでよろしくお願いしたいと思います。そういうことでぜひお願いしたいと思いますが、改めて念を押しますが、よろしいでしょうか。
坂橘木委員
橘木ですが、私は今日初めてこの話で、これで会長一任というのはちょっと早過ぎると思いますけれども。
鹿嶋会長
時間的な問題があって、それでは、今週、先生と少しメールか何かで、どうするかということをやりとりしますか。
袖井委員
文案は回していただけますね。
鹿嶋会長
もちろん文案はお見せするわけですが、そのときに、いわゆる専門調査会の名前で出していいのかどうかということですね。専門調査会で出すとすれば、全員の了承が必要なわけです。
坂橘木委員
では、書類を回してください。そして、そのときに私の意見を決めます。今の段階では、繰り返しになりますが、職業安定局とか、そちらの方に回した方がもっと効果的にできるという案もあり得ると思うんですよね。 身近にございますから。長崎らか福岡に行くよりも、そっちの方が近いと。では、どういう人をそっちの方に移したらいいかという議論まで含めてしていただいて、納得したら私は賛成しますが、今の段階ではまだ私は賛成できません。
安藤課長
1つだけ御参考までに申し上げておきますと、私どもの行政は大変小さな行政でございまして、全国で 240名ほどしか地方組織におりません。それで都道府県に1つずつの雇用均等室というものに職員が張りついて、法の施行を先ほど見ていただいたような数をこなしているわけでございます。一方、安定所は、ハローワークは全国に 550ほどございます。監督署も 300ちょっとございます。そうなりますと、私どもの今いる職員を全部ばらまいても足りないというのが実のところの状況でございまして、そういう意味では、仮に署所にやらせるというような形にしたとしましても、かなりの工夫が必要ではないかというのが実態的な面でございます。
坂橘木委員
実態はよくわかりますが、では、なぜ地方分権会議からこういうような案が出てきたかという説明が余りなかったんですよね、今日のお話だと。反対が先に出てきて、なぜ地方分権審議会がこういう案を出してきたかという説明が余りなかったので、そっちの意見も聞かないと公平に判断できないという印象を持ちましたけれども。
鹿嶋会長
そこは、これは推察でしかないのですが、いわゆる労働局のブロック化という大枠があったのですが、 均等室をどうするかという議論はたぶんなかったと思うんです。要するに、労働局をどうするかという中で、均等室もその中にくっついていますから、いわゆる一緒にブロック化してしまうという流れになったと思うんです。均等室をブロック化する是非は議論はたぶんなかったんじゃないかと、推察ですが、私はそう思うんです。ところが、実際そうなってしまうと大変だということで、我々はこういうふうにするということになったんです。だから、過去にどういう議論があったかというのは無理ですね。それはたぶんないですよ。均等室に関連してはね。労働局はありましたよ。
板東局長
我々も今日議題に上げさせていただく前に、地方分権委員会の方でどういう議論があったのかというのを確認させていただいたのですが、議事録その他を見ても、この話は全く出てこないんです。結局、労働局のブロック化自体の一つ一つの機能を今担っている事務・権限なり、細かな業務の進め方なりを議論した結果、全体をという議論にはなっていなくて、この均等行政の話は、正直言いまして議論の中から抜け落ちてしまっている。それで、今日その部分についてきちんとした機能がちゃんと果たしていけるのかという議論がやはり必要なのではないだろうかというところで、ここの専門調査会の方で御議論いただけたらありがたいというふうに思ったわけでございます。つまり、非常に乱暴な議論で進んでいってしまうんじゃないかと。
坂橘木委員
乱暴な議論に我々は乱暴でイエス・ノーを言えませんね。
板東局長
ただ、放っておきますと、そういう状況で、実際の機能が果たされないという懸念が非常に強い。ですから、それに対して何らかの警告というものをやはり男女共同参画会議としても発していくべきではないだろうかということでございます。
袖井委員
私、第1次の地方分権の専門委員会の委員をしていまして、そのときも婦人・少年室はつぶしてしまえという意見がありました。ともかく行財政改革で何でも減らせ減らせという意見だったんです。そのときにも、婦人・少年室の仕事は基準監督署でできるのではないかという話もありました。それに対して、基準監督署は、男女共同参画の視点がないからだめだというような意見もありました。今現在の段階ではやはり残すべきだと思うのですけれども、基準監督署にも男女共同参画の視点を持ってほしいと、そういうことも言っていかないと、消えゆくもので意義があるから要ると言っていくのはなかなか難しいと思うんです。婦人・少年室は雇用均等になったんですけれども、ものすごくスタッフが少なくて、それなりに一生懸命やっていらっしゃるんですけれども、いろいろな面で不十分な面がかなりあるので、なぜ今これは残していかなければいけないか、それから将来的にどう考えるかですね。将来ともこれでずっといくのか、その辺のところは、ともかくつぶされるから残さなければいけないだけではちょっと弱いので、何か将来的な展望みたいなものもちゃんと説明していかないとちょっと弱いかなと思います。
鹿嶋会長
ただつぶされるから残すということでもなくて、では、ワーク・ライフ・バランスから、育児休業から、いわゆる均等推進まで誰がやるかというと、それは安定局とかハローワークは絶対にやらないですよね。
袖井委員
ハローワークはやらないけど、基準監督署はもう少し男女共同参画の視点が欲しいんですよね。
鹿嶋会長
もちろん、それはそうですが、別な男女共同参画の視点であって、では、今言ったようなところをやるかというと、私は絶対やらないと思うんですよね。
袖井委員
それはやりません。今はね。
鹿嶋会長
そうだとすれば、そちらの議事録を読んでみますと、たぶん均等室の議論抜きでブロック化という大枠ができたんですよ。だから、我々はあわてたわけで、ではどうするかという話になって、これはどう見ても男女共同参画社会の形成ということから言えば、一歩じゃなくて、二歩も三歩も後退だと思うんです。だから、やはり何らかの形でこういうメッセージを遅まきながら出すしかないというふうに思うんですけれども。
袖井委員
だから、やはり背景的なことも書いておかないと、ともかく残せだけではちょっと弱いなと思いました。
鹿嶋会長
それはそうですね。それはぜひ書きたいと思うのですが、どうでしょうか。いずれにしても、意見書を書いたら各委員のところに配られますので、それで橘木委員もぜひ判断してみてください。私としては、ぜひ専門調査会一致まとまって出したいというのが個人的な意見ですが、よろしくお願いします。何かもう少し言っておきたいことがあれば。よろしいですか。
畠中委員
ちょっと補足的に申し上げますと、この出先の議論は、当初は地方との二重行政ということで原則廃止の議論だったんです。国税局とか、そういうのは別として。経産省の出先とか、国交省の出先とか、そういうものも含めて全部原則廃止。地方にやらせればいいという話だったんです。しかし、それはなかなか難しいということもあって、ブロック機関に集約というふうに最終的になったんです。その経緯は余り詳しくは知りませんけれども。そのときに、労基とか職安の機能については議論があったんですけど、さっきも言ったように、雇用均等室については議論が全然なかったんですよね。ただ、器を集約しようというだけで。だから、意見としては、さっき会長がおっしゃったことでいいのですが、雇用均等室の仕事が国の仕事として必要なんだということをまず訴える必要があると思うんです。これは地方でもやれるじゃないかとなると残す必要はなくなりますから、国の仕事として必要なんだということをまず訴えて、そのためには、器といいますか、どういう仕組みが必要か。少なくとも都道府県単位でそういう仕事をしていくというのは必要だということになるんですよね。その議論がなかったものだから、男女共同参画会議の調査会としても、やはり必要なことはきちんと言っておくべきだと私は思います。
鹿嶋会長
ありがとうございました。
 それでは、いずれにしても、文案をつくりまして皆さんの方にお送りいたしますので、それで更に御意見をいただければというふうに思っております。 その文案につきましては、今、畠中委員、それから橘木委員もおっしゃったようなこと、更には袖井委員もおっしゃったようなことは十分踏まえて書きたいと思っております。
 それでは、これで第33回監視・影響調査専門調査会及び第7回の生活困難を抱える男女に関する検討会を終わりにしたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

(以上)