男女共同参画会議女性に対する暴力に関する専門調査会(第47回)

  • 日時: 平成21年8月11日(火) 15:00~17:00
  • 場所: 永田町合同庁舎第一共用会議室
  1. 出席者
    会長
    岩井 宜子 専修大学法科大学院教授・副院長
    委員
    伊藤 公雄 京都大学大学院文学研究科教授
    大津 恵子 日本キリスト教婦人矯風会理事
    奥山 明良 成城大学教授
    神津 カンナ 作家
    後藤 啓二 弁護士
    後藤 弘子 千葉大学大学院教授
    小西 聖子 武蔵野大学大学院教授
    林 陽子 弁護士
    原 健一 佐賀県DV総合対策センター所長
    平川 和子 東京フェミニストセラピィセンター所長
    諸澤 英道 学校法人常磐大学理事長
  2. 議題次第
  3. 概要
    • ○岩井会長より、林委員が会長代理に指名された。
    • ○男女共同参画基本計画(第2次)を踏まえた、本専門調査会における今後の議論の進め方について事務局から説明
    • ○男女共同参画基本計画(第2次)、女性に対する暴力の現状、平成20年度男女間における暴力に関する調査結果及び総務省による政策評価における勧告について事務局から説明。
    • ○基本計画改定に関する進め方及び方向性等について、委員による自由討議。

    (基本計画改定に関する質疑・自由討議)

    • ①基本計画改定を議論するに当っては、基本問題・計画専門調査会において、何が議論されているのかの情報共有を適切に行いながら進めていただきたい。
    • ②女子差別撤廃条約(CEDAW)の勧告等が、改定に適切に反映されるよう、国連の動きについて、本調査会にも適宜情報提供してほしい。
    • ③女性に対する暴力の実態に関するデータについて、現行のデータより、もっと実態が把握できるよう工夫してはどうか。
    • ④暴力の問題は、当事者がそれを暴力と認識できているかという視点、被害者が相談できるかという視点、相談を受ける側がそれを解決できるかという視点の3点に分けて考えるべき。認識については、どのようなものが犯罪になり得るのかがわかるような啓発活動が必要。相談先による解決ついては、相談先によって、解決に格差が生じないようにすべき。
    • ⑤基本問題・計画専門調査会で配布された各分野の重点事項について、どのようなWGが作られて何を議論するかがわかる資料を、次回は参考例として配布していただきたい。
    • ⑥人身取引について、検挙件数と被害者数が最近減ってきているという既存データにおける人身取引の定義を知りたい。アメリカが日本をまだ要監視国と位置づけていることについてどう考えるか。政府の取組に少し問題があるのではないか。
    • ⑦人身取引の被害者を婦人相談所で保護できるようになってから、地方公共団体は、有料の民間シェルターに被害者を送らなくなった。そのため、民間シェルターで被害実態が見えなくなってしまった。24時間のホットラインや民間シェルターへの支援も必要である。
    • ⑧DVや性犯罪の被害者で警察等に相談した割合が極めて低い。このような状況の中で、警察の認知件数が減ったというデータを基に議論するのは危険である。必ずしも既存データからは被害者の全体像が見えていないことを考慮に入れて議論すべき。
    • ⑨女性に対する暴力の中でも、特に児童に対する暴力、性犯罪が大きな問題であるが、多くが社会から無視されており、家庭内の性犯罪は顕在化してこない実態がある。
    • ⑩児童ポルノがインターネット上で誰でも見られるような形で蔓延している。それについても、女性に対する暴力の問題として検討課題にすべき。
    • ⑪公的なシェルターに入れてない、或いは、民間シェルターにおいても十分に保護されないDV被害者や性犯罪被害者が多いことをもっと見える形にできないか。
    • ⑫第2次基本計画にない新しい問題についても考えるべき。逆に、ある程度対策の推進により沈静化してきている事項は比重を軽くするなどメリハリをつけていくことが大事。
    • ⑬CEDAWからの勧告についても、次回、資料を回付して問題を共有すべき。また、国連の「女性の地位向上部」が作成した女性に対する暴力に係る法制度のチェックリストもあるので、次回紹介したい。さらに、難民女性、外国人女性、障害女性等の暴力被害者が抱える複合差別の問題もある。インターネット上での人権侵害への対処については現行計画には入っていない。もっと視点を広げるべき。 
    • ⑭バーチャルな分野での性暴力表現の問題、子どもに対する性暴力の問題はもっと踏み込んで議論すべき。先進国の多くでは、ポルノグラフィーはいいが、暴力による強姦は原則禁止である。我々は女性に対する暴力の問題として、特に青少年に悪影響を与える性表現、特に暴力による性行為に対して、もっとはっきりと意思表示すべきではないか。
    • 複合差別の問題及びサイバーの問題は、繰り返されてなかなか断ち切れないことが問題である。暴力の問題に複合的要因とサイバー的要因が加味されると、繰り返されて終わらないという意味で、非常に重要であり、肝をすえて取り組んでいくべき。
    • ⑯市町村の支援能力の差が大きく、住んでいる所によって支援の格差があるので、市町村の支援レベルの均一化も議論したらどうか。
    • ⑰最近、困難事例が増加してきており、DVだけでなく、虐待、ポルノ問題、精神疾患、経済的困難などが一つの家庭で起きている。その解決のためには、縦割り的な発想を止めて各機関の柔軟な連携が必要である。そういう視点も必要。
    • ⑱DV家庭の子どもが母に暴力をふるうなど、時間を追って暴力の問題が連鎖していくことから、DV家庭の子どもに対する中長期的な支援というものも視野に入れるべき。
    • ⑲被害者支援については、地方自治体の現状の力量でどこまでできて、どこから政府の支援、都道府県の支援が必要なのか、どういう形でネットワークが作れるのかという問題が重要であり、議論していくべき。
    • ⑳統計上には表れてきていないような人達の状況をどう把握し、その数をどのように減らしていくかという視点を、今後の目標にきちんと盛り込んで検討していくべき。

    (その他)

    • ○第46回専門調査会議事録(案)が提示され、了承された。