男女共同参画会議女性に対する暴力に関する専門調査会

  • 日時: 平成20年3月24日(月) 10:00~11:46
  • 場所: 内閣府3階特別会議室
  1. 出席者
    • 岩井 会長
      伊藤 委員
      大津 委員
      大槻 委員
      奥山 委員
      垣見 委員
      小西 委員
      袖井 委員
      林  委員
      平川 委員
      前田 委員
      内閣府
      警察庁
      文部科学省
      厚生労働省
  2. 議題
  3. 議事内容
    岩井会長
    それでは、時間になりましたので、「女性に対する暴力に関する専門調査会」の第46回会合を開催いたします。
     それでは、議事次第に従いまして進めさせていただきます。議事次第の2「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のための施策に関する基本的な方針の改定について」でございます。
     当専門調査会では、昨年3月に「配偶者暴力防止法の施行状況等について」の報告書をとりまとめ、前回の調査会において、基本方針に盛り込むべき事項について審議を行ったところですが、基本方針が本年1月11日に改定されましたので、その内容について内閣府から報告をしていただきます。お願いします。
    日原調整官
    それでは、去る1月11日の改正法施行の日と同日に4省庁において告示いたしました改定後の基本方針について御説明をさせていただきます。
     今回の改定に際しましては、なるべく具体的に詳しい記述をという御指摘を各方面からちょうだいし、結果として、お手元にお配りしております資料1-2の白表紙の冊子として改定後の基本方針をまとめてございます。その冊子の冒頭に概要がございまして、オレンジの仕切り紙の後、本文、そして最後に御参考までに法律という形になっておりますけれども、52ページにわたる大変大部なものになっており、ここでは、お手元のA41枚で、資料1-1ということでポイントの方を御用意させていただいておりますので、それに基づきまして御説明をさせていただきたいと思います。「配偶者暴力防止法に基づく基本方針の改定」という1枚紙でございます。
     まず、見直しに至る「経緯」でございますけれども、配偶者暴力防止法では、都道府県基本計画と市町村基本計画の指針といたしまして、国が、具体的にはこの法律を所管するところということで、内閣総理大臣、国家公安委員会、法務大臣及び厚生労働大臣が関係行政機関の長と協議をいたしまして基本方針を定めることとされております。
     最初の基本方針でございますけれども、平成16年に策定をされておりまして、市町村の役割強化などを内容といたします今回の法改正などを踏まえまして、法改正の施行と同じ去る1月11日に見直し後の基本方針を告示したものでございます。検討に際しましては、この専門調査会での御議論をお願い申し上げましたほか、国民からの意見募集を実施いたしまして、これまでいただきました御指摘、御意見を踏まえまして見直しを行ったものでございます。
     なお、国民からの意見募集ということでいただきました御意見の概要につきましては、昨年9月18日のこの専門調査会で概要の方を御説明させていただきましたけれども、本日、資料1-3ということでお配りをいたしておりまして、最初の方のページは9月に御説明をさせていただきました全体の件数など、ごく概要をまとめたものでございますけれども、その後に19ページまでございますものは、いただきました御意見、これも概要になりますけれども、少し詳しくまとめさせていただいたものでございます。御参考までに本日お配りをさせていただいております。
     資料1-1に戻らせていただきまして、次に「改定のポイント」の部分をお話させていただきたいと思います。大きく3つに分かれておりまして、まず1点目、「法改正を踏まえた都道府県、市町村の役割の明確化」でございますけれども、御案内のとおり、今回の法改正では、市町村の役割の強化、具体的には市町村におきます配偶者暴力相談支援センターの設置、基本計画の策定、この2つが努力義務化をされております。これが改正法の柱の1つであったわけでございますけれども、これに併せまして、想定されます都道府県と市町村の役割に関する基本的な考え方を、基本計画の留意事項という形で新たにお示しをいたしております。
     括弧の中にございますように、まず都道府県でございますけれども、都道府県につきましては、この配偶者暴力防止法施行からこれまで、ほぼ6年にわたって被害者支援の御経験をお持ちでございますし、あるいは専門の職員の方が配置された婦人相談所も置かれている。そういったことから、被害者支援の中核としての役割を果たしていただきたいということ。
     もう少し具体的に申し上げますと、そこに3点お示ししてございますけれども、一時保護などの適切な実施、また、これから基本計画の策定ですとか、支援センターの設置に取り組まれます市町村に対する情報提供や助言など、市町村への支援、また、この問題に関係される職員の方、職務関係者の方に対する研修など、ある程度広域的に実施した方が効率的に進められる、効率的な取組みが可能であるという事項などに関しましては、是非都道府県で積極的に取り組んでいただくことが望ましいという点をお示しいたしております。
     一方、市町村の方でございますけれども、身近な行政主体として、生活に密着したといいますか、被害者の方のそばで、身近なところで行われることが重要であるという役割、また、基本的な行政サービスを所管されているという立場から、きめ細かな対応ができると、そういう基本的な役割につきましては、どの市町村でも積極的に取り組んでいただきたいということで、具体的には、そこにございますように、相談窓口を設けて、被害者の方に支援に関する基本的な情報の提供を行う。2点目としては、一時的な避難場所の確保などによりまして、緊急時における安全の確保を行う。3点目として、一時保護などの後、被害者の方が地域で生活されます際に、関係機関などとの連絡調整を行って、自立に向けた継続的な支援を行う。そうした3点を基本的な主な役割として想定をいたしております。
     ただ、この問題につきまして、それぞれの地域で直面されている課題、あるいは取組みの状況は地域によって大きく異なっておりますので、是非地域の状況に合った役割分担としていただきますように、都道府県と市町村の間でそれぞれの基本計画の策定でありますとか、あるいは見直しに際しましては、十分御相談をお願いしたいということを併せて挙げております。
     それから、改定の次の柱でございますけれども、「先駆的な取組の提示」でございまして、先進的な都道府県や市町村で既に実施されております好事例を、望ましい取組みという形で提示をいたしております。基本方針の全文、本文の全体ということになりますと、それぞれの項目でいろいろとこういったものを挙げさせていただいておりますけれども、主なものとして2点御紹介をさせていただきたいと思います。いずれも昨年3月にこの調査会におけるとりまとめの中でも御指摘をいただいた事項でございまして、具体的には、資料の(1)にございますように、「関係機関との手続における被害者の支援」ということで、自立支援ということになりますと、本当に必要な手続が多くなってまいりますけれども、その手続を進める際の一元化、関係機関との連絡調整を行うことですとか、共通の様式を設けること、ワンストップ化などを挙げております。それから、被害者の方がそういった諸手続をされる際の同行支援につきましても、その必要性ですとか意義を挙げますとともに、望ましい取組みとして位置づけをいたしております。
     それから、第2点目でございますけれども、(2)にございますように、「関連する地域ネットワークの活用」ということでございまして、児童虐待ですとか、高齢者の方の問題など、大変関連の深い分野で共通する参加機関がそれぞれに連携の会議を開くこと、これが大変といいますか、どうなんだろうというお声もありますので、地方公共団体によりましては、例えば、家族に関する暴力の問題ということで、関連する分野と一緒に情報交換の場を持つといった方法を取っておられるところもございまして、そうした取組みの検討についても、この中で触れております。
     それから、ポイントの3番目になりますけれども、この専門調査会でおまとめいただきました報告書、また、国民からの意見募集でいただいた御指摘などを踏まえて、今回見直した点が多くございます。その一部をこちらで御紹介をさせていただいております。
     まず第1点目が「都道府県・市町村基本計画における基本的視点」でございます。都道府県の方は、昨年3月までで全都道府県が基本計画を策定されておりますけれども、市町村の場合は、今回初めて基本計画の策定に取り組まれるという市町村もございますので、被害者の立場に立った切れ目のない支援、関係機関の連携など、都道府県基本計画、市町村基本計画に共通しました策定・見直しの上での基本的な視点を示しております。
     2点目、保護命令の通知を受けた場合の対応でございます。保護命令が発令されたということを知って、加害者からの追及が強まる場合が想定されますので、このたびの法改正では、被害者の方の安全確保を目的としまして、保護命令の発令後、それまで被害者の方が相談されていました配偶者暴力相談支援センターに対しまして、裁判所から保護命令が発令されたという旨の通知がなされるということとされました。このため、この改正を踏まえまして、基本方針では、その通知を受けました後の安全確保の具体的な内容、例えば、通知を受けた支援センターが速やかに被害者の方と連絡を取っていただいて、安全の確保ですとか、あるいは親族などへの接近禁止命令も出されております場合には、親族などの方へその旨、被害者の方から連絡していただくことなど、保護命令発令後の留意事項について情報提供していただきますよう、また、警察と連携を図って被害者の安全の確保に努めていただきますようお願いをいたしております。
     それから、3点目の「教育啓発等」でございます。内閣府で実施しましたこれまでの調査におきましても、男女間の暴力を防止するために必要だと考えることとしまして、「暴力を防止するための教育」という回答が最も多くなっております。こうしたことから、若年層への教育啓発が重要であるということで、特にその項目を設けておりますほか、被害者とともに暮らすお子さんが住民票を移していらっしゃらない場合の保育ですとか予防接種の取扱いへの配慮ですとか、支援センターと学校や保育所などとの連携について盛り込んでおります。
     最後に、「基本方針の実施状況の評価」でございます。基本方針については、これまでは策定後3年後に見直すという規定がございましたけれども、今回の見直し後の基本方針では、今後必要なときに必要な見直しを行うという考え方に立っておりまして、見直しの時期を定めておりません。施策の実施状況の把握、それから評価に関する記述をしているということでございます。
    岩井会長
    ありがとうございました。それでは、ただいまの説明についての御質問がありますでしょうか。かなり大部の基本方針が定められております。どうぞ。
    伊藤委員
    ありがとうございました。前回、内閣府もシンポジウムをやったわけですけれども、いわゆるデートDV、恋人、元恋人からの暴力問題について、地方自治体などは今、かなり動き始めていると思うんですけれども、そういう問題についての対応みたいなものは、サジェスチョンみたいなものはされておられるのでしょうか。
    日原調整官
    ただいまデートDVに関する取扱いについての御質問をいただきました。交際相手からの暴力の問題につきましては、若年層に対する教育啓発の一貫ということで、若年層に対して、配偶者の問題は勿論ですけれども、交際相手からの暴力の問題について考える機会を積極的に提供することが有用であるといったようなことを新たに示しております。
    伊藤委員
    恐らくそうだろうと思ったんですけれども、今後の対応かもしれませんけれども、デートDVについては動きが始まっているところでございますので、やはり何らかの方向性、どういう対応が可能なのかという示唆でも結構なんですけれども、それを示していくことが今後必要なんではないかなと個人的には思っております。
    岩井会長
    ほかにありますか。
    塚崎推進課長
    今のことと関連してですけれども、後ほど予算の関係の説明をさせていただくときにお話ししようと思ったのですが、来年度の予算の中で、若年層の予防啓発の教材をつくっていくということを考えております。これは昨年、それから今年度、モデル事業をした結果を踏まえて作成するということです。
    岩井会長
    ほかに何か御意見ございますか。どうぞ。
    林委員
    質問なのですが、50ページのところに「加害者の更生のための指導」という項目がございます。これは私が昨年欠席している間に御報告がもう既になされたことかもしれませんが、法務総合研究所による「ドメスティック・バイオレンスの加害者に関する研究」というのは、もう成果が公表されているのでしょうか。文章を見ると、「研究を行ったところである。」と現在完了形で書いてありますので、これがどうなっているのか教えてください。
    法務省
    今の点に関しまして法務省から御説明いたします。今、お尋ねのありました研究に関しましては、研究書自体は既に完成をしておりますが、公表をどのような形で行っているかということは正確には承知しておりませんので、追って確認した上で御回答したいと思います。
    岩井会長
    恐らく研究報告書で出ているんですけれども、ただ、刑務所に入っている人たちが対象です。ですから、かなり限られたものになっているということです。
     ほかに何か御意見ございませんか。どうぞ。
    大津委員
    加害者に被害者の住所、居所を知らせないようにするということが書かれているのですが、HELPに来られた方が新しい場所へ移ったときに、弁護士が役所に行って住所地を知ってしまったということがあります。その場合に、役所に弁護士が来られて住所地を明らかにするようにと言ったときに、それを拒否できないというふうにその役所の方はおっしゃったそうですが、それは弁護士法か何か、そういうところできちっと定められたものがあるのでしょうか。弁護士の方にお教えくださればありがたいのです。
    岩井会長
    法務省、よろしいですか。
    法務省
    法務省でございます。お尋ねの点に関しまして、今、詳細を承知しておりませんが、恐らく弁護士の方がそのような情報を入手される際の対象の役所というのが何点かあるのではないかと思っております。1つは市役所などの住民票の閲覧の関係、あとは、刑事事件になっております場合ですと、検察庁、あるいは裁判所などで事件記録を担当の弁護士であれば見る可能性がございますので、そちらによって事情を知るということがあり得るのではないかというふうに考えております。
    岩井会長
    よろしいですか。
    大津委員
    その場合に、せっかく新しいところに逃げたのに、弁護士がその女性の居所を突きとめてしまって、加害者である夫に知らせてしまったということがあるんですけれども、その場合に、この基本方針の中では居所を知られないようにするようなことが書き込まれているんですが、それでは結局、防げない。例えば、外国籍の方の場合には、外国人登録証の中に住所地が書かれています。そうしますと、日本人の場合は防げたとしても、外国籍の方の場合には防げない事情が出てくるのではないかという恐れがありますので、その辺りをもう少し議論していただけますようにお願いいたします。
    岩井会長
    どうぞ。
    奥山委員
    質問ではないんですけれども、先ほど御説明いただきました基本方針の改定の2の「先駆的な取組の提示」ということで御説明いただきましたところで、最初の行の「先駆的な都道府県・市町村における好事例を、望ましい取組として提示。」という形で書かれて、御説明いただいたんですけれども、これは既に都道府県・市町村において、この目的のために実施されているような事例がこちらに例として挙がっているという意味なんでしょうか。もしそれなら、これの何ページぐらいに書かれているのか確認をしたいんです。これはベンチマークの提示ですね。
    日原調整官
    今、お話しいただきましたように、この基本方針の見直しに当たりましては、いろいろな現在の法律に基づく施策の実施状況、地方公共団体の御協力を得まして、いろいろとお話を伺ったり、あるいは資料をちょうだいしたりして検討を進めてまいりました。御指摘をいただきましたとおり、手続の一元化、同行支援、いずれも先駆的な、熱心な地方公共団体で取組みをいただいておりまして、この2点で申し上げますと、冊子の35ページ「第2-7被害者の自立支援」の中でございます。ここにゴシックで「ア 手続の一元化」「イ 同行支援」とございますけれども、こちらの部分のことを、概略を先ほど御紹介させていただいたということでございます。
    奥山委員
    ありがとうございました。
    岩井会長
    今度から相談窓口も都道府県と市町村というところでかなり拡大されたと思うんですけれども、今も手続の一元化というところがありましたが、どこにまず行けば一番効果的なのかというふうな、そういうところでまた迷う部分が出てくるのではないかと思うんですが、統一的な電話番号とか、そういうふうなものは周知されているのでしょうか。
    日原調整官
    ただいまの御質問は、どこに相談に行けばいいかということが被害者の方にちゃんと伝わるようになっているのかということであると思います。大変重要な問題で、今、課題になっている点でございまして、まず、この基本方針の中で申し上げますと、内容としましては24ページと25ページでございます。今回、「相談窓口の周知」という項目を新たに設けまして、これまでも大分御尽力はいただいていますけれども、重ねて被害者の方がどこに連絡すればいいのかということがわかるように周知をお願いしたいということを改めて強調いたしております。
     それから、24ページから始まります「ア 相談窓口の周知」の最後の部分、25ページにまいりますけれども、支援センターの設置はやはり何らかの形で難しいといった市町村におかれましても、相談窓口、情報提供の窓口は設けていただいて周知を行うことが望ましいということでお願いしております。
    岩井会長
    どうぞ。
    大槻委員
    周知したいとか要望したいとか、いろいろわかるんですが、具体的にはどういうような方法で周知をするのかということを言っているんですか、それとも言っていないんでしょうか。
    日原調整官
    今回の基本方針の改正からは少しはずれてしまいますけれども、広報のリーフレットや、配偶者暴力支援センターの一覧が付いたパンフレットはこちらでも随時配布し、各地方公共団体で使っていただけるようにお願いしておりますほか、私どものホームページにも一覧を載せているところでございます。
    大槻委員
    それは従来やってきたこととは違うことですか。
    日原調整官
    これらの取組みは従来やってきたことでございます。
     それから、来年度の新しい取組みといたしまして、相談窓口がなかなかわかりにくいという御指摘を踏まえまして、全国の、なるべく共通の形にしたいと思っているんですけれども、共通の電話番号を決めまして、地方公共団体の御協力を得て、そちらの電話番号にかけていただければ、その状況に合わせて、どこの機関に相談すればいいかということを御案内させていただくような、そういった取組みを新たに始めたいと考えております。
    大槻委員
    ありがとうございました。
    岩井会長
    どうぞ。
    平川委員
    今のことに関連するかと思うんですけれども、改正法が実施されて以降に、私たち民間シェルターに入られた方がいらっしゃって、その方が今の相談窓口の周知のことに関して非常に不便を感じていらっしゃったという例があるので、その例を挙げさせていただいて、今後こういうことがないように、どういうふうにできるのかということをお願いしたいんです。
     埼玉県の方だったんですけれども、私たち民間シェルターと埼玉県は委託関係にありまして、埼玉県のある市と連絡を取り合って、私たちの方に被害者の方が入所なさったんですけれども、その方が生活保護を受給なさっていたので、今後、生活保護を継続するためにどうしたらいいかということで、市と私どもが連絡を取り合っていたんです。そうしましたら、埼玉県の婦人相談所の方に一度入所していただかないと生保が継続できないというふうな問題がありまして、市の方も埼玉県の支援センターと何度も連絡を取り合ったり、私たちの方にも来ていただいたんですが、結局は生活保護の継続ができずに、その方は一回民間シェルターに入所なさったんですが、もう一回婦人相談所に入所して、次の自立支援の方法を対応していくということになったんです。その被害者の方にとっては2回も入所するというようなことになりますので、本人にとっても、私どもにとっても、市の方たちにとっても、非常に困難を感じた例がありました。
     今後、市の対応ということと、県の今までの対応ということが、連絡が取れなかったり、それぞれが周知していなかったり、被害者の方がどこに行けば一番的確に、迅速に対応してもらえるのかということを、多分、これからしていかなければいけないんだろうと思うんです。そういうことを具体的な例として私たちは経験して、こういうことがあったときにはどうしていったらいいんだろうかということを疑問にも思い、今後、何とかこういうことが起きないようにしていただきたいなと思いました。
    岩井会長
    厚生労働省の方、よろしくお願いいたします。
    厚生労働省
    厚生労働省でございますが、今、平川先生からお伺いした範囲では、私もなぜそうなったのかよくわからないです。本来、婦人相談所の一時保護所に入所する、入所しないということと、生活保護を受けるか受けないか、あるいはどこの市から生活保護を受けるか受けないかというところは制度的にリンクしているようなことではございません。また後ほど詳しく教えていただくか、あるいは私どもが県なり市なりに具体的に事情を聞いてみて、どうしてそんなことになったのか、きっちり分析をしてみたいと思います。
    大津委員
    この専門調査会でも、日本人夫と結婚している外国人女性の方のことを私はケースワークとして発表させていただきましたが、今回、この基本計画の中で、ビザの手続をしないがためにオーバーステイになった女性のことでは、警察庁や法務省の方々に少し書き込んでいただいたことで、私たちのような外国籍の女性を支援するシェルターや民間団体では、前に進めたというふうに喜んでおります。そういう意味では、厚生労働省の方を含めて、私たちは今まで、できていない、できていないというふうに言ってきたんですけれども、一緒にこの問題をいろんな方たちとつなげていくことができたことは本当に喜ばしいと思っています。いつも批判ばかりしておりますが、そうではないときもあってもいいかなと思って、感謝いたしております。これからもよろしくお願いいたします。
    岩井会長
    袖井委員、どうぞ。
    袖井委員
    私はどちらかというと高齢者問題が中心なんですが、DVというと、どちらかというと若いというか、お子さんのいるような方のDVの問題がいつもクローズアップされているんですが、高齢の夫婦におけるDVも結構あるんです。25ページ辺りに、例えば、児童相談所との連携ということが挙がっていますけれども、扱うところが違うというのは私は本当はよくないと思っているんですが、高齢者虐待ですと、地域包括支援センターがやっているわけです。高齢者虐待防止法では、措置によって、被害に遭った人は老人ホームに措置入所できるとなっておりますが、例えば、関連の深い分野との連携というところで、地域包括支援センターのようなものも考えられているのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
    日原調整官
    ただいま高齢者虐待の問題との連携について御指摘をいただきまして、地域包括支援センターを初め、高齢者虐待に関係する関連機関につきましても、この配偶者からの暴力の問題に関します連携協力の相手先といいますか、関係機関として含まれるものと考えております。
     ただ、ただいま御指摘をいただきましたように、高齢者虐待の方で関係者の方が御努力されておられますネットワークですとか、支援の仕組みとどういうふうに連携、協力していくということが一番被害者のためになるのかということにつきましては、今後の課題の1つということで、いろんな実例とか、またお話を伺わせていただきながら検討していきたいと思っております。
    岩井会長
    ほかに何かございませんか。どうぞ、平川委員。
    平川委員
    17ページの2の「(ウ)市町村への支援」というところです。実は私、この1月20日に予定されていた茨城県のつくばみらい市というところの講演会の講師を依頼いただいていたんですが、16日にそれが突然中止になった。その日の朝に一部の方が市役所に押しかけてきて、拡声器などを使って騒いだり、講演会の当日には街宣行動するというふうに予告をしたことが理由で講演会が中止になったんです。
     DVの被害者の支援の啓発という講演会でしたから、当然県がDVを許さないという基本計画をつくっている、それに基づいて市町村への支援を行うはずであったし、その支援をしていただいたということもよく聞いております。内閣府からもいろんな御助言をいただいたというふうに市の担当者から聞いているんですが、それでもこの事件といいますか、それはいまだに解決されていないんです。そうしますと、この市町村の支援というのはどの程度まで有効なのか、具体的なのかということをお尋ねしたいと思っております。
    塚崎推進課長
    先生御指摘のように、今、まさに改正法ができまして、また基本方針も改定されたという非常に重要な時期でございまして、市町村に対する支援はきちっとしていきたいと考えているところでございます。来年度の予算とも関連するのですけれども、特に市町村に対する広報啓発も含めまして、具体的な支援をしっかり行って地方公共団体と連携を強めるということで、例えば、官民連携会議というものを新規事業で考えておりまして、地方公共団体、民間団体、有識者などに参加していただきまして、一堂に会して、こういう好事例があると、情報提供していったり、あるいは有識者から講演をいただいたりという形で、情報交換や意見交換を密にしていきたいと思っております。
     また、地域での自立支援モデル事業もやっていきたいと思っていまして、民間の団体と連携しながら自立支援の事業についてモデル的に取組をして、モデル事業のノウハウを広めていくというようなこともやっていきたいと思っております。いろいろな形でバックアップをしていきたいと思っているところでございます。
    岩井会長
    どうぞ。
    袖井委員
    今のお話、大変重要なことだと思うんですが、推進課長がおっしゃったことを本当にちゃんとやっていただきたいと思うんですけれども、今、DVだけではなくて、いろんな意味でのバッシングがすごくあるんです。DVの問題だけではなくて、いろんな市町村での講演などに対する嫌がらせとかがありますし、これから、例えば、教材をつくるとか、いろんなお話があるようですが、それなどに対してもきっとバッシングが来ると思うんです。ですから、やはりこの内閣府男女共同参画局として、そういう問題にどう対処していくかということを真剣にというか、プロジェクトみたいなものを考えていただけないかなと思うんです。好事例を示して周知すると言っても、多分、市町村の方は怖いんだと思うんです。ですから、どういうふうにしたらいいのか、具体的にはすぐ思いつかないんですが、ジェンダーの問題とか、男女共同参画の推進とか、そういうことをどうやって摩擦なく広めていくかということについて、今後、真剣に考えていただけないかなというふうに思っております。
    板東局長
    広報啓発につきましては、先ほど推進課長の方からお話もさせていただきまして、非常に重要なことだというふうに思っておりますし、今、非常に重要な時期だというふうに思っております。つくばみらい市の関係のことについては、先ほど平川委員からも御指摘のように、事前にもこちらの方に御相談もあって、いろいろな情報提供もさせていただいたということでございますが、ああいった非常に残念な結果になってしまったということでございます。国と自治体である都道府県、市町村の関係は、それぞれ独立した主体ということもございますので、個々の問題について、自治体としての判断について一つひとつ立ち入るというのは非常に難しいということも御理解いただきたいと思っております。
     ただ、いろいろな形で積極的な情報提供を我々としてもやらせていただいているところでございまして、こういった広報啓発がいろいろな事情で妨げられないように、これは工夫していきたいというふうに思っております。
     例えば、今、基本問題専門調査会でも、地域レベルにおける男女共同参画の推進の在り方ということで御検討いただいておりますけれども、そういった基本的な観点の検討の中からも、地域における取組みというのがいろんな分野で積極的に進むように、我々としても積極的なメッセージを出していきたいというふうに考えております。
    岩井会長
    どうもありがとうございました。私からもお願いですけれども、DVの場合、経済力のない女性が声を上げなければいけないというもので、相談に行けば最後に自立ができるところまでの道筋が見えるような形にしないと、なかなか実効的にならないのではないかというふうに思うんです。地方公共団体、都道府県、市町村、いろんなところで取組みが行われているというのは非常に心強いんですけれども、連携して、一元的に実効的な援助ができるようなシステムができるような体制に是非持っていっていただきたいというふうに思うんです。児童虐待の場合には児童相談所のソーシャルワーカーが児童の保護に当たるという体制かかなりできていると思うんですけれども、DVの場合、専門のソーシャルワーカーが働けるような体制に是非持っていっていただければというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
     ほかに何か御意見ございますか。よろしいですか。それでは、次に進みたいと思います。
     続きまして、議事次第の3「女性に対する暴力対策関係予算について」でございます。平成20年度の関係予算について、資料を提出されている府省庁に順次御説明をいただきます。
    塚崎推進課長
    それでは、内閣府の方からまず御説明をさせていただきます。資料2を御覧いただきたいと思います。
     3つに分かれてございまして、1が女性に対する暴力をなくす運動等啓発に係る経費でございます。中身でございますが、女性に対する暴力をなくす運動を実施すること、それから、この期間中に民間団体と連携をして24時間全国ホットラインを開設することが1つ目でございます。
     2段落目でございますが、改正法に基づく広報資料の刷新、配布と周知徹底、それから、先ほど説明させていただいたのですけれども、DV被害者の共通ダイヤルの試行ということでございます。
     それから、1の3段落目でございますが、若年層を対象とした予防啓発のための教材の作成でございます。
     それから、2のところでございますが、調査研究等の経費でございます。1点目が、加害者更生に対する調査研究ですけれども、諸外国における状況について調査研究をするということでございます。
     (2)が、これは3年に1回実施しております実態調査でございますけれども、全国の20歳以上の男女を対象に無作為抽出のアンケートを実施するということです。
     3番目に、地方公共団体等連携強化促進のための経費でございます。こちらにつきましては、先ほど申し上げましたように、特に市町村の取組を促進するという趣旨で改正されましたので、市町村との連携を重視した形で取組を進めていきたいと思っております。
     (1)でございますけれども、1つは、地方公共団体の相談担当者等を対象としたセミナーの開催でございます。
     2番目でございますが、支援センターなど、被害者支援の現場に専門家の方々をアドバイザーとして派遣する事業でございます。これも継続している事業でございます。
     (3)でございますが、来年度につきましては、これまで開催してきましたシンポジウムの代わりに、先ほど御説明をさせていただきましたが、新規事業としまして官民連携会議を実施する予定でございます。地方公共団体の担当者、民間団体、有識者の方々に集まっていただきまして、意見交換をしたり、好事例を紹介したりして情報共有をして連携を強化するという会議でございます。
     (4)でございますけれども、配偶者暴力被害者自立支援モデル事業ですけれども、これは民間団体と連携して、地域独自の自立支援策をモデル的に実施しまして、そのノウハウの共有、蓄積のために結果を関係機関に提供するというものでございます。
     説明につきましては、以上でございます。
    岩井会長
    ありがとうございました。
     それでは、次は警察庁、お願いします。
    警察庁
    警察庁でございますけれども、お手元の資料に基づいて簡単に御説明申し上げたいと思います。
     1つ目の項目は「女性に対する暴力に対する厳正な対処」ということで、こういった事案に対する厳正な対処の経費として800万円。
     2つ目の項目として「女性に対する救済策の充実」ということで、相談業務等の管理システム経費でありますとか、相談業務専科の実施、相談・カウンセリング対策の充実、被害者保護のための施設整備等、こういったもので2億9,000万円余り。
     3点目に「女性に対する暴力の発生を防ぐ環境づくり」ということで、女性・子どもを犯罪から守るための各種マニュアル・ポスターでありますとか、DV防止広報の推進ということで900万余り。合わせて3億1,000万円余りを計上しているところでございます。
     基本的に例年と同じような項目でございますけれども、本年は配偶者暴力防止法が改正されて、保護命令の対象が広がるということもありますので、従来、各都道府県の県費で対応しておりました保護命令を受けた被害者の方に貸し出す資機材の一部について、来年度予算では初めて補助金で整備を図ることとしたところでございます。
    岩井会長
    どうもありがとうございました。
     次は、法務省、お願いいたします。
    法務省
    法務省でございます。お手元の資料に基づきまして御説明させていただきます。
     法務省における女性に対する暴力対策関係予算に係る主な取組みといたしましては、お手元の資料にございますように、日本司法支援センターにおける被害者支援の実施や、あるいは当省の人権擁護機関における女性の人権をめぐる人権侵害事案に対する相談体制の充実といった取組みが挙げられるところでございます。
     まず、「1 女性に対するあらゆる暴力の根絶」という項を御覧ください。こちらは日本司法支援センターにおける取組みでございます。同センターでは、犯罪被害者等のために、その支援に精通した弁護士の紹介のほか、犯罪被害者等の援助に関する制度の利用に資する情報などを速やかに提供するとともに、資力に乏しい方に対しては、民事法律扶助制度の活用によって、弁護士費用や損害賠償請求費用の負担軽減を図っております。
     次に、「2 人権擁護制度」の項を御覧ください。当省の人権擁護機関における取組みでございますが、同機関におきましては、男女共同参画社会基本法第17条の規定の趣旨を踏まえまして、性別による差別的取扱いその他の男女共同参画社会の形成を阻害する要因によって人権が侵害された場合における被害者の救済を図るため、同法の趣旨に反する人権問題に関する相談に適切に対処しております。
     具体的には、まず、(1)にございますように、男女共同参画社会基本法の趣旨に反する施策に対する苦情、あるいは人権問題に関する相談に適切に対処するため、平成12年度に全国の法務局・地方法務局に専用相談電話として「女性の人権ホットライン」を設置したところでありますが、この「女性の人権ホットライン」が一層活用されるように広報を行うとともに、平成18年度からナビダイヤル化して、その相談体制の充実を図っているところでございます。
     また、(2)でございますけれども、人権擁護委員に対して、男女共同参画社会の理念や性別による差別的取扱いなどの人権侵害による被害者の相談に適切に対処するために必要な知識の習得を図るため、平成20年度におきましては、全国8か所で研修会を実施することとしております。
    岩井会長
    どうもありがとうございました。
     次に、厚生労働省、お願いします。
    厚生労働省
    それでは、厚生労働省、お手元の資料2枚紙になってございますが、これに基づきまして、平成20年度の予算につきまして御説明をさせていただきます。
     まず、大きな1番に「婦人相談所等における支援」とございまして、「(1)DV対策総合支援事業の推進」とございます。この辺りの予算は、児童虐待・DV対策等総合支援事業ということで、23億ほどの、これはいわゆる統合補助金でございますが、その中で幾つかの事業をメニューとして起こして、自治体にお願いをしておるところでございます。
     そこに3つほど○がございますが、20年度におきましては、婦人保護施設から退所する方の自立生活援助事業につきまして、補助方式を改めまして退所者支援の充実を図ることにしております。具体的には、退所者が10人を超える場合に、人数に応じて加算をするような仕組みを来年度から導入をしたいというふうに考えております。あと、身元保証人確保対策事業は19年度からの事業でございます。
     「(2)婦人相談所運営費負担金」でございますが、この辺りは、広域措置の実施ですとか、あるいは外国人のケア体制の充実ですとか、こういったところは例年どおりの要求にしてございます。
     「(3)婦人保護事業費負担金」でございますが、この中で特に最初の○のDV被害者に対する一時保護委託先におきまして、DV被害者の処遇の改善を図る、あるいは自立に向けた支援を強化するということで、一時保護委託費の充実、これは具体的には単価の引上げを図ることとしております。その他、心理療法担当職員の配置ですとか、あるいは同伴児童のケアを行う指導員の配置ですとか、夜間警備体制強化のための加算は例年と同様の要求をしてございます。
     2ページになりますが、「(4)婦人保護事業費補助金」ということで、婦人保護施設の方で常勤の心理療法担当職員を配置をしたり、あるいは夜間警備体制強化のための予算を確保したりしております。
     大きな2番の「DV被害を受けた母子家庭に対する支援」といたしまして、「(1)母子家庭等の就業支援策等の推進」でございます。母子家庭対策につきましては、これはDV被害者に限らずでございますが、母子家庭対策全体といたしまして、就業支援を5年前の法改正より強く推進をしていくことにしてございます。来年度におきましても、母子家庭等対策総合支援事業というような、これもやはり統合補助金が23億ございますが、19年度が19億でございましたので、2割増ぐらいに予算がついてございますけれども、この23億の中で幾つか新規事業を実施してまいることとしております。
     例えば、一番上の○が「母子家庭等就業・自立支援事業」でございますが、これまで母子家庭等就業・自立支援センターといったものを、都道府県、指定都市、中核市までにお願いをしておりましたんですが、19年度で完全にすべての中核市までセンター事業を実施していただけるような体制になりましたものですから、更に一般市等においても同様の事業が実施できるように予算の確保をしたところでございます。
     また、2つ目の○の「母子自立支援プログラム策定事業の拡充」につきましても、いきなり就労ということが難しいお母さんもございますものですから、NPO等と連携いたしまして、まずボランティア活動等から入っていただこうということで、就職準備支援コースというものを創設をいたしまして、自立支援に資するような体制に持っていきたいということでございます。
     3つ目の○は「高等機能訓練促進費事業の見直し」で、幾つかの新規事業も用意してございます。
     それから、大きな3番の「職場におけるセクシュアル・ハラスメント防止対策の推進」ということで、母子対策が適切に行われますように、雇用均等室による事業主への助言ですとか、指導等の徹底、あるいは紛争解決の援助を実施するとともに、専門的知識、技術を持った相談員を全国の雇用均等室に配置して、適切な相談対応を行う等々の事業を予定をしているところでございます。
    岩井会長
    どうもありがとうございました。
     それでは、文部科学省、よろしくお願いします。
    文部科学省
    お手元の資料、2枚物でございますけれども、そちらの方を御覧ください。
     まず、「独立行政法人国立女性教育会館」でございますけれども、研修、あるいは調査研究等をやっておる機関でございます。平成15年度から女性関連施設の相談員に対しまして、DVについての研修を実施しているところでございまして、20年度の年度計画を今、立てているところでございますけれども、DVの研修を引き続き実施させていただく予定でございます。
     なお、国立女性教育会館では、このほかにも、内閣府からの委託を受けまして、DVの被害者支援の応用セミナーと管理職セミナーもさせていただいておりまして、また19年度、横浜、山口、石川の3地域でも基礎セミナーを実施させていただいているところでございます。
     続きまして、「スクールカウンセラー等活動事業補助」でございますけれども、この事業は、すべての公立中学校及び一部の小学校に対しまして、臨床心理士などの専門家を配置いたしまして相談に当たっていただくための費用の補助、そして都道府県等で24時間の電話相談を受ける事業の補助、そして小学校への子どもと親の相談員等の配置事業の補助、これを内容としているものでございます。続きまして、「スクールソーシャルワーカー活用事業」は新規事業でございますけれども、スクールカウンセラーがカウンセリングの手法を用いて児童生徒の心の問題に働きかけるという専門家であるのに対しまして、この事業のスクールソーシャルワーカーの方は、福祉的な観点で、子どもの周りの環境に対しまして関係機関とのネットワークを活用いたしまして働きかけるコーディネーター的役割を期待をしている、そういった事業でございます。
     続きまして、「独立行政法人教員研修センター」でございますけれども、学校の校長等の管理職研修、あるいは中堅教員の研修、また専門研修を行っている機関でございますけれども、こちらのセンターにおきまして、児童生徒の問題行動等に関します研修でDVに関する中身も取り上げてやっておるところでございます。
     続きまして、「人権教育推進のための調査研究事業」でございますけれども、女性を含む人権課題につきまして、地域を指定して実践的な調査研究をやっていただいているものでございます。
     続きまして、「青少年を取り巻く有害環境対策の推進」でございますけれども、青少年を取り巻く有害環境に関する国民的な関心を高める取組みを実施しているとともに、保護者や青少年向けに出会い系サイトなどのトラブルに巻き込まれないような事例を取り上げた映像資料を来年度は作成していこう、また、携帯電話利用の親子のルールづくりに関する調査研究にも取り組んでいこうというものでございます。1枚めくっていただきまして、次に、「『性に関する教育』普及推進事業」でございますけれども、指導講習会を文部科学省の方で開催しておりますとともに、地域における実践事例の普及と指導者養成を目的とした研修会を各都道府県で実施していただくための経費でございます。
     最後に、「児童生徒の心と体を守るための啓発教材の作成」でございますけれども、全国の小学校5年生、中学校1年生、高校1年生に、喫煙や飲酒、薬物乱用、性感染症などの問題を総合的に解説する啓発資料をつくっている費用でございます。
    岩井会長
    どうもありがとうございました。それでは、ただいまの説明について、何か御質問がありますか。今回は文科省も加わっていただいております。どうぞ。
    林委員
    質問が2つあります。1つは法務省の御説明に対してなんですが、この表の見方なのですけれども、1と2とあって、数字が出ている500万と1,100万円というのは2の人権擁護制度の方の予算で、1について書かれていないのは、日本司法支援センターにおける被害者支援の中で、特にジェンダー関連予算といいますか、女性に対する暴力についての予算というのは識別をしていないということですか。
    法務省
    法務省でございます。今お尋ねのありました項目の「1 日本司法支援センターにおける予算」の関係でございますけれども、御指摘いただきましたとおりで、犯罪支援者支援の実施に必要な経費といたしまして、この予算額の中には、職員の人件費でございますとか、施設費、あるいはシステム利用に関する経費といった、日本司法支援センターが行う他の業務にも共通する経費が含まれておりまして、これらの経費が運営費の交付金全体に溶け込んでいるという関係になっております。そのために、犯罪被害者支援の実施に必要な経費というものを他の業務にかかる経費から切り出して特定することが困難であるということで、数字としては記載してございません。
     なお、強いて表現をするといたしますと、運営費交付金103億9,500万円の内数という形になります。
     以上でございます。
    林委員
    今の点について、今後、例えば、犯罪被害者等の中で、女性に対する暴力の被害というのがどのくらいあるのかということについて、統計的に把握をされるお考えはありませんか。
    法務省
    その点については、申し訳ありませんが、承知しておりません。
    林委員
    お尋ねしましたのは、犯罪被害者の支援の都民センターですか、大久保恵美子さんが事務局長をされているところに法科大学院の学生と一緒にお話を伺いに行ったことがあるんですが、相談の7割くらいが女性から来るというお話でした。それは決して女性被害者が7割いるという意味ではなくて、例えば、家族の中で犯罪被害者がいると、お父さんが相談に来るよりはお母さんが相談に来るとか、女性の方が男性よりはいろんな相談機関に相談をするというような、社会的な、一種のコミュニケーション能力だと思いますけれども、そのことと、あと、いろいろな性犯罪被害の問題が混在しているというようなお話がありましたので、私たちが言っている被害者というのがどういう実態があるのかといったことについて、更に研究が必要なのではないかと思ったことから、今の御質問をいたしました。
     長くてすみませんが、もう一つ、警察庁と厚生労働省に質問なんですが、犯罪被害者等基本計画の中では、民間団体への支援の充実ということが項目としてうたわれておりまして、犯罪被害者の援助を行う民間の団体について財政的に援助をするとなってございます。今日の手元の資料に基本計画いただいていますけれども、参考までに62ページのところにそれが出ております。私も性犯罪被害者の電話相談などをしているNGOの人たちのお話を聞くことがあるんですが、財政的にとても大変だといった声も伺います。今日の御説明の中で、特にその点についての予算がリストアップされていないように思ったんですが、これはどうなっているんでしょうか。
    岩井会長
    警察庁でしょうか。
    林委員
    犯罪被害者等基本計画の中では、そこは厚生労働省と警察庁が御担当となっています。
    警察庁
    警察庁でございます。お手元にある資料の2の「(3)相談・カウンセリング対策の充実」の中で、民間の犯罪被害者支援団体に対しまして、いろんな相談業務を委託するという業務がございまして、そういった意味での財政的な面での支援というか、そういう形はやっております。あと、例えば、都道府県警察におきまして、犯罪被害者の団体に対しまして、いろんなノウハウといいますか、情報、そういった面での提供という形での支援を行っているところでございます。
    厚生労働省
    厚生労働省の予算におきましては、先ほど若干御説明をいたしましたところと重なりますが、1ページの1の「(3)婦人保護事業費負担金」の中の最初の○で、「DV被害者に対する一時保護委託」がございます。基本的に一時保護委託先は、勿論民間シェルターだけというわけではございませんけれども、民間シェルターに多くをお願いをしてございます。こちらの一時保護委託費の単価を引き上げるということが、20年度予算の中では、民間シェルターに対する支援の拡充ということで考えているところでございます。
    林委員
    ありがとうございました。
    伊藤委員
    文部科学省にお願いしたいんですが、今回、文部科学省に来ていただいて大変ありがたいなと思っています。というのも、女性に対する暴力の問題というのは、小中の場合は、それこそDV家庭のお子さんの問題が絡んでいると思いますし、ほかにも啓発、あるいは教育の場所として学校現場は大変大切なので、この問題に文科省がもっともっと取り組んでいただきたいなと思っているんです。と同時に、先ほどの説明だと、基本的に小中中心のお話で、高校、大学というような場所での、先ほどもちょっと申し上げました、いわゆるデートDVの問題、あるいはセクシュアル・ハラスメントの問題等々、深刻なジェンダーにかかわる暴力問題はあると思うんです。
     特に先ほど申し上げたように、デートDVの場合は、現行のDV防止法では枠外ということがありますので、実際に起こったときにどこに相談に行ったらいいのか、相談を受けたときにどんな対応ができるのか、そういう問題も含めて、高校や大学等々では、それらの対応が必要になってくるんではないかと思います。来年度予算にすぐにというふうに申し上げませんけれども、それを視野に入れながら、文科省の方も、学校現場における女性に対する暴力、あるいはジェンダーにかかわる暴力の問題についての対応を深めていただけたらなというふうに思っております。意見です。
    小西委員
    今、林委員が言われたことに絡んでお話し申し上げたいんですけれども、私は犯罪被害者等基本法の方とこちらと両方出させていただいている関係もあって、それから臨床からも見るものですから、今、林委員が言われたような、何を対象としているかということが結構、今、日本の中でよじれているというふうに思います。
     犯罪被害者等基本法は、基本的には、例えば、コアの部分では、給付に関しては、これは刑事事件の被害者の方で、たしか今、年間、最低が400件ぐらい。要するに、かなり少数の方に対して、特に遺族を中心に出されるものだと思います。
     一方で、各地域の警察が相談される、それから、医療の方向として調査したんですけれども、医療にかかわってくる犯罪被害者という人を調査してみますと、一番多いのはDV、次が性暴力というふうになっています。1年に全国の医師の半分ぐらいの人が犯罪被害者を見ているというふうに調査では出てきたんですけれども、一番多いのはこの2つなんです。この2つについては、ほとんど刑事事件になっていないようなケースが主です。
     一方でDVや性暴力の被害を調査しますと、内閣府で調査していただいたものでは、大概数%の女性に傷害被害率があって、その中で非常に支援を必要とするものというのも大体1%はあるというふうに調査は読めると思います。そうしますと、犯罪被害者等基本法の方で主に対象とされているのは、遺族と性暴力の被害者のうちのごくわずかな、刑事事件に乗っていく、あるいは警察が認知された方である。ところが、今度、メンタルヘルスとか自立支援、社会福祉の立場から考えると、それとはかなり桁の違う人たちを相手にしなくてはいけなくなってくるわけです。そこで、かなり違う対象を相手にしているんだということがはっきりしてこないと、だんだん施策がよじれていってしまうと思っているんです。要するに、桁が2つも3つも違うものを私たちは相手にして、同じように今、議論しているわけです。この辺を、大分データをそろってきましたから、日本の全容が見えるような形で整理するべきではないか。少なくとも、どういう人を対象にして、どういう施策があるのかというのができないと混乱してしまうんではないかなと思うんです。
     そういうふうに見ていると、今、1つ落ちているのは、やはり性暴力の刑事に乗ってこないような人たちの施策というのは非常に落ちているように思うんです。DVも含めて、例えば、一次保護に乗ってくる人たちの施策というのもある程度見えてきました。厚労省がやっていただいているような施策などもずっと継続して進めていただくことが必要だと思います。
     一方で、医療の現場などで見ていますと、ここに至る前の人たちのところで、やはり非常に混乱があって、発見というところではまだまだやるべきことがあるように思うんです。ここでも相手にしている数は非常に大きい数を相手にしている。恐らく教育というところにつながっていく必要な対象というのは、むしろこっちの方に乗ってくる人たちなんだと思うのです。桁が違うことに、違う対策が当然必要だと思うので、そこのところが何かクリアではない感じを今年1年、非常に持っていますので、今後考えて、林委員が言われたような、その辺りをクリアにする調査とか、あるいは見通しを持った分析とか、そういうものを出していただくことが必要ではないかなというふうに思っています。長くなりまして済みません。
    岩井会長
    どうもありがとうございました。何か法務省の方からございますか。今後よろしくお願いいたします。
     ほかにありますか。どうぞ。
    大槻委員
    文科省にお伺いしたいんですけれども、人権教育推進のための調査研究事業に関係してですが、私は勉強不足で申し訳ないんですけれども、今年度、配偶者からの暴力防止等に関する具体的な調査研究はどんなことが行われたのか。1つか2つで結構ですけれども、教えていただきたいなと思いました。
    文部科学省
    こちらの方の事業でございますけれども、市町村ぐらいの単位で協議会を設置していただいて、いろいろな人権課題に関する実践的なお取組みをしていただくというものでございまして、手を挙げていただく方式のものなんですけれども、事例といたしましては、18年度になりますけれども、八戸の人権教育学習推進モデル事業というのがございまして、構成メンバーのはちのへウィメンズアクションの方と市の教育委員会の方が協議会をつくられて、DVの問題はコミュニケーション不足にあるのではないかということで、自己表現力と自尊感情を高める、コミュニケーション能力の向上を図るというような講習会を何度かやられたというふうに伺っております。
    大槻委員
    講習会というのは何ですか。
    文部科学省
    市民向けの研修会ということで、コミュニケーション力を高めるような、何回かの研修というか、講習会をしているということです。
    大槻委員
    学校ではそういうものは行われていないんですか。
    文部科学省
    人権教育に関しましては、この調査研究事業とは別に、学校教育における人権教育の研究指定校でございますとか、あと、学校、家庭、地域で連携して人権教育を進めていただくための総合推進地域といった事業はございます。例えば、この総合推進地域の事業の中では、CAPプログラムといって、暴力を受けたときにどう対処したらいいのかという対処法を学ぶ、エンパワーメントのための1つのプログラムでございますが、そういったCAPプログラムを学校の中に導入してやっていただくというような取組が見られるところでございます。
    大槻委員
    わかりました。
    大津委員
    私は神奈川県の中学校の2年生の方にお話に行きました。DVの話だけではなくて、多文化共生ということでの話だったんですが、女性の家HELPというところにどういう人たちが入ってきているのかということでお話をさせていただいたのです。DVとか人身売買のことまで中学生の方に話したんですが、その後、学生たちからのいろんな質問がありました。13歳になっている生徒さんが、「僕は女性の家HELPにはお母さんと一緒になぜ行けないのですか」と言われたので、13歳という年齢は、いわゆる子どもというより少し大人になりかけているので、性被害を受けている人たちのところに男の人が行くということに関しては、女性たちがとても怖がっているんだという話をいたしました。
     シェルターというところはこういうふうに管理されているとか、人身売買のDVDを使いまして、シェルターの中を皆さんに見ていただいたりしました。そこで子どもたちがいかにその中にいて元気に過ごしているのか、それは若い学生のボランティアによって助けてもらって、こういういろんな活動をしているんだという話をいたしました。
     後でアンケートを見ましたら、受けていた300名の生徒さんたち全部が、HELPのこと、これからの活動のこと、DVのこと、人身売買のことを一言一言書いているんです。これはとてもいい教育になったというふうに思っています。こういう具体的な例の中から、今、起こっている問題について、生徒さんたちにお話をするということは有効であるという経験をいたしましたので、一言申し上げました。
    岩井会長
    厚労省の方にお伺いしたいんですけれども、児童虐待・DV対策等総合支援事業というふうになっておりますね。ひっくるめて予算化されているということは、その両方に対して総合的に対処しようという御方針ということなんでしょうか。
    厚生労働省
    補助金の立てにつきましては、確かに会長がおっしゃるような面が全くないというわけではございませんけれども、基本的には、統合補助金化される経過といたしましては、それぞれ個別にいろいろな補助金がありましたものを、一般的に言えば、自治体に対してひも付きの補助金、使途を限定したような補助金はできるだけやめるようにというような流れがございまして、そこで私ども、関連するような分野を1つの統合補助金としてメニュー化をいたしまして、勿論補助金の申請をいただきますときには、児童虐待であれDVであれ、こういう事業について、こんなことをやりたいんだというふうに申請をいただくわけですけれども、実際に補助金を交付した後は、そのメニューの範囲内であれば、自治体の方の裁量でいろいろ補助金が対象とするメニューの範囲の中で裁量を効かせて使っていただくような、そういう立てになっておるものですから、こういうような仕切りになっているというようなことでございます。
    岩井会長
    実際のDV相談などの運営というのは地方公共団体の方で行うんだと思うんですが、結局、婦人相談所や一時保護委託施設、一時保護委託費などというのも、ほとんどが国から一部補助して行われるということになっているんでしょう。
    厚生労働省
    市町村のDVセンターも含めて、幾つもできておりますけれども、一時保護権限を持ったコアとなる施設としては、やはり婦人相談所が各県にございます。各県の婦人相談所における一時保護委託の費用につきましては、国の方が2分の1を負担するような形で行われておりまして、そういう意味では、お手元の資料の1の(1)で書かれておる私どもの補助金で対応しておるものは、コアの部分を負担金できっちりと手当てをした、支援をした上で、更にのっけていくような事業だというふうにお考えをいただければありがたいと思います。
    岩井会長
    それでは、やはり地方公共団体の事業といいましても、かなり国の指導によって行われているということですね。
    厚生労働省
    指導と申しますか、基本的な一時保護の内容のようなものは私どもも実際に予算を執行しておりますので、さほど大きなばらつきはないというふうに思いますが、例えば、「(3)婦人保護事業費負担金」の中で、心理療法担当職員の配置ですとか、あるいは同伴児童のケアを行う指導員の配置ですとか、こういったものは私どもが加算措置として設けておるわけでございますので、婦人相談所の方で、うちは心理療法担当職員を置かないというところに私どもは加算措置のしようがございませんので、そういった意味では、一時保護の本体といいますか、コアの部分は大体同じような負担金の流し方になっておりますけれども、例えば、心理療法担当職員を置く置かないとか、あるいは同伴児童のケアを行う指導員を置く置かないとか、そういったところは各自治体の裁量にゆだねられているという仕組みでございます。
     更に申し上げれば、自治体の絡みで言いますと、(1)の3つ目の○で「婦人相談員の活動強化」とございますが、こういったところも実際に活動いただければ私どもも補助いたしますけれども、何もやらなければ補助できないような、そういう裁量に係る部分というのはどうしてもございます。
    岩井会長
    どうもありがとうございました。どうぞ。
    平川委員
    警察庁の方にお尋ねいたします。項目の1番「女性に対する暴力に対する厳正な対処」ということへの予算ですが、「配偶者からの暴力、ストーカー事案等に対する」の「等」というのは、例えば、どんなことを想定していらっしゃるんでしょうか。
    警察庁
    我々警察のカテゴリーからいたしますと、配偶者からの暴力を受けておられる方でありますとか、ストーカー被害の女性のほかに、高齢者の方が虐待を受けるような事案とか、弱者、犯罪の被害を受けやすい方に対する対策というカテゴリーがありまして、今回の「等」としては、今、申し上げましたような、高齢者に関する虐待事案ということが含まれるといったことで御理解いただければと思います。
    平川委員
    実は、最近起きたことなんですけれども、DVの被害者の方が被害届を警察に出してシェルターに入所なさったんですが、その方の夫が覚せい剤を使用していたということで、それに対しても被害者の方が警察に行っていろいろと相談をしたわけです。被害届を出して、逮捕してもらいたいということも被害者の方がお話しなさった。事情聴取のときに突然に警察官が被害者の方を夫の家に連れていったんです。そして、そこで逮捕してもらいたいかというようなことを言ったり、今後どうするかというようなこととか、そんなことを突如、被害者の方に夫の前で尋ねたというようなことがありました。被害者の方からその場で私たちの方に相談があって、それは答えなくてもいいということを伝えたんですけれども、そこがうまく警察官の方に伝わらなくて、結局はそのまま続行したというようなことがあるんです。
     警察官の方の厳正な対処というか、この費用は研修だろうと思うんですが、今のような形で、DVの被害者の方が、DV事案で逮捕をというふうに言っているんですが、実際には覚せい剤の方で逮捕というふうになったということなんです。そういうことについても、この予算の中で研修をしていただく必要があるのではないかというふうに思います。その理由は、DVの被害者の方は、子どものころに性被害を受けている方も多いし、あるいは夫がアルコール、覚せい剤所持とか使用というふうにして、複合的に暴力の被害者であったり、加害者であったりすることが多いので、その辺りも含めて、この予算の中で研修を是非行っていただきたいというふうに思っています。
    岩井会長
    よろしくお願いいたします。ほかに何か御意見ございますか。
     それでは、次にまいりたいと思います。続きまして、議事次第の4「男女共同参画基本計画(第2次)フォローアップ結果について」でございます。本件につきましては、内閣府から御説明をいただきます。
    塚崎推進課長
    それでは、基本計画のフォローアップにつきまして御説明をさせていただきたいと思います。
     このフォローアップでございますが、監視・影響調査専門調査会において検討していただきまして、その検討結果を先日の参画会議において意見決定をしていただいたものでございます。
     基本計画の計画期間ですけれども、5年間ということで、現行の第2次基本計画は平成17年の12月に策定されましたので、ほぼ2年間経過したところでございます。大体中間地点ということで、計画全体の推進状況をフォローアップしたということでございます。
     フォローアップのやり方ですけれども、関係府省から基本計画の12の分野につきまして、施策の実施状況、今後の予定を提出していただきまして、それをとりまとめましたのが資料3でございます。後ろに厚い資料を付けておりますけれども、こちらの方は、関係府省から出していただきました施策、今後の予定の中の第7分野「女性に対するあらゆる暴力の根絶」の部分を抜粋したものでございます。
     それでは、初めの資料に沿いまして御説明をさせていただきたいと思います。資料3を御覧いただきたいと思います。資料の構成ですが、1枚目は全体のまとめになっております。2枚目以降は、12の分野それぞれについて、3つの点について挙げておりまして、1つが「主な施策の実施状況」でございます。2つ目が「関連統計」、最後の部分が、それぞれの分野につきまして、「現状及び今後取組が求められる点等」をまとめているところでございます。この部分につきましては、それぞれの分野についての現状を概観して評価をして、また、これから特に取組みが求められている点を挙げるという形でまとめているところでございます。
     それでは、1枚目の部分につきまして、まず御説明をさせていただきたいと思います。1枚目のところに、①~⑤までですけれども、12分野全体を通じまして留意すべき点ということで書いてございます。
     ①ですけれども、あらゆる分野において男女共同参画の視点に立って関連施策を立案実施するということでございまして、体系的・実質的に各施策を評価できるよう、監視・影響調査機能を強化するということを御指摘いただいているところでございます。
     ②でございますけれども、2020年までに30%という目標をつくって、女性の参画の拡大、いろいろな分野で進めているところでございますが、現状を見ますと、その拡大は緩やかで、国際的に見ましても低い水準に参画の状況はとどまっているということでございます。したがいまして、今後は、各界トップ層への働きかけや、女性のエンパワーメントを促進するネットワークの構築支援などを戦略的・効果的に進めるとともに、特に社会の中で活躍が期待されていながら女性の参画が進んでいない分野に焦点を当てた具体的・戦略的な取組みを行って拡大を加速する必要があるということでございます。?でございますが、次のページでございますように、男女共同参画の意義について、男性の理解を深めるような取組を行うよう留意することが重要である。例えば、ワーク・ライフ・バランスなどにおいてもいえることでございまして、男性の理解を深めるような取組を行うよう留意するという御指摘をいただいております。
     ④でございますが、基礎となるデータや実態が必ずしも明らかになっていない部分もあるということで、実態把握を促進することが重要である
     。⑤ですけれども、地方公共団体においての推進体制の整備充実、関連施策の着実な推進を図っていくことが重要であり、国と地方公共団体との連携の強化を図るべきであるという御指摘をいただいております。
     それから、第7分野のところを御覧いただきたいんですけれども、ページでいいますと14ページのところでございます。こちらが7分野「女性に対するあらゆる暴力の根絶」という分野についてまとめたところでございます。
     「主な施策の実施状況」のところでございますが、全体の基盤づくりという部分で、1つはDV法、配偶者暴力防止法の改正、日本司法支援センターにおける被害者支援を挙げております。
     それから、配偶者等からの暴力の防止及び被害者の保護の推進につきましては、改正法の周知、新しい基本方針の策定、また、配偶者暴力防止法における配偶者に該当しない交際相手からの暴力に関し、18年度に調査を実施したことを挙げております。
     性犯罪の対策につきましては、性犯罪捜査指導官を配置するといった形で性犯罪への対処、それから、ヒアリング等、被害者の心情に配慮した保護を充実している。
     売買春対策につきましては、法律に基づきまして売買春からの女性・児童を保護するということと、対象者の特性に即した適切な措置を拡充して自立支援を実施するといった形で施策を充実しているということでございます。
     それから、人身取引への対策でございますが、法律に則りまして関係省庁と一体となって、民間シェルターの支援、国内外の実態解明を実施している。
     セクシュアル・ハラスメントの対策でございますけれども、均等法の改正に基づきまして、セクシュアル・ハラスメントの対策を講じていない企業に対して行政指導を実施しているということと、教育職員に対するセクシュアル・ハラスメント防止に対する指導を実施したということでございます。それから、ストーカー行為等への対策の推進につきましては、法律を的確に運用し、迅速な警告と適正な取締りを行うとともに、被害者の不安の払拭や安全確保を実施しているということでございます。
     関連統計でございますが、こちらの方で幾つか、今の状況、あるいは施策の進展状況をあらわす統計を挙げております。1つ目が、夫婦間における「平手で打つ」「殴るふりをして脅す」などの行為につきまして、暴力と認識する人の割合を挙げております。
     2つ目でございますけれども、支援センターに寄せられた相談件数の推移を挙げております。
     次の15ページでございますが、警察の対応件数の15年から18年までの推移を挙げておるところでございます。
     それから、DV法に基づきます保護命令発令件数、売春関係事犯の検挙人数の推移、人身取引被害者の数、セクシュアル・ハラスメントの相談件数、ストーカー規制法における援助の実施状況を挙げているところでございます。
     最後の部分でございますが、「現状及び今後取組が求められる点等」ですけれども、まず、1段落目でございますけれども、女性に対する暴力に関する社会的な認識ということはまだ十分ではないという状況にある中、今後は一層積極的な広報啓発を実施する必要があるということ。また、中・高校生も含めた若い世代における暴力の防止、予防啓発を含めた広報啓発が必要であるということでございます。2段落目でございますが、配偶者暴力に関しまして、改正法の成立、基本方針の改定といった形で制度面の整備が進展したということが評価できるということ。しかし、相談件数等、増加傾向にある中、関係省庁、地方公共団体が連携して、改正法、基本方針に基づいて施策を一層充実することが求められるという御指摘を受けています。
     人身取引につきましては、行動計画に則った防止策が講じられた結果、被害者が減少傾向にあるといった形で、一定の効果が上がっているが、被害者の支援につきましては、民間団体が大きな役割を担っていて、官民連携によって総合的に施策を推進する、被害者の保護を進めるということと、国際的な連携を強化する必要があるということでございます。
     セクシュアル・ハラスメントにつきましては、改正均等法によりまして新たに事業主に対して措置義務が課されるという中で、まだまだ対策を講じていない企業もあるという中で、更なる行政指導、相談体制の整備が必要であるということでございます。
     以上でございます。
    岩井会長
    どうもありがとうございました。これについて、何か御感想、御意見ございますか。
    小西委員
    12の領域のちょっと別なところなんですけれども、教えていただけたらと思うんですが、1ページの1の「政策・方針決定過程への女性の参画の拡大」の統計で、ジェンダー・エンパワーメント指数というのはよく聞くので大体わかっているつもりなんですが、ジェンダー・ギャップ指数が何と128か国中91位という低いところにあるんですが、これはどういうふうに算出されているんですか。後ろに書いてあるのはちょっと見たんですけれども、よくわからないので、もうちょっと詳しく教えていただけたらと思います。結構ショックな数字です。
    塚崎推進課長
    後ろにございますように、注2のところですが、経済参加、教育、政治的エンパワーメント、健康といったもので出しているんですけれども、特に経済参加の部分、あるいは政治的エンパワーメントの部分でかなり低いということで、順位が非常に低くなっているということでございます。
    岩井会長
    よろしいでしょうか。
     それでは、議事次第5「その他」ですけれども、資料4を御覧ください。事務局に第45回の調査会の議事録をまとめてもらっております。これにつきましては、このとおり決定して、内閣府のホームページ等で公開することとしてよろしいでしょうか。

    (「異議なし」と声あり)

    岩井会長
    それでは、御異議がないようですので、第45回の調査会の議事録につきましては、速やかに公開することにいたします。
     なお、次回の専門調査会につきましては、改めて御連絡させていただきます。
     次に、誠に残念な御報告でございますけれども、垣見委員が本日の会合を最後に、御都合により退任されることになりました。そこで、垣見委員から一言ごあいさつをいただければと存じます。
    垣見委員
    今、御紹介いただきましたように、委員から退かせていただきたいと思います。この調査会発足以来、参加をさせていただいて、私自身、いろいろな議論に触れさせていただき、貢献するというよりも、私自身勉強させていただいたことが多いと思いますが、もう少し新しい感覚を持った方に引き継いでいただいた方がという気持ちもございましたので、交代をさせていただくということでお願いをいたしました。本当に長い間ありがとうございました。
    岩井会長
    垣見委員、ありがとうございました。今まで承りました御意見を今後の専門調査会の活動に生かしていきたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。
     それでは、これで「女性に対する暴力に関する専門調査会」の第46回会合を終わりにいたします。皆様、本日は本当にどうもありがとうございました。