男女共同参画会議女性に対する暴力に関する専門調査会

  • 日時: 平成13年4月20日(金)10:00~12:00
  • 場所: 官邸大食堂
  1. 出席者
    • 島野 会長
      原  会長代理
      大津 委員
      奥山 委員
      戒能 委員
      垣見 委員
      北村 委員
      小谷 委員
      小西 委員
      住田 委員
      林  委員
      前田 委員
      若林 委員
  2. 議事
  3. 議事内容
    坂東局長
    それでは定刻になりましたので、ただいまから男女共同参画会議女性に対する暴力に関する専門調査会の第1回の会合を開催させていただきます。
      私は、この専門調査会及び男女共同参画会議の事務を担当しております内閣府の男女共同参画局長の坂東でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
      まず初めに、内閣官房長官からごあいさつをいただく予定にしておりましたが、ちょっと遅れて参りますので先に副大臣、お願いいたします。
    坂井副大臣
    どうも皆様、おはようございます。ただいまお話がありましたように、官房長官がちょっと遅れて来られますので、私、男女共同参画会議を担当しております内閣府副大臣の坂井でございます。委員の皆様方、御多忙の中にお集まりいただきましてありがとうございます。
      この女性に対する暴力の問題は、女性の人権を著しく侵害する社会的な問題ということで、男女共同参画社会を形成していく中でも克服すべき重要な課題だと思っておりますし、国際的にもこの問題については重要な課題として位置付けられてきております。これらの国際的な動向も視野に入れて、暴力の形態に応じた幅広い取組を総合的に推進していかなければなりません。そういう意味におきましても、委員の皆様方には女性に対する暴力の問題に関して、それぞれのお立場から幅広い観点から御検討いただいて実効性のある御報告がいただけることを心から期待しております。私自身は女性に対して暴力を振るったことはありませんが、世の中を見てみるといろいろあるみたいでありますから、どうか真剣な御意見を賜りますように心からお願いします。本当にありがとうございました。
    坂東局長
    続きまして、内閣府の西川政務官からごあいさついただきます。
    西川政務官
    おはようございます。内閣府の大臣政務官を仰せつかっております西川でございます。今日は大変お忙しい中、専門調査会のこの委員をお引き受けいただきまして、男女共同の参画社会を実現をする、特に女性に対する暴力問題について御検討くださるということでございまして、大変難しい問題でありますけれども、是非先生方の御意見でこの暴力がなくなるようにお願いを申し上げる次第でございます。
      私ども新聞社とよく会いますと、森現内閣で功績は幾つかあると思いますけれども、特に男女共同参画会議を立ち上げたというのは高く評価をされております。ということは、それだけ難しい問題で、今まで潜在的な問題であってなかなか表に出てこなかったということだと思いますけれども、だんだん実態もわかってきたわけでございますし、委員の先生方の御意見で是非そういう社会が実現するようにお願いを申し上げてごあいさつにさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
    坂東局長
    ありがとうございました。それでは、開会に先立ちまして私の方からこの専門調査会の設置経緯等につきまして御説明をさせていただきます。
      本日皆様方には大変お忙しいところをお集まりいただき、またこの専門調査会の委員の御就任を快諾していただきましてありがとうございます。この調査会の設置の趣旨等につきましては、また何度も繰り返しということになりますので私の方からは重ねて申し上げることは控えたいと思いますが、お手元の事例にありますように本日付けで内閣総理大臣から12名の専門委員の任命をいただきました。これを受けまして、男女共同参画会議の議長である内閣官房長官から本専門調査会に属すべき者として、ここにお集まりの12名の専門委員及び3名の男女共同参画会議議員の計15名の指名並びに本専門調査会会長として島野専門委員の指名をいただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
      男女共同参画会議の設置、所掌事務等についてはお手元にございます資料1の男女共同参画社会基本法に、専門委員、専門調査会については資料2の男女共同参画会議令にそれぞれ規定されております。また、男女共同参画会議の下には既に動き出しております仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会、また苦情処理・監視専門調査会、本日開催のこの女性に対する暴力に関する専門調査会ということで3つスタートをしておりますけれども、このほか基本問題専門調査会、影響調査専門調査会の設置が決まっております。これらの全体構成のイメージが資料3に付けてありますので、それぞれ御参照くださればと思います。皆様方の学識と経験を十分に生かしていただいて、実のある議論をしていただきたい。どうぞ立派なアウトプットを出していただきたいなと願っておりますが、私ども事務局も全力でお手伝いをさせていただきますので、どうぞ先生方よろしくお願いいたします。
      あとは、島野会長に議事の進行をお任せいたしたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
    島野会長
    おはようございます。専門委員の島野でございます。この度、男女共同参画会議議長である官房長官から御指名をいただきまして、この女性に対する暴力に関する専門調査会の会長を務めさせていただくことになりました。先の審議会では女性に対する暴力部会長を務め、委員の皆様の熱心な議論を答申の形にまとめることができました。その際に貴重な御意見をお寄せいただいた先生方、あるいは委員として御尽力賜った先生方がこの専門調査会の委員に御就任されて大変心強く、うれしく存じております。
      当時から状況は少し進展いたしましたけれども、まだまだ問題はたくさん残っているわけでございまして、皆様の活発な御議論を期待して私のごあいさつとさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
      それでは、初めての会合でありますので、引き続きまして委員の皆様から座席順に恐縮ですが1人1分ということでごあいさつをいただきたいと存じます。
      なお、資料として資料4、本専門調査会の委員名簿を配布してございますので御参照ください。それでは、大津先生よろしくお願いいたします。
    大津委員
    まず最初で恐縮でございます。女性の家HELPのディレクターをしております大津恵子と申します。
      私はHELPに働き始めてからはまだ間がないのですが、約10年間外国人の電話相談、それからケースワークをしてまいりました。現在、女性の家HELPで抱えている問題が日本人だけではなく外国人の方もシェルターを利用しております。そういう意味で、ここの専門調査会におきましては日本人だけではなく外国人のさまざまに置かれている問題を皆様方とシェアさせていただきたいと思っております。HELPは設立してから15年になります。母体は日本キリスト教婦人矯風会といいまして女性の活動団体ですけれども、明治の時代から長く女性の人権問題で活動してまいりました。その100周年の記念にHELPを設立しました。その15年の間、さまざまな女性が抱えている問題を取り扱ってまいりました。
      現在HELPは、最近特に日本人の方が多いんですけれども、緊急避難で暴力で逃げてこられます。そのほかに日本人と結婚した外国籍の人たちも来ますし、オーバーステイ、いわゆる在留資格のない方も人身売買などで逃げてきております。そういう方々が現在HELPを利用しております。皆様にはなかなか見えてこない問題を、HELPの視点から是非シェアしていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
    奥山委員
    成城大学の法学部に勤務しております奥山と申します。よろしくお願いいたします。私自身は労働法、労使関係を普段から専攻しているものですけれども、そういう関係の中で働く女性を中心にこれまで個人的な関心も含めて、女性労働問題についていろいろ勉強させていただいておりました。
      この総理府、今の内閣府との関わりでは、男女共同参画2000年プランとビジョンをつくるときに専門委員として一度関与させていただいており ますし、このメンバーの方の中にも何人か既に御一緒させていただいた方もいらっしゃいます。私は普段お役所との関係ではこれまでの労働省の女性局を中心に労働法という法律を通して働く女性の労働条件改善等を含む男女雇用平等問題についていろいろ議論をさせてきていただきました。特に女性労働問題に関係する法律との関係では、昭和60年に均等法が御承知のとおりできましたが、最近では同法の改正に絡みまして特にセクシュアル・ハラスメントの規定やポジティブ・アクションの規定の導入をめぐる議論についていろいろ関与をし、お手伝いをさせていただきました。
      このように、私は女性労働問題という観点からいろいろ女性の問題について少し勉強してきた者ですけれども、今日のような女性に対する暴力という観点の幅広い議論はなかなか専門的な知識を持っておりません。できるだけ勉強をしながら、少し私のこれまで培ってきた知識とか経験等が生かせればと思っています。いろいろ御迷惑もかけるかと思いますが、よろしくお願いいたします。
    戒能委員
    お茶の水女子大学の生活科学部の教授をしております戒能民江と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
      私は前の男女共同参画室のときに98年から99年にかけて、「女性に対する暴力に係る諸外国の取組に関する調査研究」という海外調査に参加させていただいております。家族法と女性学を専門にいたしております。今月の6日に配偶者暴力防止法が制定されまして、6か月後あるいは1年後に施行ということになったわけなんですが、ドメスティック・バイオレンスの防止、将来的には根絶に向けて本当に実のある法律の施行ができるような運用を願っております。3年後の見直しということもございますけれども、この専門調査会で活発な議論が展開されて、法の施行を迎えることができればと考えております。
      それからもう一点は、今回の調査会が女性に対する暴力という大きなテーマでございまして、やはりそういう視点からの議論を私もその一員として進めてまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
    垣見委員
    垣見でございます。第一東京弁護士会で弁護士をしております。
      弁護士の仕事としては主として民事関係を扱っておりますが、まだ弁護士登録3年目の新米の弁護士でございます。それ以前は32年間ほど警察に勤務していまして、主として刑事関係の仕事に携わっていました。この会議テーマの関係では、犯罪被害者の問題につきまして、第一東京弁護士会の中に犯罪被害者保護に関する委員会がございますが、そこへ参画をして活動しています。また、千葉大学で刑事法の講義を持っておりますが、その中で被害者の問題あるいはストーカーの問題についての講義もしております。この会議のテーマに関しては、新たに勉強もしながら、また、これまでの経験等を踏まえて意見を述べさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
    北村委員
    日本家族計画協会クリニック所長をしております北村でございます。私は一応産婦人科医ですが、臨床的な能力は極めて低く、私自身は社会婦人科学というのを自称しております。
      この暴力の問題については、私ども医者が第1発見者になる可能性が非常に高いわけでありまして、今日も新幹線通勤途上、眼科医に会いましてどうだと言ったら、つい先だっても目が腫れてやってきた女性がいて、階段から落ちたと訴える。しかし、考えてみれば階段から落ちて一番最初にぶち当たるところは頭であったり、あるいは鼻であったりするわけであって、決して目ということはあり得ないわけであります。そういう意味では、医者が第1発見者となって、それを通報するという意味で非常に重要な役割を果たすわけでありまして、幸い態度も声もでかいというのが私の特徴でありますので、医師会あるいは産婦人科のグループ等々に対してここでの議論を大いに伝え、そして医者としての役割を喚起したい。
      常々私はリプロダクティブ・ヘルス/ライツを脅かすものとして女性への暴力をとらえておりまして、セックスに伴う望まない妊娠、性感染症、この辺りもまさに暴力の結果として起こる問題として着目しております。そんな視点から発言をさせていただこうと思っております。よろしくお願いします。
    小谷委員
    小谷でございます。読売新聞社に勤めておりまして、先月まで大阪本社の編集局長をやっておりました。東京へ戻りまして、特別編集委員という肩書きになりまして、よくお耳にする皆さんのおつき合いになっている編集委員とは特別というのだけが違うのでございますけれども、本社では私一人しかいない職名でございます。
      それで、もともと論説委員として社会保障関係の社説を書いていたんですけれども、前の男女共同参画審議会の委員にさせていただきましていろいろ勉強させていただきました。このほか、国立婦人教育会館の運営委員ですとか、『女性教養』という雑誌がございますけれども、それの編集委員などもさせていただいて、女性の味方とは言えないかもしれませんが、お友達ぐらいの感じかなと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
    小西委員
    小西聖子と申します。武蔵野女子大学というところで臨床心理学を教えておりますが、私はもともとは精神科医でございます。専門というか、余り精神科医が専門とすることじゃないかもしれないんですけれども、犯罪被害者の心理的な援助ということをここ10年くらいやってまいりました。ですから、もう少し精神医学の言葉で言うとPTSDというのも私の専門の一つです。
      それで、現在大学の方で、対人暴力の被害者の方の実際の電話相談と、面接相談を受けております。それで、大体その中の8割以上が女性からの相談ですので、その内訳は性暴力被害、強姦の被害者、ドメスティック・バイオレンスの被害者、それから、うちに来られる方は子どものころの性的虐待の被害者で大人になったというような方が多くて、女性に対する暴力に臨床でどっぷり漬かって普段は仕事をしております。
      それで、ドメスティック・バイオレンスについては私どもの分野では比較的どちらかというと研究が新しく始まっていまして、まだいろいろなデータが出てそろわないような状況です。アメリカでもそうだと思います。それで、ちょうど自分でも今年ぐらいからドメスティック・バイオレンスについても少し専門的な調査をしたいというふうに思っております。よろしくお願いたします。

    (福田内閣官房長官入室)

    福田内閣官房長官
    どうも遅くなりましてすみません。
      それでは、ちょっとごあいさつをさせていただきます。今日はいろいろと会議が重なってしまいまして、1つ会議が長引きましたので大変恐縮でございます。私から一言ごあいさつをさせていただきたいと思います。
      女性に対する暴力に関する専門調査会の初会合に当たりまして、男女共同参画会議議長として、また男女共同参画担当大臣として一言ごあいさつを申し上げます。
      女性に対する暴力の問題については、本年1月23日男女共同参画会議の初会合の席上で内閣総理大臣から今後早急に対応すべき個別の課題として御指示をいただきました。これを受けまして去る4月3日、男女共同参画会議の2回目の会合におきまして本件について専門調査会を設置して検討を進めることが決定されたところでございます。本日、女性に対する暴力について検討するにふさわしい学識、実務経験を有する方々を委員としてお迎えし、本件につきまして検討を始める体制が整いましたことは、私にとりましても大変な喜びでございます。
      先般、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律が成立しました。政府としては、この法律が円滑に施行されるよう、最善の努力をしていかなければなりません。また、この専門調査会が対象とする女性に対する暴力につきましては、法律で取り上げられている配偶者からの暴力のほかにも性犯罪、売買春、セクシュアル・ハラスメント、ストーカー行為等、重要な課題がたくさんございます。委員の皆様方におかれましては、女性に対するあらゆる暴力の根絶に向けて幅広い観点から御検討いただくようお願いをいたす次第でございます。
      島野会長の下、皆様方がその知識や経験を存分に生かしていただき、本会議に充実した内容の御報告をいただけますことを心からお願い申し上げまして私のごあいさつといたします。どうぞよろしくお願いします。
    島野会長
    どうもありがとうございました。それでは、林委員お願いします。
    林委員
    弁護士の林陽子と申します。私は83年に弁護士登録をしてから都内でずっと仕事をしております。女性の人権問題には学生時代から関心がありまして、大津委員がディレクターをなさっているHELPが86年に設立されたときに頼まれもしないのに押しかけ弁護士でボランティア弁護士を引き受けまして10年ほどシェルターに来ている女性たちの弁護をお手伝いいたしました。
      また、私は過去5年くらいはいわゆる従軍慰安婦問題に関しまして村山内閣のときに設立されましたアジア女性基金の運営審議会の委員をしております。この3月にも国連の人権委員会の会議を基金からの派遣で傍聴をしてきました。この専門調査会が直接「慰安婦」の問題を扱うものではないということは十分承知しておりますが、国際的な場での議論を聞いていて感じますのは、いろいろな被害国や当事者の人たちが日本の政府の対応を批判する原因の一つとして、日本に対するイメージというのが非常に女性の地位が低い国である。これだけ戦後、経済成長をしたにもかかわらず、女性の政策決定の場における位置付けが非常に低いのではないか。だから、そこから出される対策ですとか、対案というのも女性の意見が反映されていないのではないかという、その不信感が根底にあると思います。
      このような専門調査会が新しい法律ですとか、新しいポリシーを打ち出していって、それは女性の問題だけれども、女性も男性も一緒にやっていくという姿勢を国内にも国外にも示すことが、長期的にみていろいろな問題をもっと和解していくことにつながっていくのではないかと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
    原委員
    原ひろ子でございます。文化人類学と、それから女性学とジェンダー研究というのをしていることになっていますが、当面書類づくりばかりしているようで、学問というのは余りこの5年ぐらいしていない感じがしておりますが、先般WHOの神戸センターがオーストラリアで開催しました第2回「女性と健康に関する国際会議」という会議でゲルトルード・モンゲラさんも第1回目の去年から毎年いらしているんですけれども、この会議に行ってまいりましたときに非常に感じましたのが、そのときに出したキャンベラコミュニケというものの冒頭のところがやはり先住民、難民、移民、そういう人たちの中での特にまた女性、そういう非常に恵まれない状況にある人の女性に対する、この場合は健康のことでございますが、暴力についても当然入ってきたわけですけれども、そこに着目して施策なり、現実の対応がうまくいくようになれば、おのずと男性で困っている方たちの問題も解決されていく。だから、やはりこの専門調査会でするお仕事は私としましては女のためにやるだけではなくて、女のためのような形でやることが万民のためになるという発想で対応させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
      それから、国会議員の先生方に法律を通してくださったことに心からお礼を申し上げます。ありがとうございました。
    前田委員
    東京都立大学で刑法を教えております前田と申します。私は、どちらかというと研究室にこもっているというところが強くてがちがちの解釈学者なんですけれども、ただ、最近こういうお仕事に触れさせていただくようになりました。一つには立法のスピードがものすごく早くなったんですね。それまでは、今までにある法律を動かないものとして、それをどう解釈するかという仕事ばかりをやってきたわけですが、ストーカーとか児童虐待、それから買春などもちょっとお手伝いさせていただいて、やはり動かしていく、または動いていく磁場の中で物を考えていかないと、固定したものとして今まで考えてきたのがやはりかなり欠けている面があるなという感じがいたします。
      特に女性に関する暴力も、今度のDV法は本当に私はすごいスピードでつくっていただいてびっくりしていたのですが、まだまだ女性の暴力という意味では広い問題が刑事の世界から見ても残っていると思うんです。ですから、動きながら考えていかなければいけない領域だと思っております。是非、先生方に教えていただきながらできる限りのことをさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
    若林委員
    明治大学法学部の若林でございます。よろしくお願いいたします。
      私は明治大学で家族法を担当しています。大学での経験は1年半ですが、それ以前は裁判官として34年余り勤務しました。したがって、どちらかというと、実務家ということになります。特に、裁判官としての退官前の10年余りは主に家事事件を担当しましたので、その中で家族紛争に現れたDVは事件として経験してきました。又、昨年6月から、女性の弁護士、裁判官、検察官及び法律学研究者が会員である日本女性法律家協会の会長をしております。その関係上、女性の問題に関心を持たざるを得ない状態になっております。この調査会では、勉強させていただきながら責任を果たしたいと考えております。よろしくお願いいたします。
    島野会長
    ありがとうございました。
      自分自身の自己紹介を申し上げなかったのですが、私は昭和35年に大学を出て法務省に入り、主に民事局とか人権擁護局あるいは法務総合研究所、法務局など、転々と回りまして、最後は静岡地方法務局長で退職いたしました。そして、公証人を2年弱勤めた後、平成6年に設立されたつくば国際大学教授になって現在に至っております。専門は民法、それから国際私法ということで、この女性に対する暴力に関する問題が4年前から私のもう一つのレパートリーに入ってきました。それで今、本当に自分に課せられた責任というのを痛感しております。皆様の御議論を十分に承って、議論の成果を実りあるものにしたいと思っております。大臣もよろしくお願いいたします。
    福田内閣官房長官
    どうぞよろしくお願いいたします。では、切りのいいところで申し訳ないんですけれども、失礼させていただきます。あとは坂井副大臣、または西川政務官がいますので、ひとつよろしくお願いいたします。
      一言だけ、林先生から先ほど女性がどうも日本では低いというふうに外から見られているようにおっしゃったんだけれども、私は近年随分変わってきていると思うんです。活躍をされていらっしゃる方は多くなりましたし、この会議だって半分以上は女性であるということですから、まさに女性中心で事が進み始めているんじゃないかと思っておりますし、また前田先生のDV法が早くできた。これは女性の議員さんが中心になってつくったんですよ。だから早くできたということで、やはり女性がいざとなれば力があるという証拠だと思っております。また、そういう場を提供しなければいけない。
      そういう意味では、例えば審議会の委員などに登用しようと思ってもなかなかその名前が出てこないということでなくて、たくさん名前があってよりどりみどりというぐらいな、そういう底辺の広がりがこれから必要なんだろうと思っております。これからがまさに女性の時代というように思っておりますので、女性の皆様方には特によろしくお願いしたいと思います。
    原委員
    男性こそよろしくお願いいたします。
    福田内閣官房長官
    それでは、ありがとうございました。
    島野会長
    ありがとうございました。それでは、官房長官は御退席になります。

    (福田内閣官房長官退室)

    島野会長
    それでは、本日の議題を進めさせていただきます。まず議事次第の3.運営規則についてでございます。本専門調査会の運営規則につきましては、事務局の方で案を用意されたとのことでございますので、御説明をお願いいたします。
    大塚企画官
    それでは、本調査会の運営規則につきまして御説明申し上げます。私、男女共同参画局企画官の大塚と申します。よろしくお願いいたします。
      お手元の資料5をお開きいただきたいと思います。この運営規則は、先ほど局長からも紹介をいたしました資料の2に付けてございます男女共同参画会議令におきまして、この政令に定めるもののほか議事の手続、その他会議の運営に関して必要な事項は議長が会議に諮って定めるという形になってございまして、この規定によりましてこの資料5という形で運営規則の案をお示しする次第でございます。以下、条文順に沿って御説明申し上げます。
      規則案の第1条でございますが「調査会の運営」ということで、法令や男女共同参画会議運営規則に定める以外のこの調査会の運営に関しては、この規定に基づいて行うことを規定してございます。
      第2条では、調査会は会長が招集すること。
      第3条では、調査会に欠席する場合は代理出席や他の専門委員の方の議決権行使の委任はできないこと。ただし、意見があれば書面により提出をすること。
      第4条では議事といたしまして、調査会を開くには会長が出席し、かつ委員の過半数の出席が必要なこと。また、議事は過半数で議決することを定めております。
      第5条は、議事要旨を速やかに作成して公表すること。
      第6条は、議事録を作成し、調査会に諮った上で一定期間を経過した後に公表すること。
      第7条では、会長に事故がある場合にはあらかじめ会長の指名する委員が職務を代理すること。
      第8条でございますが、雑則といたしまして、この規則に定めるもののほか、調査会に関し必要な事項は会長が定める。以上でございます。
      なお、先ほど資料の3で他の専門調査会の全体の状況を御紹介いたしました。このうち、仕事と子育ての両立支援に関する専門調査会、それから苦情処理・監視専門調査会の2つが既に発足しておるわけでございますが、この2つの専門調査会につきましても同じ内容の議事運営規則となっております。以上でございます。
    島野会長
    ありがとうございました。運営規則(案)について御説明のとおりですけれども、このように決定してよろしいでしょうか。

    (「異議なし」と声あり)

    島野会長
    ありがとうございました。それでは、運営規則につきましては原案のとおり決定いたします。
      そこで、ただいま決定されました運営規則の第7条において、会長は会長代理を指名することとなっておりますので、会長代理として原ひろ子委員を指名することとしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
      続きまして議事次第の4、「女性に対する暴力への取組」でございます。それでは、内閣府から男女共同参画基本計画における取組について御説明をいただきます。
    村上推進課長
    男女共同参画局推進課長の村上でございます。私から、男女共同参画基本計画における取組について御説明をさせていただきます。お手元の資料の6に沿って御説明をいたします。
      まず「男女共同参画基本計画の位置付け」でございますが、昨年の12月12日に政府は男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るために、男女共同参画基本計画を閣議決定いたしました。この計画は男女共同参画社会基本法に基づく初めての計画であり、男女共同参画社会の形成のための道筋を示したものであります。
      次に「男女共同参画基本計画の基本的考え方」についてです。基本計画は、それまでの国内行動計画である男女共同参画2000年プランの内容を基礎としております。策定に当たりましては、男女共同参画審議会から出された2つの答申や、国連の女性2000年会議の成果を踏まえたほか、国民の皆様から幅広く御意見、御要望をお聞きし、可能な限り内容に反映するように努めました。
      3の「構成」についてですが、この基本計画は3部構成となっております。第1部は基本的考え方で、基本法制定までの経緯や計画の基本的考え方と構成について記述しております。
      第2部は施策の基本的方向と具体的施策で、男女共同参画社会の形成に当たって11の重点目標を掲げた上で、それぞれについて今後10年の施策の基本的方向と平成17年度末までに実施する具体的施策について記述しています。
      第3部は計画の推進で、男女共同参画会議の機能発揮や、地方公共団体、NGOに対する支援等について記述しています。
      続きまして、基本計画における女性に対する暴力に関する取組について御説明いたします。先ほど御説明いたしました基本計画第2部の11の重点目標の1つに、「女性に対するあらゆる暴力の根絶」が掲げられております。お配りしました資料7の冊子がございますが、この目次の2ページ目をごらんください。7に「女性に対するあらゆる暴力の根絶」とあり、その中には(1)女性に対する暴力を根絶するための基盤づくり、(2)夫・パートナーからの暴力への対策の推進、(3)性犯罪への対策の推進、(4)売買春への対策の推進、(5)セクシュアル・ハラスメント防止対策の推進、(6)ストーカー行為等への対策の推進、の6つの項目に分かれています。それぞれ御説明いたします。
      まず最初に63ページをごらんいただきたいと存じます。枠で囲ってございますが、これは「女性に対するあらゆる暴力の根絶」についての政府の基本認識を示した部分です。ここでは、暴力はその対象の性別や加害者、被害者の間柄を問わず、決して許されないものであること。それから、暴力の現状や男女の置かれている我が国の社会構造の実態を直視すると、特に女性に対する暴力について早急に対応する必要があること。女性に対する暴力は男女共同参画社会を形成していく上で克服すべき重要な課題であること。女性に対する暴力は多くの人々に関わる社会的問題であるとともに、構造的問題であること。女性に対する暴力の問題は、国際的にも重要な課題として位置付けられていること、などが述べられた上で、最後に「女性に対する暴力を根絶するため、社会的認識の徹底等女性に対する暴力を根絶するための基盤整備を行うとともに、暴力の形態に応じた幅広い取組を総合的に推進する。」と結んでおります。
      次に64ページ、65ページをごらんください。基本計画の第2部でございますが、ここの記述は開いて左側のページが施策の基本的方向で、これは今後10年を見通した長期的な施策の方向を記述した部分です。右側のページが具体的施策で平成17年度末まで、すなわち5年を視野に入れて平成17年度末までに実施する具体的施策を記述した部分です。
      まず最初に(1)「女性に対する暴力を根絶するための基盤づくり」についてです。施策の基本的方向では、国連が定めた「女性に対する暴力撤廃国際日」、11月25日でございますが、これを踏まえて広報・啓発活動を一層推進することや体制や環境の整備を掲げています。
      具体的施策としましては65ページで、「女性に対する暴力をなくす運動」などを活用して社会的認識の徹底に努めること。暴力によらない問題解決の方法が身につくような教育、学習の充実を図ること。相談、カウンセリング対策を充実させるとともに、関係職員に対する研修の実施に努めること。
      67ページにまいりまして、関係省庁間及び国と地方公共団体間の連携を促進すること。既存の法制度の的確な運用を図るとともに、法制度の周知に努めること。
      自治体や施設管理者等と連携して犯罪防止に配慮したまちづくりを推進すること。69ページにまいりまして、被害者の実態把握のための調査を実施することや、加害者の調査研究に努めることなどを盛り込んでおります。
      次に68ページの(2)の「夫・パートナーからの暴力の対策の推進」についてです。左側の施策の基本的方向では夫・パートナーからの暴力は潜在しやすく公的対応をとることが急務であり、新たな法制度や方策などを含めて幅広く検討することなどを掲げております。 具体的施策としては69ページから71ページにかけて、被害者の状況に応じて関係機関や関係者が有機的に連携する方策や、民間組織との連携の在り方について検討をすること。相談窓口や機能を充実させること。緊急一時保護体制の充実を図るとともに、広域保護を推進すること。必要に応じ、検挙その他適切な措置を講ずるなど、被害者の立場に立った厳正かつ適切な対処を推進することなどを盛り込んでおります。
      次に72ページの(3)「性犯罪への対策の推進」についてです。左側の施策の基本的方向では、加害者の責任を厳正に追及するとともに、被害者が安心して被害を届け出ることができる環境づくり等の被害の潜在化防止に向けた施策を推進することを掲げています。具体的施策としましては73ページで、刑法や児童福祉法など、関係法令の厳正な運用に努めること。性犯罪捜査体制の整備や性犯罪捜査員の育成に努めること。女性警察官による事情聴取等、被害者の心情に配慮した施策を推進すること。産婦人科医師会等とのネットワークの充実を図ること。被害者に対する情報提供を促進し、精神的負担の軽減に努めることなどを盛り込んでおります。
      次に、74ページの「売買春への対策の推進」についてです。施策の基本的方向では、売買春の根絶に向けて関係法令の厳正な運用、取締りの強化に努め、女性の保護、社会復帰支援のための取組を進めることなどを掲げています。
      右側の具体的施策としましては75ページで売春防止法、児童買春・児童ポルノ法等、関係規定を厳正かつ適切に運用すること。それから、保護観察に付された女性に対して必要な指導等を行い、社会復帰を支援すること。婦人相談所等により婦人保護事業の積極的な実施に努めること。児童養護施設やスクールカウンセラーなどを活用して相談体制を充実させること。
      77ページにまいりまして、国連で採択された条約や選択議定書等の趣旨を踏まえて各国と協調することなどを盛り込んでおります。
      次に76ページの(5)「セクシュアル・ハラスメント防止対策の推進」についてです。施策の基本的方向では、雇用の場におけるセクシュアル・ハラスメントに関する相談体制の充実を図るとともに、雇用以外の場におけるセクシュアル・ハラスメントについてもその防止に向けて必要な対策をとることを掲げています。
      具体的施策としては77ページで、男女雇用機会均等法の規定に関する事業主等の認識を高めることや、専門的知識、技術を持ったセクシュアル・ハラスメントカウンセラーの設置、活用等により、相談体制の充実を図ること。それから、各国立学校等に対しセクシュアル・ハラスメント防止のための研修などが行われるよう指導に努めることなどが盛り込まれております。
      最後に78ページの(6)の「ストーカー行為等への対策の推進」についてです。施策の基本的方向では、ストーカー規制法を適切に運用し、被害者の立場に立った迅速かつ適切な対応、支援に努めることを掲げています。
      具体的施策としては79ページで、ストーカー規制法に基づく警告、禁止命令等の行政措置、検挙措置を的確に講じていくこと。関係行政機関・団体との連携を強化し、効果的な被害者支援を推進することなどを盛り込んでいます。男女共同参画基本計画における女性に対する暴力への取組については以上でございます。
    島野会長
    どうもありがとうございました。住田委員はまだ御到着、間もないのでもうちょっと議事を進めて、その後に1分間のごあいさつをいただきます。
      それでは、続きまして内閣府から「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律について」を御説明いただきます。

    (坂井副大臣・西川政務官退室)

    村上推進課長
    では、引き続きまして「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律について」を御説明いたします。
      資料8は法律の概要でございます。それから資料9として、これは法律そのものをお付けいたしておりますので御参照くださいませ。この法律はいわゆる議員立法です。参議院共生社会に関する調査会の下に設置された女性に対する暴力に関するプロジェクトチームにおいて昨年4月以降、検討が重ねられました結果、本年の4月2日、この調査会から法案が提出されました。4月4日、参議院本会議で可決され、衆議院に送られ、4月6日の衆議院法務委員会において質疑が行われた後、同じ日の衆議院本会議に緊急上程され、可決成立しました。すなわち、4月2日に提出されて4月6日に可決成立したわけでございます。4月13日に公布されております。それでは、資料9の法律の条文に沿って御説明いたします。
      まず法律の名称ですが、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」となっております。当初、法律名に「女性に対する」という文言を入れるかどうかで議論されたところですが、女性に対する暴力だけを対象にするということは憲法14条の法の下の平等に抵触する可能性が高いということで「配偶者からの」ということで落ち着きました。したがって、この法律の守備範囲は女性に対する暴力だけではなくて男性に対する暴力も含んでおります。
      しかしながら、1ページから2ページにかけて法律の前文をごらんいただきたいのですが、今、一番問題になっておりますのは女性に対する夫・パートナーからの暴力であり、数の上でも圧倒的に女性に対するものが多くなっております。男性に対する暴力もカバーするとしつつ、何とか女性に対する暴力に重点を置いているということを明確にしたいということから、この2ページ目の冒頭のところに、「配偶者からの暴力の被害者は、多くの場合女性であり、経済的自立が困難である女性に対して配偶者が暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動を行うことは、個人の尊厳を害し、男女平等の実現の妨げとなっている。」ことを盛り込み、前文は女性に対する暴力を意識した内容になっております。
      次いで2ページの第1条、「定義」の部分です。まず、配偶者は法律上の婚姻関係にある者に限らず、事実上婚姻関係と同様の事情にある者も含んでおりますが、恋人ですとか、単に一緒に暮らしているというようなものは含んでおりません。また、この定義からすると元夫は配偶者には含まれません。ですから、元夫からの暴力は配偶者からの暴力には含まれておりません。
      次に、暴力の概念についてでございます。これは刑法における暴行の概念と同じもので、身体的な暴力に限っております。したがって、精神的な暴力につきましてはその結果ノイローゼになったり、先ほど小西先生がおっしゃいましたが、いわゆるPTSD、心的外傷後ストレス障害とか、ノイローゼとか、刑法においても傷害と認められるような結果が生じて初めて暴力となるということでございます。それで、いわゆる単なるネグレクトというか、無視するというようなものは暴行に含まれません。そうすると、精神的な暴力を受けたにすぎない女性からの相談を、後ほど御説明いたします配偶者暴力相談支援センターで受け付けられないのではないかという懸念が生じますが、配偶者暴力相談支援センターの業務を規定しております第3条第2項の被害者につきましては、3ページの真ん中の後ろの方に出ていますが括弧書きで、「被害者に準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動を受けた者を含む。」という文言を加えておりまして、この部分における被害者の概念を広げることでいわゆる精神的な暴力についても配偶者暴力相談支援センターで対応できるようにしております。
      3ページの冒頭の第1条第2項に被害者の定義がございますが、配偶者から暴力を受けた者を言います。それで、ここでは括弧がありまして、配偶者からの暴力を受けた後、離婚して当該配偶者であった者から引き続き生命または身体に危害を受けるおそれがある者を含んでおります。離婚過程、離婚後が危ないというようなこともあるということでございまして、配偶者からの暴力においては元夫からの暴力は含まれませんが、この被害者の中には一部元夫からの暴力の被害者も含まれるということになります。
      第2条では「国及び地方公共団体の責務」が規定されています。
      第3条から第5条までが「配偶者暴力相談支援センター」等についてです。配偶者暴力相談支援センターについては、これからは省略して「支援センター」と呼ばせていただきますが、第3条第1項では「都道府県は当該都道府県が設置する婦人相談所その他の適切な施設において、配偶者暴力相談支援センターとしての機能を果たすようにする。」ということで、ここはどの施設が支援センターに該当するといった書き方ではなくて、支援センターの機能としての規定がなされております。第3条第2項の1号から6号で、支援センターの業務内容について規定しております。その中身は、相談、指導、一時保護、情報提供その他の援助です。この1から6までの業務すべてを行うことができなければ支援センターとなり得ないかというとそうではなくて、その一部でも行うことができれば支援センターとなり得るということであります。
      ちなみに、その他の適切な施設というのは都道府県が設置しているいわゆる女性センターなどが念頭に置かれているようです。
      4ページにまいります。第3条第3項では、一時保護を行う主体について規定いたしております。すなわち、「一時保護は、婦人相談所が、自ら行い、又は厚生労働大臣が定める基準を満たす者に委託して行うものとする。」となっております。婦人相談所はこれまでも配偶者からの暴力を受けた被害者の一時保護を行ってきており、こうした実情にここで法的根拠が与えられたことになります。この婦人相談所による一時保護のほか、売春防止法では規定されていなかった委託がこの法律では可能となっております。委託先は民間の施設でも構いませんし、公的な機関でも構いません。したがって、婦人相談所から民間シェルターに対して一時保護を委託することもできますし、同じ県の施設である女性センターに対して一時保護を委託することも可能な仕組みになっております。この一時保護に要する費用については、第28条第1項におきまして委託に要する費用も含めて都道府県が支弁し、その10分の5を国が負担することになっております。
      次に5ページにまいります。第3章の「被害者の保護」の推進についてです。まず第6条で配偶者からの暴力の発見者による通報等を規定しております。発見した人は支援センターまたは警察官に通報するよう努めなければならないとなっております。また守秘義務がかかっております医師その他の医療関係者は支援センターまたは警察官に通報することができるとして、守秘義務を外すとともに被害者の意思を尊重することにも配慮した規定となっております。
      6ページにまいりまして、第7条では支援センターによる保護についての説明、第8条は警察官による被害の防止、第9条では被害者の保護のための関係機関の連携協力について規定されています。
      第4章は「保護命令」についてです。これがこの法律の大きな眼目であるわけですが、ここで何よりも重視されたのは、いかに保護命令を早く出すかということでございます。命令を出すのに時間がかかってしまうと、その間に更に深刻な被害が生じて取り返しがつかない結果が生じてしまう。とは言うものの、加害者の側の人権も全く無視するということはできませんので、この辺りのぎりぎりの調整が行われたわけであります。まず大前提としまして、7ページの第10条で規定されていますように、保護命令を出せるのは被害者が更なる配偶者からの暴力により、その生命または身体に重大な危害を受けるおそれが大きいときに限ります。そのおそれがないような場合、傷害とかの被害が予想されないような場合には保護命令は出せないということになります。
      そして第11条で、保護命令は被害者が裁判所に申立てを行わなければならず、その申立て先は地方裁判所となっております。申立てから命令が発出されるまでを順を追って説明いたします。8ページの第12条第1項にありますように、申立てを行うには申立書に配偶者からの暴力を受けた状況、更なる配偶者からの暴力により生命または身体に重大な危害を受けるおそれが大きいと認めるに足りる事情のほか、支援センターの職員または警察職員に相談、援助、または保護を求めた事実を記載しなければなりません。この申立書に虚偽の記載をした場合は、第30条で10万円以下の過料に処せられます。また、支援センターや警察には行きたくないという人は、支援センターの職員または警察職員に相談、援助または保護を求めるといった事実の代わりに、公証人役場で宣誓の上、公証人面前宣誓供述書を作成し、申立書に添付することが第12条第2項に規定されております。公証人の面前において書面内容が嘘だと知りながら宣誓したという場合は、公証人法第60条の5で10万円以下の過料に処せられます。
      9ページの第13条、第14条第2項、第3項にありますように、裁判所は支援センターや警察から書面の提出を求めて、これらの書類などを基にして必要があれば支援センターや警察に説明を求め、速やかに裁判の手続を進めていきます。迅速な裁判ということで13条に保護命令事件については速やかに裁判をするものとすると書かれております。ただ、第14条にありますように、書類のみで命令が出せるのではなくて、原則口頭弁論又は加害者が立ち会うことのできる審尋の期日を経なければなりません。しかし、緊急の場合や加害者が出てこない場合などには、加害者に審尋の機会を与えずに保護命令を出すことになすます。
      この保護命令には2つの類型があります。7ページに戻っていただいて、第10条をごらんください。1つは接近禁止命令でございます。被害者の身辺につきまとって住居、勤務先などの付近をはいかいすることを6か月間禁止する命令です。期間は一律6か月となっておりますが、被害者が命令の取消しを申し立てた場合や加害者が命令の効力発生後3か月を経過した後に取消しを申し立てて被害者の異議がないことが確認されますと、第17条第1項で裁判所は命令を取り消さなければならないことになっております。
      この第1号が接近禁止命令、第2号が退去命令であります。退去命令は、2週間被害者とともに生活の根拠としている住居から退去することがその内容です。この命令は申立て時において被害者と加害者が生活の本拠を共にする場合に限り申し立てることができます。生活の本拠を共にしているということの意味ですが、これは同居しているというよりは広い概念でして、被害者が婦人相談所などで一時保護を受けていたり、あるいはホテルに避難しているというような場合には、現実には同居はしておりませんが、本拠は共にしていると解釈されます。
      12ページの第18条第1項により、1つ目の接近禁止命令は再度の申立てができますけれども、2つ目の退去命令については同一の暴力の事実を理由には再度の申立てはできないことになっております。ただし、別の暴力を更に振るわれたという別の暴力の事実があれば、その暴力を理由に新たな申立てが可能でございます。この2つの命令は併せて発令することができます。この発せられた命令に違反した場合は、16ページの29条をごらんいただければと思いますが、1年以下の懲役または100万円以下の罰金になっております。これで担保しているわけでございますけれども、この命令を発したときは10ページの第15条第3項によりまして裁判所はその旨、警察に通知することとされております。命令違反の捜査などにおいて連携をとっていくことを想定しているわけでございます。
      14ページにまいります。ここは第5章の「雑則」でございますが、第23条で職務関係者の配慮等、第24条で教育・啓発について規定するとともに、第25条で加害者に対する更生指導の方法、被害者の心身の健康の回復の方法等に関する調査研究に努めることが明記されております。
      15ページの26条では、国及び地方公共団体が民間の団体に対して必要な援助を行うよう努めるものとすると規定されていますが、具体的な援助の内容については必ずしも議論が十分に行われておりませんで、これからの議論ということになろうかと思います。
      16ページの第6章は「罰則」で既に御説明をしたとおりでございます。
      17ページにまいりまして、「附則」では施行期日等について規定されております。法律の施行は公布の日から起算して6か月を経過した日から施行するとございまして、公布の6か月後、したがって本年10月13日となります。ただし、支援センター等に関する規定につきましては予算の絡みもございますので、平成14年4月1日の施行となっております。また、附則第3条で「検討」という規定がございまして、施行後3年をめどに法律の施行状況等を勘案し検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとすると規定されております。この法律の所管の省庁でございますが、内閣府、警察庁、法務省、厚生労働省の共管になるというふうに考えております。
      法律の説明については以上でございます。
    島野会長
    ありがとうございました。それでは、これまでの説明につきまして御質問等がございましたらお願いいたします。
      なお、本日は内閣府のほか警察庁、法務省、厚生労働省にもお越しいただいておりますので、これまでの説明に関し、これらの省庁への御質問でも結構でございます。明快な説明があったので、わかったという感じですけれども、どうぞ。
    原会長代理
    こちらにおいでになっていらっしゃる省庁の方々が、この法律ができたことでどんなことをなさろうとしていらっしゃるかを非常に手短におっしゃっていただくことは可能なんでしょうか。
    坂東局長
    別にそういう機会をつくろうかなと思っておりますが。
    原会長代理
    詳しいことはまだだと思いますけれども。
    島野会長
    それでは、ざっと簡単に共管の省からお願いいたします。内閣府としては今やっていますからこれでよろしいでしょうか。何か内閣府、ございますか。
    村上推進課長
    政府としてのグランドデザインの取りまとめが、まさにこの会議の場でございます。それから、社会認識の徹底のための広報・啓発活動の展開というのが重要です。先ほど申しました「女性に対する暴力撤廃国際日」、11月25日でございますが、その日を中心に「女性に対する暴力をなくす運動」、2週間を設定しておりますが、そこをキャンペーンの期間として集中的に広報・啓発を行いたいと思っておりますし、それから施策推進のための基礎的な調査研究なども実施していきたいと思っております。
      また、関係省庁の連携の推進ということも内閣府が音頭を取ってやっていくことになるのではないかと思いますし、地方公共団体や民間団体の活動への支援につきましても、私どもでできることを実施する。今年度は女性に対する暴力対策情報提供事業というのを実施いたしますが、これは官民の関係機関が必要な情報を共有できるための情報ネットワークを整備していく予定でございまして、民間のシェルターの方の御意見を踏まえて役に立つ情報ネットワークを構築していきたい。これも支援の一環ではないかと考えております。以上のようなことを考えております。
    島野会長
    ありがとうございました。それでは、警察庁お願いいたします。
    加地警察庁生活安全局生活安全企画課長
    DV事案の関係ですけれども、警察といたしましては従来から刑罰法令に抵触する場合、これは夫婦間の暴力という特性もありますので、被害者の方の意思を十分に尊重しながら刑罰法令に該当するものについては検挙措置等を講じてきたところでございます。
      それから刑罰法令に抵触しない、あるいは被害者の方の処罰意思がないといったことで刑罰法令の適用がない場合でありましても、被害者の保護という観点から必要な防犯指導でありますとか、あるいは他の関係機関をお教えするといったことでありますとか、あるいは必要に応じましてその暴力の相手方に対して指導、警告などを行ってきたところでございます。DV法の施行後につきましても、そういった活動を一層強力に進めてまいりたいというふうに考えております。
      それから、DV法は先ほど御説明がありましたように保護命令制度が創設をされまして、その中で裁判所からの照会に対する協力という制度ができたわけでありますけれども、これにつきましても法施行に向けて十分な準備を行いまして、保護命令の迅速な発令等への的確な協力というものに努めてまいりたいと考えております。
      それから、法律の中で関係機関との連携というものもうたわれておりますけれども、これまで以上に一層連携を深めていくということを考えておる次第でございます。
    島野会長
    ありがとうございました。それでは、法務省お願いします。
    杉山法務省大臣官房参事官
    まず法務省といたしましては、従前から配偶者に対する暴力という観点では、検察庁におきまして警察から送致を受けたこの種事犯について家庭内の配偶者からの暴力であるということの特性等を考慮した上でその起訴、不起訴を決定し、公判で活動をするというようなことをしておりまして、今後ともこれについてやっていくということでございます。
      それから、本法の施行に伴った作業といたしましては、これは最高裁の方で規則をつくることになるわけですけれども、それについて政府の立場としての協議を受けるということです。
      それから、今回のこの保護命令の制度におきましては公証人の宣誓供述書を添付するというような制度になっておりまして、この公証人のいない地域についての手当て等についての作業を進めていくということになるかと思います。
      それから、本法の23条に職務関係者による配慮というような規定がございまして、この配偶者からの暴力に係る被害者の保護、捜査、裁判等に職務上関係のある者がその職務を遂行するに当たって被害者の心情、心身の状況とか環境などを踏まえて人権を尊重するとともに安全の確保、秘密保持に十分配慮というような規定がございまして、検察官とか、それから入管の職員等もこれに当たる場合もあるかと思いますが、これらの職務に対して研修等におきまして十分こういう配慮をするようにというようなことを指導といいますか、配慮するようにというような形のことをやっていきたいと思っております。以上でございます。
    島野会長
    ありがとうございました。それでは、厚生労働省お願いいたします。
    皆川厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課長
    御案内のように法律でも出てきましたが、婦人相談所の相談件数の11%が夫の暴力とか酒乱、それから19%が家庭内不和ということでありますし、一時保護所では夫の暴力、酒乱が42%でございまして、従来の売春防止法上の施設がこうしたDVの施設になっている。そういうことで、私どもも今回は参議院の先生方とは是非この施設をDV法上の施設として位置付けていただく、そして、その業務を担うということで、ある意味ではこの位置付けをはっきりさせていきたいということで協議を重ねてまいったわけでございます。
      今後どうするかということは、法律の施行に向けて自治体関係者等との協議、それから委託事務がありますので民間シェルターの方々の協議、その過程で今日お集まりの先生方の中の何人かには勉強会などにも参加していただきまして、私どもなりにこれから何ができるか、具体的にはこれから概算要求、それから予算要求を通じていろいろな施策を講じていくわけですが、そういう準備を進めているという状況でございます。
    島野会長
    ありがとうございました。それでは、小西先生どうぞ。
    小西委員
    相談などをやるとこういうことを説明しなくちゃいけないものですからいっぱい細かいことで聞きたいことはあるんですけれども1つだけ、第10条の被害者についてはどの範囲までということですか。狭義の最初におっしゃった方の被害者ということなんでしょうか。保護命令が出る被害者の範囲は全部は含まれないということですね。それは実際上はかなり問題があると思いますが、その辺はどういうふうにお考えなのかだけちょっと伺いたいんです。
    村上推進課長
    第10条の文言のところをごらんいただければ、要は身体にだけということに書いてありまして。
    小西委員
    7ページの第10条で、保護命令で被害者が更なる配偶者からの暴力によりというふうに書いてある、この被害者の定義というのは、最初に述べられたように離婚した前夫は入らないというふうに読めますが、そうだとすると実際には前夫からの暴力はかなりたくさんあるし、殺人事件も起こっていることはむしろ警察の方もよく御存じだと思うんですけれども、そういう場合の対処というのはどういうふうに考えていらっしゃるのか、少し伺いたいと思いました。
    島野会長
    当然の御質問と思いますけれども、今回はこの法律の施行に限って検討をしていこうとしておりますので、今の説明で除外されるという、そこに問題点は確かにあるけれども、そういうものだと御理解いただいて、そのはみ出るもの、この適用がないものについてどうするかはまた今後の課題になっていくかと思います。
    小西委員
    今後取り上げていくということですか。
    島野会長
    それは附則3条がありましたから、3年後の見直しという、この法律の見直しで対応するのかということも含めて課題が残っているという認識でありたいと思っております。
    原会長代理
    でも、現実から見てどういうことが問題か、みんなで共有してわかっていくようにするというのはとても大事ですよね。
      それともう一つは、3年後の見直しだけではなくて現実の運用でまたいろいろ有能な官僚の方々が御工夫になれば、運用で対応できる部分もできてくるかもしれないということで。
    小西委員
    そうなんです。私が伺いたかったのは、ここに入っていないので、今こういうことをなさるとか方針をおっしゃいましたね。例えばそういうことの中である程度考えられているのか、とりあえず今は入れませんということだけなのかということを伺いたいと思ったんですが。個別のことは今日はやらないということで、もちろんそれで結構でございます。
    島野会長
    ほかにございませんか。
    北村委員
    保護命令の部分で接近禁止の問題、退去命令、この場合、従来から被害者の子どもの問題がよく話題になっていたわけですけれども、子どもなどに対してはこの中には含まれていると考えていいんですか。
    村上推進課長
    子どもは保護命令の対象としては含まれておりませんで、要はこれは配偶者の女性の方に着目していまして、児童についてどう考えるかという問題は児童福祉の方の対応というようなことかと存じます。
    北村委員
    ほかの法律で対処するということですか。
      それと、医者の部分で通報のことが出てきたんですけれども、法律の文言上、通報することができるという言葉と、尊重するよう努めるものとする、努めなければならないという、この辺りなんですが、医者にはどの程度の責任が課されているとこの文言から理解すべきなんでしょうか。先ほど例を出しましたように、明らかに暴力の結果と思われる症例が目の前にいても、本人は階段から落ちたと言い張るわけでありまして、更に事件を大きくさせないためにこういう事例に接したときに医者はどこまで行動をすべきなのか。あるいは、そういう行動を起こした際に、申立てが虚偽であろうことはないと思いますけれども、実は見立てが違っていたというような事態が起こったときに、医療従事者に対する責任がどういう形で課されていくのか。「できる」と、「努めなければならない」という、この表現について少し説明いただきたいんですけれども。
    村上推進課長
    確かに文言がそういう形になっておりますけれども、これは通報することができるということを明らかにする趣旨であって、守秘義務があるので、通報を躊躇することがないようにということで書いておるということでございまして、意思を無視して通報するとなると、今度は通報を嫌う被害者の方は配偶者からの暴力で負傷してもお医者さんにかかれないというようなことにもなり得るわけでございます。子どもとは違い大人でもあり、被害者の意思を尊重するように努めるというような文言になっているということです。
    北村委員
    具体的には、医者がこの傷害は暴力によって起こった可能性があるんじゃないですかと問いかけて、そんなことはございませんと患者が主張すればそれを尊重し、事は動いていかないというレベルですね。
    村上推進課長
    通報をしてくれるなというのをあえて通報することをどう考えるかということで、そこまでは書いていないということです。
    北村委員
    最後なんですけれども、民間の問題が非常に重要だろうと思うんです。今までも民間シェルターの役割というのは大変大きかったわけですけれども、第26条、民間の団体に対する援助で必要な援助を行うよう努めるものとすると、これはどのぐらいな強い意思が地方公共団体あるいは国に求められているのか。もちろん、経済的なことが非常に今まで話題になっていたわけですけれども。
    村上推進課長
    必要な援助を行うように努めると、これはいろいろな援助があろうかと思います。だから、先ほど私が御説明いたしましたような情報ネットワークの構築もそうですし、あるいは地方公共団体において民間シェルターに補助をされている例もあるわけでございまして、どういうものが適切であるかというようなことを政策的に判断して決めていくことになるのではないかと思います。
    戒能委員
    今との関連で23条の第2項なんですが、先ほど市民に向けて内閣府の啓発というお話がありましたが、職務関係者ですね。この職務関係者というのは今の医師通報の問題も含みますから、医師や公証人なども含めて、あとは行政の窓口ですね。これは非常に重要な、今まで二次被害がいっぱい出てきているとか、専門的な知識がないとか、いろいろな問題を引き起こしているわけですね。ですから、施行までの6か月というのは非常に重要になるわけです。お聞きしたいのは、この「国及び地方公共団体は」という主語になっておりますが、どこが責任を持つのか。研修の主体に任せるのか、それとも先ほどのお話にあった内閣府が全体としてはその責任を持つのかということをお聞きいたします。
    村上推進課長
    例えば、警察関係者は警察において、また法務関係者は法務省等で、そこの業務に一番精通しているところが研修するのがある意味では一番効率的でもあり、研修する意思も十分おありのようでございます。地方公共団体もそれぞれ御自身でなさることがもちろん要請されておるわけですけれども、私ども内閣府は地方公共団体等にマニュアルの例などを情報提供、紹介していくというような形で力を入れていきたいと思っております。
    島野会長
    それでは、まだ御意見もおありかと思いますけれども、この後にまた承ることにいたしまして、住田委員に1分間のごあいさつをいただきたいと思います。
    住田委員
    弁護士の住田でございます。今日は別の会議がございまして、遅れてまいりまして失礼いたしました。
      1分ということで、意見を言ってもよろしいでしょうか。私自身、総理府の方の女性に対する暴力部会で数少ないうちの弁護士一人ということで非常に荷が重かったんですけれども、今回のこの顔触れは私が喜ぶというより、こういう問題に関連しておられる方が非常に歓迎しておられる、今、我が国でこの分野のそれぞれの各種分野の最高の方々がお入りになったと、私を除きまして、本当にそんな気持ちがありまして、この内閣府の事務局が今回こういう人選をされたことに対して心から感謝しております。本当にこういう立派な先生方と御一緒に仕事ができるのは私自身も非常にうれしく思っております。
      それで、1つだけ言わせていただきたいんですが、女性法律家協会の会長の若林先生、それから林さんと私と、それから戒能先生も来てくださって、この法律についていろいろ勉強会をしておりまして、あっという間に議員立法ができてしまったわけなんですが、この議員立法の中身がなかなか見えない間にいろいろこちらとしてはあれも欲しい、これも欲しいというような気持ちがありました。正直なところ開けて、小さく産んだなと、固いところでまとめたんだなという感じがしております。
      それで、これは附則第3条の3年を目途としての検討課題ということになろうかと思いますけれども、この肉付けをしていくのはここの場だと思いますので、法律ができたからおわりというより、これからの仕事の方が大きいなというような気持ちがしておりますので、英知を結集して今後大きく育てていただけるような場になることを心から望んでおります。どうぞよろしくお願いします。
    島野会長
    それから、先ほど会長代理に御就任いただきました原先生からのお言葉をいただかなくて失礼いたしました。どうぞ。
    原会長代理
    この機会にお願いしたいのが、お役人の方々はものすごく有能だというのはかねがね私も痛感していまして、大学の研究などをしていても、我々はだめだと思ったりするんですが、夜中まで書類に向かっておいでになったり、文書をお読みになったり、それからヒアリングで役所に人を呼んでお勉強なさる。それしか時間がないからそうなさっているのはよくわかるんですけれども、この種の問題に関しては現場で突然逃げてくる方のためにタオルとかおむつとかお洋服とかを用意していて、またこれもいつ何人来るかわからないですから収納する場所にまた苦労をしているとか、それから具体的に余りそこでプライバシーをのぞくわけにもいかないけれども、やはりそこで働いている方と、そこで困って逃げてきている方、及びその方が連れてきていらっしゃるお子さんの表情を一度でもいいから所管庁のお役人の方々がごらんになる。そうすると、今度はHELPなどは忙しくなって対応が大変になって、ただでさえ忙しいのに大変になるということではございますが、地方自治体の方も含めてやはり現実がおわかりにならないでいらっしゃるので、現場でいろいろ要望を出す人と、役所の間のすれ違いがあるような気持ちがこの5、6年ずっといたしておりまして、現場のシェルターの方々も大変なんですけれども、そこも御配慮になりながら、15分でもいいから見ると見ないでは人生大違いというふうな感じがいたしておりますので、その辺は御配慮をよろしくお願いいたします。
    大津委員
    それに関連して一言よろしゅうございますか。現場におる者と しましては、怖いおじさんたちがどっと来られますと、子どもたちはそれでなくても男性不信になっておりますので、やはりその点の御配慮をしてくださいまして、例えば女性の方と一緒に来られる、女性の方が見ていただくというのは大いに結構です。
      でも、本当にシェルターを一度のぞいてくださるという案は私たちは喜んでおります。それに対しては本当に協力させていただきます。ただ、入っている方たちの気持ちをもくんでくださいまして、是非いらしてくださいますようにお願いします。
    島野会長
    ありがとうございました。
      続きまして、議事次第の5、「女性に対する暴力に関する専門調査会の今後の進め方」に移ります。内閣府から御説明いただきます。よろしくお願いします。
    村上推進課長
    では、本専門調査会の今後の進め方につきまして、事務局の考え方を御説明させていただきます。
      まず、今後御検討いただくテーマにつきましては、女性に対する暴力全般であると考えております。具体的には先ほど御説明させていただきました男女共同参画基本計画で取り上げている夫・パートナーからの暴力、性犯罪、売買春、セクシュアル・ハラスメント、ストーカー行為などが考えられます。ただし、配偶者からの暴力についての法律が先ほど成立しまして10月に施行を控えているということもあり、当面は法律で取り上げられている夫・パートナーからの暴力に重点を置いて検討を行っていただければと考えております。本日、専門調査会の第1回の会合が開催されたわけですけれども、今後の検討スケジュールにつきましては資料10、資料11のように考えております。
      まず資料10をごらんくださいませ。そこには平成14年12月までの大まかな予定を示しております。なぜ平成14年12月までとしているかを御説明いたしますと、専門委員の皆様につきましては事実上任期がございません。それで、資料2に付けております男女共同参画会議令第2条第3項において、「専門調査会は、その設置に係る調査が終了したときは、廃止されるものとする。」との規定があるのみでございます。
      しかし、専門調査会設置の議決をいただきました男女共同参画会議の議員につきましては、資料1に付けております男女共同参画基本法第26条によりまして任期は2年と決まっております。それで、男女共同参画会議は本年1月からスタートしておりますので、今の議員の任期は平成15年1月までとなっております。本専門調査会は現体制の参画会議において設置が決定されたということから、現議員の任期終了時にはその時点において意見を取りまとめて参画会議に報告することが必要であるというふうに考えております。そういうことから、15年1月の前の14年末を念頭にスケジュールの案を資料10のような形で事務局からお示しするものでございます。
      それで、平成14年末までをおおむね3つの期間に区切りまして、平成13年10月の、先ほど御説明いたしました法律の施行の時期、それから平成14年4月、これが法律の完全施行時期でございます。それから、男女共同参画会議議員の任期末の時期に合わせた時期に御検討いただき、何がしかの成果をおまとめいただきたいと考えております。
      第1期は法律の施行時期である10月13日を念頭に置いたものですが、そこに至るまでの当面のスケジュールといたしましては資料11のとおりでございます。本日は第1回会合で、第2回から第3回にかけましては女性に対する暴力に関する現状と問題を把握するということで婦人相談所、婦人保護施設といった公的機関において実際に被害女性と向き合っている担当者や民間シェルターの関係の方々からヒアリングを行い、取組状況や問題点についての共通認識を得たいと考えております。その後、第3回から第4回にかけて法律施行に向けた関係省庁の取組等について関係省庁から御報告をいただいた上で、法律施行時を念頭に専門調査会として何らかの提言を取りまとめていただくというようなイメージでおります。
      資料10に戻っていただきまして、第2期の平成13年10月から平成14年4月にかけては加害者の更生指導の方法ですとか、被害者の心身の健康を回復するための方法ですとか、調査研究に関することですとか、民間団体に対する援助の在り方等の検討など個別的な問題の完全施行に向けた意見を取りまとめていただきたいと考えております。
      第3期の平成14年4月以降につきましては、男女共同参画基本計画や法律の見直しの検討に備えるために、夫・パートナーからの暴力だけでなくて基本計画に取り上げられております性犯罪や売買春、セクシュアル・ハラスメント、ストーカー行為など、幅広い問題について御検討いただきたいと考えております。先のことになればなるほど未確定の部分も多くなっておりますけれども、まずは法律の円滑な施行を最重点課題として御検討いただきたいと考えております。おおむね月1回の開催を予定いたしております。
      専門調査会の進め方につきましては以上です。
    島野会長
    ありがとうございました。では、ただいまの説明への質疑も含め、この専門調査会の進め方及び女性に対する暴力への取組につきまして、委員の皆様で御自由に御発言いただければと存じます。およそ11時55分ごろまでよろしくお願いします。
      先ほど御発言が中断して失礼いたしましたけれども、大津先生どうぞ。
    大津委員
    シェルターですので、本当に具体的な逃げてきた女性たちが抱えている問題がさまざまにございます。そういうさまざまな問題、いわゆるサバイバーの方も含めてですけれども、暴力を受けた方々が具体的な事例に関してこの場で検討していただけるのかどうかですね。
      それは、1つにはここで通報の問題がありましたけれども、被害者の方々は通報してほしくないというふうに言っているんですね。それはどういうことかといいますと、その中には通報したことがわかったことによってもっとひどい暴力を受けている人たちもいるわけです。その辺りをこの会で検討していただく必要があるのではないかと思います。ですから、被害を受けた当事者の方たちの意見を是非この場で反映していただけたらうれしいと思います。
    島野会長
    具体的にとおっしゃる趣旨はどういうことですか。
    大津委員
    例えば、一つひとつ被害者の女性たちが抱えています問題で、例えば外国人の方で日本人と結婚した方々がいますけれども、その方々が夫の非協力なためにオーバーステイになっておりまして、子どもさん自体も本来だったら日本国籍を取れるのに日本国籍が取れなかったり、そうしますといわゆる公的な機関の援助が一切受けられないんです。そういう人たちがどこに身を寄せるかといいますと民間のシェルターで、HELPなどはもともとが外国人の女性たちを受け入れた経緯がありますので、その方々を受け入れているんですが、やはり1年間民間シェルターにいらっしゃった方がいるんですね。そういう方々への、例えば在留資格の有無を問わず、日本人と結婚している女性たちが被害に遭ったときにはほかの公的な機関も、例えば支援していただくような方策ができないかどうかということなど、いろいろとあるんですけれども。
    島野会長
    個別の事例という意味ではなく、そこから抽象されるアイテムがあるということですね。
    北村委員
    今の御意見は、通報してほしくない、おせっかいをするなという意思なんですか。
    大津委員
    本人がどういうふうに思っているのかということを聞いていただきたい。通報してほしくないかどうか。例えば、けんかがまわり近所の方に聞こえたときにすぐに警察に通報されるということになりますと、警察官が来ることによって、その警察官がすぐにでも対応してくださって逮捕するなり、警察に連れて行ってくださるんだったらいいんですけれども、聞いている間に、「わかりました、今、御主人は落ち着いていますからそれでいいですね」という形で、通報したことがすぐ行動に移されないでそのまま放置されますと、かえって通報したことによって妻がもっとひどい暴力を受けたということが今までも事例の中であったものですから、その辺りを少し検討していただきたいんです。本当に通報する制度がいいかどうかですね。
    島野会長
    この制度は、この運用について大きい問題を含んでいると思います。
    戒能委員
    それとの関係で、法律で通報義務のところに情報提供というのがあります。これも非常に緩やかな努力をしなさいという条文だったと思いますが、やはり情報提供と通報というのが一つに組み合わさったものです。むしろ意思を尊重するということを考えると、ほとんどの被害を受けた方はどこへ行っていいかわからない。それから、どんなシステムがあるのかもわからない。どういう対応をされるのかもわからないということがあります。それからそこで安心感を持って、そして本当に信頼して相談できるかということがあるわけですから、そういう情報提供の問題も非常に大きいんだという位置付けが必要です。さっき申し上げましたように研修の重要性をさらに強調したいなと思っております。
    林委員
    今後のスケジュールということなのですが、実際に法律施行が10月13日と決まっていて、その前にこの会を開ける回数というのは4回とか5回と極めて限定されているわけですね。その施行に向けて、では専門調査会としてどういう意味あるコミットメントができるかということから考えた場合、私の意見は、原先生のおっしゃっていることとは全然逆なのかもしれませんが、現在のシェルターの活動ですとか、婦人相談所、婦人保護施設の関係者からのヒアリングということはこの前の暴力部会でもなさっていますし、もう聞いたものがあると思います。もちろん私たちは新たに任命された委員ですから、その蓄積というのはない人とある人といると思います。
      それから、民間シェルターについてのヒアリングは先ほど厚生労働省の方のお話でも始めていらっしゃるということでしたし、現に私もあるシェルターの人から何月何日に出頭しなさいという連絡がきましたとかという話を聞きましたが、厚生労働省でもヒアリングをし、ここでも重ねてヒアリングをするということが、非常に少ない予算とスタッフでやっているシェルターの人たちにとってどういう意味があるのだろうか。それよりは、例えば戒能先生が言われたような研修の問題ですとか、情報提供の問題ですとか、恐らく今後シェルターに来た人はこういう情報提供をしなさいというガイドライン的なものをむしろこちらから提案していかなくちゃいけないものがあると思うんです。
      あるいは研修についても先ほど法務省の方はなさっています、あるいはこれからなさいますというお話をなさいましたけれども、ではどういう材料を使ってどなたがお話になっているのか。それに対して、この専門調査会として何か意見交換することができないだろうかというようなお話をした方がいいのではないかと思います。それを次回ぐらいからしないと施行の前に意見をまとめるということが果たして間に合うんでしょうかという危惧を持ちましたので御意見を申し上げます。
    原会長代理
    今の林委員のおっしゃることに私は賛成で、ここの方たちがこの時間を使って現場を知れということでは必ずしもないんですね。だけど、ここの担当の方が少し現場をお知りになることで概算要求を出すときにこういう文書をつくろうとか、こういうところのエネルギーが出てくると思うという意味です。どうも概算要求をつくるときは、お役人の方が本当にそう思えば文書をおつくりになって予算が取れちゃうみたいなことがあるような気がするんです。いつもじゃないにしても、本当にコミットするお役人があればできていくことというのはあるような気がするという意味なんです。
      通報についても、今の大津委員の御発言をお聞きになった方々は、この中でわかっている方とわかっていない方とあると思うんです。そういうふうな言い方をしてごめんなさい。でも、そうすると大津委員は、もう通報はだめだと言っているんだ、通報というのはもうしないことがいいんだというふうに思われてしまう。だから、この通報についてというのも今日は時間がないけれども、このことについてどういうふうに話し合うかというふうな、その種の、先ほどの状況によってどういう人の被害が多いんだけれどもということも含めて、事柄によって議論の議題をつくっていくというのも一案かなというふうな気がいたしました。
    島野会長
    わかりました。今、林委員からの御意見もありましたけれども、会長としても同感するところがあります。それで、この第2回、第3回はヒアリングになっていますけれども、例えば第2回は大津先生から十分に御意見を承りたいと思っております。せっかく専門家の方々、さっき住田委員のお話があったとおり最高の方々がいらっしゃるから、この会で問題意識、現状認識、そしてあるべき法施行に向けてのチェックポイント、要求等をつくることはできると思いますけれども、事務局が用意してくださったスケジュールを尊重しつつ、自由討議というのが第4回にだけ書いてありますけれども、当然毎回あるわけで、その中で少しずつ具体的な形で9月にまとめるべきものをイメージしながら議論を整理して積み重ねていきたいなと考えます。
      それで、今、情報提供、研修、それからガイドラインなどについて指摘がありましたけれども、どうぞ。
    前田委員
    今の御趣旨で是非やっていただきたいと思いますし、事務局の用意された流れで全く問題ないと思うんですが、1つだけ気になるのは保護命令などの絡みで、裁判所の方の御意見を伺う機会をつくっていただけると、この一番最後でもいいんです。内閣府、法務省、厚生労働省、警察庁で、最高裁でも地裁でもいいんですが、そういう場は難しいんでしょうか。
    島野会長
    司法と行政と本当に分かれていまして、これは内閣府という行政府の中での専門調査会で、政府にこうしろ、こうしてほしいということをまとめる場なんですね。それで、司法の分野、裁判所に聞きたいという気持ちはありますよね。保護命令の運用、それから違反についてどうするか。
    住田委員
    それは規則ができますから、規則の説明については当然こちらも聞かせていただけることができますのと、法務省が民事局・調査部等を通じまして裁判所との窓口に接点がございますから、そこも含めての御説明をいただけるということを期待してよろしいんじゃないかと思っているんですが。
    前田委員
    法務省を通してということですか。
    住田委員
    はい。それで、規則ができた段階でまた規則の説明というのはしかるべき方にお願いできるかと思うんですけれども。
      それと実はもう一つ、この第3回で法律施行に向けての取組について内閣府と法務省とございますけれども、このときに私の本音といたしましては、今回の法律は極めて骨しかつくられていない。これはほめ言葉でもあるけれども、逆に言うと失望感の表れでもございまして、それをどのぐらい肉付けできるかというときに、この運用の中でかなり広い部分まで含まれることもありましょうし、それから今回の罰則付きの保護命令でない通常の保護命令といいますか、通常の仮処分等においての射程距離というのもあると思いますので、それをここに法律家がこれだけそろったわけですから、そういう工夫でここまでできますというような一種の線を協議した上で、内閣府としての結論ではないにしても一種の有識者としての考え方というのを示すことによって、現場の方々に対しても、これは使いづらいと言われているものをもっと使いやすいものにもできる余地がありますというような方向性だけお示しできれば、ここでこれだけの方がいらっしゃる意味があるのではないかなと思っています。そのときには、是非法務省の方にも御協議に加わっていただいて、ある一定のそれなりのお立場の御意見もいただきたいなというふうな気がいたしております。
    島野会長
    ですから、単に聞くだけではなくて意見交換等がかなり時間を取って行われるべきとお考えなのですか。
    住田委員
    そうですね。ですから、その保護命令についての現場的な感覚でのお話もできる方を、法務省の中で裁判所出身の方に来ていただければ非常にありがたいと思っております。
    島野会長
    そして、私の希望としては前回の部会でもそうでしたが、各委員でこれはどうしても討議してほしいとか、自分はこう考えるということがおありだと思うんですね。それをあらかじめペーパーで事務局あてに提出していただいておくと、大変効率的な会議ができるように思います。それで、もちろんそれを超えて自由に討議していただいていいんですけれども。
      幸い、1か月に1回というのはスローテンポですので、その間の作業というのがあると思いますのでお出しいただければと思います。お願いいたします。
    北村委員
    同様な要望ですけれども、前回の審議会での議論でも話題になっていましたが、女性観だとか、そういうものがかなり凝り固まった大人たちを啓発するということは極めて難しい。そういう意味で非常にフレキシビリティに富んだ若者教育、例えば小学生や中学生、高校生、こういう人たちに対して女性に対する暴力の重要性をきちんと認識させるためには、やはり文部科学省などの姿勢というものがとても重要だろうと思っております。そういう意味ではこういう情報収集など、あるいは議論をする中で文部科学省などにも加わっていただいてこの辺りをやれたらなという気がします。今、教科書問題が話題になっていますけれども、私はよく存じておりませんが、女性に対する暴力というようなことが話題になった教科書というのは現実にあるんですか。あるいは、いろいろな教科の中で。これはまだないですか。
    戒能委員
    まだないと思いますけれども、全部調べてはおりませんので。
    原会長代理
    私は今日初めて会長代理になって会長との打合せというのもないので目の前で打合せということですが、今、島野会長がおっしゃったこの法律に関するものすごい思いがそれぞれの委員の方々におありだと思うんですね。それはやはりなるべく早く、今日発言がおできになっていない方もたくさんいらっしゃるし、言いたいことはこれだけあるのにこれだけしか言っていないという方はたくさんあると思います。でも、絶対全員ということでもないにしても、何か締切りをおつくりいただいて、この次の会議の前に私たち委員はほかの委員がどういう問題意識を持っているかとか、期待を持っているかというようなことや、それから今の法律の中でできることというのはこれじゃないかと思っているということも含めて作文というか、文書をお出しいただくようにして、それをみんながこの次の会議の前に共有する。一応斜めでもいいから見てくるというふうにすると、次の会合が能率的なのではないでしょうか。それは言論の自由ということで、情報公開だそうですが、これは本当に私文書というつもりで自由に何でも書けるというふうになる方が。
    島野会長
    議事録に添付はしないという形で自由に御提出いただきたい。それでは当日の意見、考えを皆さんに知っていただくためにあらかじめ出していただく。それは別に議事録に添付するような公的な資料としては扱わない。それで、肝心なのは締切りですけれども、皆さんはお手元にいつまでに届いてほしいですか。
    原会長代理
    21日の前には読んでおきたいということですね。
    坂東局長
    1週間前の14日までということで。
    島野会長
    では、5月21日の会議の1週間前の5月14日月曜日までに事務局へファックスでもメールでもよろしいのでお寄せください。
    原会長代理
    中身は法律へのコメントでもいいし、この専門調査会の進め方についての御意見でもいいということでいかがでしょうか。
    島野会長
    何でも結構です。今日の会に臨まれて本当は用意していたことがあるとか、あるいは今日の会合を踏まえてこれを伝えておきたいとか、いろいろな形、内容があると思いますので、よろしくお願いいたします。
    原会長代理
    御欠席の先生にもそうすればお出しいただけるということですね。
    島野会長
    今日の配布資料と同時に、今日の経過を御連絡させていただきます。
      それでは、大変活発な御議論をありがとうございました。次回以降はただいま御検討いただきましたように、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の円滑な施行に向けて当面検討を進めたいと思います。
      次回の専門調査会につきましては、5月21日に開催する予定としております。場所等の詳細につきましては追って事務局から御連絡いたします。次回は婦人相談所関係者、民間団体からのヒアリングという予定になっていますが、ヒアリング対象者について事務局で何か御用意されていますか。
    坂東局長
    今、御意見も出ましたように、できるだけ自由討議の時間を取った方がいいのかもしれませんけれども、婦人相談所関係者につきましては厚生労働省と人選については御相談を申しております。それからまた民間シェルター、民間団体については大津先生が専門委員でもあられますのでお願いをしたらどうかなと思っておりますが、いかがでしょうか。
    島野会長
    それでは、次回5月21日は婦人相談所関係者と民間シェルター代表ということで、大津先生からお話を伺うということにしたいと思います。また、今後のスケジュールとしましては、まずは10月の法律の施行時期を念頭に置いて検討の成果を取りまとめる方向で進めてまいりたいと存じます。それでよろしいでしょうか。
      それでは、そのようなスケジュールを念頭に置き、今後議論を進めていくこととします。 あとは何か御連絡がございますか。
    大塚企画官
    最後に1点だけ、失礼いたします。先ほど既にお話がありましたように、第2会合は5月21日10時から、今度は内閣府の庁舎の中の3階の特別会議室で開催をする予定でございます。
    島野会長
    それでは、これで女性に対する暴力に関する専門調査会の第1回会合を終わりにいたします。本日はどうもありがとうございました。