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コラム2
学び直しから起業・社会貢献へ
~ 一般社団法人ルータス・代表理事/株式会社ルータスワークス・代表取締役 大原康子氏
(突然シングルマザーに)
専業主婦であった大原康子氏は、平成27(2015)年、夫の急逝により37歳で突然3人の男の子を育てるシングルマザーとなった。
収入もこどもの預け先もない状況となり、まず働くために保育園を探したが、住んでいたエリアに空き枠はなかった。やむを得ず、独身の頃の編集や営業の経験を踏まえて、フリーランスのライター兼プランナーとして復職することとなった。
予期せぬ形でシングルマザーとなり、生活が一変したことで、「当たり前の生活を送りたいだけなのに、なぜ女性が一人でこどもを育てながら働くことは、これほどまでに大変なのか」という疑問が、次第に大きくなっていった。
(大学院での学び直し)
大原氏は、自身が当事者となったことで初めて、「母子世帯の貧困」やそれを生み出す一因となっている、日本社会における女性の働きづらさという構造的な課題を認識した。やがて、「女性が望むように生み、育て、働ける社会を作りたい」という思いを抱くようになり、シングルマザーを支援する法人の設立を志すようになった。
しかし、「社会に働きかけるためには、自らが社会の仕組みをより深く理解する必要がある」と考え、平成31(2019)年に立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科(令和6(2024)年4月1日より「21世紀社会デザイン研究科」は「社会デザイン研究科」に名称を変更。)に入学した。
授業は夕方からであった。大学院の隣に住み、こどもたちに夕食を食べさせた後、民間のベビーシッターや知り合った学生に留守番を依頼して教室に通った。帰宅後に家事を済ませ、深夜や早朝に論文に向かう生活が続いた。
フリーランスとして仕事量を調整しながら学業と子育ての両立を図った。学費は大学の給付型奨学金を受けることで賄い、経済的負担を軽減しながら学びを継続した。
入学2年目から始まった新型コロナウイルスの影響によるハイブリッド授業は、時間や場所の制約を減らすことにもつながった。自宅で親が学ぶ姿をこどもたちに見せられたことも含め、学び方の可能性が広がったと振り返る。
大学院では、フリーランスとして働くシングルマザーについて研究を進め、修士論文にまとめた。学びはどれも刺激的であり、それまで思っていた以上に社会には多くの困難があり、感じていた以上に女性を取り巻く状況が厳しいものであることを深く理解するものとなった。
また、学生生活では、学年や年齢、学部を超えた多くの友人と出会えたことも、貴重な財産となったという。非常に多忙な日々ではあったが、学びは大きな充実感をもたらし、大学院での経験はその後の生き方や子育てにも大きな影響を与えた。
(シングルマザーのキャリアと暮らしを支える法人設立)
令和3(2021)年の秋、大学院での学びを実践に移す形で一般社団法人ルータスを設立。シングルマザーのキャリアと暮らしを支える活動として、在宅で働くためのスキルアップ講座や相談支援を開始した。
令和4(2022)年に修士課程を修了し、令和5(2023)年9月には、「シングルマザーがともに働く課題解決型制作会社」として、株式会社ルータスワークスを設立した。同社の制作・マーケティング部門では、在宅で働く母親たちが案件ごとにチームを組み、Web制作やオウンドメディア運用、広報支援、コンテンツ制作などのデザインを通じたクライアントの課題解決を事業化している。
特に、女性を対象とした事業やソーシャル領域に強みを持ち、共感力と実行力を備えたソリューションを提供するとともに、高いスキルを持つ女性たちが専門性を発揮しながら働く仕組みをつくっている。
今後は、一般社団法人によるスキルアップ機会の提供と、株式会社による就労機会の創出を連動させ、学びから仕事へとつながる仕組みの更なる充実を図る。さらに、こうした仕組みづくりをともに進める地方公共団体や企業・団体との連携も進めていく予定だ。
大原氏は、自身が取り組んでいる課題は、シングルマザーに限らず、日本で産み育て働く女性全体に共通する、根本的な課題であると捉えている。そのため、シングルマザーの課題に向き合うことを起点として、女性の働き方・暮らし方、すなわち「生き方」に新しい選択肢を提示することを通じて、誰一人取り残されることなく経済的、精神的に自立・自律できる、社会の実現を目指している。
(一般社団法人ルータスにおける相談の様子)