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コラム6

女性にも選ばれる地域づくりに向けた取組の事例3

「女性の起業トータルサポート事業」 ─滋賀県の事例

国、地方公共団体、各種の民間団体等において、女性の起業の促進に向けた様々な支援のための施策や取組が進められている。それらの中から、地方公共団体における代表的な取組の一つとして、滋賀県の「女性の起業トータルサポート事業」を紹介する。

〇 主な経緯・概要

滋賀県では、令和3(2021)年6月に、男女共同参画センター「G-NETしが」内に女性の起業支援拠点として「女性の起業応援センター」を開設し、起業を目指す女性を対象に、起業前から起業後までの各段階に合わせた必要なサポートを、子育て中の女性でも参加しやすいよう全て託児付きで実施することとした。

他機関とも連携しつつ、女性の起業について一貫して同センターにおいて応援していることに特徴がある。主な内容は以下のとおり。

〇 主な内容

<起業相談事業(対面・オンライン)>

起業にチャレンジしようとする女性、起業後から軌道に乗るまでの段階にある女性に、活動段階に応じた必要な情報を提供し、具体的行動に移すためのアドバイスや専門的な技術アドバイスを行うなど、チャレンジ(起業等)を支援するマンツーマンの相談事業。対面とオンラインの両方で実施している。

<女性の起業支援セミナー>

起業に当たり必要なスキルを習得するためのセミナーを開催(平日コース6回、土日コース6回)。各コース終了後は起業を目指す者同士のネットワーク作りと連携を図ることを目的にミニ交流会を開催している。

令和6(2024)年度からは、新たに事業展開や学び直しのためのリスキリングコースも実施している。

(滋賀県提供)
女性の起業支援セミナーの様子 写真

(女性の起業支援セミナーの様子)

<コワーキングスペースの提供>

「女性の起業応援センター」にコワーキングデスク及び交流・情報交換ができるテーブルやチャレンジ内容を発信できるインフォメーションスペース(掲示板)を設け、起業にチャレンジしている女性の活動・交流の支援や専門のアドバイザーによる定期的な指導助言を行っている。

<チャレンジショップ体験の場の提供>

専門のアドバイザーの助言を受けながら、商品販売やセミナー、ワークショップ企画、広報・PR、接客、商品ディスプレイ等を体験できる場を提供。自身の出店に興味を持ってもらえるか、売上げはどれくらいかなどについてリサーチし、実際の出店につなげることを目的に実施している。

<起業家交流会の開催>

起業に向けてチャレンジしたいという意欲を持つ女性や、自身の起業をステップアップさせたい女性が、先輩起業家の体験談や助言を聴くことによりモチベーションを維持向上させるとともに、チャレンジ支援機関や県内各市町、商工会等の起業塾生・卒塾生等の起業家なども交えた交流・ネットワーク作りを進めることを目的に開催している。

<女性のためのオンラインマルシェ事業>

長く続いたコロナの影響により、インターネットを通じた市場「オンラインマルシェ」が国内でも新たな販路開拓・拡大の手段として広がってきた。これを踏まえ、「オンラインマルシェ」に出店するための手法を学ぶ実践的なセミナー等を実施するとともに、受講者がデモ出店する「チャレンジオンラインマルシェ」を開催するなどの取組を令和4(2022)年度から開始している。

<女性の起業ポータルサイト運営事業>

起業にチャレンジしたい女性やステップアップしたい女性が、起業事例や助成金を含む関連情報に効率よくアクセスできるよう、「女性の起業ポータルサイト」を立ち上げ、一元的な情報の収集・発信を行っている。

〇 これまでの実績

令和3(2021)年度から令和5(2023)年度までの間において、延べ1,686人が上記の各種事業を利用し、75人の新規起業又は事業継続につながった。

※ 内閣府男女共同参画局ホームページ(女性応援ポータルサイト:起業)においては、国が実施しているものを中心に、起業を目指す女性を支援するための事業や施策を紹介している。

https://www.gender.go.jp/policy/sokushin/ouen/entrepreneur/