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特集 新たな生活様式・働き方を全ての人の活躍につなげるために~職業観・家庭観が大きく変化する中、「令和モデル」の実現に向けて~

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人生100年時代を迎え、我が国における家族の姿は変化し、人生は多様化している。昭和60(1985)年には全世帯の4割を占めていた「夫婦と子供」の世帯は、令和2(2020)年時点では全体の25%となり、単独世帯とひとり親世帯が全体の約半数を占めるようになった。令和4(2022)年時点の共働き世帯は、専業主婦世帯の3倍近くとなっている1。男女共同参画関連施策に目を向けると、昭和61(1986)年の雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47年法律第113号。以下「男女雇用機会均等法」という。)施行以降、この37年間で女性活躍・男女共同参画に関する法整備が進められてきた。しかし、我が国においては、有償労働時間が男性、無償労働時間が女性に大きく偏るなど、依然として、固定的な性別役割分担が残っている。このことが、新型コロナウイルス感染症(以下「コロナ」という。)感染拡大下における、特に女性の就業や生活への甚大な影響の一つの要因となった。

一方、コロナ下においては、テレワークの導入が進んだことにより、働く場所にこだわらない多様な働き方が社会全体に浸透した2。テレワークの普及が、男性の家事・育児への参画の拡大を促すなど、性別にかかわらず仕事と家庭のバランスの実現につながり、女性の無償労働の負担の軽減、女性の経済的自立に寄与することも期待されている。

現在、コロナの感染拡大開始から3年以上が経過し、世の中はコロナ前の日常を取り戻しつつあるが、ロシアのウクライナ侵攻の長期化の影響による物価高騰等が家計を直撃し、人々の生活に影響を与えている。新たな日常における男女共同参画の推進に当たっては、コロナ下で明らかになった我が国の男女共同参画における課題に取り組むこと、意識の変化を見過ごすことなく、コロナ下で生まれた新しい流れを推進していくことが必要である。

未婚女性の理想のライフコース、未婚男性の将来のパートナーに対する期待を見ると、「両立コース」が「再就職コース」を大きく上回るなど、近年、主に若い世代の理想とする生き方は、変わってきている。このような変化を捉え、我が国の未来を担う若い世代が、理想とする生き方、働き方を実現できる社会を作ることこそが、今後の男女共同参画社会の形成の促進において、重要である。また、このことが、家族の姿が変化し、人生が多様化する中で、全ての人の活躍にもつながるものと考えられる。

今こそ、固定的性別役割分担を前提とした長時間労働等の慣行を見直し、「男性は仕事」「女性は家庭」の「昭和モデル」から、全ての人が希望に応じて、家庭でも仕事でも活躍できる社会、「令和モデル」に切り替える時である。

第1節では、働き方や就業に関する意識の変遷、家事・育児等・働き方の現状と課題について、政府統計を中心とした各種データ等で確認した上で、第2節では、内閣府で実施した意識調査等を用い、若い世代を中心に、生活様式や働き方についての考え方が変わってきていることを明らかにする。第3節では、その新しい動きを全ての人の活躍につなげるための男女共同参画の在り方、職業観・家庭観が大きく変化する中での「令和モデル」の実現について考察する。

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家族の姿の変化

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共働き世帯数と専業主婦世帯数の推移(妻が64歳以下の世帯)

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ライフコースの希望

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1妻が64歳以下。「共働き世帯」は「雇用者の共働き世帯」、「専業主婦世帯」は「男性雇用者と無業の妻から成る世帯」。

2テレワークの実施率は企業規模、業種等によっても異なること、全ての人がテレワークの恩恵を受けているわけではないことには留意が必要である。

特集のポイント


第1節 働き方や就業に関する意識の変遷、家事・育児等・働き方の現状と課題

  • 時代の変遷とともに働き方や就業に関する意識が変わってきている。
  • 女性の働き方、男性の家事・育児参画についても変わりつつある。
  • しかし、我が国では、依然として、有償労働(仕事)時間が男性、無償労働(家事関連)時間が女性に大きく偏っている。
  • 背景に、昭和の高度成長期に確立された、長時間労働や転勤等を当然とする働き方を前提とした雇用慣行の存在の影響がある。
  • 家事・育児等の負担が女性に偏ること、長時間労働の慣行が変わらないことで、我が国の女性の社会での活躍の遅れや、男女間賃金格差など、社会に様々な歪みが生じている。
  • 伝統的な性別役割分担意識や長時間労働等の慣行は、男性の生活や健康にも影響を与えている。

第2節 根付きつつある新たな生活様式・働き方

  • 若い世代の女性は、上の年代よりも、就業継続、昇進、管理職になることへの意欲が高い。しかし、無償労働時間が女性に偏っているため、仕事と家事・育児等の両立を課題に感じる者が多いことが、女性の職業生活での活躍が進まない要因の一つとなっている可能性が高い。
  • 若い世代の男性は、家事・育児等への抵抗感が上の世代と比較して少なく、家事・育児等への参画意欲や育児休業取得意欲も上の世代と比較して高い。一方、若い世代の男性ほど仕事時間を減らしたいと考える傾向が強いことなどからも、長時間労働等の雇用慣行がこの実現を阻んでいる可能性が高い。

第3節 「令和モデル」の実現に向けて

  • 我が国の未来を担う若い世代が、理想とする生き方、働き方を実現できる社会を作ることこそが、今後の男女共同参画社会の形成の促進において重要。
  • マクロ的にはあまり表れない小さな芽であっても、若い世代の意識の変化を認識し、その芽をつぶさないように、時代に合わなくなっている慣行等を変えていかなければならない。
  • コロナを経て、社会全体の意識も変わりつつある今こそ、変革のチャンス。
  • 職業観・家庭観が大きく変化する中、全ての人が希望に応じて、家庭でも仕事でも活躍できる社会への変革が実現した姿が「令和モデル」。
  • 新しい動きに気付き、制度・慣行を今の時代に合ったものに変え、新しい発想、新しい叡智を取り入れ、全ての人が活躍できる社会、「令和モデル」への転換の先にこそ、我が国の更なる成長がある。「令和モデル」の早期実現に向けて、特に優先すべきことは次のとおり。
    1. 男女ともに自分の希望が満たされ、能力を最大限に発揮して仕事ができる環境の整備
    2. 男女ともに仕事と家事・育児等のバランスが取れた生活を送ることができること
    3. これらを下支えする前提としての、女性の経済的自立