第1節 女性に対するあらゆる暴力の予防と根絶のための基盤づくり

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II 安全・安心な暮らしの実現

第5分野 女性に対するあらゆる暴力の根絶

第1節 女性に対するあらゆる暴力の予防と根絶のための基盤づくり

1 女性に対する暴力の予防と根絶に向けて、「女性に対する暴力をなくす運動」を国民運動としてその時々の課題を重要テーマとして設定し、効果的な広報啓発を一層推進する。また、被害者自身が被害と認識していない場合があることや、被害を受けていることを言い出しにくい現状があることも踏まえ、女性に対する暴力に関する認識の向上や、悪いのは被害者ではなく加害者であり、暴力を断じて許さないという社会規範の醸成を図る。【内閣府(男女共同参画局)、法務省、関係府省】

2 様々な状況に置かれた被害者に情報が届くよう、官民が連携した広報啓発を実施するとともに、加害者や被害者を生まないための若年層を対象とする予防啓発の拡充、教育・学習の充実を図る。【内閣府(男女共同参画局)、文部科学省、厚生労働省、関係府省】

3 「多様な困難に直面する女性支援政策パッケージ」に基づき、配偶者等からの暴力を始めとする複合的困難により、社会的に孤立し、生きづらさを抱える女性に対する支援を政府一体となって推進する。

内閣府では、DV相談プラスを実施して、多様なニーズに対応できるよう、毎日24時間電話相談対応、SNS・メール相談、WEB面談対応、10の外国語での相談対応を行うとともに、各地域の民間支援団体とも連携し、必要な場合には、同行支援なども行う。また、最寄りの配偶者暴力相談支援センター等につながるDV相談ナビを実施する。さらに、民間シェルター等と連携して取組を進める都道府県等に交付金を交付し、効果検証等を行う。【内閣府(男女共同参画局)、関係府省】

4 関係行政機関等において、相談窓口の所在等を広く周知するとともに、電話相談や窓口相談についてサービス向上を促進するため、電話相談の番号の周知や相談しやすくするための工夫、SNS等を活用した相談の実施、夜間・祝祭日における相談対応の実施等を推進する。

内閣府では、性犯罪・性暴力被害者支援のため、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター(以下「ワンストップ支援センター」という。)の全国共通短縮番号「#8891(はやくワンストップ)」の周知を図るとともに、若年層等の性暴力被害者が相談しやすいよう、SNS相談「Cure time(キュアタイム)」を実施する。さらに、性犯罪・性暴力の夜間の相談や救急対応のため、これまで夜間休日には対応していないワンストップ支援センターの運営時間外に、被害者からの相談を受け付け、ワンストップ支援センターと連携して支援する「性暴力被害者のための夜間休日コールセンター」を運営し、性犯罪・性暴力被害者支援の充実に努める。【内閣府(男女共同参画局)、警察庁、法務省、厚生労働省】

5 中長期にわたる被害者の心身の回復を支援するため、トラウマ・ケアの専門家を育成し、身近な場所で適切な相談・カウンセリングが経済的負担なく受けられる体制を構築していくとともに、ニーズに応じた対応が可能な民間団体や自助グループの活動を促進する。【内閣府(男女共同参画局)、警察庁、厚生労働省】

6 男性被害者等に対する必要な配慮が図られるよう、ワンストップ支援センターの相談員等を対象とした研修を実施する。【内閣府(男女共同参画局)、関係府省】

7 被害者と直接接することになる警察官、検察職員、更生保護官署職員、地方出入国在留管理局職員、婦人相談所職員、児童相談所職員、民間団体等について、男女共同参画の視点から被害者の置かれた立場を十分に理解し、適切な対応をとることができるよう、より一層の研修機会の拡大等に努めるとともに、関係機関間や職員間の連携を促進する。【内閣府(男女共同参画局)、警察庁、法務省、厚生労働省、関係府省】

8 ケーススタディの手法やオンライン研修教材の活用等により、SNS等を活用した相談を含む、現場における対応に重点を置いた各職務関係者に対する研修を充実させ、支援に携わる人材育成を図る。【内閣府(男女共同参画局)、警察庁、法務省、厚生労働省】

9 女性に対する暴力に関する認識を深め、被害者の置かれた状況に十分配慮できるよう、刑事司法関係者に対する研修等の充実を図る。【法務省】

10 法曹養成課程において、女性に対する暴力に関する法律及び女性に対する暴力の被害者に対する理解の向上を含め、国民の期待と信頼に応える法曹の育成に努める。【法務省、文部科学省】

11 女性に対する暴力に関する被害者支援の充実を図るため、民間シェルター等と警察や福祉などとの協働が円滑に行われるよう、官民双方向の連携の仕組みを構築するとともに、民間団体の活用による支援の充実に努める。【内閣府(男女共同参画局)、警察庁、法務省、厚生労働省、関係府省】

12 被害者に対しては、暴力の形態や被害者の属性等に応じて、相談、保護、生活・就業等の支援、情報提供等をきめ細かく実施する。また、官民・官官・広域連携の促進を通じて、中長期的見守りなど切れ目のない被害者支援を実施する。【内閣府(男女共同参画局)、警察庁、法務省、厚生労働省、関係府省】

13 婦人保護事業の見直しに基づく新たな制度の構築に向けた検討を加速するとともに、被害者が実態に即した支援を受けることのできる効果的な支援の在り方等を引き続き検討する。その際、行政、有識者、民間団体等が連携し、実態把握を進める。【厚生労働省】

14 重大事件等の暴力被害に関する必要な検証を行い、重大な被害につながりやすい要因を分析し、今後の対応に活用する。【警察庁、関係府省】

15 男女間の取り巻く環境の変化に応じた被害傾向の変化等に対応する施策の検討に必要な基礎資料を得ることを目的に平成11(1999)年度から実施している「男女間における暴力に関する調査」について、次回の調査に向けて、必要な検討を行う。【内閣府(男女共同参画局)、関係府省】