第1節 女性に対するあらゆる暴力の予防と根絶のための基盤づくり

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II 安全・安心な暮らしの実現

第5分野 女性に対するあらゆる暴力の根絶

第1節 女性に対するあらゆる暴力の予防と根絶のための基盤づくり

○ 内閣府では、女性に対する暴力の予防と根絶に向けて、「女性に対する暴力をなくす運動」を国民運動として、「性暴力を、なくそう」を重要テーマとして設定し、効果的な広報啓発を一層推進した。また、被害者自身が被害と認識していない場合があることや、被害を受けていることを言い出しにくい現状があることも踏まえ、女性に対する暴力に関する認識の向上や、悪いのは被害者ではなく加害者であり、暴力を断じて許さないという社会規範の醸成を図った。【内閣府(男女共同参画局)、法務省、関係府省】

○ 内閣府では、様々な状況に置かれた被害者に情報が届くよう、官民が連携した広報啓発を実施するとともに、若年層に対して教育・啓発の機会を多く持つ指導的立場にある者、地方公共団体において若年層を対象とした女性に対する暴力の予防啓発事業を担当している行政職員及び若年層を対象とした女性に対する暴力の予防啓発事業を行っている民間団体等を対象に、若年層における女性に対する暴力の現状や、効果的な予防啓発の手法等について学ぶオンライン研修教材を作成し、提供するとともに、オンライン研修を実施した。【内閣府(男女共同参画局)、文部科学省、厚生労働省、関係府省】

○ 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、外出自粛や休業などが行われ、生活不安・ストレスにより、配偶者からの暴力(DV)の増加や深刻化が懸念されることから、内閣府では、令和2(2020)年4月から新たな相談窓口として、「DV相談+(プラス)」(以下「DV相談プラス」という。)を開始した。DV相談プラスでは、多様なニーズに対応できるよう、電話相談対応(24時間)、SNS・メール相談、WEB面談対応、10の外国語での相談対応を行うとともに、各地域の民間支援団体とも連携し、必要な場合には、同行支援なども行うこととしている。令和2(2020)年度にDV相談プラスに寄せられた相談件数は、5万2,697件となっている。令和3(2021)年度は、令和3(2021)年4月から令和4(2022)年1月までの間、4万5,798件の相談が寄せられている。

また、令和2(2020)年10月から、最寄りの配偶者暴力相談支援センター等につながるDV相談ナビに、全国共通短縮番号「#8008(はれれば)」を導入し、相談窓口の更なる周知を図っている。令和2(2020)年度に、全国の配偶者暴力相談支援センターに寄せられた相談件数は、12万9,491件であり、前年度の約1.1倍に増加している。令和3(2021)年度は、令和3(2021)年4月から令和4(2022)年1月までの間、10万3,708件(暫定値)の相談が寄せられている。

さらに、令和2(2020)年度から、民間シェルター等と連携してDV被害者支援等を進める都道府県等に交付金を交付し、民間シェルター等に対して、財政支援を実施している。具体的には、母子一体で受け入れるための改修や心理的ケア等の専門的な相談支援を行う専門職配置等の取組を支援しており、令和3(2021)年度は、計26自治体(57団体)に対して、交付決定をしている。【内閣府(男女共同参画局)、関係府省】

○ 内閣府では、性犯罪・性暴力被害者支援のため、令和2(2020)年10月から、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター(以下「ワンストップ支援センター」という。)の全国共通短縮番号「#8891(はやくワンストップ)」を導入し、その周知を図るとともに、若年層等の性暴力被害者が相談しやすいよう、SNS相談「Curetime(キュアタイム)」を実施した。さらに、令和3(2021)年10月から、性犯罪・性暴力の夜間の相談や救急対応のため、これまで夜間休日には対応していないワンストップ支援センターの運営時間外に、被害者からの相談を受け付け、ワンストップ支援センターと連携して支援する「性暴力被害者のための夜間休日コールセンター」を設置し、性犯罪・性暴力被害者支援の充実を図った。令和3(2021)年度上半期にワンストップ支援センターに寄せられた相談件数は2万9,425件であり、前年度同期の約1.3倍となっている。【内閣府(男女共同参画局)、警察庁、法務省、厚生労働省】

○ 被害者と直接接することとなる警察官、検察職員、更生保護官署職員、地方出入国在留管理局職員、婦人相談所職員、児童相談所職員、民間団体等について、男女共同参画の視点から被害者の置かれた立場を十分に理解し、適切な対応をとることができるよう、より一層の研修機会の拡大等に努めるとともに、関係機関間や職員間の連携を促進している。

内閣府では、性犯罪被害者等が安心して必要な相談・支援を受けられる環境を整備するために、ワンストップ支援センターの相談員等を対象としたオンライン研修教材を作成し、提供するとともに、オンライン研修を実施した。

また、配偶者暴力相談支援センター長、地方公共団体の支援センター主管課等の行政職員及び地方公共団体の支援センター、児童相談所並びに民間シェルター等において相談支援業務に携わる官民の相談員等の関係者を対象として、相談対応の質の向上及び被害者や被害親子に対する支援における官官・官民連携強化のために必要な知識の習得機会を提供するため、オンライン研修教材を作成した。【内閣府(男女共同参画局)、警察庁、法務省、厚生労働省、関係府省】

○ 女性に対する暴力に関する認識を深め、被害者の置かれた状況に十分配慮できるよう、検察官に対し、経験年数等に応じて実施する研修において、女性被害者に関する理解・配慮に資する講義を実施した。【法務省】

○ 法曹養成課程において、女性に対する暴力に関する法律及び女性に対する暴力の被害者に対する理解の向上を含め、国民の期待と信頼に応える法曹の育成に努めている。【法務省、文部科学省】

○ 婦人保護事業の見直しに基づく新たな制度の構築に向けた検討を加速するとともに、被害者が実態に即した支援を受けることのできる効果的な支援の在り方等を引き続き検討している。その際、行政、有識者、民間団体等が連携し、実態把握を進めている。【厚生労働省】

○ 重大事件等の暴力被害に関する必要な検証を行い、重大な被害につながりやすい要因を分析し、今後の対応に活用している。【警察庁、関係府省】

○ 内閣府では、男女間の取り巻く環境の変化に応じた被害傾向の変化等に対応する施策の検討に必要な基礎資料を得ることを目的に平成11(1999)年度から実施している「男女間における暴力に関する調査」について、法令改正等を踏まえ、調査項目を見直した上で、令和2(2020)年度調査を実施する等、男女間における暴力の実態の把握を行った。【内閣府(男女共同参画局)、関係府省】

○ 法務省の人権擁護機関では、専用相談電話「女性の人権ホットライン」を設置するなどして、夫・パートナーからの暴力やセクシュアルハラスメント等、女性の人権問題に関する相談体制のより一層の充実を図っている。令和3(2021)年における「女性の人権ホットライン」にて相談に応じた件数は1万3,847件である。【法務省】