第3節 行政分野における女性の参画拡大

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第3節 行政分野における女性の参画拡大

1 国の政策・方針決定過程への女性の参画拡大

(1) 国家公務員に関する取組

内閣官房内閣人事局及び各府省等では,国家公務員について,女性活躍推進法に基づき策定した特定事業主行動計画や「女性活躍・ワークライフバランス推進取組指針」及び各府省等の取組計画に基づき,女性職員の活躍推進及び男女全ての職員の「働き方改革」によるワーク・ライフ・バランスの実現に向けて,取組を着実に進めている。令和2(2020)年度は,「女性活躍・ワークライフバランス推進取組指針」を令和3(2021)年1月29日に改正し,「ワークライフバランス推進のための働き方改革」と「女性の活躍推進のための改革」を2つの柱に,性別や年代,時間制約の有無等を問わず全ての職員が,いかなる環境下においても,責任と誇りをもって生き生きと働ける職場環境作りに取り組むこととしている。

女性の採用については,国家公務員を志望する女性の拡大に向けて,新規採用だけでなく経験者採用試験等を含めた中途採用についても,内閣官房内閣人事局と各府省等が有機的に連携・協力し,SNSやオンライン配信等を積極的に活用して,働き方改革の取組やワーク・ライフ・バランスの実践例,職業生活への多様な支援等に関する情報等を発信するための説明会やイベントの開催などを通じて国家公務員の魅力等を伝えるための広報活動等を実施している。

また,男性職員の家庭生活(家事,育児,介護等)への参加を促進するため,大臣や事務次官,官房長等がメッセージを発出すること等により,職場の雰囲気の醸成,管理職員に対する意識啓発,職員への仕事と家庭の両立支援制度の周知等を行った。

特に,4次計画における男性職員の育児休業取得の割合については,令和元(2019)年度に16.4%となり,政府目標(13%)を達成したところであるが,引き続き,育児休業取得率の向上,全ての男性職員による「男の産休」(配偶者出産休暇及び育児参加のための休暇)の5日以上取得を進めている。加えて,「国家公務員の男性職員による育児に伴う休暇・休業の取得促進に関する方針」(令和元(2019)年12月女性活躍・ワークライフバランス推進協議会決定)に基づき,子供が生まれた全ての男性職員が1か月以上を目途に育児に伴う休暇・休業を取得できることを目指して取り組んでおり,令和2(2020)年4月から6月に子供が生まれた男性職員は,約9割が1か月以上の育児に伴う休暇・休業の取得を予定している。

加えて,男女全ての職員の「働き方改革」を進めるため,「女性活躍・ワークライフバランス推進取組指針」を踏まえ,働き方に対する価値観・意識の改革に取り組んでいる。業務の効率化や職場環境の改善に向けた創意工夫を活かした優秀な取組事例の横展開を図るとともに,フレックスタイム制や,テレワークの推進等による働く時間と場所の柔軟化を進めている。また,業務継続とワーク・ライフ・バランス推進双方の観点から「働き方改革」に重点的に取り組む期間として,7月から9月の間に「働き方改革推進強化月間」を実施し,業務の見直しやテレワークの推進,休暇の計画的な取得等に取り組んだ。

人事院においては,5次計画が閣議決定されたことを踏まえ,令和3(2021)年2月,「女性国家公務員の採用・登用の拡大等に向けて」(平成27年12月人事院事務総長通知)の一部改正を行い,各府省において女性国家公務員の採用・登用の拡大等に向けた具体的取組が進むよう支援している。

また,女性職員の登用拡大に向けては,一部の研修をオンラインで実施するなど感染防止対策を講じつつ,引き続き,女性職員を対象とした研修の実施を通じて,相互啓発等による業務遂行能力の伸長,マネジメント能力開発,人的ネットワーク形成等の機会を付与している。また,「女性職員登用推進セミナー」の実施を通じて,本府省及び地方機関の人事管理・人材育成の責任を有する管理職員の意識啓発を図っている。そのほか,「メンター養成研修」の実施を通じて職場におけるメンタリングに関する基本的な知識を習得させるなど,女性職員のキャリア形成支援を行っている。

このほか,人事院では,各府省における職員の職場環境への円滑な適応,能力開発・専門性習得等のキャリア形成,仕事と生活の両立等に向けて,メンター制度の活用が進むよう「メンター制度の実施の手引き」(平成30年2月人事院人材局企画課長通知)において,女性職員の登用拡大に向けた取組の一類型としてメンター制度を整理し,その概要や留意点について説明したパンフレットを用いて普及・啓発を行っている。

内閣府では,「女性の政策・方針決定参画状況調べ」の中で,国家公務員における女性の参画状況を毎年公表している。

(2) 国の審議会等委員等における女性の参画拡大

内閣府では,「国の審議会等における女性委員の参画状況調べ」を毎年実施し,府省別の審議会等委員に占める女性の割合等について,内閣府ホームページで公表している。また,各府省が国の審議会等の女性委員の人材情報を収集する際の参考とするため,女性人材データベースを運用している。

(3) 独立行政法人,特殊法人及び認可法人における女性の参画拡大

内閣府では,独立行政法人,特殊法人及び認可法人における女性の採用・登用状況及び女性の採用・登用の拡大に向けた取組状況について,毎年調査を行っている。また,「独立行政法人等における女性登用状況等『見える化』サイト」において,各法人の女性役員及び管理職の登用に関する目標設定の状況や現状値,採用者数,職員数,育児休業取得者数等について一覧で調査結果を公表している。

2 地方公共団体の政策・方針決定過程への女性の参画拡大

(1) 地方公務員に関する取組

内閣府では,5次計画に基づき,女性職員の活躍に資する取組について,各地方公共団体の実情に即し,主体的かつ積極的に取組を推進するよう,各地方公共団体へ要請した。

また,「女性の政策・方針決定参画状況調べ」の中で,地方公務員における女性の参画状況を毎年公表している。

総務省では,各地方公共団体の特定事業主行動計画に基づく取組に対する支援を行っている。

また,総務省と地方公共団体職員との意見交換により,各団体に共通する課題への対応策について検討することを通じて作成した「地方公務員におけるダイバーシティ・働き方改革推進のためのガイドブック」(令和元(2019)年度作成)を活用し,女性職員の計画的な育成,時間外勤務の縮減,柔軟で多様な働き方の推進,男性職員の育児休業等の取得促進に向けた職場環境の整備など,積極的な取組の要請や女性活躍・働き方改革に資する先進事例の周知を行っている。

女性職員の人材育成に関しては,自治大学校における「地方公務員女性幹部養成支援プログラム」及び各研修課程での「女性活躍・働き方改革」に関する講義を実施している。

消防庁では,消防吏員の女性比率を,令和8(2026)年度当初までに5%に増加させることを全国の目標としている。消防本部等に対し数値目標の設定による計画的な増員の確保,女性消防吏員の職域の拡大等,ソフト・ハード両面での環境整備に取り組むよう引き続き要請するとともに,消防署所等における職場環境の整備が図られるよう,女性専用施設(浴室・仮眠室等)の整備に要する経費を支援した。また,消防吏員を目指す女性を増やすため,消防本部と連携しながら積極的な広報を展開するなどの取組を推進した。さらに,女性消防団員のいない市町村に対して積極的な取組を求めるとともに,様々な媒体を通じて,消防団への加入を呼びかける広報を行った。

警察では,男女共同参画に関する施策についての都道府県警察の幹部職員への教育の実施を始め,女性がその個性と能力を十分に発揮して活躍できるよう様々な取組を推進しており,女性警察官の職域の拡大や,警察署長を始めとする幹部への登用が進んでいる。また,令和5(2023)年中に地方警察官に占める女性警察官の割合を全国平均で10%程度とすることを目標として,各都道府県警察が,それぞれにおいて策定している計画等を踏まえ女性警察官の採用・登用の拡大に向けた取組を推進した結果,令和2(2020)年4月1日現在で,当該割合は10.2%となっており,上記目標を早期に達成した。

(2) 地方公共団体の審議会等委員への女性の参画拡大

内閣府では,各都道府県,政令指定都市が設定している審議会等委員への女性の参画に関する数値目標や,女性割合の現状等を調査し公表している。