第1節 生涯を通じた男女の健康

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第1節 生涯を通じた男女の健康

(平均寿命と健康寿命の推移)

令和元(2019)年の平均寿命は,女性は87.45年,男性は81.41年であり,前年に比べて女性が0.13年,男性が0.16年延び,男女とも過去最高を更新している。

健康寿命について見ると,平成28(2016)年は,女性は74.79年,男性は72.14年であり,平成25(2013)年と比べて,3年間で女性は0.58年,男性は0.95年延びている(I-6-1図)。健康寿命と平均寿命の差は平成28(2016)年時点において,女性は12.35年,男性は8.84年であり,女性と男性には3.51歳の差がある。

I-6-1図 平均寿命と健康寿命の推移別ウインドウで開きます
I-6-1図 平均寿命と健康寿命の推移

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(健康増進に必要な適切な自己管理)

健康増進や生活習慣病予防のためには,自ら健康管理を行うことが重要である。厚生労働省「国民健康・栄養調査」(令和元年)によると,運動習慣のある者の割合は,20歳以上全体では女性で25.1%(前年比0.4%ポイント減),男性で33.4%(同1.6%ポイント増)であり,この10年間で見ると,男性では有意な増減はなく,女性では有意に減少している。年代別に見ると,65歳以上では女性で33.9%(前年比2.6%ポイント減),男性で41.9%(同1.0%ポイント減)となっているのに比べ,20~64歳では,女性で16.9 %(同0.3 % ポイント増), 男性で23.5%(同1.9%ポイント増)とより低くなっている。なお,女性の20代は12.9%,30代は9.4%,40代は12.9%と,男女,全ての年齢階級を通じて特に低くなっている。

(女性特有のがん)

女性に多いがんとして子宮がん,乳がん等がある。これらの女性の総患者数を厚生労働省「患者調査」(平成29年)で見ると,子宮がんは5.8万人,乳がんは22.9万人であり,平成26(2014)年と比べて子宮がんは0.3万人減少したが,乳がんは2.3万人増加した。

がんの罹患率の高い上位5つのがんを年齢階級別に見ると,1位の乳がんと5位の子宮がんは,年齢が上がるほど罹患率が上がる他のがんと異なり,20代後半から罹患率が上昇し,ピークを迎えた後に低下する(I-6-2図)。

I-6-2図 女性の年齢階級別がん罹患率(平成29(2017)年)別ウインドウで開きます
I-6-2図 女性の年齢階級別がん罹患率(平成29(2017)年)

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また,乳がんや子宮がんは5年相対生存率が高く21,早期発見が重要であるが,我が国における女性のがん検診の受診率は,徐々に上昇しているものの,令和元(2019)年には,子宮がん(子宮頸がん)検診(20~69歳)は過去2年間が43.7%,乳がん検診(40~69歳)は過去2年間が47.4%にとどまり,第5次男女共同参画基本計画(令和2年12月25日閣議決定)における受診率の目標値(2022年度までに50%)に達していない。

厚生労働省では,市町村のがん検診の受診率向上のため,平成28(2016)年度から,一定年齢の者に対して,個別の受診勧奨・再勧奨を行う取組を進めている。また,がん検診を受けた者のうち,職域で子宮頸がん検診,乳がん検診を受けた者は,子宮頸がん検診が32.3 %,乳がん検診が35.8 % に上っており22,職域でのがん検診もがん対策の観点から大きな役割を担っている。

21国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」。平成21~23(2009~2011)年診断例による5年相対生存率は,乳がん92.3%,子宮がん78.7%,子宮頸がん76.5%であり,全部位66.9%と比較して高い。

22厚生労働省「国民生活基礎調査」(平成28年)より内閣府男女共同参画局にて算出した数値。

(人工妊娠中絶の動向)

人工妊娠中絶件数及び人工妊娠中絶実施率(15歳以上50歳未満女子人口千対)の長期的な推移を見ると,昭和30(1955)年から平成7(1995)年にかけて件数,実施率とも大きく減少し,その後も緩やかな減少傾向にある。年齢階級別に人工妊娠中絶実施率を見ると,昭和30年代には20代及び30代で特に高く,20歳未満は低かったが,現在は年齢階級間の差は縮小している。

令和元(2019)年度の人工妊娠中絶件数は156,429件,人工妊娠中絶実施率(年齢計)は6.2である。年齢階級別では20歳未満が12,677件,4.5,20代が71,197件,11.6,30代が57,533件,8.2であり,半数以上が10代・20代となっている。(I-6-3図)。

I-6-3図 年齢階級別人工妊娠中絶件数及び実施率の推移別ウインドウで開きます
I-6-3図 年齢階級別人工妊娠中絶件数及び実施率の推移

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(喫煙率及び飲酒率の動向)

平成15(2003)年から令和元(2019)年にかけての喫煙率の推移を男女別に見ると,女性は11.3%から7.6%まで低下し,平成22(2010)年以降は1割を下回っている。男性は46.8%から27.1%まで低下し,3年連続で3割を下回った。同期間における飲酒率の推移を見ると,女性は6.6%から8.8%に微増しており,男性は37.4%から33.9%まで,約3.5%ポイント減少している。