第2節 配偶者等からの暴力の防止及び被害者の保護等の推進

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第2節 配偶者等からの暴力の防止及び被害者の保護等の推進

内閣府では,地域における関係者の連携事例や先進的な取組の共有・意見交換等を通じ,広域連携や官民連携の更なる強化・拡大及び取組の一層の推進を図る。さらに,配偶者等からの暴力の被害者に対する包括的な支援に向けて,自治体における民間団体との連携により,令和2(2020)年以降,加害者プログラムの試行実施を行い,プログラム実施の在り方と必要な取組を検討する。さらに,DV被害者等の支援を行う民間シェルター等の取組の促進を図るため,民間シェルター等と連携して先進的な取組を進める都道府県等に交付金を交付し,被害者のニーズに応じた支援のノウハウの蓄積や効果検証,課題の把握等を行うパイロット事業を実施する。また,DVと児童虐待が密接に関連するものであることを踏まえ,DV対応と児童虐待対応との連携強化に向けた取組を引き続き推進する。

法務省の人権擁護機関では,関係機関との連携を図りながら,引き続き迅速・適正な問題解決及びその予防に努める。

出入国在留管理庁では,配偶者からの暴力が重大な人権侵害であるとの認識の下,引き続き,被害者である外国人を認知した場合,関係機関と連携して身体の保護を確実なものとする一方,被害者の個々の事情を勘案の上,十分な配慮の下,事案に応じ,在留期間更新許可,在留資格変更許可又は在留特別許可に係る判断を行い,被害者の法的地位の安定を図るなど人道上適切に対応していく。

厚生労働省では,若年層をはじめとした困難を抱えた女性が支援に円滑につながるよう,SNSを活用した相談体制整備を支援するとともに,婦人保護施設を退所した者が気軽に立ち寄って悩みを相談できる集いの場の提供や,見守り支援を行うための生活支援員の配置,モデル事業として実施してきたDV被害者等自立生活援助事業の全国展開など,退所後支援の充実を図る。また,婦人相談員の専門性の向上を図る観点から,国,地方公共団体等が実施する各種研修を積極的に受講できるよう,婦人相談員の研修派遣のための旅費や派遣中の代替職員の配置に必要な経費への補助の創設や,研修実施主体の拡大を図る。さらに,婦人相談所一時保護所及び婦人保護施設において,学習指導員を配置するなどDV被害者等が同伴する子どもが適切に教育を受けられる体制整備や心理的ケアの体制強化を図り,また,婦人相談所において,DV被害者等が同伴する子どもへの支援の充実を図るため,児童相談所等の関係機関と連携するコーディネーターを配置する。

国土交通省では,被害者の居住の安定確保のため,地域の実情を踏まえた地方公共団体の判断による公営住宅への優先入居や目的外使用を行うことができるよう引き続き措置する。