第3節 ポジティブ・アクションの推進等による男女間格差の是正

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第3節 ポジティブ・アクションの推進等による男女間格差の是正

実質的な男女労働者間の均等を確保するためにはポジティブ・アクションが不可欠であり,女性の活躍推進に向けた企業の取組を「見える化」し,当該企業の取組が市場で評価されることを通じて,他の企業にも取組が波及する好循環が期待される。

女性活躍推進法に基づき,国,地方公共団体,常時雇用する労働者数が301人以上の一般事業主(民間企業等)は,数値目標の設定を含めた行動計画の策定・公表や,女性の活躍状況に関する情報の公表などが義務付けられている。令和元(2019)年5月には女性活躍推進法等一部改正法が成立し,情報公表の強化等がなされることとなった。各団体によって公表された情報は政府のウェブサイト(国,地方公共団体の状況については,「女性活躍推進法『見える化』サイト」,民間事業主の状況については「女性の活躍推進企業データベース」)においても公表するなど,広く発信されている。

内閣府では,平成28(2016)年度に開設した「女性役員情報サイト」の運営,女性役員比率が10%以上の上場企業を一覧化したリーフレットの作成や,平成30(2018)年度に実施したESG投資における女性活躍情報の活用状況に関する調査研究の調査結果についてシンポジウム開催等を通じた普及啓発を行った(第2章第4節参照)。

さらに,女性のライフステージや個々の希望に応じた支援情報が実施機関ごとに点在しているなど,必要な情報にアクセスしにくい状況を踏まえ,様々な支援情報を集約・整理し,分かりやすく案内する「女性応援ポータルサイト」を内閣府ホームページに掲載している。

また,平成26(2014)年6月に,企業経営トップ等が,女性活躍促進のためトップ自らが取り組む実践的具体策として「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」行動宣言を策定・公表した。内閣府では,行動宣言の賛同者を募るとともに,賛同者による取組の好事例を事例集,広報誌,Facebook等で情報発信した。

厚生労働省では,女性活躍推進法に基づく指導等によりその履行確保を図っている。加えて,女性の活躍推進に関する状況が優良な企業に対する「えるぼし」認定を実施するとともに,「女性の活躍・両立支援総合サイト」,「女性の活躍推進企業データベース」,「ポジティブ・アクション情報ポータルサイト」により総合的な情報提供を行っている。

女性の参画が少ない分野での就業等を支援するため,国土交通省では,自動車運送事業等における女性活用に向けた取組として,運輸支局長等による高校訪問を実施しているところ,トラック運送業においては,1トラック輸送の生産性の向上・物流の効率化,2女性や60代以上の運転者等も働きやすい,「よりホワイト」な労働環境の実現に取り組む「ホワイト物流」推進運動の展開を図るため,全都道府県における地元企業向け説明会や,取引適正化に向けて全国10ブロックでセミナーを開催する等の取組を実施した。さらに,女性が働きやすい職場環境の整備に向けて,複数人で長距離運送を分担する中継輸送の普及・実用化に向けた周知等を実施した。また,国土交通省のホームページに開設した「トラガール促進プロジェクトサイト」等を活用して,経営者の啓発等に取り組んだ。

タクシー事業においては,女性ドライバーの採用に向けた取組や,子育て中の女性が働き続けることのできる環境整備を行っている事業者支援・PRをすることにより,女性の新規就労・定着を図るべく,平成28(2016)年に創設した「女性ドライバー応援企業」認定制度に基づき認定を行った(認定事業者累計:705社(令和2(2020)年3月末現在)。

また,自動車整備業においては,経営者向け人材確保セミナー等を通じて,女性活躍促進に向けた環境整備について取りまとめた「自動車整備業における女性が働きやすい環境づくりのためのガイドライン」の周知を行った。

建設産業においては,令和2(2020)年1月に建設産業で働く全ての女性が「働きがい」と「働きやすさ」の両立により,就業継続を実現することを目的としつつ,「働きつづけられるための環境整備」を中心に「女性の定着促進に向けた建設産業行動計画~働きつづけられる建設産業を目指して~Plan for Diverse Construction Industry where no one is left behind」を策定した。

海事産業における女性活躍推進に係る事業者の先進的取組事例集を取りまとめるとともに,女性を含む造船業を目指す若者の拡大を図るため,地域中小造船企業が連携したインターンシップを推進した。

また,女性を含めた多様な人材の活躍の推進を図るため,交通政策審議会海事分科会船員部会において,平成31(2019)年2月より船員の働き方改革の検討を行っている。

国立女性教育会館では,企業のダイバーシティ(女性の活躍促進)の推進者,管理職等を対象に,女性の活躍事例等を取り上げた「企業を成長に導く女性活躍促進セミナー」を実施した。