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第1節 就業をめぐる状況
(男女の就業者数及び就業率)
我が国の就業者数は,平成30(2018)年には女性2,946万人,男性3,717万人となっている。男女別に就業者数の増減を見ると,生産年齢人口(15~64歳)の男性は平成20(2008)年以降減少が続いていたが,平成30(2018)年は増加に転じた。生産年齢人口の女性は平成25(2013)年以降増加している。また,65歳以上については,女性は平成15(2003)年以降,男性は平成24(2012)年以降増加している。
生産年齢人口の就業率は,近年男女とも上昇しているが,特に女性の上昇が著しく,平成30(2018)年には15~64歳で69.6%,25~44歳で76.5%となった(I-2-1図)。
我が国の男女の生産年齢人口の就業率を他のOECD諸国と比較すると,35か国中,男性は82.9%でアイスランド及びスイスに次いで3位であるが,女性は67.4%で16位となっている(I-2-2図)。
I-2-2図 OECD諸国の女性(15~64歳)の就業率(平成29(2017)年)
(女性の年齢階級別労働力率(M字カーブ)の状況)
女性の年齢階級別労働力率について昭和53(1978)年からの変化を見ると,現在も「M字カーブ」を描いているものの,そのカーブは以前に比べて浅くなっている。
M字の底となる年齢階級も上昇している。昭和53(1978)年は25~29歳(46.6%)がM字の底となっていたが,25~29歳の労働力率は次第に上がり,平成30(2018)年では83.9%と,年齢階級別で最も高くなっている。なお,平成30(2018)年には35~39歳(74.8 %)がM字の底となっている(I-2-3図)。
また,労働力率が低下し始めてから再度上昇するまでのM字の谷にあたる期間も短くなっている。昭和53(1978)年は,谷の両端は20~24歳と45~49歳で期間は約25年であったが,平成30(2018)年には25~29歳と40~44歳となっており期間は約15年となっている。
諸外国を見ると,韓国では我が国と同様に,「M字カーブ」を描いているが,他の欧米諸国では見られない(I-2-4図)。
(女性が職業を持つことに対する意識の変化)
女性が職業を持つことに対する意識について,平成4(1992)年からの変化を男女別に見ると,「子供が大きくなったら再び職業をもつ方がよい」の割合が男女ともに減少する一方で,「子供ができても,ずっと職業を続ける方がよい」の割合が増加している。最新の調査となる内閣府「男女共同参画社会に関する世論調査」(平成28年)では,「子供ができても,ずっと職業を続ける方がよい」の割合が男女ともに初めて5割を上回った(I-2-5図)。
「多様な選択を可能にする学びに関する調査」でも,上記世論調査と同様の傾向を示している。女性にとって望ましい生き方は,結婚や子供の有無に関わらず,仕事を続けた方がいいと回答する割合が,男性においては,若年層ほど高くなっている(I-2-6図)。
(非正規雇用労働者の割合はやや上昇)
平成30(2018)年における非正規雇用労働者の割合を見ると,女性は56.1%,男性は22.2%であり,いずれも前年に比べてやや上昇した。
年齢階級別に長期的な傾向を見ると,平成2(1990)年から平成30(2018)年にかけて最も割合が大きく上昇したのは,男女とも65歳以上の層となっている。15~24歳の若年層(在学中の者を除く)は,近年,横ばいないしやや低下傾向で推移している。
男女別の傾向を見ると,平成30(2018)年の15~24歳の層は女性31.1%,男性21.0%であるが,女性では,その後年齢層が上がるごとに非正規雇用労働者の割合が高くなるのに対して,男性では,25~34歳,35~44歳,45~54歳の層で非正規雇用労働者の割合が順に低くなった後,55~64歳の層で反転して割合が高くなっている(I-2-7図)。
I-2-7図 年齢階級別非正規雇用労働者の割合の推移(男女別)
非正規雇用労働者のうち,現職の雇用形態に就いている主な理由が「正規の職員・従業員の仕事がないから」として不本意に非正規の雇用形態に就いている者の人数(年齢計)は,平成30(2018)年には,女性129万人,男性127万人で,男女ともに前年(女性139万人,男性134万人)より減少したが,女性の方がやや多い点は前年同様である。不本意に非正規の雇用形態に就いている者の割合を男女別,年齢階級別に見ると,女性は,15~24歳の若年層(うち卒業)で最も高くなっており,男性は45~54歳で最も高くなっている(I-2-8図)。
I-2-8図 非正規雇用労働者のうち,現職の雇用形態についている主な理由が「正規の職員・従業員の仕事がないから」とする者の人数及び割合(男女別,平成30(2018)年)
(女性の就業希望者)
総務省「労働力調査(詳細集計)」によると,平成30(2018)年における女性の非労働力人口2,708万人のうち,237万人が就業を希望している。就業を希望しているにも関わらず,現在求職していない理由としては,「出産・育児のため」が最も多く,32.6%となっている(I-2-9図)。
I-2-9図 女性の就業希望者の内訳(平成30(2018)年)
総務省「就業構造基本調査」(平成29年)によると,就業を希望している者のうち,実際に求職活動を行っている者の割合は,女性全体に比べて育児をしている女性の方がいずれの年齢階級66においても低くなっている。
6615~24歳,25~29歳,30~34歳,35~39歳,40~44歳,45~49歳。
(所定内給与における男女間格差等の推移)
一般労働者における男女の所定内給与額の格差は,長期的に見ると縮小傾向にあるが,平成30(2018)年の男性一般労働者の給与水準を100としたときの女性一般労働者の給与水準は73.3と,前年に比べ0.1ポイント拡大した。また,一般労働者のうち,正社員・正職員の男女の所定内給与額を見ると,男性の給与水準を100としたときの女性の給与水準は75.6となった(I-2-10図)。
(男女雇用機会均等法に関する相談件数)
平成29(2017)年度に都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に寄せられた男女雇用機会均等法に関する相談件数は1万9,187件である。相談内容別に見ると,「セクシュアルハラスメント」が最も多く6,808件,次いで「婚姻,妊娠・出産等を理由とする不利益取扱い」が4,434件となっている(I-2-11図)。