第3節 様々な分野における女性の参画

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第3節 様々な分野における女性の参画

(着実に増加する司法分野における女性の割合)

裁判官,検察官(検事),弁護士に占める女性の割合は,いずれも着実に増加しており,裁判官が21.7%(平成29(2017)年12月現在),検察官(検事)が24.6%(平成30(2018)年3月末現在),弁護士が18.7%(平成30(2018)年9月末現在)となっている。なお,平成29(2017)年12月現在,女性2人が最高裁判所の裁判官(全15人)に任命されている。

司法試験合格者に占める女性の割合は,平成4(1992)年以降はおおむね2~3割で推移しており,平成30(2018)年は24.6%であった(I-1-10図)。なお,法曹養成に特化した教育を行う専門職大学院である法科大学院では,平成30(2018)年時点で女子学生が31.3%と3割以上を占めていることから,今後の司法分野での女性の更なる参画拡大が期待される。

I-1-10図 司法分野における女性の割合の推移別ウインドウで開きます
I-1-10図 司法分野における女性の割合の推移

I-1-10図[CSV形式:2KB]CSVファイル

(医療分野における女性の割合)

医療施設で働いている医師,歯科医師に占める女性の割合は上昇傾向にある。医師のうち女性の割合は昭和51(1976)年の9.4%から平成28(2016)年の21.1%まで上昇を続けている。他方で,女性医師の割合は診療科ごとで差があり,医師数が1万人以上の診療科別に見てみると,眼科(38.3%),産婦人科(35.8%),小児科(34.3%)等では,割合が高くなっているが,整形外科(4.9%),外科(5.8%),循環器内科(11.6%)等では低い水準に留まっている。薬局及び医療施設で働いている薬剤師に占める女性の割合は,平成14(2002)年まで上昇していたが,それ以降はほぼ横ばいとなっている(I-1-11図)。

I-1-11図 医療施設従事医師,同歯科医師,薬局・医療施設従事薬剤師に占める女性の割合の推移別ウインドウで開きます
I-1-11図 医療施設従事医師,同歯科医師,薬局・医療施設従事薬剤師に占める女性の割合の推移

I-1-11図[CSV形式:1KB]CSVファイル

医師を取り巻く状況を見ると,慢性的な長時間労働,夜勤や当直等不規則な勤務形態等の指摘があり,女性医師の中には,育児,介護等と仕事との両立が難しい者もいると考えられる。産婦人科医及び小児科医については,新規に医師になる者の多い25~29歳の医師に占める女性の割合がそれぞれ66.1%,44.9%となっているが,年齢が上がるにしたがって低くなる傾向がある(I-1-12図)。

I-1-12図 年齢階級別産婦人科及び小児科の医療施設従事医師数(男女別,平成28(2016)年)別ウインドウで開きます
I-1-12図 年齢階級別産婦人科及び小児科の医療施設従事医師数(男女別,平成28(2016)年)

I-1-12図[CSV形式:1KB]CSVファイル

(メディアにおける女性の参画)

新聞や放送等のメディア分野における女性の参画は,提供する情報の内容が偏ることの防止や,性・暴力表現に関する有効な対策等,メディアが自主的に女性等の人権に配慮した取組を進めていく上で重要な役割を果たすものと期待されている。

新聞及び放送業界における女性の参画状況について見ると,平成30(2018)年における新聞・通信社の管理職に占める女性の割合は6.6%,新聞・通信社の記者に占める女性の割合は20.2%,民間放送及び日本放送協会の管理職に占める女性の割合はそれぞれ14.7%,8.4%となっており,上昇傾向にある(I-1-13図)。

I-1-13図 各種メディアにおける女性の割合の推移別ウインドウで開きます
I-1-13図 各種メディアにおける女性の割合の推移

I-1-13図[CSV形式:1KB]CSVファイル

(国際的に見て低い水準にある我が国の状況)

平成15(2003)年に,「社会のあらゆる分野において,2020年までに指導的地位65に女性が占める割合が,少なくとも30%程度となるよう期待する」との目標を掲げ,取組を進めてきた。その結果,指導的地位に占める女性の割合は緩やかに上昇しており,その水準は依然として低いものの,30%を達成する分野も出てきている(I-1-14図)。

I-1-14図 各分野における主な「指導的地位」に女性が占める割合別ウインドウで開きます
I-1-14図 各分野における主な「指導的地位」に女性が占める割合

I-1-14図[CSV形式:1KB]CSVファイル

国際的には,平成30(2018)年に国連開発計画(UNDP)が発表した「人間開発指数・指標:2018年新統計」によると,我が国は,人間開発指数(HDI)が189の国と地域中19位,ジェンダー不平等指数(GII)は160か国中22位となっている。一方,世界経済フォーラムが平成30(2018)年に発表したジェンダー・ギャップ指数(GGI)は,149か国中110位となっている。

GGIの順位はHDIやGIIの順位と比べて著しく低くなっている。我が国は,寿命や妊産婦死亡率といった健康(41位)や教育(65位)等人間開発の達成度では高い水準にあるが,政治(125位)や経済(117位)における意思決定に参加する機会等において諸外国と比べて男女間の格差が大きいことが原因である(I-1-15表,16図)。

I-1-15表 HDI,GII,GGIにおける日本の順位別ウインドウで開きます
I-1-15表 HDI,GII,GGIにおける日本の順位

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I-1-16図 各分野におけるジェンダー・ギャップ指数別ウインドウで開きます
I-1-16図 各分野におけるジェンダー・ギャップ指数

I-1-16図[CSV形式:3KB]CSVファイル

65「指導的地位」の定義:男女共同参画会議決定(平成19(2007)年2月14日)において,「(1)議会議員,(2)法人・団体等における課長相当職以上の者,(3)専門的・技術的な職業のうち特に専門性が高い職業に従事する者とするのが適当」とされている。
なお,当該決定において「指導的地位」の定義に該当する者として掲げられた分野・項目は,代表例・例示という位置づけであって,それに含まれないことをもって指導的地位ではないということを意味するものではないとされている。

(注)

HDI 人間開発指数(Human Development Index)

国連開発計画(UNDP)による指数で,「長寿で健康な生活」,「知識」及び「人間らしい生活水準」という人間開発の3つの側面を測定したもの。具体的には,出生時の平均寿命,知識(平均就学年数及び予想就学年数),1人当たり国民総所得(GNI)を用いて算出している。

GII ジェンダー不平等指数(Gender Inequality Index)

国連開発計画(UNDP)による指数で,国家の人間開発の達成が男女の不平等によってどの程度妨げられているかを明らかにするもの。次の3側面5指標から構成されている。

【保健分野】・妊産婦死亡率 ・15~19歳の女性1,000人当たりの出生数

【エンパワーメント】・国会議員女性割合 ・中等教育以上の教育を受けた人の割合(男女別)

【労働市場】・労働力率(男女別)

GGI ジェンダー・ギャップ指数(Gender Gap Index)

世界経済フォーラムが,各国内の男女間の格差を数値化しランク付けしたもので,経済分野,教育分野,政治分野及び健康分野のデータから算出され,0が完全不平等,1が完全平等を意味しており,性別による格差を明らかにできる。具体的には,次のデータから算出される。

【経済分野】・労働力率 ・同じ仕事の賃金の同等性 ・所得の推計値 ・管理職に占める比率 ・専門職に占める比率

【教育分野】・識字率 ・初等,中等,高等教育の各在学率

【健康分野】・新生児の男女比率 ・健康寿命

【政治分野】・国会議員に占める比率 ・閣僚の比率 ・最近50年の行政府の長の在任年数