第2節 雇用の分野における男女の均等な機会と待遇の確保対策の推進

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第2節 雇用の分野における男女の均等な機会と待遇の確保対策の推進

(男女雇用機会均等の更なる推進)

厚生労働省では,労働者が性別により差別されることなく,また,働く女性が母性を尊重されつつ,その能力を十分に発揮できる雇用環境を整備するため,男女雇用機会均等法に沿った男女均等取扱いがされるよう周知徹底を行うとともに,性別による差別的な取扱いや妊娠,出産等を理由とする不利益取扱い等,男女雇用機会均等法に違反する事業主に対しては,引き続き是正指導を行う。さらに,事業主と労働者の間に紛争が生じた場合には円滑かつ迅速な解決が図られるよう援助を行う。

(男女間の賃金格差の解消)

厚生労働省では,女性活躍推進法に基づき常時雇用する労働者数が301人以上の事業主に対して,男女間賃金格差の主な要因である継続就業年数や管理職に占める割合の男女差を含めた自社の女性の活躍状況について把握・分析を行い,それらを踏まえた行動計画の策定等を義務付けるとともに,女性活躍推進に関する状況等が優良な事業主に対する「えるぼし」認定,両立支援等助成金(女性活躍加速化コース)の支給等を通じて,女性の継続就業年数の長期化や管理職の女性割合の増加を図ることで,男女間賃金格差の是正に向けて取り組む。

また,男女労働者間の格差について企業内での実態把握や気づきを促す「男女間賃金格差解消に向けた労使の取組支援のためのガイドライン」(平成22年8月)の周知・普及を図り,企業の自主的な取組を支援する。

(女性に対する各種ハラスメントの防止)

厚生労働省では,企業に対して男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法に沿った実効あるセクシュアルハラスメント対策及び妊娠,出産,育児休業等に関するハラスメント対策を講じるよう,「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」(平成18年厚生労働省告示第615号。以下「セクハラ指針」という。)及び「事業主が職場における妊娠,出産等に関する言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」(平成28年厚生労働省告示第312号。以下「妊娠,出産等ハラスメント指針」という。)の内容も含め周知啓発を行うとともに,企業に対し,セクシュアルハラスメント対策,妊娠,出産等に関するハラスメント対策及び事後の適切な対応について指導を行う。また,労働者及び企業等からの相談に対しては,適切に対応する。

加えて,男女雇用機会均等法に基づいた母性健康管理の措置(健康診査の受診等に必要な時間の確保及び医師等の指導事項を守るために必要な措置を講じること)及び労働基準法(昭和22年法律第49号)の母性保護規定(産前産後休業,危険有害業務の就業制限等)について,事業主,女性労働者,医療関係者等に対し周知・徹底を図り,その一環として企業や働く女性に対し,母性健康管理に関する情報を提供する支援サイト「妊娠・出産をサポートする女性にやさしい職場づくりナビ」のウェブサイトの運営を行う。

また,母性健康管理に関して必要な措置を講じないなど男女雇用機会均等法違反の企業に対し,指導を行うとともに,労働者と事業主の間の紛争については,都道府県労働局長による紛争解決の援助及び機会均等調停会議による調停により,紛争の円滑かつ迅速な解決を図る。

さらに,事業主が母性健康管理の措置を適切に講ずることができるように,女性労働者に対して出された医師等の指導事項を的確に事業主に伝えるための「母性健康管理指導事項連絡カード」の利用を促進する。

加えて,都道府県労働局雇用環境・均等部(室)において,セクシュアルハラスメント,妊娠,出産等に関するハラスメント,パワーハラスメント等職場におけるハラスメントの未然防止に向け一体的に施策を推進する。また,「セクハラ指針」及び「妊娠,出産等ハラスメント指針」等において,セクシュアルハラスメント等の相談窓口と一体的に,職場における妊娠,出産等に関するハラスメントの相談窓口を設置し,一元的に相談に応じることのできる体制を整備することが望ましいことを示し,事業主の取組を促している。