第1節 就業をめぐる状況

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第1節 就業をめぐる状況

(男女の就業者数及び就業率)

我が国の就業者数は,平成28年には女性2,810万人,男性3,655万人となっている。男女別に就業者数の増減を見ると,生産年齢人口(15~64歳)の男性は20年以降減少が続いているが,生産年齢人口の女性は25年以降増加している。また,65歳以上については,女性は15年以降,男性は24年以降増加している。

生産年齢人口の就業率は,近年男女とも上昇しているが,特に女性の上昇が著しく,平成28年には15~64歳で66.0%,25~44歳で72.7%となった(I-2-1図)。

I-2-1図 就業者数及び就業率の推移別ウインドウで開きます
I-2-1図 就業者数及び就業率の推移

I-2-1図[CSV形式:2KB]CSVファイル

我が国の男女の生産年齢人口の就業率を他のOECD諸国と比較すると,34か国中,男性はアイスランド及びスイスに次いで3位であるが,女性は16位となっている(I-2-2図)。

I-2-2図 OECD諸国の女性(15~64歳)の就業率(平成27年)別ウインドウで開きます
I-2-2図 OECD諸国の女性(15~64歳)の就業率(平成27年)

I-2-2図[CSV形式:1KB]CSVファイル

(女性の年齢階級別労働力率(M字カーブ)の状況)

女性の年齢階級別労働力率について昭和51年からの変化を見ると,現在も「M字カーブ」を描いているものの,そのカーブは以前に比べて浅くなっている。

M字の底となる年齢階級も上昇している。昭和51年は25~29歳(44.3%)がM字の底となっていたが,25~29歳の労働力率は次第に上がり,平成28年では81.7%と,年齢階級別で最も高くなっている。28年には35~39歳(71.8%)がM字の底となっている(I-2-3図)。

I-2-3図 女性の年齢階級別労働力率の推移別ウインドウで開きます
I-2-3図 女性の年齢階級別労働力率の推移

I-2-3図[CSV形式:1KB]CSVファイル

諸外国を見ると,韓国では我が国と同様に,「M字カーブ」を描いているが,他の欧米諸国では見られない(I-2-4図)。

I-2-4図 主要国における女性の年齢階級別労働力率別ウインドウで開きます
I-2-4図 主要国における女性の年齢階級別労働力率

I-2-4図[CSV形式:2KB]CSVファイル

(女性の非正規雇用者の割合はやや低下)

非正規雇用者の割合について,男性は平成28年には22.1%とやや上昇したが,女性は55.9%と,前年に比べてやや低下した。

年齢階級別に長期的な傾向を見ると,平成2年から28年にかけて最も割合が大きく上昇したのは,男女とも65歳以上の層となっている。また,15~24歳の若年層(在学中の者を除く)では,13年から17年にかけて,女性が11.4%ポイント,男性が8.5%ポイントと大きく上昇し,その後,横ばいないしやや低下傾向で推移している(I-2-5図)。

I-2-5図 年齢階級別非正規雇用者の割合の推移別ウインドウで開きます
I-2-5図 年齢階級別非正規雇用者の割合の推移

I-2-5図[CSV形式:3KB]CSVファイル

非正規雇用者のうち,現職の雇用形態についている主な理由が「正規の職員・従業員の仕事がないから」として不本意に非正規の雇用形態に就いている者の人数(年齢計)は,平成28年には,女性149万人,男性147万人で,女性の方がやや多い。不本意に非正規の雇用形態に就いている者の割合を男女別,年齢階級別に見ると,女性の場合,15~24歳の若年層(うち卒業)で最も高く,年齢階級が上がるほど低下する傾向が見られるのに対し,男性は,退職期に入るまでは,年齢階級が上がるほど割合が高まる傾向にある(I-2-6図)。

I-2-6図 非正規雇用者のうち,現職の雇用形態についている主な理由が「正規の職員・従業員の仕事がないから」とする者の人数及び割合(男女別,平成28年)別ウインドウで開きます
I-2-6図 非正規雇用者のうち,現職の雇用形態についている主な理由が「正規の職員・従業員の仕事がないから」とする者の人数及び割合(男女別,平成28年)

I-2-6図[CSV形式:1KB]CSVファイル

若年の非正規雇用者割合の増加が,新規学校卒業者の就職状況にも変化をもたらしているかどうかを見るため,学校卒業後の初職の雇用形態を見ると,平成4年から24年にかけて,男女,学歴にかかわらず,卒業後1年以内に非正規雇用に就く者の割合が上昇する傾向が見られたが,一方で,14年から24年にかけては,男女,学歴にかかわらず,正規雇用に就く者の割合も増加した29(I-2-7図)。

29文部科学省「学校基本調査」(平成28年度)により,平成27年度卒業者における28年5月1日現在での就職者(一時的な仕事に就いた者を含む。)に限定して,就業形態を見ると,男女とも,また高等学校(全日制・定時制)卒,大学(学部)卒のいずれにおいても,9割以上が「正規の職員等」となっている。なお,Ⅰ-2-7図で示している「就業構造基本調査」による値とは,調査方法及び集計方法が異なることから,比較が困難であることに留意が必要である。

I-2-7図 初職の従業上の地位・雇用形態の構成比の推移(男女別,教育別)別ウインドウで開きます
I-2-7図 初職の従業上の地位・雇用形態の構成比の推移(男女別,教育別)

I-2-7図[CSV形式:2KB]CSVファイル

(女性の就業希望者)

総務省「労働力調査(詳細集計)」によると,平成28年における女性の非労働力人口2,845万人のうち,274万人が就業を希望している。現在求職していない理由としては,「出産・育児のため」が最も多く,33.0%となっている(I-2-8図)。

I-2-8図 女性の就業希望者の内訳(平成28年)別ウインドウで開きます
I-2-8図 女性の就業希望者の内訳(平成28年)

I-2-8図[CSV形式:2KB]CSVファイル

(所定内給与における男女間格差等の推移)

一般労働者における男女の所定内給与額の格差は,長期的に見ると縮小傾向にある。平成28年に,男性一般労働者の給与水準を100としたときの女性一般労働者の給与水準は73.0と,前年に比べ0.8ポイント縮小した。また,一般労働者のうち,正社員・正職員の男女の所定内給与額を見ると,男性の給与水準を100としたときの女性の給与水準は75.1となった(I-2-9図)。

I-2-9図 男女間所定内給与格差の推移別ウインドウで開きます
I-2-9図 男女間所定内給与格差の推移

I-2-9図[CSV形式:1KB]CSVファイル

雇用形態による給与額の差については,平成28年は,一般労働者のうち,正社員・正職員の1時間当たりの給与水準を100としたとき,正社員・正職員以外の1時間当たりの給与水準は66.6となっている。また,一般労働者の1時間当たりの給与水準を100としたとき,短時間労働者の1時間当たりの給与水準は58.0となっている。いずれも格差は長期的に縮小傾向にある(I-2-10図)。

I-2-10図 雇用形態・就業形態間の1時間当たり所定内給与格差の推移(男女計)別ウインドウで開きます
I-2-10図 雇用形態・就業形態間の1時間当たり所定内給与格差の推移(男女計)

I-2-10図[CSV形式:1KB]CSVファイル

(男女雇用機会均等法に関する相談件数)

平成27年度に都道府県労働局雇用均等室に寄せられた男女雇用機会均等法に関する相談件数は2万3,371件で,そのうち女性労働者からの相談件数は48.9%となっている。相談内容別に見ると,「セクシュアル・ハラスメント」が最も多く9,580件,次いで「婚姻,妊娠・出産等を理由とする不利益取扱い」が4,776件となっている(I-2-11図)。

I-2-11図 男女雇用機会均等法に関する相談件数の推移(相談内容別)別ウインドウで開きます
I-2-11図 男女雇用機会均等法に関する相談件数の推移(相談内容別)

I-2-11図[CSV形式:1KB]CSVファイル