第1節 女性の人権を尊重した表現の推進のためのメディアの取組の支援等

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第14章 メディアにおける男女共同参画の推進

第1節 女性の人権を尊重した表現の推進のためのメディアの取組の支援等

1 メディアにおける男女共同参画の推進,人権尊重のための取組等

(1)メディアにおける女性の人権の尊重のための取組の支援

内閣府では,女子差別撤廃条約を紹介するために作成したDVDをホームページ上で動画公開したり,男女共同参画推進連携会議を通じて,メディアにおける男女共同参画への理解及び趣旨に沿った取組を促したりすることなどにより,女子差別撤廃条約等の国際規範や女子差別撤廃委員会が勧告している固定的性別役割分担意識に基づく男女像に関する表現の是正等,我が国のメディアの課題について,その内容をメディア及び国民各層に周知した。また,男女共同参画についての正しい理解を促進するため,「男女共同参画週間」等において,メディアを通じた広報・啓発等を行った。

(2)性・暴力表現を扱ったメディアの,青少年やこれに接することを望まない者からの隔離

内閣府では,「子供・若者育成支援推進大綱」(平成28年2月9日子ども・若者育成支援推進本部決定)等に基づき,青少年を取り巻く有害環境への対応を図っている。また,各都道府県の青少年保護育成条例に基づく規制事項や有害図書類の指定状況等を集約し,内閣府ホームページへの掲載を通じて,地方公共団体や関係機関・団体等への情報提供を行うことにより,地域における有害環境の浄化活動に関する取組を促進している。

警察では,青少年保護育成条例により青少年への販売等が規制されている有害図書類について,関係機関・団体,地域住民等と協力して関係業界に対して自主的措置を講ずるよう働きかけるとともに,個別の業者に対する指導の徹底や悪質な業者に対する取締りの強化を図っている。

また,少年がインターネット上の有害なコンテンツに接することを防ぐため,携帯電話事業者に対する保護者へのフィルタリング等の説明強化に関する要請のほか,入学説明会等の機会を捉えた保護者に対する啓発活動や児童に対する情報モラル教育等の取組を推進している。

文部科学省では,インターネット上のマナーや家庭でのルール作りの重要性を保護者等に対して周知するための学習・参加型のシンポジウムの開催や児童生徒向けの普及啓発資料の作成・配布等を行っている。

(3)児童を対象とする性・暴力表現の根絶

警察では,出会い系サイト規制法を効果的に運用し,出会い系サイトに起因する児童買春その他の犯罪からの児童の保護を図っている。また,コミュニティサイトに起因する被害を抑止するため,スマートフォン等インターネット接続機器へのフィルタリングの普及促進を図るとともに,関係事業者に対して自主的な児童被害防止対策の強化に向けた働きかけを実施している。

さらに,児童ポルノは児童の性的搾取・性的虐待の記録であり,児童の人権を著しく侵害するものであることから,「第二次児童ポルノ排除総合対策」等に基づき,警察庁において,各都道府県警察からの情報を集約・分析した上で,必要に応じ,関係都道府県警察による合・共同捜査の調整や捜査員の技術向上を図るための研修の実施,外国捜査機関等との情報交換・連携の強化等により,児童ポルノ事犯の取締りの徹底を図るとともに,心身に有害な影響を受けた児童の保護等に努めている。

内閣官房,内閣府,警察庁,総務省及び経済産業省は,インターネット上の児童ポルノ画像等の流通・閲覧防止対策の一環として,関連事業者による実効性のあるブロッキングの自主的導入に向けた環境整備に努めており,平成23年4月から,インターネット・サービス・プロバイダ等による自主的なブロッキングが開始されている。

警察では,サイト管理者等に対する児童ポルノ画像等の削除要請を行うほか,警察庁では,安心ネットづくり促進協議会や児童ポルノ流通防止対策専門委員会等に参加し,必要な情報提供や助言等を行うとともに,児童ポルノ掲載アドレスリスト作成管理団体に対して児童ポルノ情報を提供するなどし,民間の自主的な取組を支援している。

2 インターネット等新たなメディアにおけるルールの確立に向けた検討

(1)現行法令による取締りの強化

警察では,インターネット上に流通する児童ポルノやわいせつ図画等の違法情報・有害情報を,サイバーパトロール等を通じて早期に把握し,検挙等の措置を講じている。

また,わいせつな画像データ等の電磁的記録を不特定又は多数の者に電子メールで送信して頒布するなどの行為は刑法のわいせつ物頒布等の罪に当たることから,捜査機関においては,同罪等を厳正に適用し,適切な科刑の実現に努めている。

(2)インターネット等新たなメディアにおける情報の規制等及び利用環境整備の在り方等に関する検討

内閣官房では,インターネット上における違法・有害情報等に関する関係省庁連絡会議(IT安心会議)の決定等に基づき,関係省庁における違法・有害情報対策に係る取組を督励している。また,「違法・有害情報対策官民実務家ラウンドテーブル」の枠組みを活用し,関係省庁及び関係団体間の情報共有を図るとともに,関係団体における取組についての国民への情報提供を推進している。

さらに,「インターネット上の違法・有害情報対策ポータルサイト」21により,違法・有害情報への具体的対策や関係省庁及び関係団体の取組等について,分かりやすく利便性の高い情報提供を行っている。

総務省では,フィルタリングの導入促進や民間団体等の自主的取組の支援,違法・有害情報相談センターによる対応等を進めている(第10章第8節2参照)。

経済産業省では,セミナーの開催等を通じ,青少年のインターネット利用にかかるリスクとその対策を説明することで,関係者全体のインターネット・リテラシーの向上と保護者等による実効的な自主的対策を促進している。

警察では,都道府県単位でのプロバイダ連絡協議会等の設置を推進し,有識者,関係機関・団体,産業界等を通じ,官民が一体となって児童ポルノやわいせつ図画等の違法情報・有害情報の排除を図っている。

21内閣官房 インターネット上の違法・有害情報対策ポータルサイト http://www.it-anshin.go.jp/index.html

3 メディア・リテラシーの向上

総務省では,放送,インターネット,携帯電話等のメディアの特性に応じたメディア・リテラシーに関する教材等の普及を図っているほか,青少年のリテラシー能力を測定するためのテスト及びアンケート結果や,「インターネットリテラシー・マナー等向上事例集」等を公表している。

文部科学省では,子供たちが,情報を主体的に収集・判断する能力や,インターネットを始めとする様々なメディアが社会や生活に及ぼす影響を理解し情報化の進展に主体的に対応できる能力の育成を図っている。