コラム5 配偶者が転勤しても働き続けられるネットワークづくりの試み

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コラム5

配偶者が転勤しても働き続けられるネットワークづくりの試み


平成26年11月,全国の地方銀行64行の頭取が「輝く女性の活躍を加速する地銀頭取の会」を発足させた。発足と同時に採択した「行動宣言」では,「自ら行動し,発信する」,「現状を打破する」,「ネットワーキングを進める」の3本の柱で,女性活躍に関する自主目標の設定,組織の意識変革,男女の働き方の変革や地域社会への働きかけ等を進めることを表明している。

会の発足以降進めてきたのが,配偶者の転勤に伴い退職する行員(特に女性)が,希望する場合に別の地方銀行で再就職できるようにする仕組みづくりだ。職業安定法や個人情報保護法等,法的な問題等を整理・検討し,平成27年4月から運用を開始した。

地銀頭取の会では,会員各行の職員が配偶者の転勤等でやむなく退職する職員が少なくない中,そのキャリアを継続できる連携策を検討してきた。この仕組みを利用すれば,配偶者の転勤や,実家の親の介護等の都合により転居しても,転居先で仕事が続けられる。また,地方銀行にとっても,同じ業界の経験を有する即戦力の人材を確保しやすくなるメリットがある。今回新たに全都道府県をカバーする「会員各行の人事担当窓口のネットワーク」を整備し,当事者銀行が相対で紹介を行う仕組みを構築した。また,紹介先銀行に通知される紹介希望者に関する情報は,書式を定型化することにより,金融機関勤務者としてのスキル・経験がアピールしやすいよう工夫を行っている。

地域経済を支える地方銀行が,この取組を通じて,女性の活躍を通じた地域活性化の新たなモデルとなれるか,注目される。

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