コラム5 母子家庭の支援から,父子家庭を含めたひとり親家庭の支援へ

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コラム5

母子家庭の支援から,父子家庭を含めたひとり親家庭の支援へ


厚生労働省「全国母子世帯等調査」(平成23年度)の推計値によると,母子世帯は約124万世帯,父子世帯は約22万世帯となっている。

母子世帯と父子世帯の就業形態や就労収入を見ると,就労している父子世帯の父のうち約7割が「正規の職員・従業員」であるのに対し,母子世帯の母のうち約5割が「パート・アルバイト等」で,平均年間就労収入は,父子世帯の父の377万円に対し,母子世帯の母は192万円と,依然として母子世帯の方が経済的に厳しい。一方で,父子世帯の父でも約8%が「パート・アルバイト等」で,その平均年間就労収入は175万円と,経済的に厳しい状況に置かれている者もいる。

ひとり親家庭に対する支援については,従来から,母子及び寡婦福祉法(昭和39年法律第129号)等に基づき,経済的に厳しい母子家庭を中心に,子育て・生活支援,就業支援,経済的支援等の自立支援策が講じられてきた。

こうした支援について,近年,父子家庭に対して徐々に拡大されてきている。

平成22年からは,児童扶養手当が父子家庭にも支給されることとなり,25年度からは,自立のための訓練等を支援する母子家庭自立支援給付金の対象が父子家庭の父にも拡大された。こうした支援について,近年,父子家庭に対して徐々に拡大されてきている。

また,平成25年3月に施行した母子家庭の母及び父子家庭の父の就業の支援に関する特別措置法(平成24年法律第92号)により,母子家庭の母及び父子家庭の父の就業の支援に関する施策の充実が進められている。

さらに,平成26年4月からは,これまで母子家庭に限られていた遺族基礎年金の支給対象が,父子家庭にも拡大された。

一方,ひとり親世帯の抱える家計や仕事,子どもの教育等の悩みについて,「相談相手がいる」と答えた者は,母子世帯の80.4%に対して父子世帯は56.3%であり,公的機関の相談・支援も十分に受けられていない状況にある。

支援の中には,名称が「母子」となっているものもあり,「父子」家庭が対象となっていることの周知も課題とされていたが,法律の題名を「母子及び父子並びに寡婦福祉法」に改めるとともに,ひとり親家庭に対する支援施策の充実を内容とする改正法案が,平成26年2月に国会に提出され,同年4月に成立した。

母子家庭の母や父子家庭の父の子育て・就業の両立による自立を支援することにより,ひとり親家庭の子どもにとって,養育する親が父であっても母であっても,健やかに育つ環境が整備されていくことが求められている。