第4節 防災における男女共同参画の推進

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第4節 防災(復興)における男女共同参画の推進

1 防災(復興)分野における女性の参画の拡大

平成24年6月の災害対策基本法の改正では,地域防災計画の策定等に当たり,多様な主体の意見を反映できるよう,地方防災会議の委員として,現在充て職となっている防災機関の職員のほか,自主防災組織を構成する者又は学識経験のある者を追加することとされた。内閣府及び総務省は,地方防災会議に男女共同参画の推進及び高齢者や障害者等の多様な主体の参画を促進するよう,地方公共団体に通知した。

内閣府では,平成24年9月の「防災基本計画」の修正に際し,地域の復旧・復興の基本方向の決定に当たっては,男女共同参画の観点から,あらゆる場・組織に女性の参画を促進することなどを盛り込んだ。

また,「防災基本計画」に規定されている事項を含め,男女共同参画の視点からの災害対応について,内閣府のホームページ等で周知をしている。

なお,男女共同参画会議監視専門調査会では,国及び地方公共団体が設置・開催する防災・復興に係る会議等及び防災・復興関連部局における女性の参画の拡大や,被災者支援等の活動に当たる女性職員等への支援の必要性等の「防災・復興における男女共同参画の推進」について,平成24年12月に意見を取りまとめた(第1章第2節1参照)。

2 防災(復興)現場における男女共同参画

内閣府では,東日本大震災を含め,過去の災害対応における経験を基に,男女共同参画の視点から必要な対策・対応について,予防,応急,復旧・復興等の各段階において地方公共団体が取り組む際の指針となる基本的事項を示した「男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針」を作成した。

また,東日本大震災の被災地方公共団体を対象に,復興に関する男女共同参画の視点からの取組状況について,アンケート調査及びヒアリング調査を実施した。

さらに,平成23年度に引き続き,岩手県,宮城県及び福島県において,地方公共団体,警察及びNPO等との協力の下,震災に関連する女性の悩み全般や,女性に対する暴力に関する相談窓口を設け,電話や面接により相談を受け付けるとともに,仮設住宅等を訪問するなどして直接相談を受け付けている(第2-15- 1図)。

第2-15- 1図 東日本大震災被災地における女性の悩み・暴力相談事業 別ウインドウで開きます
第2 -15- 1図 東日本大震災被災地における女性の悩み・暴力相談事業

男女共同参画会議監視専門調査会では,防災・復興に係る各種計画等における男女共同参画の視点の導入,大規模災害が発生した際の男女共同参画センター等の機能強化促進や,男女共同参画の視点に立った避難所・応急仮設住宅等の運営のための取組の必要性等の「防災・復興における男女共同参画の推進」について,平成24年12月に意見を取りまとめた(第1章第2節1参照)。

厚生労働省では,被災労働者等に係る産前産後休業や育児休業等を理由とする解雇や性別を理由とする解雇等の相談について,被災地域等の都道府県労働局雇用均等室においてきめ細かく対応するとともに,トラブルの未然防止に向けた指導を実施した。また,被災し,避難している妊産婦等について,優先的に住まいの確保に努めることを地方公共団体に依頼した。

復興庁では,被災自治体の復興計画の策定に当たって設置された委員会等における女性委員の割合や,復興計画における男女共同参画の視点の反映状況等を取りまとめた。また,その結果を基に,復興大臣から被災自治体に対して,今後の復興計画の更なる具体化の検討や復興計画の進行管理等に当たって,男女共同参画の視点が十分反映されたものとなるよう働きかけた。さらに,被災自治体や復興に向けて各地で活躍する方々の参考となるよう,まちづくり,仕事づくり,暮らしの分野に関し,女性が活躍している事例や女性を支援している事例等を収集し,「男女共同参画の視点からの復興~参考事例集~」を取りまとめた。


3 国際的な防災協力における男女共同参画等

外務省及び内閣府等は,平成24年7月に,岩手県,宮城県及び福島県において世界防災閣僚会議 in 東北を開催した。同会議の議長総括では,防災における女性の役割を正当に認識することが必要であること,防災・復興計画に対して女性等の社会の多様な立場からの意見を踏まえることが重要であることなどが盛り込まれた。