第1節 生涯を通じた男女の健康の保持増進

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第1節 生涯を通じた男女の健康の保持増進

1 健康寿命の更なる延伸

厚生労働省では,平成12年度から, 9分野70項目の目標を掲げた「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」(以下「健康日本21」という。)を推進しており,14年には,「健康日本21」を中核とする国民の健康づくり・疾病予防を更に積極的に推進するため,健康増進法(平成14年法律第103号)が制定され,15年5月に施行された。19年4月に公表した「健康日本21」の中間評価の結果を踏まえ,代表目標項目や新規目標項目を設定するとともに,20年度から「適度な運動」,「適切な食生活」,「禁煙」に焦点を当てた新たな国民運動として「健やか生活習慣国民運動」を展開するなど,生活習慣病対策の一層の推進を図ってきた 。22年度からはこの運動を更に普及,発展させた「Smart Life Project」を開始し,民間企業と連携した職域における取組や,企業の経済活動等を通じて,生活習慣病対策の更なる推進に取り組んだ 。

また,「健康日本21」が平成24年度で終了することから,23年10月にとりまとめた最終評価(目標項目全体の約6割で一定の改善が見られた)を基に厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会等で議論を行い,今後10年間の国民健康づくり運動を推進するため,がん,糖尿病等のNCDs(非感染性疾患)の予防等の具体的な目標等を明記した「健康日本21(第二次)」を24年7月に告示した。

2 地域における医療体制の整備

厚生労働省では,いつでも,誰でも,必要な医療を受けられる社会を実現するため,医師の不足や地域・診療科における偏在の問題や,救急医療等に対する不安の解消等に取り組んでいる。

医師の不足・偏在については,医学部定員の増員を図るとともに,平成24年度予算において,医師不足病院の医師確保を支援する地域医療支援センターの運営に対して財政支援を拡充するなどの取組を行っている。

また,地域の様々な医療課題の解決のため都道府県に設置された「地域医療再生基金」について,平成24年度補正予算において積み増しを行い,医師確保対策等について更なる支援を行っている。

さらに,都道府県による新たな医療計画(平成25年度から実施)の策定に対する支援を行い,各都道府県において同計画が策定された。

3 生涯を通じた健康の保持増進のための健康教育,健康相談,普及啓発,健康診査・指導等の推進

厚生労働省では,全国の女性関連施設等が行う女性就業促進支援事業が効果的,効率的に実施され,全国的な女性の健康保持増進のための支援施策の充実が図られるよう,相談対応や講師派遣等を実施している。

また,生涯を通じた健康の保持のためには,性差に応じた的確な医療を受けられることが必要と考えられるため,生活習慣病対策の一環として,女性の生活習慣病対策に資する健康相談を行う事業を実施している。

文部科学省では,学校において,健康教育を実施するとともに,児童生徒の現代的健康課題に対応するため,地域の実情を踏まえた医療機関との連携等課題解決に向けた計画の策定,それに基づく具体的な取組に対して支援を行う事業を実施している(第4章第2節2参照)。

4 女性の健康づくり支援

(1) 女性の健康保持のための事業等の充実

厚生労働省では,女性健康支援センター事業において,女性が主体的に避妊を行うことができるようにするための避妊の知識の普及を含めた女性の心身の健康に関する相談指導や情報提供等の支援を行っている。


(2) 成年期,高齢期における女性の健康づくり支援

厚生労働省では,平成12年から「健康日本21」を推進しており,健康増進法も踏まえ,20年からは「適度な運動」,「適切な食生活」,「禁煙」に焦点を当てた新たな国民運動として「すこやか生活習慣国民運動」を展開するなど,生活習慣病対策の一層の推進を図っている(本章第1節1参照)。

また,女性が生涯を通じて健康で明るく,充実した日々を自立して過ごすことができるよう,女性の様々な健康問題を社会全体で総合的に支援する必要があることから,毎年3月1日から同月8日までを「女性の健康週間」と定め,国及び地方公共団体,関係団体等社会全体が一体となって各種の啓発事業及び行事等を展開している。

さらに,生涯を通じた女性の健康支援事業では,保健所,保健センター等において,女性の健康をめぐる様々な問題について気軽に相談できる体制を引き続き整備するとともに,ライフステージに応じた健康課題について健康教育等を実施している。

内閣府では,女性に対する暴力の根絶のための基盤づくりや予防啓発研修を実施している(第10章第1節1参照)。

5 食育の推進

内閣府では,ライフステージに応じた間断ない食育を推進するため,一人一人の国民が自ら食育に関する取組を実践できるように,「食育ガイド」を作成し,平成24年5月に公表した。