第1節 セーフティネットの機能の強化

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第1節 セーフティネットの機能の強化

1 社会保険の適用拡大の検討

厚生労働省では,非正規労働者への雇用保険の適用拡大(6か月以上雇用→31日以上雇用)について,事業主に対する周知等を通じて,着実な実施に取り組んでいる。

また,雇用保険を受給できない求職者を対象に,職業訓練を実施するとともに,訓練期間中の生活を支援し,訓練の受講を容易にするための給付金を支給することなどにより早期の就職を支援する「求職者支援制度」を実施している。さらに,働き方に中立的な社会保険制度を目指して,短時間労働者への厚生年金・健康保険の適用拡大等を内容とする「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案」を第180回国会に提出し,平成24年8月に成立した(第3章第1節3参照)。

2 就労による経済的自立を目指す仕組みの確立

雇用保険制度において,基本手当の算定基礎となる賃金日額について,法定の下限額等の引上げや早期再就職のインセンティブを強化するための再就職手当の給付率の引上げを行い,セーフティネットとしての機能強化を図っている。さらに,いわゆるリーマンショック以降に実施している個別延長給付や雇止めによる離職者に対する給付日数の拡充措置等の暫定措置(平成23年度末まで)が2年間(25年度末まで)延長され,依然として厳しい現下の雇用失業情勢の中,労働者の生活及び雇用の安定が図られた。

3 ナショナルミニマムの基準・指標の研究

ナショナルミニマムの基準・指標の研究については,我が国における多面的な貧困の把握に資するよう,諸外国における貧困指数の調査研究を実施した。