特集 成長戦略の中核である女性の活躍に向けて

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特集 成長戦略の中核である女性の活躍に向けて

男女共同参画社会の実現に向けた様々な取組の積み重ねにもかかわらず,各種の指標や統計データに表れているとおり,我が国の経済分野において,女性はいまだ十分にその能力を発揮できていない。

女性が経済分野においても存分にその力を発揮する機会を得ることは,公平・公正といった理念に根差した社会的な要請であることは言うまでもないが,他方で,近年,経済成長の担い手としての女性への期待が「眠れる資源」,「潜在力」,「含み資産」といった様々な言葉で語られるようにもなっている。

人口減少と少子高齢化の下にある我が国が,国,地域,企業,世帯等あらゆるレベルで再び力強い成長の歩みを取り戻すためには,女性の活躍こそ原動力であり,成長戦略の中核となる。

どのような雇用形態で働いているか,家庭を持っているか,子どもがいるか,どのような教育を受けたか,世帯としての経済状況はどうか,親の介護が必要な状態か,配偶者との役割分担はどうかといった点において男女は多様な状況にあるが,現状ではそれらの要因が働き方に与える影響は男性に比べて女性で大きくなりがちである。

本特集編では,そうした要因や要因相互の関係にも注意しながら,女性を取り巻く状況,人々の意識や行動等を概観し,現下の成長戦略の中核である女性の活躍に向けて,今後の課題と取組の方向性を明らかにしていく。

特集のポイント


第1節 経済再生における女性の役割

  • 我が国における女性の就業率は上昇しており,海外の主要国と比べてもほぼ同水準。
  • 時代とともに主な就業の場が変化し,活躍の場も海外へと拡大しているが,性別による特徴あり。管理職に占める女性割合は漸増しているが,国際的に見るとその水準は低い。

第2節 女性の労働力率(M字カーブ)の形状の背景

  • 有配偶女性と無配偶女性では労働力率の形状が大きく異なるが,どちらも若い世代ほど全般的に労働力率が上昇。非正規雇用の女性の労働力率が,若い世代ほど高くなっている一方,正規雇用の女性では,世代による差は見られず。
  • 小学・中学・高校卒の女性と比べて,短大・高専卒及び大学・大学院卒の女性の労働力率は,結婚・出産期の落ち込みが大きく,その後も上昇せず。
  • 女性の就業希望者は303万人。非正規雇用を希望する者が7割超。

第3節 女性のライフステージと就業

  • 結婚前に就業していた女性のうち約3割が結婚を機に離職し,第1子出産でさらに約4割が離職(第1子出産前に仕事を持っていた者を基準とした場合は,約6割が第1子出産を機に離職)。
  • 非正規雇用の女性は,20歳代後半を除いて,非正規雇用を柔軟な働き方であると考えて選択している割合が高い。
  • 女性の労働力率が減少し始める(出産・育児に当たる)時期と企業で管理職に昇進する年齢階級が重なり,介護・看護に当たる時期と役員人数が増加する年齢階級もほぼ同様。

第4節 女性の活躍を支える環境

  • 育児関連措置の整備が進んでいるが,利用しやすさという点で改善の余地あり。
  • 男性の労働時間は減少しているが,家事関連時間は女性と比べると依然として短い。女性では,末子就業前の時期における家事関連時間が特に長い。
  • 柔軟な就業・勤務形態として自営業・起業やテレワークに可能性。テレワークには,仕事と育児・介護等との両立について,メリットがある一方で課題も指摘されている。

第5節 女性の活躍に向けた今後の課題等

  • 諸外国では,企業の情報開示,役員会における多様性(ダイバーシティ)の確保,企業へのインセンティブ付与(補助金給付等)等様々な取組を通じて女性の活躍を促進。
  • 我が国でも,女性の活躍を経済再生・活性化に関連付け,質・量双方の側面から女性の潜在力を引き出そうとする議論・取組を活発に展開中。
  • 女性のライフステージごとの課題に対応した施策を展開するとともに,企業による積極的な取組を促していくことが重要。長時間労働の抑制や働き方の見直し等を通じて,男女を問わずワーク・ライフ・バランスを推進していくことなども不可欠。