コラム11 「女性のエンパワーメント原則」(WEPs)

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コラム11

「女性のエンパワーメント原則」(WEPs)


「女性のエンパワーメント原則」(WEPs)は,2010(平成22)年に国連婦人開発基金(UNIFEM:現UN Women)と国連グローバル・コンパクトが共同で作成した企業の行動原則で,企業が男女平等と女性のエンパワーメントを経営の核に位置付けて自主的に取り組むことで,企業活動の活力と成長を獲得する指針となるように作成されたものである。

署名した企業は,国連WEPs事務局のウェブサイトに掲載され,自社の取組状況に関する簡単な報告を国連に提出したり,CSR報告書52で「見える化」することでWEPsの考え方を経営のPDCAサイクルの中に取り入れていくことが期待されている。

52企業が自社の行っているCSR活動を株主,顧客等に向けて紹介することを目的に作成している報告書。CSRとはCorporate Social Responsibility(社会的責任)のこと。

規制的な手段によらず,企業の最高経営責任者(CEO)が署名して自主的に取り組む仕組みとなっており,Equality Means Businessの副題が示すとおり,公平・公正といった倫理的な要請のみならず,平等がビジネス向上のカギになるという考えに基づいている。2013(平成25)年5月現在,世界44か国,569の企業が同原則に署名しており,この中にはグローバルに事業を展開する巨大企業から,従業員が十数人の零細企業まで幅広い業種の様々な企業が含まれている。

国連では,潘基文事務総長が国連を挙げて一層WEPsに取り組む旨を表明しており,2013(平成25)年の第5回WEPs年次会合では,女性の活躍を進めることでビジネスにメリットがもたらされたWEPs署名企業の好事例が各国から相次いで紹介された。2013(平成25)年には,国連WEPs事務局による,企業の好事例に関する情報共有を進めるためのデータベースの公開やSNSによる広報の強化も予定されている。

我が国において,男女共同参画推進連携会議(第2部第1章第1節参照)が2012(平成24)年度から担当チームを設けてWEPs署名企業の拡大に取り組んでおり,2012(平成24)年4月の147社から2013年5月の191社まで署名企業は確実に広がりを見せている。