コラム10 女性の活躍の鍵を握る中間管理職

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コラム10

女性の活躍の鍵を握る中間管理職


組織トップや経営層が女性の活躍推進を経営戦略として認識し,女性の活躍促進やダイバーシティに関する担当部署があり,現場に意欲とスキルにあふれた女性社員を多数抱える企業においても,様々な理由から女性の活躍が容易に進まないことがある。

男性中心の従来の働き方や同質的な価値観に慣れ親しんだ現場の中間管理職(とりわけ男性)が経営層と現場の間で女性の活躍を阻んでいる場合,そのような中間管理職が「粘土層」と表現されることがある。男性管理職が女性の部下に過度に気を遣うあまり,結果として育成や訓練の機会から遠ざけてしまっている可能性もある。

中間管理職は,経営層と現場の間で双方向的に業務を推進し,現場に対しては経営層の考え方や部門ごとの計画を浸透させて事業を展開しつつ,経営層に対しては現場の実態と課題をタイムリーに伝えるという重要な機能を担っている。日々の業務を通じて人材を育成していくことは中間管理職に期待される最も重要な役割の一つである。中間管理職が心掛けているテーマとして「部下の能力向上」が挙げられることも多い。女性活躍に積極的に取り組む企業の中には,トップのメッセージを浸透させるために中間管理職を対象とした研修を行ったり,女性の部下との接し方に戸惑いがちな男性管理職に向けて女性部下の育成に関する研修を行っているところも見られる。

厳しい経営環境が続く中,「粘土層」と揶揄されたり,女性に過度な気遣いをする中間管理職が本気になって女性の人材育成に目を向けるようになれば,今後,女性の活躍が飛躍的に進んでいく可能性は大きい。