男女共同参画白書(概要版) 平成25年版

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第3節 女性のライフステージと就業

1 女性のライフステージと就業に関する男女の意識と行動
(1) 女性のライフステージ
(有配偶の女性と子ども)

初婚どうし夫婦の20歳代の妻の約7割が子どもを少なくとも1人持っている。子どものいない妻の割合は年齢が上がるにつれて減少するものの,初婚どうし夫婦の40歳代の妻の1割弱には子どもがいない。

(生涯未婚率の推移)

平成22年における女性の生涯未婚率(50歳時の未婚率であり,45~49歳と50~54歳の未婚率の単純平均より算出する)は約1割となっている。男女共に近年急速に上昇しており,男性の生涯未婚率は2割を超えている。

教育別に見ると,男性は,到達した教育段階が高いほど未婚率が低い。女性は,以前は到達した教育段階が高いほど未婚率が高かったが,平成22年には,小学校・中学校卒の女性の生涯未婚率が大きく上昇している。

(介護・看護)

要介護者と同居する主な介護者及び介護時間が「ほとんど終日」に及ぶ同居介護者において,それぞれ約7割を女性が占めている。要介護者10万人に対する同居の主な介護・看護者数を年齢階級別に見ると,男女とも50歳代で急増している。

(2) 有配偶の女性による就業の選択

夫の就業率は,妻の年収の水準と関係なく90%以上となっている。一方,平成14年に比べて,24年は全体的に妻の就業率が高くなっているものの,夫の年収が多くなるほど妻の就業率が低下するという関係は,この10年で変化していない(第8a図)。

また,到達した教育段階の近い男女が結婚する傾向がうかがわれる(第8b図)。

第8図a,b, 夫婦の就業と教育の組合せ

男性の年齢階級別平均年収を教育別に見ると,20~24歳においては教育別にそれほど大きな差はないが,到達した教育段階が高いほど年齢に伴う年収の伸びが大きくなっており,45~54歳の年齢階級では,高校卒の男性と大学・大学院卒の男性の平均年収の差は300万円弱に達する(第9a図)。

高校卒の女性の平均年収は,正規雇用者は30歳代以降で300万円を超えており,非正規雇用者は年齢階級にかかわらずおおむね200万円強である(第9b図)。男性の教育別の年収の違いを考えると,平均値で見た場合,高校卒同士の共働き夫婦の年収の合計は,大学・大学院卒の男性の平均年収とほぼ同水準となる。

第9図a,b, 教育(学歴)別年齢階級別平均年収(男女別、平成24年)

(3) 性別役割分担意識

内閣府が平成24年に実施した世論調査において,「夫は外で働き,妻は家を守るべきである」という考え方について,賛成の割合(「賛成」+「どちらかといえば賛成」)が反対の割合(「反対」+「どちらかといえば反対」)を上回った。賛成の割合が男女共に前回調査より増えたのは,昭和54年の調査開始以来,今回が初めてである。

(4) 女性のライフコースの理想と現実

女性が理想とする自らのライフコースは,平成9年以来大きな変動はない。一方,女性が予定している自らのライフコースでは,専業主婦コースの割合が9年の17.7%から22年の9.1%に半減している。再就職コースも減少しており,非婚就業コースと両立コースが増えている。

男性が女性に期待するライフコースでも,専業主婦の割合が平成9年の20.7%から22年の10.9%に半減し,両立コースが大きく上昇している。

2 女性のライフイベントと就業
(1) ライフイベントによる就業形態の変化

結婚前に仕事ありの女性(農林漁業を除く)のうち,27.7%が結婚を機に,36.0%が第1子出産を機に,それぞれ離職している(第10図)。

介護・看護を理由に前職を離職した人は,完全失業者263万人のうち,男性が2 万人,女性が3万人であり,非労働力人口3,232万人のうち,男性が13万人,女性が88万人である。

第10図 ライフイベントによる女性の就業形態の変化

(2) 雇用形態の選択と希望
(雇用形態の選択及び就業に対する希望)

M字カーブの谷に当たる30~44歳の年齢階級の女性の非正規雇用者の4割が,非正規雇用を選択した理由として「家庭の事情(家事・育児・介護等)や他の活動(趣味・学習等)と両立しやすい」ことを挙げている。20歳代後半を除いて,「正社員として働ける会社がなかった」ことは理由の上位に挙がっておらず,非正規雇用を柔軟な働き方であると考えて選択している割合が高いと考えられる。

M字カーブの左側の山から下り坂に当たる25~34歳の年齢階級の非正規雇用の女性で,会社勤務継続を希望している者のうち,35~40%の者が正社員として働くことを希望している。M字カーブの底から右側の山に向かう40~49歳の年齢階級の正社員になりたい理由については,他の年齢階級と同様「より多くの収入を得たい」及び「正社員の方が雇用が安定している」が高い割合となっていることに加え,「家事・育児・介護等の制約がなくなる(なくなった)」が他の年齢段階に比べて高くなっている。

3 女性のライフステージとキャリア形成
(1) 結婚・出産・育児と昇進
(雇用者数割合の低下と昇進の時期の重なり)

従業員100人以上の企業における雇用期間の定めのない雇用者数の対人口割合は,男性では台形となり,女性では20歳代後半を頂点とする山形となる。女性については,雇用者数の割合の低下が始まる年齢階級(30~34歳)が昇進の増え始める時期に重なっていることが分かる(第11図)。

第11図 年齢階級別雇用者数の対人口割合と役職人数(男女別、平成24年)

(管理職への女性の登用に関する企業の意識)

女性管理職が少ない(1割未満)あるいは全くいない管理職区分が1つでもある常用労働者10人以上の企業の48.9%は,女性管理職が少ない/全くいない理由として,「現時点では,必要な知識や経験,判断力等を有する女性がいない」ことを挙げている。このほか,勤務年数の短さに関連する要因が複数挙げられている。

(コース別雇用管理制度)

従業員5,000人以上の大企業の約半数及び1,000~4,999人の企業の45.9%が,コース別雇用管理制度を導入している。

総合職採用予定者(平成23年)に占める女性割合は11.6%,総合職在職者に占める女性割合は5.6%である。10年前に採用された総合職の離職割合を見ると,女性は男性の2倍以上に当たる65.1%となっており,10年前に採用された総合職の女性が既に全員離職している企業は48.9%に上っている。

(2) 介護・看護と役員就任

家族経営による小規模なものを含む全ての事業規模の企業を対象とした場合,平成24年における役員に占める女性の割合は23.1%である。年齢階級別に見ると,50歳代後半以降に男女とも役員の人数が増加しているが,女性において介護・看護者の人数が特に多くなる年齢階級とほぼ重なっている。

(3) 学び直しの状況

継続就業及び再就職のいずれの場合においても,学び直しはキャリアの可能性を拡大する機会であると考えられる。法務,会計,経営等の実務的な知識やスキルを習得する専門職学位は,修士号に比べて仕事により直結した学位であると言える。平成15年以降における専門職学位課程への社会人入学者に占める女性の割合は,修士課程への社会人入学者に占める女性の割合と比べると低い。