平成24年版男女共同参画白書

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第2節 多様な選択を可能にする教育・能力開発・学習機会の充実

女性も男性も各人の個性と能力を発揮し,社会のあらゆる分野に参画できるよう,生涯にわたり多様な学習機会が確保され,学習の成果が適切に評価される,生涯学習社会の形成を促進するための施策を講じる。

このため,文部科学省では,地域づくりに参画する女性人材の育成のための学習機会の充実を図るとともに,男性だけが家計を負担するというような男性自身の固定的性別役割分担意識を解消し,男性にとっても多様な選択が可能となるよう,男性を対象とした男女共同参画の学習機会の充実を図る。

また,消費者が自ら進んで,その消費生活に関し必要な知識を習得し,必要な情報を収集するなど自主的かつ合理的に行動することを支援するため,学校教育における消費者教育の推進のための調査研究の実施,地域で消費者教育を推進する人材等について検討を行うなど,消費者教育のより一層の充実を図る。

地域の主体的な取組による高齢者を対象とした生涯学習が促進され,高齢者の社会参加と生きがいづくりが促進されるよう,研究協議会を開催する。

放送大学に対しては,地域活動や社会貢献活動等様々な分野で一定の科目群を体系的に学んだ学生に対して学位以外の履修証明を与える「科目群履修認証制度(放送大学エキスパート)」の推進や社会人のニーズに対応したキャリアアップ支援のための充実に一層努めるなど,引き続き学習環境の整備・充実や学習機会の拡大のための支援を推進する。

専修学校については,働きながら学ぶ社会人等の多様な学習ニーズに対応するため,単位制・通信制の教育の制度を推進するとともに,産学官との連携により,成長分野等における中核的専門人材養成を戦略的に推進する。

また,地域コミュニティの拠点としての学校施設,クラブハウス,屋外運動場照明,水泳プール,武道場等,学校開放諸施設の整備・活用をするほか,ICT(情報通信技術)を活用した生涯学習支援に関する調査研究を行う。さらに,青少年の体験活動の推進を図るため,家庭や企業等へ体験活動の理解を求めていくための普及啓発に取り組むとともに,自然体験活動の指導者養成や防災教育の観点に立った体験活動の推進等を実施する。

独立行政法人国立女性教育会館では,基幹的女性教育指導者の育成,女性のキャリア形成のための情報提供や学習プログラム開発等喫緊の課題への対応,アジア太平洋地域等の女性のエンパワーメント支援,女性アーカイブ機能等の更なる充実・深化を推進する。また,地域での男女共同参画社会の実現を目指し,女性関連施設管理職,地方公共団体職員及び女性団体リーダーを対象に,持続可能な組織の在り方や,第3次男女共同参画基本計画を実現するための施策・事業の在り方を学ぶ,「女性関連施設・地方公共団体・団体リーダーのための男女共同参画推進研修」を実施する。

進路・就職指導の充実においては,生涯にわたる多様なキャリア形成に共通して必要な能力や態度を培うキャリア教育及び後期中等教育以降における実践的な職業教育を推進する。また,中学校・高等学校では,生徒が個々の能力・適性等に応じて主体的に進路を選択する能力や態度を身に付けることができるよう指導・助言を行う進路指導の実践の改善・充実を図る。

学生の雇用が不安定となっていることに対応するため,厚生労働省等関係省庁と連携し,大学等のキャリアカウンセラーとハローワークのジョブサポーターとの連携の促進等による就職支援体制の強化を図る。

また,様々な学習活動の成果が適切に評価される社会の実現に向けた取組の一つとして,各個人の学習成果を測る検定試験について,質の向上や信頼性の確保が図られるよう,引き続き,民間事業者等が主体的に行う評価の取組の普及に向けた支援を行う。