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第1節 高齢者が安心して暮らせる環境の整備
(高齢男女の就業促進,能力開発,社会参画促進のための支援)
厚生労働省では,いくつになっても働ける社会の実現に向けた取組を進めるほか,高年齢労働者の多い事業場等に対して,専門家が高年齢労働者に適した労働環境の整備のための改善対策を提示するなどにより,高年齢労働者の労働災害防止対策の促進を図るとともに,高年齢労働者が自ら労働災害リスクを認識できる手法を開発し,その試行を行う。
全国の主要なハローワークに「福祉人材コーナー」を設置し,きめ細やかな職業相談・職業紹介,求人者への助言,指導等を行うとともに,「福祉人材コーナー」を設置していない主要なハローワークにも相談体制を整備し,福祉分野の職業相談・職業紹介,職業情報の提供及び「福祉人材コーナー」への利用勧奨等の支援を行う。福祉人材センターにおいては,福祉・介護人材の求職・求人に係る情報提供,職業相談,職業紹介等を推進する。
独立行政法人国立女性教育会館では,地域の男女共同参画センター,女性センター及び女性団体との連携を強化して,高齢女性を含む女性の能力開発に係る好事例を発掘し,その成果や取組に当たっての工夫について,多様な媒体を用いて普及啓発する。
(高齢男女の生活自立支援)
地域包括支援センターや民生委員等とも連携し,社会福祉協議会による日常生活自立支援事業に係る生活支援員等の高齢者の日常生活を支援する施策について,男女別のニーズへの配慮を含め,利用者ニーズに応じて一層の推進を図る。
経済産業省では,ITを活用した他職種の持続的な連携(医療・介護・福祉分野の連携)により,各地域に居住する高齢者を始めとした住民の見守り等を推進するための調査事業を行う。
国土交通省においては,高齢者が安心して暮らすことができる住まいを確保するため,介護・医療と連携して,高齢者を支援するサービスを提供するサービス付き高齢者向け住宅の供給を促進するとともに,住宅金融支援機構の住宅融資保険制度を活用したリバースモーゲージの推進により,同住宅への住み替えを支援する。
国民生活センターでは,消費者問題の専門家を全国各地に派遣し,高齢者等に対し公民館や学校等の施設や集会場において消費者問題を分かりやすく説明する出前講座を開催することにより,消費生活や消費者問題に関する学習機会の提供を図る。
(良質な医療・介護基盤の構築等)
高齢化が一層進展する我が国において,介護保険制度が将来にわたり国民生活の安心を支え続けることができるよう,介護保険法(平成9年法律第123号)の着実な実施を図る。
また,介護労働者の雇用管理の改善や人材確保に取り組む事業主に対し,人材確保や相談援助等の効率的な支援を実施する。
経済産業省では,高齢者の自立及び社会参加を促進するとともに,介護者の負担軽減を図るため,福祉機器開発のための実用化支援などを推進する。
年金制度については,年金財政の長期的な安定を確保するため,第177回国会に提出している基礎年金国庫負担割合2分の1を維持するための法案の成立に取り組む。
また,第177回国会において議論が行われた国民年金第3号被保険者の記録不整合問題について,社会保障審議会第3号被保険者不整合記録問題対策特別部会で取りまとめられた報告(平成23年5月20日)を踏まえ,立法措置による抜本的な改善に取り組む。さらに,現在参議院で継続審議となっている年金確保支援法案についても早期成立に向けて取り組む。
現在,内閣総理大臣を本部長とする「政府・与党社会保障改革検討部会」において,社会保障の安定・強化のための具体的な制度改革と財政健全化を同時に達成するための税制改革について検討が進められており,年金制度改革についても,この枠組みに沿って引き続き検討を進めていく。