平成23年版男女共同参画白書

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第2節 高齢者が安心して暮らせる介護体制の構築

1 介護保険制度の着実な実施

介護保険制度については,平成12年4月に施行されてから10年が経過し,高齢期の国民生活を支える制度として順調に定着しつつある。その一方で,高齢化が一層進展する中で「制度の持続可能性」を確保するとともに,認知症の高齢者の増加等の新たな課題に対応できる制度とするため,介護保険制度全般にわたる見直しを行った介護保険法等の一部を改正する法律(平成17年法律第77号)が17年6月に成立し,18年4月から本格施行された。

また,一部の広域的な介護サービス事業者による悪質かつ組織的な不正事案が発生したため,このような不正事案を防止し,介護事業運営の適正化を図るため,介護サービス事業者に対する規制の在り方について見直すことを内容とした介護保険法及び老人福祉法の一部を改正する法律(平成20年法律第42号)が20年5月に成立し,21年5月から施行された。

さらに,第169回国会で,介護従事者等の人材確保のための介護従事者の処遇改善に関する法律(平成20年法律第44号)が成立した。こうした状況を踏まえ,21年4月にプラス3.0%の介護報酬改定を行うなど,介護従事者の処遇改善を図っている。

2 高齢者保健福祉施策の推進

(1) 介護サービス基盤の整備

介護・福祉サービスの基盤整備に当たっては,身近な生活圏域で介護予防から介護サービスの利用に至るまでの必要なサービス基盤を整備していく必要があることから,厚生労働省では,地方公共団体が創意工夫し,整備を行うことができるよう,地方公共団体が策定する整備計画に対する助成制度である地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金により,総合的な支援を行っている。

また,平成21年度第1次補正予算において,介護基盤緊急整備等臨時特例基金(各都道府県に設置)を創設し,平成23年度までの介護施設や地域介護拠点の緊急整備を支援している(平成22年度において,更なる整備促進のため,助成単価の引上げを実施)。


(2) 介護予防のための取組

高齢者が要介護状態等となることを予防し,可能な限り地域において自立した日常生活を営むことができるよう支援するため,介護予防事業を実施している。


(3) 利用者保護と信頼できる介護サービスの確保

厚生労働省では,高齢者が介護サービスを適切に選択し,利用できるような環境づくりを進めるため,介護サービス事業者の運営基準の適切な運用を図るとともに,介護サービス事業者の参入促進,福祉用具の開発・普及などの施策を推進している。また,利用者の介護サービスの選択に資するため,平成18年4月から「介護サービス情報の公表」制度を施行し,都道府県が行う事業所調査,情報の公表等の総合的な支援を行っている。

3 介護に係る人材の確保

厚生労働省では,介護福祉士,介護支援専門員及び訪問介護員について,養成研修や資質の向上のための研修等を実施するとともに,その内容の充実等を図っている。また,全国の主要なハローワークに「福祉人材コーナー」を設置し,きめ細かな職業相談,職業紹介,求人者への助言,指導等を行うとともに,他産業からの離職を余儀なくされた非正規労働者等が多数利用するハローワークにおいて,介護に関する情報提供及び「福祉人材コーナー」への誘導等の支援を実施している。

さらに,介護基盤人材確保等助成金,介護未経験者確保等助成金の活用促進のほか,介護労働安定センターにおいて雇用管理改善のための相談援助を行っている。加えて,介護サービスの高度化・多様化に対応した教育訓練の積極的な実施を図っている。