平成23年版男女共同参画白書

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第4節 多様な就業ニーズを踏まえた雇用環境の整備

1 パートタイム労働対策の総合的な推進

(1) パートタイム労働者の均衡のとれた待遇等の推進

パートタイム労働者がその能力を一層有効に発揮することができる雇用環境を整備するため,短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成5年法律第76号。以下「パートタイム労働法」という。)に基づく是正指導や均衡待遇・正社員化推進プランナーによる相談・支援のほか,パートタイム労働者の均衡待遇の確保等に取り組む事業主等に対して助成金を支給し,正社員との均衡のとれた待遇の確保のための取組を推進した。

また,所定労働時間が短いながら正社員として適正な評価と公平な待遇が図られた働き方であり,育児・介護や地域活動など個々人のライフスタイルやライフステージに応じた働き方を実現させるものとして期待される「短時間正社員制度」について,その導入・定着を促進するため,制度を導入した事業主に対して助成金を支給するほか,企業の人事担当者を対象に制度の導入・運用を支援するセミナー等を実施した。

(2) パートタイム労働者の雇用の安定

厚生労働省では,パートタイム雇用に関する職業紹介サービス等を提供するパートバンクを設置し,パートタイム雇用に係る円滑な需給調整を推進している。

2 労働者派遣事業に係る対策の推進

厚生労働省では,労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和60年法律第88号。以下「労働者派遣法」という。)に基づき,適正な事業運営が確保されるよう派遣元事業主,派遣先等に対し,制度の周知及び指導の徹底を図るとともに,派遣労働者等からの相談に対応している。

また,労働者派遣法について,派遣労働者の保護及び雇用の安定のための措置の充実を図る観点から,登録型派遣や製造業務派遣の原則禁止や,派遣労働者の待遇の改善等を内容とする改正法案を,第174回国会に提出したが継続審議となっている。

3 在宅勤務等,新しい就業形態等に係る施策の推進

政府では,平成22年5月に「新たな情報通信技術戦略」を策定し,その中で様々な働き方を希望する者の就業機会の創出及び地域の活性化等に資する「テレワークの推進」を位置付け,2015年までに在宅型テレワーカーを700万人とする目標の実現に向けて,関係各省が連携して,テレワークの一層の普及拡大に向けた環境整備,普及啓発等を推進することとしている。

テレワークの着実・迅速な実施に向けて,総務省,厚生労働省,経済産業省,国土交通省のテレワーク関係4省は,平成17年度に産学官からなる「テレワーク推進フォーラム」を設立し,課題解決のための調査研究や普及活動を展開している。

総務省では,機器や場所の制約なく,地方公共団体や中小企業等がテレワークを容易に導入できる次世代高度テレワークモデルシステムの検証,テレワークによる環境負荷低減効果の検証の実施,テレワーク導入のために設置される電気通信設備に係る課税標準の特例措置による支援等に取り組んだ。また,総務省職員によるテレワークも率先して実施している。

国土交通省では,企業のテレワーク普及・推進を図るためのセミナー等を開催するとともに,テレワークによる働き方の実態やテレワーク人口の定量的な把握,大都市圏郊外部等におけるテレワークセンター等の普及に向けた取組を行った。

厚生労働省では,適正な労働条件下でのテレワークの普及促進のため,平成20年7月に改定された「在宅勤務ガイドライン(情報通信機器を活用した在宅勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン)」について,事業主への周知・啓発を行った。また,東京,大阪,名古屋,札幌,福岡にテレワーク相談センターを設置するとともに,事業主・労働者等を対象としたセミナーを開催した。

さらに,在宅ワークについて契約条件の文書明示や適正化などを示したガイドラインの周知・啓発を行うとともに,在宅ワーカーに対し,情報を提供するサイトの運用,セミナーの開催,相談等の支援事業を実施した。

経済産業省では,商店街振興組合等が行う商店街活性化に向けた取組のうち,商店街の空き店舗を活用して,テレワーク拠点施設を設置・運営する事業等への支援を行った。

4 男女のそれぞれ少ない職業分野への参画

内閣府では,関係省と連携し,女子高校生・学生等を対象に,女性の進出が遅れている理工系分野に関する情報提供などを実施している。