平成22年版男女共同参画白書

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コラム10

【企業事例】多様性のあるチーム構成がヒット商品の開発につながった事例


コラム4で紹介したB社の商品開発において,成果を左右する大きな要素として開発のためのチームづくりの重要性が挙げられるという。商品を届けたい相手先は誰か,ターゲットを見据えたチーム構成とする必要があるが,特に幅広い消費者を想定する飲料などの大量消費型の商品においては,中心的な消費者が男性であっても多様な人材によるチームづくりが重要であるという。具体的には,多様なニーズを大くくりで把握するデータ分析と解釈の能力,コンセプトを練り上げる構成力,コンセプトを顧客にまで届ける言語能力,商品を実際に購入する人(消費する人・利用する人とは別のケースも多い)に訴求するデザイン力など多様な能力をチームとして組み合わせる必要がある。この際,チームのメンバーが持つ業務上の知識といった観点とは別に,例えば年齢や性別,過去の業務の経験,どの組織に属してきたかなどの属性の多様性も考慮するという。

前述のノンアルコールビールの開発の例では,当初想定していた顧客層がビール愛飲層の男性であり,飲酒運転を減らすことが商品コンセプトであったが,データ分析のノウハウを持つ女性人材が加わったことで,女性ならではの視点である妊娠・授乳期の女性への価値の提供という新たな側面が加わったという。また,商品パッケージのデザインも,実際に商品を手に取ることの多い女性の視点がいかされたことが,当初の想定を超えて顧客層を広げる結果につながったという。チームの構成員の多様性が新たな価値を生んだ事例といえよう。