平成20年版男女共同参画白書

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第4節 働く場としての企業における仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)

(明日への投資)

仕事と生活の調和の実現には,時代の変化に対応するように現在の働き方を変えることが必要であり,働く場としての企業の理解や取組の促進が重要である。また,企業にとっても,その実現に向けた取組は,人口減少時代において,企業の活力や競争力の源泉である有能な人材の確保・育成・定着の可能性を高めるとともに,労働生産性や創造性を高める等のメリットにつながるものである。こうした取組は,企業にとって「コスト」としてではなく,将来の成長・発展につながる「明日への投資」として積極的にとらえるべきである。

(企業が仕事と生活の調和に取り組むメリット)

男女共同参画会議「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会」においては,企業インタビュー等を行い,「企業が仕事と生活の調和に取り組むメリット」を平成20年4月に取りまとめた。

企業へのインタビュー結果をみると,育児休業制度や在宅勤務等の仕事と生活の両立支援や柔軟な働き方の促進,業務の見直しや残業削減等の効率的な働き方の促進による長時間労働の是正などの取組により,従業員の定着(離職率の低下),優秀な人材の確保,多様性に富む従業員の確保・定着,従業員の満足度や仕事への意欲,従業員の心身の健康の保持増進,企業イメージや評価の向上等の多様なメリットが生じているとされている。

また,既存の統計や調査結果等を基に一定の仮定を置いて試算した定量的なコスト情報も併せて紹介している。例えば,従業員が出産を機に退職し新たに人員を補充するケースと,同じ従業員が育児休業を取得・短時間勤務を行い,就業を継続したケースとを比較した場合には,後者の方がコストがかからず,それに加え,企業はそれまで培われた従業員の知識や経験の損失を防ぐことができるといった結果となっている。

コラム 「仕事と生活の調和」実現度指標