平成20年版男女共同参画白書

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第2節 男女ともに必要とされる仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)~健康を維持し,活動の幅を広げる

(長時間労働とメンタルヘルス)

近年の共働き世帯の増加にもかかわらず,時代の変化に対応していない画一的な働き方等を背景に,問題を抱える人が多くなっている。

平均週間就業時間をみると,男性では30歳代が最も長く,約49時間となっている。また,週60時間以上働く者の割合をみても,30~40歳代前半が最も高く,約2割の就業者が週60時間以上働いていることになる(第1-3-3図)。

こうした長時間労働は,心身の状況にも影響を与えている。労働者に対する意識調査をみると,「一日の仕事で疲れ退社後何もやる気になれない」と感じることが「いつも」あるいは「しばしば」ある人の割合が,月間の超過労働時間が50時間を超えると半数を超えている。残業が多いほど,仕事で疲れて退社後何もやる気になれないと感じている割合が高いということが分かる(第1-3-4図)。

第1-3-3図 性別年代別就業時間(非農林業) 別ウインドウで開きます
第1-3-3図 性別年代別就業時間(非農林業)

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第1-3-4図 「一日の仕事で疲れ退社後何もやる気になれない」と長時間労働 別ウインドウで開きます
第1-3-4図 「一日の仕事で疲れ退社後何もやる気になれない」と長時間労働

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(女性にかかる家事,育児及び介護の負担)

一方で,女性の家庭責任は重く,バランスのとれた生活を送るのが困難となっている。総務省「社会生活基本調査」(平成18年)により,妻の就業状況別に夫婦の1日の生活時間をみると,共働き世帯での夫の家事・育児・介護等にかける総平均時間が30分なのに対し,妻は4時間15分であり,夫が有業で妻が無業の世帯では,夫は39分,妻は6時間21分である。妻の就業の有無にかかわらず夫が家事や育児,介護などにかける時間は妻と比べて著しく短い。男性は共働きか否かで生活実態はほぼ変わらないものの,女性は共働きの場合は仕事をしながら家事も育児も介護も担い,自由時間が少なくなっている。

(仕事が忙しくて自己啓発や地域活動への参加ができない)

仕事が忙しすぎるという問題は,家庭以外にも自己啓発や地域活動への参加を妨げている。厚生労働省「能力開発基本調査」(平成18年度)によると,自己啓発の問題点として「仕事が忙しくて自己啓発の余裕がない」が最も多く挙げられている(第1-3-5図)。また,NPO,ボランティア,地域での活動への参加を妨げる要因として「活動する時間がないこと」が最も多くなっている(第1-3-6図)。実際に,交際・つきあいの状況を,総務省「社会生活基本調査」(平成18年)でみると,5年前と比較してすべての年齢で減少,ないしは横ばいとなっており,仕事の時間が増加する中で余裕がなくなっていることが分かる(第1-3-7図)。

第1-3-5図 自己啓発の問題点 別ウインドウで開きます
第1-3-5図 自己啓発の問題点

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第1-3-6図 地域の活動などへの参加を妨げる要因 別ウインドウで開きます
第1-3-6図 地域の活動などへの参加を妨げる要因

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第1-3-7図 年代別交際・付き合いの時間 別ウインドウで開きます
第1-3-7図 年代別交際・付き合いの時間

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