平成20年版男女共同参画白書

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特集編 地域における女性の活躍─実践的活動から進化する男女共同参画─

人々にとって最も身近な暮らしの場として,地域は家庭とともに重要である。そして,地域の様々な活動に対する女性の意欲は高まっており,地域活動の担い手としての女性に大きな期待が寄せられている。また,実際に,地域を活性化する女性の活躍は全国各地にみられる。その一方,女性が地域のリーダーとして活躍する機会は少なく,女性の力が十分に活かされていないという現状もある。

女性の意欲や能力を地域に活かすことは,様々な課題を抱える地域社会にとっても有益であり,また,様々な分野での実践的な活動を通じて女性自身の成長が図られるという双方向の効果をもたらす。

ここでは,地域における女性の活動・参画の状況を様々な角度から概観した上で,地域における女性の多岐にわたる活動事例を交えながら,女性が中心となって活躍する地域活動の特徴を分析する。また,女性が中心となって活躍する活動の重要性の高まりとそのような活動が進化するためのポイント等についても検討する。

なお,本編における「地域」とは,一義的には「人々に身近な生活圏」を指し,地方公共団体等の行政単位のみに限らないものとする。

特集のポイント


第1節 地域における女性の活動・参画の現状

1 地域における活動への女性の参加についての意識と実態

  • 地域におけるつながりが希薄化する中,女性の地域活動への参加意欲や地域の担い手としての当事者意識は高い。
  • 女性は,自分自身の成長や他人への貢献を目的にボランティアやNPO活動を行うことが多く,NPOの機能としてもつながり作りや能力発揮の場の提供を望んでいる。
  • 女性が社会貢献をしたいと考える分野には,環境,社会福祉等がある。
  • 活動を行う際の問題点として,時間・情報等の不足を感じている女性は多い。
  • 女性の地域への参画の障害となっている固定的役割分担意識には地域差がある。
  • 地域活動への参加率は全体的に低いが,その中では女性はまちづくり,子育て,介護の分野で活発であり,ボランティアの活動者率は30歳代後半,40歳代で高くなっている

2 地域の様々な分野における女性の参画状況

  • 地域において様々な活動を行っている女性の割合は総じて増加しており,その内容も多岐に渡っている。
  • 一方で,横断的分野において地域のリーダーとなっている女性は少ない。

第2節 女性が中心となって切り開く地域の可能性(事例の紹介)

  • 自らが主体となって,身近なものや人々を支え,大切にし,育てていかなければならないという強い思いが活動の原動力・推進力となっている。
  • 地域や生活に密着した視点と柔軟な発想が活動の基礎となっている。
  • 地域の多様な主体と連携・協働しながら活動を展開しており,また,調整力の優れたリーダーシップが発揮されている。
  • 実践的な活動が人々の意識や行動を変え,女性自身の人材育成の場ともなっている。
  • 活動の成果や活動に対する積極的な評価を受けることにより,活動が持続・発展している。

第3節 女性が中心的役割を果たす地域活動の重要性

  • 経済的,社会的活力の低下や,地域におけるつながりが希薄化する中,(1)地域の実情に合致した主体的な取組により,(2)多様な主体や新しい視点を活かし,(3)地域に波及・浸透効果をもたらすという意味において,女性が中心となって活躍する地域活動は,一層重要性を増している。
  • 女性が中心的役割を果たす地域活動が進化するためには,(1)多様な主体の参画の確保と緩やかなネットワークの形成・持続,(2)新しい「連携・協働」型のリーダーシップ,(3)意識改革・行動改革,(4)人材育成の好循環の創出,(5)活動の成果や活動に対する積極的な評価がポイントとなる。
  • こうした活動について,行政としても,情報提供や機会の付与等の支援や,積極的な評価を行っていくことが重要である。また,仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の推進等地域活動に参加しやすい環境作りが行政に求められている。