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アフリカで進む女性の政治参画
アフリカのサブ・サハラ地域は,経済的には世界で最も貧しい地域の1つであるが,女性の政治参画という意味では先進的な国も多い。
2003年以降国会議員に占める女性の割合で世界のトップに位置するのは,ルワンダである。ルワンダでは,憲法において,国の「指導的機関の地位のうち少なくとも30%を女性が占めるものとする」と規定した上で,上院26名のうち30%を女性とすると定めている他,下院についても,法律により80名中24名を女性に割り当てた。このため,2003年,クォータ制導入後初めての選挙では,国会議員に占める女性の割合がそれまでの25.7%から48.8%にまで上昇し,それまで長年1位であったスウェーデンを抜いて世界で女性議員割合の最も高い国となった。アフリカ諸国で女性の政治参画が進んでいる背景には,1995年に国連の第4回女性会議(北京会議)が開催され,国際的に意識が高まったことの他に,国内の政治的・社会的な事情がある。
ルワンダでは,1994年に民族間の闘争により,春から初夏に至る100日間に国民の10人に1人,少なくとも80万人が命を失った。残された女性は,世帯主の3分の1を占めるに至り,これまで伝統的に男性が担ってきた職業にも従事することになった。このような状況下で女性の社会進出が進み,新体制への移行に伴う憲法の起草にも女性が携わったこと等の結果,国会議員に占める女性議席を確保するための規定が設けられた。
アフリカでは,体制変動等によって女性の政治参画が実現したケースが少なくない。南アフリカ共和国では,アパルトヘイト体制の崩壊という大きな変動が,女性の政治参画を促す契機となり,さらに新体制におけるアフリカ国民会議(ANC)がクォータ制を導入したことにより,女性議員の割合が急上昇した。また,ウガンダのクォータ制も,1980年代の国民抵抗運動に女性が参加したことに端を発している。
このように,アフリカ諸国では,民主化の過程が,女性の参画拡大の契機となっていることが多い。