平成18年版男女共同参画白書

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第3節 家庭生活,地域社会への男女共同参画の推進

1 家庭生活への男女の共同参画の促進

(1)男女の固定的役割分担意識の是正のための広報・啓発

法務省の人権擁護機関では,毎年12月4日から10日(人権デー)までを「人権週間」と定め,同週間の強調事項の一つに「女性の地位を高めよう」を掲げ,テレビ・出版物による広報,ポスター・パンフレット等の配布,講演会・座談会等の開催などを行っている。

(2)家庭教育に関する学習機会の充実

文部科学省では,就学時健診等の多くの親が集まる機会を活用した子育て講座や,乳幼児とのふれあい体験を含む中高校生を対象にした子育て理解講座の開設を支援している。

(3)父親の家庭教育参加の支援・促進

文部科学省では,父親の家庭教育への参加を促進するため,父親による地域活動の報告会や父親と子どものふれあいを深める交流会など,父親の家庭教育を考える集いの実施を支援している。

2 地域社会への男女の共同参画の促進

(1)地域社会活動への参画促進

法務省の人権擁護機関では,全国各地で各種啓発活動を行うことにより,地域社会への男女の共同参画の促進に努めている。

(2)消費者教育の推進・支援

内閣府では,消費生活や消費者問題に関する出前講座を開催し,トラブルの未然防止のための学習機会の提供を図っている。また,各地の消費生活センターでも各種の講座が開催されているほか,財団法人消費者教育支援センターでは,消費者教育に関する各種教材の作成や講師派遣などを実施している。

文部科学省では,市町村が社会教育施設等を中心に行う,女性学級,家庭教育学級,高齢者教室,大学等での公開講座等の開設を奨励し,消費生活や消費者問題等に関する学習の機会を提供するなど消費者教育の推進を図っている。学校教育においては,学習指導要領に基づき,児童生徒の発達段階に応じて,消費生活や消費者問題に関する指導を行っている。

また,独立行政法人国立女性教育会館では,多様なデータベースの開発を行い,消費者教育を含む女性・家庭に関する情報提供サービスを行っている。

(3)環境保全活動への参画の支援

環境省では,平成15年7月に環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律(平成15年法律第130号)が成立したことを受け,自発的な環境保全活動へ参画することを一層支援するために,こどもエコクラブ事業の実施,市民や事業者等に助言等を行う環境カウンセラー登録制度の実施,行政・NPO・事業者等の環境保全の取組とパートナーシップの形成を支援する地球環境パートナーシッププラザの運営や,地球環境基金による助成等,各主体の環境保全に関する取組とその連携を推進・強化する施策を実施している。

(4)ボランティア活動等の参加促進のための環境整備

内閣府では,国民のボランティア活動の裾野拡大のため,ボランティア団体が内閣府ホームページにおいてイベント開催やボランティア募集を案内することが可能な「ボランティアウェブ」の運用や,ボランティア情報誌「ヤッテボラン」の作成・配布等の普及啓発活動を行った。

文部科学省では,地域の教育力の再生を図るため,地域におけるボランティア活動促進のための多彩なプログラム開発を行う「地域ボランティア活動推進事業」を実施し,ボランティア活動の全国的な展開を推進した。また,アニメキャラクターを活用したポスターを作成するとともに,「ボランティア活動推進フォーラム」を開催するなど,ボランティア活動を行うきっかけづくりにつながるような「ボランティア活動広報啓発・普及事業」を行った。

厚生労働省では,誰もがボランティア活動に参加できるよう,社会福祉協議会への支援を通じて,ボランティア情報誌等の発行,ボランティア活動に参加意欲のある地域住民が高齢者等との交流や介護を行う福祉活動体験等の事業を実施するとともに,勤労者がボランティア活動に参加しやすくなるような環境整備を図るため,ボランティア活動参加のきっかけづくり等を支援する「勤労者マルチライフ支援事業」を実施している。

(5)NPO等の活動への参画促進のための環境整備

内閣府では,市民の自由な社会貢献活動を促進するため,特定非営利活動法人の認証・監督等,特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号)の施行や,市民活動に関する実態調査などを行った。また,特定非営利活動法人のうち相当の公益性を有すると認められる法人の活動を支援するための認定特定非営利活動法人制度について,普及啓発や制度の利用実態に関する調査を行った。

3 労働時間の短縮等就業条件の整備

厚生労働省では,政府目標である「年間総実労働時間1,800時間の達成・定着」に向けて,年次有給休暇の取得促進と所定外労働の削減に重点を置いた取組を行ってきた(平成17年労働者1人平均年間総実労働時間1,829時間)。しかし,いわゆる「労働時間分布の長短二極化」が進展しており,全労働者一律の目標を掲げることが時宜に合わなくなってきた。また,長時間労働を一因とする健康障害に係る労災認定件数が高水準で推移していること,労働者の抱える事情が多様化していること等,新たな課題が生じている。これに対応するために,これまでの全労働者一律の計画的な労働時間の短縮を図る法律である労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法(平成4年法律第90号)を,単に労働時間短縮を図るためだけでなく,労働時間,休日・休暇等の設定を個々の労働者の健康や生活に配慮するとともに,多様な働き方に対応したものに改善するための法律である労働時間等の設定の改善に関する特別措置法へと改正したところである。