平成18年版男女共同参画白書

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子育てと生涯所得

標準的な賃金体系を前提にした場合,正社員として働く期間が長いほど,また,就業が中断されずにキャリアを積むほど,賃金・年金等の生涯所得は大きくなる。子育てをする労働者について考えると,育児休業を利用して同じ職場で働き続ける場合,休業期間中は所得が減少するものの,復職後定年まで着実に賃金が上昇するため,休業なしで同じ職場に定年まで働き続ける場合と比べて,失われる所得は小さい。これに対し,近年女性に最も多くみられる就業パターンである,いったん退職した後にパート・アルバイトとして再就職する場合,再就職後の賃金は年齢が上がっても上昇しないため,継続勤務の場合と比べて生涯所得は半分以下になってしまう。内閣府「国民生活白書」(平成17年)によれば,就業を継続した場合の生涯所得が大卒平均で2億7,645万円になるのに対し,出産退職後パート・アルバイトとして子どもが6歳で再就職した場合の生涯所得は4,913万円となり,逸失率は82.2%にもなると推計されている。

生涯所得の概念図
生涯所得の概念図