平成18年版男女共同参画白書

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第2節 女性の再就職・起業等の現状

1 再就職

(30歳代,高学歴の女性で低い再就職率)

就業希望率が30歳代で最も高くなる一方,30歳代の再就職率は低く(第6図),希望と現実が大きく乖離している。また,学歴別に比較すると40歳代の大学・大学院卒の有業率が低い(第7図)。

第6図 男女年齢階級別再就職率別ウインドウで開きます
第6図 男女年齢階級別再就職率


第7図 学歴,年齢階級別女性の有業率別ウインドウで開きます
第7図 学歴,年齢階級別女性の有業率


(高学歴の女性ほど知識や技能を社会で生かしたいと思っている)

大卒等の女性の就業希望理由は「知識や技能を生かしたい」,「社会に出たい」の割合が高まっており,収入以外の要素をより重視していることが高学歴の女性の再就職を難しくしている要因の一つと考えられる(第8図)。

第8図 就業を希望する女性の就業希望理由(学歴別)別ウインドウで開きます
第8図 就業を希望する女性の就業希望理由(学歴別)


(再就職女性のパート比率は一層増加)

女性の雇用形態は多様化が進展し,すべての年齢層においてパート・アルバイトの割合が増加している。なかでも,子育て期以降層は正社員は増えていない一方でパート・アルバイトが増加しており,平成14年には40歳以上のすべての年齢階級でパート・アルバイトが正社員を上回っている(第9図)。再就職する女性はパート・アルバイトが多いことがわかる。

第9図 雇用形態の内訳別年齢階級別雇用者比率別ウインドウで開きます
第9図 雇用形態の内訳別年齢階級別雇用者比率


(子どもが高学年になるとフルタイム等30時間以上の就業を希望する女性が増える)

これから就業したいと思っている女性のうち,子どもが小学校高学年になると,フルタイム等30時間以上の就業を希望する女性が増えている(第10図)。

第10図 末子年齢別:希望する1週間の労働時間別ウインドウで開きます
第10図 末子年齢別:希望する1週間の労働時間


(難しい正社員での再就職)

再就業活動時に正社員を希望していた女性は3割弱,パート・アルバイトを希望していた女性は6割弱である。正社員を希望していた女性が実際に就業している形態をみると,希望どおり正社員となっているのは約半数にとどまり,3割近くはパート,アルバイトでの就業となっている(第11図)。

第11図 再就業活動の希望と実際別ウインドウで開きます
第11図 再就業活動の希望と実際


(正社員での再就職は早期に行う方が実現しやすい)

再就職に成功した女性の離職期間別に再就業形態をみると,離職期間が長くなるほど正社員での再就職が減少しており,正社員での再就職を希望する場合は早期に行う方が実現しやすいといえる(第12図)。

第12図 女性の離職期間別再就業形態別ウインドウで開きます
第12図 女性の離職期間別再就業形態


(再就業に当たっての課題・不安は子育てとの両立,企業の採用行動の問題)

希望に沿った再就業が難しい要因を女性の意識からみると,「子育てと両立できるか不安」,「年齢制限があり,応募できるところが少ない」,「条件のあう職場が見つからない」など様々な課題がある(第13図)。

第13図 再就業に当たっての課題,不安別ウインドウで開きます
第13図 再就業に当たっての課題,不安


2 起業

(子育て期の女性に多い起業希望者)

就業や転職を希望している女性のうち,自ら起業をしたいと考えている者を年齢階級別にみると,子育て期にあたる30歳代に最も多くなっている(第14図)。

第14図 女性起業希望者の年齢構成別ウインドウで開きます
第14図 女性起業希望者の年齢構成


3 NPO等の市民活動

(女性の再チャレンジの舞台として,NPO等への参加が進むことが期待される)

子育てが一段落した女性が,就業だけでなく,様々な地域活動において活躍している事例もみられるようになってきている。市民活動団体におけるスタッフの構成を性別にみると,「女性だけ,あるいは女性がほとんど」が38.3%と最も高く,女性が積極的に市民活動に参加していることがわかる。


以上のように,女性が結婚・出産等でいったん退職し,子育てが一段落した後に再就職しようとしてもその壁は厚い。特に,正社員で再就職することは,中断期間が長くなればなるほど難しいのが現状である。早い時期から再チャレンジのための学習・能力開発や情報収集を進めておくことが望ましい。

企業側の女性の再就職受入れはまだ少数にとどまっており,募集・採用時の年齢制限の撤廃や再就職女性を含め子育て中の男女が仕事と子育てを両立することが可能な就業環境の整備などが求められる。

起業やNPO活動については,意欲の高い女性も多く,実際に独創的な成果を上げている例も多くみられる。日本社会の活性化のためにも,女性本人の自己実現のためにも,一層の活躍が期待される。