平成16年版男女共同参画白書

本編 > 第1部 > 第5章 女性に対する暴力

第5章 女性に対する暴力

(女性の約5人に1人は夫等からの暴力の被害経験)

内閣府が実施した「配偶者等からの暴力に関する調査」(平成14年)では,現在または過去に配偶者や恋人がいる(いた)人のうち,“身体に対する暴行”“恐怖を感じるような脅迫”“性的な行為の強要”のいずれかまたはいくつかをこれまでに1度でも受けたことのある人は,女性19.1%,男性9.3%で,女性の約5人に1人が経験していた。

これらの行為によって命の危険を感じた人は,男性が0.7%であるのに対し女性は4.4%で,女性の約20人に1人は配偶者等からの暴力によって命の危険を感じている。また,女性の2.0%は暴力によってケガをして医師の治療を受けている。

(配偶者間における暴力の被害者の多くは女性)

警察庁の統計によると,平成15年中に検挙した配偶者(内縁関係を含む)間における殺人,傷害,暴行は1,718件,そのうち1,574件(91.6%)は女性が被害者となった事件である(第33図)。

第33図 配偶者間(内縁を含む)における犯罪(殺人,障害,暴行)の被害者(検挙件数の割合)(平成15年)別ウインドウで開きます
第33図 配偶者間(内縁を含む)における犯罪(殺人,障害,暴行)の被害者(検挙件数の割合)(平成15年)

(近年増加する夫から妻への暴力の検挙件数)

配偶者間における犯罪のうち女性が被害者である場合の検挙件数の推移を罪種別にみると,暴行,傷害がそれぞれ平成12年以降,大幅に増加している。15年においては,暴行が230件で前年よりも19件(9.0%)の増加,傷害が1,211件で14件(1.2%)の増加となっている。

(保護命令の申立て及び発令状況)

配偶者暴力防止法では,被害者の申立てにより,裁判所が加害者に対し接近禁止命令,退去命令を発する保護命令の制度が設けられており,この命令違反に対して刑事罰を科すこととしている。

平成13年10月の法施行後平成15年12月末までの間に,裁判所に申し立てられた保護命令事件の件数は3,422件で,そのうち裁判が終了したのは3,373件となっている。裁判が終了した事件のうち,保護命令が発令された件数は2,719件(80.6%),そのうち接近禁止命令のみが出されたのは1,947件(71.6%),退去命令のみが出されたのは8件(0.3%),退去命令と接近禁止命令が併せて出されたのは764件(28.1%)となっている。

なお,法施行後から平成15年12月末までの間の保護命令違反の検挙件数は84件である。

(性犯罪の実態)

警察庁の統計によると,平成15年における強姦の認知件数は4年連続2,000件を超えて2,472件となり,前年に比べ115件(4.9%)増加した。強制わいせつの認知件数は,11年以降大きく増加しており,15年では1万29件と,前年に比べ553件(5.8%)増加している。

(売買春の実態)

平成15年の売春関係事犯送致件数は3,068件となった。また,要保護女子総数は2,440人となっており,未成年者が占める割合は25.8%で,前年に比べ,2.8ポイント減少している(第34図)。また,15年の児童(18歳未満)買春事件の検挙件数は1,731件(前年比171件減)であり,このうち,出会い系サイトを利用したものが791件(45.7%)と最も多くなっている。

第34図 売春関係事犯送致件数,要保護女子総数及び未成年者の割合別ウインドウで開きます
第34図 売春関係事犯送致件数,要保護女子総数及び未成年者の割合

(セクシュアル・ハラスメントの実態)

平成14年度に都道府県労働局雇用均等室に寄せられたセクシュアル・ハラスメントの相談件数は7,682件で,前年度に比べ49件(0.6%)増加しており,そのうち,女性労働者等からの相談件数は5,924件(77.1%)で,前年度に比べ横ばいとなっている。

(ストーカー行為の実態)

平成15年のストーカー行為等の規制等に関する法律(以下「ストーカー規制法」という)に基づく警告は1,169件で,前年に比べ204件(21.1%)増加している。警告に従わない者に対する禁止命令は24件発令されている。

また,ストーカー行為罪での検挙件数は185件で,前年に比べ15件(8.8%)増加している。禁止命令違反での検挙件数は7件である。

平成15年中に,ストーカー規制法第7条に基づき,警察本部長等が援助を求められた件数は856件で,前年に比べ179件(26.4%)増加している。援助の内容(複数計上)としては,被害を自ら防止するための措置の教示が743件(前年比333件増加)で最も多く,次いで防犯ブザー等の被害防止物品の貸出しが510件(前年比95件増加)となっている。

平成15年中に警察庁に報告のあった1万1,923件についてみると,被害者の90.8%が女性で行為者の91.1%が男性となっている。

内閣府男女共同参画局 Gender Equality Bureau Cabinet Office〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
電話番号 03-5253-2111(大代表)
法人番号:2000012010019