平成16年版男女共同参画白書

本編 > 第2部 > 第11章 > 第2節 多様な選択を可能にする教育・学習機会の充実

1 生涯学習の推進

(1)リカレント教育の推進

大学等における,編入学の受入れ,社会人特別選抜の実施,昼夜開講制の推進,夜間大学院の設置,公開講座の実施等や,大学・大学院や専修学校等の高等教育機関における,産官学の連携による先導的なプログラム開発や講座提供等の推進などにより,大学等の生涯学習機能の拡充とともに,キャリアアップを目指す社会人の受入体制の整備を図る。

(2)放送大学の整備等

放送大学では,学習センターの充実・整備に取り組み,学生数の増加に対応した。

専修学校では,社会の要請に即応した実践的な職業教育,専門的な技術教育等を行う教育機関として着実に発展しており,女性の職業教育等において大きな役割を果たしている。

また,多様な学習歴や生活環境を持つ者が高等学校教育を受けられるよう,単位制高等学校の充実を図っている。

(3)学校施設の開放促進等

文部科学省では,地域住民の学習機会や子どもたちの居場所づくりを推進するため,学校施設を,子どもたちの安全確保に十分配慮しつつ,放課後や週末に開放し,多様な活動の場として提供を行っている。また,学校施設で地域の生涯学習活動等を実施するための場や高齢者を始めとする地域の人々の交流の場を地域コミュニティの拠点として整備する際の補助を行っている。

さらに,地域との連携協力を図るため,校舎や屋外運動場の開放に必要な施設の整備に補助を行っている。

(4)青少年の体験活動等の充実

青少年の豊かな人間性をはぐくむため,関係省庁と連携した体験型環境学習,2週間程度の長期自然体験活動や悩みを抱える青少年を対象とした体験活動等を実施している。また,独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センターに設置された「子どもゆめ基金」により,民間団体の行う体験活動等に対する助成を行っている。

(5)民間教育事業との連携

家庭・学校・地域・民間企業など社会全体で子どもと触れ合い,話し合う機会の充実を図るとともに,心豊かな子どもたちをはぐくむため,文部科学省では,「[子どもと話そう]全国キャンペーン」を展開している。本キャンペーンの一環として24府省庁等が参加し「子ども霞が関見学デー」を8月20,21日に開催した。

また,広く国民一般に生涯学習に係る活動を実践する場を全国的な規模で提供する「全国生涯学習フェスティバル」を開催しており,平成15年度は,11月27日から12月1日にかけて沖縄県において実施された。この事業は,国民一人一人の生涯学習への意欲を高めるとともに,学習活動への参加を促進するため地方自治体や民間教育事業者との連携のもとに実施されている。

(6)高度情報通信ネットワーク社会に対応した教育の推進

文部科学省では,高齢者や女性を始め,地域住民の情報リテラシーの育成などの課題について,行政とIT関連NPO等との連携によるIT学習推進事業など,地域住民自らが課題解決に取り組む事業に対し支援を行っている。また,「エル・ネット」(教育情報衛星通信ネットワーク)を活用し,全国の社会教育施設等に対して,多様な教育情報の提供に努めている。

(7)現代的課題に関する学習機会の充実

文部科学省では,人々が社会生活を営む上で理解し,体得しておくことが望まれる現代的課題や地域の実情に応じた学習活動に関する機会を提供するため,市町村がNPOを始めとする民間団体と連携して行う学級・講座などへの助成を行った。

(8)学習成果の適切な評価

文部科学省では,青少年,成人が習得した知識・技能について,民間団体がその水準を審査・証明する事業のうち,教育上奨励すべきものを文部科学大臣が認定する「文部科学省認定技能審査制度」の推進を図り,合格に係る学習成果が学校教育や社会において適切に評価されるよう努めている。

2 エンパワーメントのための女性教育・学習活動の充実

(1)女性の生涯にわたる学習機会の充実

「女性の多様なキャリアを支援するための懇談会」では,平成15年10月に「多様なキャリアが社会を変える」第2次報告(女性の多様なキャリアと生涯学習の関わりから)を取りまとめ,学習や活動に関する情報・相談の総合的,一元的な提供,次の活動への橋渡しをするコーディネーターの育成や,活動につながる知識や技術を獲得するための「生涯学習型プログラム」の充実,大学,NPO,企業等と連携しながら,地域のネットワークの中で,様々な学習や活動の成果の評価が広く社会で通用し,活用されるようにすること等を提言した。

また,文部科学省では,市町村や女性団体などが行う女性の生活上の課題についての学習等の普及奨励に努めているほか,都道府県が行う大学等と連携した高度で専門的な学習機会の提供を奨励している。

(2)女性の能力開発の促進

文部科学省では,女性の地位向上や能力の開発を図るため,女性学級などにおいて子育て後の女性を対象として再就職に必要な知識,技術,心構え等の学習の普及奨励に努めている。また,女性団体・グループが男性とのパートナーシップを図りつつ,男女共同参画の視点から地域社会づくり等に参画する事業を推進することにより,女性が社会のあらゆる分野に参画する力をつけるための学習活動の支援を行っている。

(3)女性の学習グループの支援

文部科学省では,教育委員会や女性教育団体等が行う女性教育指導者の研修を奨励し,学習活動の企画・運営への女性の参画の促進を図るよう,女性教育指導者の養成に努めている。

(4)国立女性教育会館の事業の充実等

独立行政法人国立女性教育会館は,女性教育に関する我が国唯一の国立の女性教育等に関する施設として,国内外の女性関連施設・機関等と連携しつつ,全国の女性教育指導者などに対する実践的な研修や専門的・実践的な調査・研究,女性及び家庭・家族に関する国内外の情報の収集・提供,国内・国際交流の事業を実施している。平成15年度は,女性情報システムの各データベースの整備充実を図り,ポータルサイトとしての機能の強化を行うとともに,用語集である「女性情報シソーラス」を充実させ,情報検索の利便性の向上を図っている。

さらに,文部科学省においては,各地の公私立の女性教育施設が行う事業の充実に向けて支援を行っている。

3 進路・就職指導の充実

中学校及び高等学校においては,性別にとらわれることなく,生徒が自らの生き方を考え,自分の意志と責任で進路を選択・決定する能力・態度を身に付けることが出来るよう,進路指導の充実に努めている。

特に,高校生の就職については,近年の産業構造や就業構造の変化等を反映して,非常に厳しい状況が続いていることから,高等学校において進路指導主事等と連携して,就職を希望する生徒に対する就職相談や,求人企業の開拓などに専念する「高等学校就職支援教員(ジョブ・サポート・ティーチャー)」を配置し,きめ細かな就職指導を展開している。

一方,高校生を始めとする若者をとりまく厳しい就職環境は,経済情勢の悪化だけによるものではなく,学校を卒業しても就職も進学もしなかったりする者の増加やフリーター志向の高まり,就職しても早期に離転職する者の増加など,若者の勤労観,職業観の希薄化を指摘する声も少なくないことから,文部科学省では「キャリア教育の推進に関する総合的調査研究協力者会議」を設置し,児童生徒の発達段階に応じたキャリア教育の在り方及びその推進方策等について検討を行い,平成16年1月に報告書を取りまとめた。報告書においては,学校教育活動全体を通じて,児童生徒の発達段階に応じた組織的・系統的なキャリア教育の取組が重要であり,その推進方策や条件整備について提言されている。

また,大学生に対する就職支援としては,「全国就職指導ガイダンス」を開催し,企業に対して,学生の就職機会の拡充や,女子学生の男子学生との機会均等の確保に努めるとともに,各大学等に対して,学生一人一人に応じたきめ細かな就職指導や就職相談体制の充実を行うよう要請している。

このほか,青少年の奉仕活動・体験活動等の充実のため,平成14年度から,国,都道府県,市町村において,幅広い関係機関・団体と連携等を図る協議会を組織するとともに,情報提供やコーディネイト等を行う支援センターを設置し,学校教育と社会教育を通じた青少年の奉仕活動・体験活動の推進体制の整備を図るなどの施策を実施している。

厚生労働省では,女子学生,女子高校生等に対して,意識啓発セミナーの開催や就職ガイドブックの配布により,適切な職業選択を行えるよう啓発を行っている。

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