平成16年版男女共同参画白書

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第1節 男女平等を推進する教育・学習

1 初等中等教育の充実

文部科学省では,小・中学校において,平成14年度から新しい学習指導要領を全面実施(高等学校については,15年度から学年進行により実施)している。新学習指導要領においては,従来の扱いに加えて,中学校の特別活動や高等学校の公民科,家庭科等において,職業生活や社会参加において男女が対等な構成員であることや,男女が協力して家族の一員としての役割を果たし,家庭を築くことの重要性などについて,指導の充実を図っている。

2 高等教育の充実

文部科学省では,女性学の意義にかんがみ,各大学における女性学についての教育研究の充実に配慮している。

また,学ぶ意欲と能力のある学生が経済的な面で心配することなく,安心して学べるよう,引き続き,奨学金事業の充実を図っている。

さらに,研究・教育分野で女性が活躍できるように環境を整備しており,平成15年度より,育児休業に伴い科学研究費補助金による研究を中断する女性研究者等を支援するため,1年間の中断の後に研究の再開を可能とした。また,日本学術振興会の特別研究員事業等においても,女性研究者が研究を継続できる環境の実現に向けて,15年7月より,若手研究者本人の希望に基づき,出産・育児に伴う採用の中断及び延長を可能とする取り扱いを開始したところである。

3 社会教育の推進

文部科学省では,平成14年度から,地域や家庭の教育力の低下,男女共同参画社会の形成などの課題について,地域社会全体で課題解決に取り組むことができるよう,行政とNPOを始めとする民間団体との連携による地域学習活動の活性化を支援している。

また,女性教育施設や公民館,生涯学習センター等,社会教育施設において男女平等に関する学習機会が提供されることを奨励している。

4 教育関係者の意識啓発

文部科学省では,教職員等中央研修講座(独立行政法人教員研修センターで実施)等の機会を通じた教職員に対する研修を行っている。また,社会教育主事,社会教育指導員等社会教育に携わる指導者向けの男女共同参画に関する指導資料や,男女共同参画を進める意識や価値観をはぐくむ家庭教育に関する資料の普及に努めている。

独立行政法人国立女性教育会館では,生涯学習の観点から,教育職員の男女共同参画に関する理解を深め,学校教育における指導の充実に資するため「男女共同参画を進めるための学校教育セミナー」に参加者の学習状況に応じた選択コースを取り入れ,実践的研修を行った。

5 女性学・ジェンダーに関する調査・研究等の充実

独立行政法人国立女性教育会館では,高等教育機関における女性学関連科目等の開講状況について,最新の動向を把握するために調査を実施し,その成果の普及を図っている。

また,大学等に設けられた女性学・ジェンダー研究に関する研究機関において,女性学やジェンダー研究に関する多彩な研究や学生の研究指導を行っているほか,シンポジウム・セミナーの開催や年報等の刊行を通じて情報を提供している。さらに,日本学術振興会が行う科学研究費補助金の公募において,時限付分科細目「ジェンダー」(設定期間:平成13~15年度)を設けており,当該分野における基礎的研究に対して助成している。平成15年度には,「特色ある大学教育支援プログラム」で,「女性学・ジェンダー的視点に立つ教育展開」(東京女子大学)が選定されている。

日本学術会議においては,「ジェンダー問題の多角的検討特別委員会」で,ジェンダー問題に関し,人口,健康,暴力,人間発達,社会制度,科学・技術等の観点からの多角的な検討及び女性研究者の研究環境改善の方策の検討を行っている。さらに,学術研究団体の登録申請書の様式を,各団体の会員数,諸役員の性別統計が可能になるよう改訂した。

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