本編 > 第1部 > 第3節 様々な分野における政策・方針決定過程への女性の参画
第3節 様々な分野における政策・方針決定過程への女性の参画
(増加する司法分野における女性割合)
裁判官,検察官,弁護士に占める女性割合は,総じて増加している。
司法試験合格者に占める女性割合も,年によって増減があるものの,昭和51年度の8.4%から平成14年度には23.4%へと着実に増加していることから,今後の司法分野での女性割合の増加が期待される(第1-1-10図)。
(農山漁村における政策・方針決定過程への女性の参画が進む)
農林水産業に従事する女性は,それぞれの産業の重要な担い手であるとともに,地域社会の維持・活性化に大きく貢献している。
地域における政策・方針決定過程への女性の参画の状況をみると,農地の利用関係の調整等の業務を行う農業委員会については,平成14年に女性農業委員数が2,000名を超え,着実な増加がみられる。また,農業協同組合の正組合員・役員については,伸び率は低い水準にあるものの,近年増加傾向にある。沿海地区出資漁業協同組合においては,近年はその伸びが停滞している状況にある(第1-1-11表)。
第1-1-11表 農業委員会,農協,漁協への女性の参画状況の推移
(人間開発に関する指標)
2002(平成14)年に国連開発計画(UNDP)が発表した「人間開発報告書」によると,我が国は人間開発指数(HDI)が測定可能な173か国中9位,ジェンダー開発指数(GDI)が測定可能な146か国中11位,ジェンダー・エンパワーメント指数(GEM)が測定可能な66か国中32位と,GEMの順位がHDI,GDIの順位に比して大きく落ち込んでいる。GEMについては,前年調査で日本より下位にあったシンガポール,ポーランドが大きく躍進したこともあり,前年のGEM31位から32位へとわずかながら後退した。
GEMの上位5か国はノルウェー,アイスランド,スウェーデン,デンマーク,フィンランドである。これらの国では,HDI及びGEMの順位がともに高い(第1-1-12表)。
(注)
HDI 人間開発指数(Human Development Index)
基本的な人間の能力がどこまで伸びたかを測るもので,基礎となる「長寿を全うできる健康的な生活」,「知識」及び「人並みの生活水準」の3つの側面の達成度の複合指数である。具体的には,平均寿命,教育水準(成人識字率と就学率),調整済み1人当たり国民所得を用いて算出している。
GDI ジェンダー開発指数(Gender-Related Development Index)
HDIと同じく基本的能力の達成度を測定するものであるが,その際,女性と男性の間でみられる達成度の不平等に注目したもの。 HDIと同様に平均寿命,教育水準,国民所得を用いつつ,これらにおける男女間格差ペナルティーを割り引くことにより算出しており,「ジェンダーの不平等を調整したHDI」と位置付けることができる。 なお,「ジェンダー」とは社会的・文化的に形成された性別。生物学的な性別であるセックスと区別して用いられる。
GEM ジェンダー・エンパワーメント指数(Gender Empowerment Measure)
女性が積極的に経済界や政治生活に参加し,意思決定に参加できるかどうかを測るもの。HDIが人間の能力の拡大に焦点を当てているのに対して,GEMは,そのような能力を活用し,人生のあらゆる機会を活用できるかどうかに焦点を当てている。 具体的には,女性の所得,専門職・技術職に占める女性割合,上級行政職・管理職に占める女性割合,国会議員に占める女性割合を用いて算出している。 なお,UNDPによると,1999年報告書よりデータの算出方法が変更になり,1998年以前の報告書に掲載されている値との比較はできなくなっている。