男女共同参画社会基本法逐条解説

(連携及び協働の促進)

第18条 国及び地方公共団体は、国、地方公共団体、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策に関する活動を行う民間の団体その他の関係者(1)が相互に連携と協働を図ることにより男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の効果的な推進が図られることに鑑み、これらの者の間における協議の促進その他の関係者相互間の連携と協働(2)を促進するために必要な施策を講ずるように努めるものとする。
 2 地方公共団体は、前項の関係者相互間の連携と協働を促進するために必要な施策を推進するための拠点としての機能を担う体制(3)を、単独で又は共同して、確保するように努めるものとする。

1 趣旨

本条第1項は、男女共同参画社会の形成を促進するために必要な連携及び協働を図るため、国及び地方公共団体に対し、国、地方公共団体、男女共同参画社会の形成の促進に関して活動を行う民間の団体その他の関係者相互間の連携と協働の促進に必要な施策を講ずる努力義務を課しているものである。

第2項は、地方公共団体が第1項により課された努力義務を果たすにあたり、地域における関係者相互間の連携と協働を促進するために必要な連携拠点としての機能を担う体制を確保する努力義務を課しているものである。

なお、本条は独立行政法人男女共同参画機構法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(令和7年法律第80号)に基づき新設されたものである。


2 用語解説

(1)「男女共同参画社会の形成の促進に関する施策に関する活動を行う民間の団体その他の関係者」

「男女共同参画社会の形成の促進に関する施策」は、基本法第8条において本法に基づいて行う男女共同参画社会の形成のための施策全体を指す用語として定義されている語である。

本法の射程範囲とする活動全体を指し示すことができることから、民間の団体の活動の内容についても、この施策に関する活動として明記している。

「その他の関係者」としては、男女共同参画社会の形成の促進に関する学識経験を有する者(大学教授等)といった個人を含む。

(2)「これらの者の間における協議の促進その他の関係者相互間の連携と協働」

全国各地における男女共同参画社会の形成を着実に促進するためには、男女共同参画施策の方向性を定める国、地域の男女共同参画施策を策定する地方公共団体、地域において男女共同参画社会の形成の促進に資する活動を行っている各種団体(女性団体、特定非営利活動法人、福祉、教育、防災等の関係機関、地域コミュニティ(自治会、消防団等)など)が相互に連携・協働し、情報交換等を行いながら、地域の男女共同参画社会の形成の促進に係る個別の課題及びニーズへの対応を進めていくことが必要である。
 そのため、国及び地方公共団体に対し、国及び地域の関係者間のネットワークの形成等により、全国各地で男女共同参画社会の形成に必要な関係者間の連携・協働が促進されるよう、必要な施策を講ずる努力義務を課すものである。

(3)「関係者相互間の連携と協働を促進するために必要な施策を推進するための拠点としての機能を担う体制」

本条第1項に規定する関係者相互間の連携と協働を促進するためには、地域の実情・特性を踏まえた主体的な取組が全国各地で展開されるよう、地方公共団体の男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を地域の関係者の核となって展開する連携・協働の拠点が必要である。
 そのため、本項においては、地方公共団体が第1項に規定する努力義務を果たすに当たって、関係者間の核となる連携・協働の拠点としての体制を確保する努力義務を重ねて規定する。努力義務という形で地方公共団体に連携・協働の拠点としての体制の確保を促すことで、より実効性の高い推進体制で各地域における男女共同参画社会の形成の促進に関する施策が実施されるようにするものである。