現在の民法では、結婚に際して、男性又は女性のいずれか一方が、必ず姓*1を変えなければなりません。結婚して姓を変える人は、女性が圧倒的に多く、全体の約95%を占めます(令和4(2022)年時点)。
婚姻後も仕事を続ける女性が大半となっていることなどを背景に、婚姻前の氏を引き続き使えないことが婚姻後の生活の支障になっているとの声など、国民の間に様々な意見があります。
第5次男女共同参画基本計画(令和2年12月25日閣議決定)*2においては、そのような状況も踏まえた上で、家族形態の変化及び生活様式の多様化、国民意識の動向等も考慮し、夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方に関し、戸籍制度と一体となった夫婦同氏制度の歴史を踏まえ、また家族の一体感、子供への影響や最善の利益を考える視点も十分に考慮し、国民各層の意見や国会における議論の動向を注視しながら、司法の判断も踏まえ、更なる検討を進めることとされています。
このページでは、夫婦の姓に関連するデータ等について御紹介します。
*1 「姓」や「名字」については、法律上「氏」とされていますが、ここでは、分かりやすさの観点から「姓」とします。
夫婦の姓に関するデータ
婚姻届を提出した夫婦のうち約95%は女性が改姓(年間約48万人)
表は、婚姻した夫婦が夫の姓・妻の姓のどちらを選択したか、件数と割合を表したものです。令和4(2022)年は、478,199組(94.7%)の夫婦が夫の姓を選択しました。
婚姻時に夫婦が選択した姓
年 | 総数 | 夫の姓 | 妻の姓 |
---|---|---|---|
令和4(2022) | 504,930 | 478,199(94.7%) | 26,731 (5.3%) |
(備考)厚生労働省「人口動態統計」より作成。
平成7(1995)年以降の推移は、以下のページから御覧いただけます。
夫の姓・妻の姓別にみた婚姻件数(平成7(1995)年~令和4(2022)年) [PDF形式:57KB]
「結婚したい理由」として「好きな人と同じ名字・姓にしたいから」と回答した割合は、他の理由と比較すると少ないものの一定程度いる
令和3(2021)年度に内閣府が行った調査によれば、結婚したい理由について、「好きな人と同じ名字・姓にしたいから」と回答した割合は、20~39歳では、独身女性が5.5%、独身男性が2.3%でした。また、40~69歳では、独身女性が2.2%、独身男性が0.6%となっています。
「結婚したい理由」
(備考)
- 「令和3年度 人生100年時代における結婚・仕事・収入に関する調査」(令和3年度内閣府委託調査)より作成。
- 同調査の回答項目のうち、「当てはまる」「やや当てはまる」の累計値を掲載。
「積極的に結婚したいと思わない理由」として「名字・姓が変わるのが嫌・面倒だから」 独身女性のうち、20~30代の約4分の1、40~60代の約3分の1が回答
上記の調査によれば、積極的に結婚したいと思わない理由について、「名字・姓が変わるのが嫌・面倒だから」と回答した方の割合は、20~39歳では独身女性が25.6%、独身男性が11.1%でした。また、40~69歳では独身女性が35.3%、独身男性が6.6%となっています。
「積極的に結婚したいと思わない理由」
(備考)
- 「令和3年度 人生100年時代における結婚・仕事・収入に関する調査」(令和3年度内閣府委託調査)より作成。
- 同調査の回答項目のうち、「当てはまる」「やや当てはまる」の累計値を掲載。
離婚件数は婚姻件数の約3分の1、結婚の約4件に1件が再婚
人生100年時代を迎えて、近年の結婚と家族をめぐる状況は、昭和の時代と比べて大きく変化しています。
令和3(2021)年の婚姻件数は、年間50万1,138件となっています。
一方、令和3(2021)年の離婚件数は、年間18万4,384件となっており、婚姻件数の約3分の1となっています。
さらに、再婚件数は、令和3(2021)年は13万227件となり、婚姻の約4件に1件が再婚となっています。
親が離婚した子どもは新たに約18万人(令和3(2021)年)
下の表は、厚生労働省の人口動態統計を基に、夫婦に子どもがいる場合といない場合の離婚件数及び親が離婚した子どもの人数の推移を表したものです。令和3(2021)年は、親が離婚した子どもの人数は183,228人でした。
子の有無別にみた離婚件数と親が離婚した子どもの数の推移
(備考)
- 厚生労働省「人口動態統計」より作成。
- 子どもとは、20歳未満の未婚の子をいう。
- 調査の期間は調査該当年の1月1日から同年12月31日まで。
夫婦の姓に関する制度の在り方をめぐる議論について、身近なこととして考えたことがある者は41.3%
令和4(2022)年11月に内閣府が実施した世論調査によれば、夫婦の名字・姓に関する制度の在り方をめぐる議論について、自分または自分の周囲の人に関わる身近なこととして、「考えたことがある」と回答した方の割合は41.3%、「考えたことがない」と回答した方の割合は54.1%、「議論があることを知らない」と回答した方の割合は2.8%となっています。
また、女性では、30歳代以下で議論を「考えたことがある」と回答する割合が5割を超えています。男性では、議論を「考えたことがある」と回答する割合は、年代別で大きな変化はありません。40歳代以下(特に18~29歳)の男性は、「議論があることを知らない」と回答する割合が高い傾向にあります。
「名字・姓に関する制度の在り方をめぐる議論に対する意識」
【全体】
【性別×年齢別】
(備考)
- 「男女共同参画社会に関する世論調査」(令和4年11月調査)より作成
- 質問文は「夫婦の名字・姓に関する制度の在り方をめぐる議論について、自分または自分の周囲の人に関わる身近なこととして、あなたはこれまでに考えたことがありますか。」
旧姓の通称使用を希望する者は39.1%
上記の世論調査によれば、仮に結婚して戸籍上の名字・姓が変わったとした場合、働くときに「旧姓を通称として使用したいと思う」と回答した方の割合は39.1%、「旧姓を通称として使用したいと思わない」と回答した方の割合は58.7%となりました。
【全体】
(備考)
- 「男女共同参画社会に関する世論調査」(令和4年11月調査)より作成
- 質問文は「あなたは、仮に結婚して戸籍上の名字・姓が変わったとした場合、働くときに旧姓を通称として使用したいと思いますか。あなたが結婚している、していないに関わらず、お答えください。」