「共同参画」2025年7月号

特集1

女性版骨太の方針2025

内閣府男女共同参画局総務課

令和7年6月10日に、全閣僚からなる「すべての女性が輝く社会づくり本部・男女共同参画推進本部合同会議」を開催し、「女性版骨太の方針2025」を決定しました。今回は、本方針の概要や具体策についてご紹介します。

「女性版骨太の方針」について

我が国では、5年に1度、施策の基本的な方向性や成果目標などを示す「男女共同参画基本計画」を策定するとともに、毎年6月を目途に、政府全体として当該年度及び翌年度に重点的に取り組む事項を「女性版骨太の方針(女性活躍・男女共同参画の重点方針)」として決定しています。


すべての女性が輝く社会づくり本部(第15回)・男女共同参画推進本部(第25回)合同会議の様子
すべての女性が輝く社会づくり本部(第15回)・男女共同参画推進本部(第25回)合同会議の様子


背景・基本的な方針

現在我が国では、東京一極集中の流れが続いており、特に女性が地方での生活を選択しない傾向が強まっています。女性にも選ばれる地方を実現することを通じて、女性を含めた誰もが安心して住み続けられる地域を構築することは待ったなしの課題です。そのため、希望する仕事を選択できる環境の整備をはじめ、女性がその地域で個性と能力を十分に発揮する機会が得られ、生きがいを感じながら生活できる地域社会の実現に向けた取組を進めていく必要があります。

「女性版骨太の方針2025」では、いつでも・どこにいても、誰もが自分らしく生きがいを持って生きられる社会を実現させるとともに、多様な地域で、多様な幸せを実現させ、ひいては日本全体が活力を一層向上させることを目指し、

Ⅰ 女性に選ばれ、女性が活躍できる地域づくり

Ⅱ 全ての人が希望に応じて働くことができる環境づくり

Ⅲ あらゆる分野の意思決定層における女性の参画拡大

Ⅳ 個人の尊厳が守られ、安心・安全が確保される社会の実現

Ⅴ 女性活躍・男女共同参画の取組の一層の加速化

という5つの重点事項に沿って、具体策を取りまとめました。以下、それぞれの項目について主な具体策をご紹介します。

主な具体策について

Ⅰ 女性に選ばれ、女性が活躍できる地域づくり

)全国各地における女性の起業支援

全国各地の男女共同参画センター等をサポートの拠点として、地域女性活躍推進交付金等による財政支援等を通じて、地域の実情を踏まえた取組(セミナー等の継続的な開催を通じたロールモデルとの出会い・仲間とのネットワーク形成の促進、地域の意識変革に向けた啓発等)を進め、女性の起業の裾野拡大等を図ります。

また、女性起業家の更なる活躍を後押しするため、女性起業家による資金調達への支援、地域密着型事業の立ち上げ支援、アントレプレナーシップ教育の推進等にも取り組みます。また、女性起業家に対するハラスメントの防止に向けて、フリーランスの就業環境の整備や、ベンチャーキャピタル等の支援機関に対する研修の実施、コンプライアンス管理の体制確保、相談支援に取り組みます。


女性活躍・男女共同参画担当大臣が日本各地で開催してきた、地域で活躍する女性起業家等と今求められている支援策等についてフランクに論じ合う「地域で輝く女性起業家サロン」の様子
女性活躍・男女共同参画担当大臣が日本各地で開催してきた、地域で活躍する女性起業家等と今求められている支援策等についてフランクに論じ合う「地域で輝く女性起業家サロン」の様子


地域における魅力的な職場、学びの場づくり

改正女性活躍推進法を踏まえ、男女間賃金差異及び女性管理職比率の情報公表の強化、女性の健康上の特性に留意した取組の推進、ハラスメント対策の強化に取り組むことで、女性活躍の更なる推進を図ります。

また、地方や中小企業における女性の登用推進、地域働き方・職場改革等の推進、大学づくりに関する取組の推進を通じて、地域において女性にとって魅力的な職場づくり、学びの場づくりに取り組みます。あわせて、固定的な性別役割分担意識や無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)の解消を図ります。


出身地域を離れた理由(男女別)


(3)地域における人材確保・育成及び体制づくり

国立女性教育会館を機能強化した「男女共同参画機構」の設立や、男女共同参画センターガイドラインの策定、同機構と各地の同センターの情報プラットフォームの構築等を通じた同センターの機能強化等により、地域における女性活躍・男女共同参画の推進体制の充実を図ります。

また、地域女性活躍推進交付金や新しい地方経済・生活環境創生交付金等による自治体への支援、女性活躍に取り組む地方自治体の好事例の横展開等を通じて、地域の実情に応じた自治体の取組を支援します。


(4)地域における安心・安全の確保

災害時には、女性やこども、脆弱な状況にある人々がより多くの影響を受けることが指摘されているため、能登半島地震調査を踏まえた男女共同参画の視点からの取組の推進、防災・復興に関する政策・方針決定過程への女性の参画拡大等に取り組むとともに、平常時・災害時を問わないフェーズフリーの観点を踏まえ、平常時から災害に強い地域社会の実現を図ります。


Ⅱ 全ての人が希望に応じて働くことができる環境づくり

(1)女性の所得向上・経済的自立に向けた取組の強化

非正規雇用労働者の正社員転換や、 「新・女性デジタル人材育成プラン」に基づく就労支援等をはじめとするリスキリングの促進等による「L字カーブ」の解消等により、女性が希望に応じて働くことができる環境づくりを進めます。


正規雇用比率の推移(男女、年齢階級別)


(2)仕事と育児・介護の両立の支援

家事・育児・介護の負担が女性に偏っている現状を踏まえ、長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の推進、「共働き・共育て」の実現に向けた取組、仕事と介護の両立支援の促進、就学児の居場所づくり等により、ライフイベントとキャリア形成の両立を図ります。


(3)仕事と健康課題の両立の支援

健診やセルフチェック、相談事業等の女性の健康確保に向けた取組の推進、女性の健康課題に取り組む企業の評価制度の活用等に取り組むことにより、働く女性のライフステージごとの健康課題に配慮し、女性の活躍を後押しします。


(4)職場等におけるハラスメントの防止

事業主に雇用管理上の措置を義務付けること等により、ハラスメントの防止を図ります。


Ⅲ あらゆる分野の意思決定層における女性の参画拡大

(1)企業における女性活躍の推進

改正女性活躍推進法に基づく女性管理職比率の情報公表の義務化、女性役員登用の加速化に向けた取組、公共調達において女性活躍推進法等に基づく認定を受けた企業等を加点評価する取組等を推進します。


(2)政治・行政分野における男女共同参画の推進

女性の政治参画への障壁等に関する調査を踏まえ、女性の政治参画への障壁とその解消に向けた必要な取組について啓発等を行います。

また、各府省において、各役職段階に占める女性割合に関する数値目標を定め、より一層の女性登用に向けた取組を強化するなど、行政分野における女性活躍を推進します。


(3)科学技術・学術分野における女性活躍の推進

女子中高生の理工系分野への進学促進に向けた啓発等の取組や、国立大学・高専における女子学生の増加等に対応した施設整備等の推進、女性研究者の両立支援等に取り組みます。


(4)国際的な分野における女性活躍の推進

在外公館の各役職段階に占める女性割合の引き上げや、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントの分野において国際的に活躍できる人材の育成に取り組みます。


Ⅳ 個人の尊厳が守られ、安心・安全が確保される社会の実現

(1)配偶者等への暴力への対策の強化

配偶者からの暴力の被害者が、身近な地域においてそれぞれの状況に応じた必要な支援を切れ目なく受けることができるよう、配偶者暴力相談支援センターの機能の充実をはじめとして、地域における被害者支援体制の充実強化のための都道府県や市町村の取組を促進します。

また、被害者の保護・自立支援を図る上で、一人一人の多様なニーズに柔軟に対応した支援に取り組む民間団体との緊密な連携が極めて重要であることから、官民連携の下で民間シェルター等が行う先進的な取組について、都道府県等に対する交付金により支援を行います。


男女で異なる健康課題


不同意性交等罪の認知件数・検挙件数


(2)性犯罪・性暴力対策の強化

性犯罪に対処するための刑事法の内容及び趣旨についての周知を徹底するとともに、被害申告の困難さ等の性的な被害の実態に係る調査等を着実に進め、性犯罪・性暴力の根絶のための取組や被害者支援の強化を図ります。

また、ワンストップ支援センターが、個々の被害者の置かれた状況に対応した支援を総合的に提供し、必要に応じて専門機関等による支援につなぐことができるよう、同センターと地域における関係機関とのネットワークの構築に係る各都道府県等の主体的な取組を推進します。


(3)困難な問題を抱える女性への支援

「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」に基づき、女性相談支援センターや女性自立支援施設の機能強化、女性相談支援員の人材の養成・処遇改善の推進等を図ります。

また、改正風営法も踏まえ、悪質なホストクラブ等に対する厳正な取締りを更に推進します。


(4)「女性・平和・安全保障(WPS)」の取組の強化

関係府省においてWPS担当官を明確に位置づけ、各国との協力を一層推進するとともに、「第3次女性・平和・安全保障に関する行動計画(2023-2028年度)」に基づく取組を着実に実施します。


(5)性差を考慮した生涯にわたる健康への支援

女性の健康総合センターの取組など性差に応じた健康への支援、プレコンセプションケアの推進、フェムテックの推進と更なる利活用、女性の産後ケア施策の充実、生理の貧困への対応等に取り組みます。


(6)夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方

婚姻により改姓した人が不便さや不利益を感じることのないよう、引き続き旧姓使用の拡大やその周知に取り組みます。夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方に関し、国民各層の意見や国会における議論の動向を注視しながら、更なる検討を進めます。


Ⅴ 女性活躍・男女共同参画の取組の一層の加速化

(1)男女の性差に配慮した施策の推進

男女共同参画の視点に立ち、あらゆる分野の政策・事業の計画、実施、評価において、男女別の影響やニーズの違いを踏まえた検討・立案を行うため、あらゆる分野における政策・方針決定過程への女性の参画を促進します。その前提として、男女の性差を考慮するとともに、関連するデータの男女別の把握・分析を強化します。

また、男女共同参画と性差の視点を踏まえた研究の促進(ジェンダード・イノベーションの創出の推進)等に取り組みます。


(2)男女共同参画に関する国際的な協調及び貢献

G7、G20、APEC、OECD、国連等に係る情報発信を強化します。

むすびに

今回決定した女性版骨太の方針に基づき、関係府省一体となって取組を進めてまいります。より詳細な考え方や具体策については、以下のリンクから資料をご覧ください。


詳細は、こちらをご覧ください。
https://www.gender.go.jp/policy/sokushin/sokushin.html


内閣府男女共同参画局 Gender Equality Bureau Cabinet Office〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
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