「共同参画」2025年7月号

巻頭言

2025年を地方のジェンダーギャップ解消元年に
──男女共同参画を阻む「仕組み」と「意識」のアップデートを

2025年は、私たちにとって重要な節目の年です。戦後80年、北京宣言・行動綱領から30年、男女共同参画社会基本法の制定から26年、女性活躍推進法の施行から10年。これまで積み重ねてきた制度や施策の成果を、地域社会の中でどう実装していくかが問われています。

その鍵を握るのが、地方におけるジェンダーギャップの解消です。背景には、人口減少や少子化、そして若者や女性の都市部への流出という、地域の持続可能性に関わる構造的な課題があります。進学・就職を機に地元を離れた若年層が、「やりたい仕事がない」「干渉から自由になりたい」と感じている現実が、内閣府の調査でも明らかになっています。

今年公表された令和7年版男女共同参画白書では、そうした傾向が若年層の出身地・現住地別の分析を通じて可視化され、地域ごとの構造的な課題がこれまでになく高い解像度で示されました。地域の文化や制度、無意識の前提が、女性の活躍や定着を阻んでいるという点は、私自身が現場で痛感してきたことでもあります。

私はこれまで、地方自治体や企業と連携し、地域で一歩を踏み出す女性たちの学びや実践の場づくりを支援してきました。見えてきたのは、「女性がいない」のではなく、「声を上げづらい構造」があるということ。そして、その構造を支えているのは、私たち自身の思い込みや慣習、つまり“意識”に他なりません。

男女共同参画を進めるうえで大切なのは、「制度」や「支援」を整えることに加え、地域の中で「仕組み」と「意識」の両方を丁寧に見直し、アップデートしていくことです。特に、地域・職場・教育・政治という4つの分野を、どれか一つではなく同時に動かしていく視点が欠かせません。

そしてこの変化を本当のものにしていくためには、行政、企業、教育機関、金融機関、メディア、労働団体など地域に関わるすべての人が、連携し、それぞれの立場から当事者として関わっていくことが求められます。

2025年が、地域における男女共同参画の新たなスタートとなることを願っています。

そして2029年、男女共同参画社会基本法が制定30年を迎える時には、地域の仕組みや意識にさらに確かな変化が広がっているよう、皆さんと共に取り組んでいきたいと思います。

※1995年の第4回世界女性会議で採択された北京宣言及び行動綱領

小安 美和
小安 美和
Koyasu Miwa
Will Lab代表取締役

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