「共同参画」2024年2月号

トピックス1

令和5年度 性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に関するワークショップ開催報告について

性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)の解消に向けた取組の一環として、「性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に関するワークショップ」を開催しました。

内閣府男女共同参画局総務課


開催の目的

男女共同参画の取組の進展が未だ十分でない要因の一つとして、社会全体において固定的な性別役割分担意識や無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)が存在していることが挙げられます。

無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)とは自分自身は気づいていない「ものの見方やとらえ方のゆがみや偏り」をいいます。自分自身では意識しづらく、ゆがみや偏りがあるとは認識していないため、「無意識の偏見」と呼ばれます。

男女共同参画局では、性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)の解消に向けた取組の一環として、自身のもつ性別役割意識をはじめとするアンコンシャス・バイアスについて認識するとともに、理解を深めることなどを目的に、令和3年度、令和4年度に実施した性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に関する調査研究の結果を踏まえ、ワークショップを計5回開催しました。(地方公共団体向け2回、企業向け3回)

開催概要

▶対象

【地方公共団体向け】

男女共同参画関連施策、広報、人事業務に従事する担当者

【企業向け】

経済団体やメディア分野関連団体などに加盟する企業

▶内容

・全体向け講義

・グループディスカッション

・発表、意見交換

▶開催形式

オンライン開催

ワークショップの様子

ワークショップでは、講師から、アンコンシャス・バイアス調査結果概要等を踏まえた問題共有や課題分析について全体向け講義が行われた後、グループディスカッションにおいて、自組織の取組事例の紹介、現状と課題の共有などを行いました。


オンライン開催の様子
オンライン開催の様子


全体向けの講義の中では、意識を変えるための知識として、「内なるアンコンシャス・バイアスに対処する」「評価者のもつアンコンシャス・バイアスに留意する」ための解決のヒントとして、<相手に自身を持たせるような働きかけ>や<相手の話をよく聴き、柔軟な思考を心掛ける>ことの重要性について説明がありました。


令和5年度 アンコンシャス・バイアスに関するワークショップ (企業向け)資料①
令和5年度 アンコンシャス・バイアスに関するワークショップ (企業向け)資料①


令和5年度 アンコンシャス・バイアスに関するワークショップ (企業向け)資料②
令和5年度 アンコンシャス・バイアスに関するワークショップ (企業向け)資料②


また、行動を変えていくためには、【当事者】と【行為者】の周りが、どんなポジションを取っているのかについて着目し、当事者に共感や肯定等のメッセージを発信できる【支援者】を増やしていく必要性についての説明もありました。


令和5年度 アンコンシャス・バイアスに関するワークショップ (企業向け)資料③
令和5年度 アンコンシャス・バイアスに関するワークショップ (企業向け)資料③


令和5年度 アンコンシャス・バイアスに関するワークショップ (企業向け)資料④
令和5年度 アンコンシャス・バイアスに関するワークショップ (企業向け)資料④


※補足

当事者:無意識の思い込みによる言動を受けた者

行為者:無意識の思い込みによる言動をした者

支援者:共感や肯定等によって当事者を支援する者

支持者:沈黙や同調等によって行為者を支持する者

傍観者:その後の行動によって、支援者にも支持者にもなる者

参加者の感想

●概念的な話だけではなく、実践的なヒントがたくさん得られた

●今後、どのように社内に広めていくかのアドバイスをいただけて非常に有意義な研修だった

●講演内容だけでなく、グループディスカッションの時間に他社の方の事例を聞くことができ、有意義な時間だった

男女共同参画局による制作物のご紹介

男女共同参画局では、令和3年度、令和4年度に実施した調査研究に基づき、事例集、チェックシート、普及啓発動画等を制作しています。

ワークショップの中でも、普及啓発動画を投影し、どのシーンがアンコンシャス・バイアスに該当するか考えていただきましたので、ぜひ、ご覧ください。


性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)の解消等に向けた普及啓発用動画につては、こちらからご覧ください。

PART1
https://www.youtube.com/playlist?list=PLwXND8_Qn55qLfNvejYvKjg-7Z6Ig1DET

PART2
https://www.youtube.com/playlist?list=PLwXND8_Qn55rjgi5nKDE2b1FYmApMz31n


事例集・チェックシートについては、こちらからご覧ください。
https://www.gender.go.jp/research/kenkyu/seibetsu_r03.html



Special introduction

行政トピックス1では、「性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に関するワークショップ」の開催について、掲載いたしました。このワークショップの中で取り上げた取組事例の中で、特に反響が大きかった佐賀県の取組について、ご紹介させていただきます。

内閣府男女共同参画局総務課

男性職員の子育てを応援!ハッピー・ツー・ウィークスについて

佐賀県人事課 課長 寺田 博文

ハッピー・ツー・ウィークスについて

佐賀県では、男性職員の2週間以上の育休等取得を促進するため、令和3年10月から「ハッピー・ツー・ウィークス」を開始しています。

「ハッピー・ツー・ウィークス」は、育児休業、出産補助休暇、配偶者出産時育児休暇等を組み合わせ、2週間以上の休暇等を取得することで男性職員が育児に積極的に参加することを目的とし、生活スタイルに応じた4つの取得パターンを提示しています。


資料:ハッピー・ツー・ウィークスとは
資料:ハッピー・ツー・ウィークスとは


具体的な取組

①不取得理由書の提出

「ハッピー・ツー・ウィークス」を推進する取組の一つとして、所属長による不取得理由書の提出を行っています。

具体的には、職員が「ハッピー・ツー・ウィークス」を取得することができなかった場合、職員の所属する所属長が、①取得の呼びかけ、②業務割り振りの見直し、③取得しやすい職場環境づくりの3項目について、行動の有無やその理由を記載した不取得理由書を提出することとしています。

取得する場合に申請するのではなく、取得できない場合に所属長に提出を求める“逆転の発想”により、育休等を取得しやすい工夫をしています。


ハッピー・ツー・ウィークスの不取得理由書
ハッピー・ツー・ウィークスの不取得理由書


②Happy Cardの贈呈

もう一つの取組として、所属長が、「ハッピー・ツー・ウィークス」取得予定の職員にメッセージを直筆で送るHappy Cardの贈呈を行っています。所属長が職員にメッセージを送ることで、組織として、男性職員の育休等取得を後押しし、職員が安心して育児に専念できるよう工夫しています。

効果や実績

令和3年10月の制度開始以降、約2年が経過していますが、令和5年11月末時点での「ハッピー・ツー・ウィークス」の対象職員は141名で取得率は100%となっています。

実際に取得者からは、「制度があったことで育休等取得の後押しになった」「所属長から取得を促してもらえたことが嬉しかった」といった声もあり、県庁内において、子どもが生まれた男性職員は「ハッピー・ツー・ウィークス」を取得し、夫婦で育児をすることが当たり前のことになっていると感じています。

取り組む中で見えた課題と今後の展望

「ハッピー・ツー・ウィークス」の取得率は100%ですが、育児休業の取得率は令和4年度において28.4%となっています。男性職員が育児に積極的に参加する環境が整ってきていることから、今後は、育児休業の取得率向上のため、具体的な課題を抽出した上で、新たな取組や職場環境の整備を行うことを検討しています。

取組にあたっての想いやメッセージ

男性職員が育休等を取得し育児に積極的に参加することで、職員の意識が変わり、働き方・生き方が変わり、子どもの成長にも好影響を与えることに繋がると考えています。こういった経験が、職員の仕事に対するモチベーションを高め、多様な経験が生きる組織を作ることになると考えています。

男性職員の育休等取得促進を全庁的に取り組むことで、県が旗振り役となり、民間企業への波及にもつなげていきたいと考えています。


取組の詳細はこちらをご覧ください。
https://www.pref.saga.lg.jp/chiji/kiji00392176/3_92176_8_03_shiryou_01.pdf

内閣府男女共同参画局 Gender Equality Bureau Cabinet Office〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
電話番号 03-5253-2111(大代表)
法人番号:2000012010019